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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2011年04月20日(火)15:00~
出席者 桜井正光 代表幹事

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記者の質問に答える形で、(1)任期4年間の振り返りと「2020年の日本創生」、(2)東日本大震災からの復興、(3)復興財源としての消費増税、(4)任期中で楽しかったこと、(5)積み残した課題、(6)GDPで日本を抜いた中国の存在感、(7)今後やりたいこと、(8)4年間の自己採点、などについて発言があった。

Q:4年間の任期の最後に大きな出来事(東日本大震災)が起きてしまったが、これ以外の出来事にどう対峙してきたという自負があるか。また、(経済同友会活動の)集大成として「2020年の日本創生」をまとめられたが、その後に東日本大震災が起きてしまった。(政策の)方向性は変わらないと思うが、この震災にからめて「2020年の日本創生」(の実現)を今後どのように進めていって欲しいとお考えか。

桜井: まず、4年間を振り返り、印象的だったことや大きな問題、成果について、大きく2つ述べたい。ひとつは、(任期の)初めからずっと続いた総理の交代である。4年間に5人の総理の登場ということになった。日本が、グローバル化、少子・高齢化という大きな環境の変化になかなか対応しきれない状況であった。小泉改革で、環境変化に対応できる新たな日本を、構造改革をもって作り上げようとした後のことだった。改革半ばにして、大事な時期に(総理が)5人も交代したことは、日本にとって不幸だと言わざるを得ない。結局、構造改革、制度改革が進まなかったのは、重要課題の解決が遅々として進まず、後戻りや先延ばしが繰り返されたためだ。これは国民にとっても非常に不幸せなことだと思う。総理交代に共通している理由は、ねじれ国会、逆転国会を乗り越えることができなかったということである。重要政策の先延ばし(の要因)はねじれ国会だというが、ねじれ国会は日本特有の問題ではない。ねじれや逆転は、民主主義の健全性の一面かもしれない。これをいかに克服していくか、上手く活用していくかを考えない限り、(重要政策が推進)できない。一番大事なことは、ねじれていようが、経済同友会が提案した(ような)、「国のかたち」を堂々と論争することだ。しかし、それ(国のかたち)なしでねじれ(国会の下で政策論争をし)ていると、選挙を意識した政局論争になってしまう。そこで、日本の今後のあり方、ビジョンを作り、その下での重要政策を論争するという形に改めなければならない(との思いで)、「2020年の日本創生」を作った。(これが二つ目である。)

(「2020年の日本創生」について、)今後の政治のあり方で非常に大事なのは、長期ビジョンに基づいた重要政策を明確に打ち出し、国会の場で議論し、決めるようにしなければいけない。これがひとつ。もうひとつ、今回の震災(への対応)だと思っている。今回の震災は、大規模な複合震災であるため、対応していく、対策を講じていくのは、かなり長期にわたって(の)活動になろう。(これは)単なる復旧ではなく、皆さんが言われているように「復興」になる。復興には、長期的なビジョンと計画が必要である。長期ビジョンがないと、勢いの下に単に復旧だけに走ってしまう。(そこで)「2020年の日本創生」を基本に、その地域のあり方という位置付けで、地域・地方を考えていかなければいけない、という使われ方が二つ目である。

Q:任期中の4年間は、(国内では)政局が混乱し、世界ではリーマン・ショックで混乱があった。任期の最後には1000年に1度と言われるような大震災が起きた。このように混沌としている中では、政界や経済界のリーダーが何を考えているのかが問われると思う。単なる復旧ではなく、復興していかなくてはならないとき、政界や経済界のリーダーに求められる要素はどのようなものか、また何を考えていかねばならないのか、所見を伺いたい。

