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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2011年02月15日(火)13:30~
出席者 桜井正光 代表幹事
前原金一 副代表幹事・専務理事

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記者の質問に答える形で、(1)法人実効税率引き下げ、(2)日印経済連携協定、(3)ワタミ・渡邉会長の都知事選への立候補、(4)税と社会保障制度の一体改革、(5)GDPの日本と中国の逆転、(6)新卒学生の就職活動時期、(7)G20での投機的売買規制の議論、などについて発言があった。

Q: 法人税引き下げに関して、政局の目途がつかず、(政府・与党は)社民党を抱き込んで(衆議院で)2/3を獲得して(成立させる)考えも浮上しているようだが、社民党は法人税(率)引き下げに反対している。法人税(率)引き下げを政府に要求してきた立場として、今の状況をどのように見ているか。 また、政府や与・野党への注文があれば伺いたい。

桜井:  今回の国会は、(2011年度)予算や(予算)関連法案(等の審議で)、難航しそうな気配だが、いま日本として非常に重要なことは、「強い経済、強い財政、強い社会保障制度」の一体改革(であり、中でも特に)強い経済のところで、成長戦略をしっかりと実現していくことである。ひとつは、国を開くTPP関連で、自由貿易協定や経済連携協定等が大事である。もうひとつは、日本企業の国際競争力強化と対日投資を受け入れる「日本の立地条件・環境整備」が非常に大事である。その一環として、法人税(率)の引き下げは大変重要な政策である。政局の面からは、社民党と今後の予算審議について協議することは大事であろうが、ぜひ社民党を説得していただき、大事な成長戦略実現を守ってほしい、(また)環境整備をしてほしいと強く思っている。

Q: 今日、インドとの経済連携協定(EPA)が閣議決定され、明日調印の運びとなった。改めて、日印EPAの意義と具体的に期待できる効果について、所見を伺いたい。

桜井:  今後とも日本の成長力を増大していくためには、広くインドも含めた市場を日本の成長に取り込んでいくことが大事だと思う。特に工業製品等での市場拡大が重要だと思っている。インドのみならず、今後とも広く、EU、米国、韓国、中国等を含め、戦略的な自由貿易協定の拡大を望みたい。

前原:  2年ほど前にインドに行ったが、社会経済インフラがまだ十分に整備されていない(という印象を受けた)。日本との協力によってそれ(インフラ整備)が進むことで、インドの発展に貢献できるのではないかと考えている。

Q: 今日、ワタミの渡邉会長が都知事選への出馬を正式に表明する。特に、実業界からの出馬について所見を伺いたい。

桜井:  個人的に渡邉氏を存じ上げている訳ではなく、(都知事)候補としての評価・コメントは持っていない。(しかし、)(地方)自治体でも国でも、経営感覚を持った(企業)経営者出身の方が入って、その知見を基に国政や地方行政を担っていくことは、今後重要ではないかと思っている。その意味で、渡邉氏の立候補には意義があると感じている。

Q: 今週末(に予定されている)政府の税と社会保障制度の一体改革の集中検討会議で、経済同友会としてどのような要望・提案をされる予定か。

桜井:  2月19日の政府の「社会保障改革に関する集中検討会議」で、経済同友会の改革案を説明する予定である。提言内容は、「2020年の日本創生」でも日本の社会保障制度のあり方を謳っている。端的に述べると、日本の(現行の)社会保障制度は、2つの面から制度的に疲弊しており長続きしない制度である。ひとつは、持続可能性である。持続可能性には、さらに2つある。ひとつは、財政的に持続不可能ということである。少子・高齢化、人口減少、特に生産年齢人口(の減少)という構造のなかで、どんどん若者に負担がかかる制度になっている。(今後ますます)受給者である高齢者が増えることを考えれば、財政的にも持ち堪えられない。2番目は、お年寄りの層と若者の層との保険料負担額と受給額の比率を生涯的に計算すると、若者層の受給比率が極端に少なく、年代層によって大きな差がある。これでは若者がこの制度に不信感を持つ。財政的(課題)と若者の不信感(を誘発する点)で、問題がある。もう一つは、年齢構成の変化により、(高齢者層の)相当な自然増があるため、国の財政への負担が大きくなってくる。このような理由から、新しい持続可能な制度を作ることを提言している。(提言する)新しい制度は、現行の1階の基礎年金部分と2階の報酬比例部分について、基礎年金部分は生活の最低保障という位置づけで、税でしっかりと支える。(2階の)報酬比例部分は(拠出建年金にし)、民間を利用する制度に変えるものである。1階の基礎年金(部分)は、消費税を「年金目的税」として活用する。(経済同友会の提言では)これまで企業が、被保険者と同額を保険料として拠出していたが、それがなくなり、企業にとって良いのではないかという質問をよく受けるが、そうではない。新しい制度においても、2階の拠出建年金の部分について、企業は一定の負担をする。もう一つ、消費税(率)のアップは生活者として非常に負担が大きいのではないかという点がある。新制度では、1階は全額税でまかなうため、保険料の支払いが不要になり、国民負担の面では相殺され、保険料と税(を二重に)支払う必要がなくなる(制度)設計である。このような点を、週末の集中検討会議で詳しくご説明し、持続可能な、日本の財政にも負担の少ない、そして若者だけに多額の負担がかからない制度設計がぜひとも必要であると申し上げる予定である。

