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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2011年07月20日(水)13:30~
出席者 長谷川閑史 代表幹事
前原金一 副代表幹事・専務理事

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冒頭、長谷川閑史代表幹事より最近感じていることについてコメントを述べた後、記者の質問に答える形で、(1)原発およびエネルギー問題、(2)円高・電力不足など日本経済を取り巻く環境、(3)関西電力エリアでの節電要請、(4)生産の海外シフト、などについて発言があった。

長谷川閑史代表幹事によるコメント

まず、先週(7/14~16)、東北・仙台で開催した夏季セミナーには、多くのメディアの方々にも参加いただき、心より感謝申し上げる。3日間の取材を通してお気付きと思うが、被災地や自治体の方々の感覚と永田町(国会議員)の認識・対応との間に大きな乖離があるとの話が、いろいろな方からあった。多くの政治家が被災地を訪問し、その際に受け取った陳情や要望に対して、それに応える旨を述べられたにもかかわらず、その後は無しの礫、という状態が続いているとの具体的な発言もあった。地方と中央政府との間の信頼関係を損ねるものであり、もう少し誠意を持って取り扱っていただく必要がある。

加えていくつかの具体的な問題について、引き続き政府にも訴えていきたいと考えている。まず、第三次補正予算を早期に作成すると同時に、今国会閉会後、早急に臨時国会を召集し、そこで審議・成立をしていただきたい。市町村であれば9月まで、県は11月までなどそれぞれの日程で復興案を考えておられるようだが、第三次補正予算が復興への本格的な支援になると思うので、きちんとそれを視野に入れた形で最終化されることが必要である。

次に、がれき処理の問題である。自治体によって状況は様々だが、石巻ではまだ20%程度しか進んでいないと伺った。かなり進んでいるところもあるようだが、平均すると40%程度しか進んでいない。その40%も、集約場所に移動しただけのものを含んでいるのか(、完全に最終処理まで済んでいるものだけなのか)は分からない。(政府のがれき処理法案は自治体に一定の費用負担を求めているが、)自治体の負担が一部であったとしても、100年分とも言われるがれきの処理は、自治体にとっては膨大な負担になる。自民党(など野党四党)も(政府のがれき処理法案への)対案で「国が負担すべき」としているが、そこを早くはっきりしないと、(自治体の負担分は)後で交付金(で手当てする)と言われても、信頼関係が損なわれている中央政府と自治体の今の関係の中では、自治体がすぐにがれき処理に取り組むことは難しい。がれきの問題について、迅速に結論を出し、処理が進むようにすべきである。(早い段階から)腐敗物などによる感染症が懸念されていたにもかかわらず、今日まで対応が取られていないことに対して、改めて政府の対応の遅さを指摘し、早く処置をしていただきたい。

また、復興構想会議の論議の過程では出たようだが、国家による冠水した土地の買い上げの要望に対して、現時点で具体化しているものはない。津波による被害を二度と繰り返さないためには、買い上げといった措置も必要だと考える。国政の場で早く検討し、結論を出すことで、再興の絵を描きやすくしていただきたい。

さらに、特区については、復興構想会議の提言でも出ているが、早く適用するためにも、いくつかの特区の具体例、サンプルを作ってそこから選べるようにして欲しいという要望もあったので、国会の場で一度検討していただきたい。迅速に特区の適用が進み、自治体として復興を考えられるような形が整備されることを望む。

最後に、ある自治体の長が、どこにどなたが避難されているかの状況を把握することが非常に困難であったり、慢性病を患っておられる方の服用薬が分からなかったりした問題について、電子カルテを含む国民共通番号があればどんなに効率的であったか、と話されていた。(現在議論されている導入時期である)2015年1月まで待たずに、ぜひ東北地区を国民共通番号制度の先行例として早期に導入されることを、経済同友会としても要望したい。

もう一点、まったくテーマが異なるが、東京大学が9月入学を可能にする検討を始めたとの報道があった。(学生の)選択肢を増やすことは重要だと考えており、これまでの硬直的な運営(を改め)、国際基準とも合わせられるタイミングを考えると、東京大学のようなリーディング大学が先駆的に検討しているのであれば、経済同友会としても声援を送り、先行例として実施する事をサポートしたい。

前原: 前回(7/5)の記者会見での発言について補足したい。再生可能エネルギーの導入を加速させるために、経済同友会ではかねてから「全量固定価格買い取り制度の制度設計を急ぎ、再生可能エネルギーの導入を加速させるべき」と提言している。新たに決めたものではなく、1月に発表した提言(「2020年の日本創生」)ですでに述べているものである。

質疑応答

Q: 原子力およびエネルギーについて伺いたい。政府と東京電力から発表があったが、(福島第一原発事故の)収束に向けた工程表において、メルクマールである第一歩にこぎ着けた。一方、関西地区では電力供給のひっ迫による節電要請の話もある。これらを踏まえて所見を伺いたい。