桜井: 今回の震災は、主に東北地域を直撃した大震災であった。それが津波となり、原子力発電所の事故に(繋がり)、私たちの生活や日本経済全体への影響に広がり、今(では)世界経済へも影響し始めている。(震災が)直撃したのは、直接的には東北地域だったが、先述のような総理交代という意味で申し上げれば、構造改革の先送りを繰り返した日本を直撃したということでもある。もし今日本にお金があれば、第一次補正予算は簡単に組むことができる。もし道州制(の導入)が進み、各地域・地方が自主的な責任を持った経済活力(活性化)や生活の質の向上が進んでいれば、より速い復興が可能だったのではないか。また、もしもっと日本の開国が進んでいて、グローバル企業のみならず、多くの企業が国際競争力の強い企業・産業になっていれば、経済的な成長率が大きく低下することなく、外需を取り込む勢いもあったであろう。平時から構造改革・制度改革をしっかりと進め、筋肉質の、「強い経済、強い財政、強い社会保障」の(実現した)日本であったなら、(大震災の)直撃の傷は深かろうとも、復興に(これほど)悩むことはなかった(のではないか)。先延ばしを繰り返し、足下のことに重点を置いてしまった政治を直撃されたと考えてもよいだろう。これからの東北地域の復興と日本の創生には、同時に政治・行政の大変革をして進めていくことが大事であると思う。

Q:復興財源について、消費(増)税の議論は政治の中でも意見が分かれているが、この時期に消費税を上げることについて所見を伺いたい。

桜井: 以前から何度も申し上げているが、現下の日本の状況を考えると、まず、復旧・復興に高い優先度で取り組む必要がある。被害(総)額や復旧・復興にあてる財源のボリュームはまだ定かでないが、10兆円以上、あるいは15兆円前後とも言われている。その財源の捻出方法について、重要なことは、構造改革を先延ばしにするような処置をとってはならない。すなわち、震災前の制度改革、構造改革、さらには地方行政改革などの政策の展開と、それに要する財源等は絶対に確保しておくべきである。特に、社会保障制度改革や税制改革のように財源が必要な政策には、消費税が必要になってくるであろう。また、成長戦略について、TPP、FTA/EPAなどで国を開くことになれば、それに対応した一次産業等への梃子入れも必要で、財源がかかってくる。構造改革や制度改革、さらには地方行政改革では、地域の安定財源の確保が必要で、こうした政策展開に必要な財源を削るようなことはしてはならない。復旧・復興には高い優先度で取り組みつつ、同時に構造改革の政策展開に要する財源は確保すべきである。例えば、復旧・復興に15兆円前後を充てるとして、その期間に3年を費やすとすれば年間5兆円かかる。今後、財政健全化路線で進んでいくならば、この(復旧・復興の)財源をどこから捻出するか。第一には、民主党政権が掲げたマニフェストの重要政策を根底からゼロベースで見直せば、6から7兆円程度が捻出できる。これを第一の財源とすることも可能だろう。十分に出てこないかもしれないとすれば、例えば復興(基金)債を原資とする復興(特別)基金を設け、広く国民(民間)から資金提供を募って不足分を賄うことも考えられる。この償還にあたっては、復興税という考え方もあり得る。(財源捻出には、)安易に税や赤字国債で対応するのではなく、税は最後の手段とする、また復興(基金)債も赤字国債という名目のものではなく、建設国債的な特別な使途を持ったものにし(特別管理下に置く)べきである。これは以前から我々が主張し、政府もこの(復興基金債の)方向に歩み出し、後に返済の財源として消費税をあてるとの話もあるのが、これは賛同できる。

Q:(任期中の4年間で)一番楽しかったことは何か。

桜井: 難しい質問だが、仕事ができることが楽しかった。これほど次から次へと課題があり、常に考えていなければならならい。仕事ができるというのは非常に楽しいことだ。私がリコーに入社したばかりの頃、(不況だったため)1年間仕事を与えられず、悩みに悩んだ。仕事がないのは実に辛いものだ。