前原:  少し補足すると、年金制度の移行措置には非常に時間がかかる。多様な移行の仕方が考えられるので、基本的なところをきちんと決めれば、後は移行をどうするかというところで調整できる部分もかなりあると思う。その辺りについて、よく議論をし、計算をして、詰めていけばよい。

桜井:  2月9日に、民主党の「社会保障と税の抜本改革調査会」でも、前原専務理事からご説明した。

前原:  基礎年金部分を経済同友会案で実現すれば、年代別にほとんど不公平が生じないという計算結果が出ている。その辺りも、移行措置を考えるとき考慮していただいたらよいと思う。

Q: 2010年10-12月期のGDPが発表され、通年で中国に抜かれることが確定した。政界からは、(中国とは)共存共栄していけば良いとの意見も出ているが、所見を伺いたい。

桜井:  共存共栄もひとつだと思う。基本的には、中国は、人口増大や生活の質の向上など発展途上的な成長の時期にあるため、GDPの総額では、時間的にいずれは(抜かれる)、というのは当然である。絶対額で超えられたことで、日本の成長や今後の日本経済を悲観視することは正しくない。同じ経済圏に、成長力としてのリーダーが近隣にあることは、日本にとっても、今後の成長の力になると思う。問題は、バブル崩壊後、日本の経済成長が1%弱前後と、日本の成長力が乏しく、成長が低迷しているところである。今後の日本の成長を考えた場合、今後とも外需への依存は続くので、日本を開いて、アジアや新興国経済の成長力を取り込む。これにより日本の成長力を上げていく。いわゆる一人当たりのGDPを上げていくことが大事である。また、日本企業が国際競争力をつけていくことが非常に大事である。先日、新日本製鐵と住友金属工業の経営統合が発表されたが、日本の産業界は、韓国を考えるまでもなく、プレーヤーが多すぎる。プレーヤーが多いということは、資金・人・資源が分散するため、国際競争力の面でマイナスになる。さらに、商品や事業の入れ換えによる新陳代謝を積極的に展開する必要がある。そのような産業構造の変革、および国際競争力強化に、企業がこれまで以上に専念し、自主的かつ積極的に挑戦していく必要がある。

前原:  2つ感じることがある。ひとつは、いろいろな国の方と話していると、中国という少し異質な国が、世界の経済大国になったことに対する違和感のようなものを感じられていて、むしろそういう意味で、日本という国の国際的な責任・役割が、ますます重くなってくるのではないかと感じる。そのような見方で、日本はもっと主体的に、どうあるべきかをきちんと考えなければいけない。もうひとつは、日本は(中国に抜かれたことを)大騒ぎしているが、ドイツが(日本に)抜かれたときに、これほど大騒ぎをしたか。(私は今回の騒ぎについて)少し疑問を持っている。

Q: 日本は外需依存が続くとの発言があったが、一方で若者がなかなか就職できない事情がある。日本の社会保障制度を考えるとこのような状態は良くないと思うが、これを改善するために、企業・産業界にはどのようなことが必要とお考えか。

桜井:  誤解のないようにお願いしたいのだが、成長の牽引役としての外需依存は変わらないという趣旨での発言であり、国内需要の創造、雇用の拡大は当然重要だ。内需の創造のためには、以前から主張しているように、健康産業や第一次産業、また低炭素社会作りのためのエコロジー産業などを革新的に興していくことが大事である。また、外需の取り込みは、国内の需要創造・拡大や雇用拡大にも寄与する。日本を開くと外資が入り、それを含めて国内の需要増大が可能になる。従って、政府としても現在、アジアの統括本社・支店を日本に、あるいは日本企業が統括会社を(日本に置く)という狙いの下に、立地環境の整備を進めているが、これに期待したい。

Q: 海外から見ると、名実ともに中国のマーケットが大きくなっている状態で、日本も投資(規制)や非関税障壁などを外さないと投資を呼び込めない時代に入ってくるのではないか。

桜井:  まさにその通りだ。アジア統括会社や対日投資について、日本の立地条件を魅力的なものにしていくためには、諸規制を大幅に緩和して初めて、日本でのビジネスや統括会社の設置が可能となるわけで、そうした環境整備をすることが非常に大事になってくる。統括会社は資金が集まるところ、すなわち金融市場として魅力がなければならない。また、雇用条件に関わる雇用法も、かなり流動的な動きに対応できるものにしなければいけない。さらに、居住や教育についても(海外の人に魅力あるものに)整えていく必要がある。関税のみならず非関税(の部分)ついても大いに魅力あるものとしていくことが大事になる。