長谷川: 原子炉を安定的に冷やすことを主目的とした第一段階について、いろいろな面で批判もあるだろうが、まずは到達したことを大変良かったと思う。水素爆発の危険性はほぼ無くなったと言える状態になり、放射能の放出も当初のレベルに比べて格段に少なくなったなどいくつかの条件を満たし、第一段階をクリアできたことを是としたい。特に、現場で大変なご苦労をされ、ご自身の健康状態にも影響を受けた方もおられる中で、現場の方々のご努力には深甚の敬意を表したい。今後は、1月の安全な冷温停止状態に向け、第二段階の目標を着々と実行されることを心から願っている。

関西電力や九州電力など原発依存度が高いエリアで、原発が定期検査で休止状態に入って再稼動の目処がつかない、あるいは大飯原発1号機のように試験運転中に問題があって停止せざるを得ないなど、関西地域においても節電要請が具体的に出てきたことに対しては懸念を持っている。こういったことがあるからこそストレステストは実施した方が良いので、早急に実施し、自治体の理解も得て、電力の安定供給、それもコスト増をもたらさない安定供給に向けて、政府として原発の再稼動に目処をつけていただきたい。

Q: 為替相場が1ドル78~79円台という円高水準を続けている上に、電力不足への懸念も深刻という中で、日本経済を取り巻く環境の厳しさについて、見解を伺いたい。

長谷川: 産業界では五重苦や七重苦(円高、FTA、労働規制、法人税等の税制、電力の安定供給および電力コスト、温室効果ガス25%削減)などと言われており、(日本企業にとって国際競争力上の経営環境が)タフな状況にあることは事実である。(震災被害からの)サプライチェーンの復活など少し明るい兆しが見えてきたと思っているところに、急な円高が進むことは懸念材料である。ファンダメンタルズを比較すれば日本が必ずしも良い状態であるわけではないにもかかわらず、今や国際的には自国通貨の価値を低くすることによって経済を刺激する傾向が見られ、日本が蚊帳の外で円の独歩高が進むことを懸念している。日銀の山口副総裁も、(「必要と判断される場合には柔軟かつ果断に適切な措置を実施する」と発言され)介入も考える趣旨をほのめかされたと聞いているが、タイミングを見て必要な措置を取っていただきたい。

Q: 関西電力管内の節電要請は、政府から本日午後に発表される見通しである。電力需要が高まる夏場に、すでに東京電力・東北電力管内で15%の節電要請がされている中で、関西電力エリアでも追加的に要請されることに対しては、産業界へのマイナス影響も大きいと思う。空洞化の見方も含めて見解を伺いたい。

長谷川: 個々の会社によって事情は違うが、影響は大きいと言わざるを得ない。特に、震災を受けて、生産拠点の東日本から西日本へのシフトを実行、あるいは検討している企業では、関電エリアも節電となると極めて対応が難しい。今年度は如何ともしがたいだろうが、来年以降を考えた場合、当面は原発の再稼動ということになると思うが、政府から明確な解決策が早急に示されない限り、国際競争の中で生き残っていくためには海外へのシフトを考えざるを得ないという状況がますます強まってくる。企業はそういった事態も想定して相当準備をし、できるものは備蓄生産をするなどの対応をしているので、ある程度は乗り切れると思うが、このような状況が再度出てくるということは、企業にとって更なる海外シフトを考えざるを得ない要因にはなるだろう。

Q: 円高進行の深刻さや原発被害(や電力不足)による海外への生産シフトについては他の経済団体のトップも言及されているが、それほど簡単に海外に出ることができるのか。工場を移転するにしても人員の確保にもある程度の時間がかかるし、受入国の電力供給が確保できるかという懸念もあると思うが。

長谷川: ご指摘の点はごもっともである。先述の通り、来年は(安全性を確保した上で原発を)再稼動してでも、今年よりは電力供給を改善することを政府として明確にしていただければ、そう簡単に海外移転ができるわけではないので、抑制のファクターになると思う。ただ、それがないままに(電力不足が)何年続くか分からないという状況が長引けば長引くほど、数年がかりでも海外にシフトしていこうという判断を促進する材料になる。日本の状況を見て、電力の安定供給はもちろんのこと、法人税も数年間は大幅に割り引くなど(他国からの)具体的勧誘があると聞いている。国際競争の環境下に晒されていることを政府はよく認識した上でお考えいただきたい。

Q: 冒頭に被災地視察の感想を述べられたが、政府と自治体の間に不信感がある。被災地の企業サイドからも金融(融資拡大)などの要望があったと思うが、経済同友会として業界に対して何らかの働きかけをしていく考えはあるか。

長谷川: (金融については)門外漢なので、実態を把握して理解をした上で、必要があれば経済同友会としても行動したい。理解が不十分なのでもう少し勉強をしたい。震災復興PTにも被災三県の経済同友会からメンバーとして参加いただいており、引き続き連携を取り、現地の声を聞いて検討を続ける。また、冒頭に述べることを失念したが、一刻も早く復興庁を設立することが大前提である。

前原: 震災復興PTでも、現地での委員会開催を予定しているので、順次検討したい。月曜日(7/18)に桜井・南相馬市長とお会いする機会があったが、放射線量を測ると福島市より低いにもかかわらず、距離が近いという理由だけで帰宅できないとお話されていた。(約7万人の住民のうち)まだ3万人近くは外に出たままで、市民がバラバラになり始めていると伺った。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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