Q:来週、次期代表幹事にバトンタッチされるが、積み残した課題は何か。

桜井: 代表幹事に就任して前半の2年間は、グローバル化や少子・高齢化という(中長期の)課題の中で、日本企業の競争力が低下している時期であった。日本企業の競争力をいかに高めるかというテーマで、「新・日本流経営の創造」に取り組んだ。日本企業には、当時、グローバル・スタンダードと呼ばれた米国的経営が注目されていたが、日本企業が単にそれを物真似したのでは、欧米の二流企業になるだけだ。そこで、日本の歴史と文化、価値観に根付いた経営と、欧米諸国の新しい経営スタイルを融合することが大事だとする「新・日本流経営」を考えた。これは、長谷川次期代表幹事のリーダーシップの下に作っていただいたので、フォロー・アップしていただけると思う。

そして、「2020年の日本創生」である。これは昨年末にOBや現メンバーのご尽力により総集編として作成していただいた。(今年に入って)PRを開始、2月末までは予定通り進んだ。与・野党の政策担当者への説明やシンポジウムを開催し、TVにも出演するなど、アピールという次元のことはやれた。ここで大震災を受けて頓挫してしまった。最終的には、国民的議論を経て、各政党が自分たちなりの「日本創生」を考えていただきたいのだが、まだそこまでは達していない。このフォロー・アップをお願いしたい。

Q:この4年間のグローバルな変化のなかで、中国がGDPで日本を抜いて2位になった。代表幹事就任当時と退任時(の今)とで、中国の存在感をどう感じているか。

桜井: 中国のGDPが日本を抜く時期は、思っていたよりも早かった。あれだけの人口と社会主義の計画経済を持ってすれば、GDP(増大のポテンシャル)は日本と比較にならないのは当然だとも思う。日本の成長力が停滞し、なかなか復活できなかったことが、中国にGDPで抜かれる時期を早めた要因だろう。日本の構造改革・制度改革、「日本を開く」といった日本に活力をもたらすための取り組みが遅々として進まなかった、ということである。

Q:激務の4年間を終えて、今後やりたいことは何か。

桜井: 今後のことは、まだあまり考えていない。リコーの経営について、縁の下から支えたい。経済同友会にも、この4年間でいろいろな勉強をし、自分なりに「こうあるべき」と思うところも少なくないので、請われれば尽力できる事もあろう。

Q:経済同友会の存在について、代表幹事として任期中はどのように見ていたか。また、これからどうあるべきとお考えか。

桜井: 4年間(代表幹事を)務めて、経済同友会は良い活動をしたと思う。このような有事の際には、全員の意見が合うものを選んでいる時ではなかった。代表幹事として、経済同友会で多数決をとろうと思ったこともない。多数決をとろうとすると、変革的なことは絶対に出てこない。提言を(実行に)進めるにあたって、どのように企業を動かすかという段で、(会員は)個人の資格で参加しているため、拘束力という点が課題ある。一方で、ここを強化するとなると、(共通意見を重んじる必要が出てきて)長期的・先進的・変革的なことが難しくなる可能性もある。そのようなジレンマがある。しかし、やり方はあると思っている。真剣に日本のあり方を(議論し)示すことができること。そして、(企業が日本創生の牽引役であることを自覚し、)自分たち(企業個々)がやるべきことを率先垂範できるような環境を作っていくことは、できなくはない。例えば、「震災復興プロジェクト・チーム」を発足させたが、これは、迅速に復興に向けた提案を出し、迅速に政府等を説得し、かつ迅速に自らも企業としてできることを徹底して行うためのものだ。経済同友会として、あるいは企業の責任者としても、次々にやるべきことが出てきている。経済同友会内部に、事務局が主体となって推進・進捗管理ができるような推進母体を作ることもひとつの方法だ。

Q:4年間(を通した活動)を自己採点すると何点か。

桜井: 自己採点は難しい。2大テーマ(のひとつである)「新・日本流経営」については、後は、これをガイドラインとして、各経営者がそれぞれの思いで自己流のグローバル化、経営を進めていくことになり(進み始めたと思うので)、65~70点程度ではないかと。後半の(テーマである)「2020年の日本創生」は、作成(とアピールの初期段階)までで40点程度か。平均すると50点、半分しかいかなかったということだ。いまの時代を考えると、もっともっと積極的な活動をしなければいけなかったと感じている。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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