Q: 新卒大学生の(就職受験)に時期について、経済同友会の方針に対して日本商工会議所会頭が賛同の意思を表明した流れのなかで、日本経団連会長も少し軟化し、今年は間に会わないが、不都合があれば次の年に見直しても良いのではないかとの発言をされた。とはいえこの1年間は、経団連の考え方と経済同友会の考え方のダブル・スタンダードで(採用活動が)行われることになるが、これを避けるためにはどうすればよいとお考えか。

桜井:  経済同友会の提言は現在の大学一年生を対象とする2014年(の新卒者)、一方、日本経団連の案は2013年で、1年間の違いがあり、ダブル・スタンダードではない。2014年から経済同友会の提言に沿ったものになればと考えている。経済界のなかでも、実施時期の調整を図るつもりである。

前原:  文部科学省の「新卒者等の就職採用活動に関する懇話会」で委員を務めている。同懇話会には、日本経団連、日本商工会議所、経済同友会、大学、有識者も参加しており、そこで議論をしながら就職活動時期の問題も含め、きちんと摺り合わせをしていくことになる。従ってダブル・スタンダードにはならない。

Q: 日本経団連の米倉会長は、日本経団連も経済同友会も同じ企業の方がメンバーとして入っているのに、なぜ結論が異なったのかと首を傾げておられた。何が原因とお考えか。

桜井:  就職に関する問題に限らず、経済同友会の創設の精神は、企業経営者が、日本の今後の姿、あり方、そして政策について「将来を描いてバック・キャスティングをしていく」視点を大事にしようという趣旨である。先般発表した「2020年の日本創生」も、国の政策議論(が進まず)、我々(企業経営者)が中長期のビジョン(を示し)、さらには遡って現在のあり方を提言したものである。日本経団連とは、政策もあり方も違ってくる場合があるのは自然なことである。一方で、就職問題をはじめとする足下の重要課題については、協議をして調整を図っていくことが必要だと考えている。代表幹事に就任した際、「日本経団連との違いをどのように出していくのか」との質問を受けたが、「意識をして違いを出す必要はない」と答えてきた。我々は創設の精神に基づき、企業経営者として日本は将来こうあるべきだと考えていくことで、結果的に違いが出てくるならばそれが違いであって、最初からそれ(違い)を目指して活動することはない。

前原:  (今回の問題については、)経済同友会では大学の理事長などもメンバーで、私自身も大学の経営に携わっていた。大学や学生の実情を熟知しているメンバーからの意見も反映しているため、(他の経済団体との)違いが出ていることもあるだろう。

Q: (他団体との協議は)すでに始まっているのか。 また、いつ取りまとめられるのか。

前原:  先般第一回があり、今週第二回が開かれる。取りまとめの時期については、私も一委員の立場なので詳しくないが、おそらく5月か6月(を目指すの)だろう。経済同友会のスタンスとしては、他団体ともよく話し合いたい。

Q: これまでの議論を振り返って、(日本経団連、経済同友会)両者は歩み寄れそうか。

前原:  基本的な考え方に大きな隔たりはなく、十分に歩み寄れると思っている。

Q: 日本経団連の方が経済同友会に歩み寄ってきそうか。

前原:  良く話し合いをしていく。企業側の都合だけを学生や大学に押しつけるのは好ましくないという認識は、日本全体に広がっているように思う。(企業側の都合だけを優先して)学生や大学に負担をさせていると、最終的には社会人となった学生のレベルにも影響が生じ、社会全体が背負うことになる、ということが段々分かってきたということだろう。

Q: 週末に、G20の財務大臣・中央銀行総裁会議が行われるが、いま(起こっている)食料価格の高騰に関して、投機的売買を規制する議論も浮上するやに聞いている。金融緩和によるマネーが食料に流れて、アラブ(諸国)での混乱の引き金にもなっている。投機的売買を規制する議論の必要性について、どのようにお考えか。

桜井:  まず、今回のG20では、これまでの歪みをいかに是正していくかが非常に大事である。経済政策や金融政策、それに基づく財政収支(および債務残高や海外債権)等の歪みを調べ、原因を探って経済政策や金融政策を是正していくことは大事だと思う。次に、ご質問の、市場への投機的資金の流入を規制するという議論については、慎重に考えたほうが良いのではないか。とは言え、経済政策や金融政策の結果、余剰な資金が出回ることになるので、野放しにしておくのも良くはない。どのような規制の仕方が妥当かについても、G20で議論されると思う。リーマン・ショックに限らず、これまで何度も「勉強」しているのだから、必要以上に(インフレを誘発したり、)金融先物商品や資源で価格の乱高下(を招き、グローバル経済の安定的成長を阻害)するのは好ましくない。ぜひ適切な処置を議論していただきたい。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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