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経済3団体長 新年合同記者会見 桜井代表幹事発言要旨(未定稿)

日時 2011年01月05日(水) 15:10~16:10
出席者 岡村 正 日本・東京商工会議所 会頭(幹事)
米倉 弘昌 日本経団連 会長
桜井 正光 経済同友会 代表幹事

記者からの質問に答える形で、(1)日本経済の見通しと株価・為替の水準、(2)貿易自由化への課題、(3)雇用情勢、(4)菅首相の祝賀会での挨拶、(5)2011年のキーワードと菅政権発足後6ヶ月の評価、について発言があった。

(以下、桜井代表幹事発言部分)

Q: 今年の日本経済の見通し、および為替と株価の水準について所感を伺いたい。

桜井: (日本の)経済見通しは、円高基調で推移すると思われる為替をベースに考えなければならない。海外経済は、期待を込めて、回復基調になっていくであろう。特に、新興国や中国を中心とするアジア経済は安定した経済成長が保たれると思う。加えて、米国をはじめとする(先進国の)経済も、不安要素はあるものの、安定した回復が望めるのではないか。不安要素としては、米国の家計部門のバランス・シートがなかなか回復しないことや、欧州の財政不安とそれによる緊縮財政があると見ている。(日本経済)全般としては、第1、第2四半期は、調整期でさほど(伸びない)であろうが、後半の第3、第4四半期になれば、順調な経済回復とそれなりの成長が望めると考えている。

為替については、いくつかの指標で米国経済の回復が望めるという予想があり、資金は、日本が避難先になることなく、分散化した投資に向かうのではないかと考えられる。そう期待したいし、為替もある程度は安定すると思うが、資金の流れは予想しにくく、自信がない。個人的には、円高基調がかなり長く続くのではないかと思っている。

株価については、リーマン・ショック以降、経済界も企業もかなりのスリム化を図ってきており、大きな業績の変動はないのではないかと考えている。株価も為替(円高)の影響を受けるため不透明であるが、2011年度はそれなりの回復が見込めるのではないか。ただし、微々たるものであろう。

Q: 今年は、TPP交渉への参加など「日本の開国」について、貿易の自由化の波に乗れるか、乗れないかという非常に大きな意味を持つ年になる。日本が、貿易自由化の波に乗り、開国を進めるためには、どのように課題を解決していけば良いとお考えか。

桜井: まず、いま日本がおかれている状況を国民全体で認識すべきである。大きな課題は2つある。ひとつは、経済のグローバル化で、これへの取り組みに遅れてはならない。もう一つは、少子・高齢化、人口減少で、特に厳しいのが生産年齢人口の減少である。生産年齢人口の減少に対して高齢者の増加による社会保障制度問題である。現在は3人の働き手で(老年人口の)高齢者1人を支えている。2025年頃には2人で1人、2050~55年頃には1人が1人を支える(社会が想定されている)。これは、財政的な面でも限界を超えているし、若者とお年寄りの受益と負担の格差拡大による公平感という意味でも制度の破たんは目に見えている。また、大変な債務を抱えている日本がこれを減らしていくには、成長戦略によって税収を上げていくことが必要だが、(生産年齢人口の減少は、)成長戦略(を遂行する上)でも大変な重荷になってくる。いかに生産性が高い日本にしていくかが課題である。さらに、生産年齢人口の減少は、税制のあり方にも問題を投げかけている。日本の税制は、(経済)成長や人口増をベースに成り立っており、直接税、いわゆる所得税に寄った税制である。これでは、人口減少の中では(税収が)減ってしまうため、直接税から間接税へ切り替えなくてはならない。重要なことは、税制改革、社会保障制度改革、そして成長戦略での生産性向上である。(自律的な経済成長戦だが、)果たして日本は、グローバル化から離れ、日本の内需のみという閉じた世界で(生きて)行けるのか。今まで同様今後も、海外あっての日本である。(国際社会の)平和と自由経済(という基盤)があって初めて、日本の経済が成り立っている。(今後は)ますます世界の経済成長を(日本に)取り込むことを含め、世界に開く日本を確立しなければならない。これは、大胆にやる以外にない。躊躇をしていると、日本は世界の成長から取り残されることになる。日本を開くことは、グローバル化や人口減少の中で、ヒト・モノ・資金を含む世界の資源を日本に取り込むという意味で大変に重要である。

TPPについては、米倉会長や岡村会頭が述べられたように、(日本を)開くことを前提に、(TPP交渉に)参加し、早くルールづくりに入ることが大事である。(国を)開くことで、農林・水産業や内需型と言われている産業にはかなりの負荷がかかる。しかし、負担がかかるからといって、(国)内だけで回転させる経済はもう考えられない。内需型(産業)も、農林・水産(業)も、世界に打って出られる産業にしなければならない。我々(産業界や経営者)を含め、国民ひとり一人が、(国を開く方向に)行くしかないと考える必要がある。

Q: 雇用情勢について、昨年は大学生の就職内定率が過去最低レベルに達するなど、非常に厳しい状況が続いた。今年の大卒を含めた雇用情勢をどのように考えるか、伺いたい。

桜井: 雇用情勢は非常に厳しくなっており、この状況を何とかしなければならないと考えている。雇用増大を図るには種々の方法・施策が考えられるが、基本的には、まず経済成長を実現することである。経済成長を促進させることなくして、本質的に雇用増大を可能とする対応策はないということを、しっかりと念頭におく必要がある。前述の通り、日本の経済成長を実現するためには、日本を開き、海外の資源や市場、人材を取り込むことを徹底的に推し進める必要がある。その中で、企業は、今後のグローバル大競争に勝てるだけの技術革新やプロセス革新、経営革新を展開してきたのかを問い直す必要がある。新しい時代に対応する企業革新を徹底して推進しなければ、世界の競合企業の後塵を拝すことになりかねない。日本企業は、高付加価値の商品・サービスを世界に発信していかなければならない。高付加価値とは、単に機能を満載するということではなく、お客様が本当に購入して使用できる(ように徹底した)商品・システム・サービスのことである。また、我々(企業)自らが新陳代謝を起こし、付加価値の高い新しいタイプの商品を創り、価格競争のみに追い込まれた古いタイプの商品と入れ替えていく。これが事業や産業の構造改革へとつながっていく。我々(経営者)自身の責任でこれを実現することが必要である。

また、今の雇用問題には、雇用のチャンスがあるにも関わらず実現できていないというミス・マッチの面もある。これは、社内(の事業間)にも、会社間や産業間にもある。働く人が少ない、人手が足りないという業界や分野がありながら、雇用が進んでいない。(このような問題を解決するには、)社会的に雇用シフトができるような教育システム、例えば教育(・訓練)と就職(活動)、生活(支援)をセットにしたセーフティ・ネット、すなわちジャンプ台になるようなセーフティ・ネットが必要であろう。また、なかなか中小企業に人材が向いていかないというミス・マッチに対しても策を講ずる必要がある。足下的にも雇用を有効に拡大することが必要であり、我々(企業・経営者)も雇用促進の取り組みを積極的に進めていかなければならない。

Q: 菅首相の挨拶について伺いたい。昨年は、鳩山首相(当時)が需要サイドから供給サイドに目を向けていただきたいと語られた。比較は難しいかもしれないが、今年の菅首相の挨拶で最も印象に残った箇所含め、所感を伺いたい。

桜井: 基本的な感想は同じである。「分水嶺」と「開国」は非常に大事なことで、私は本年の年頭見解で、日本はこれから衰退の道を選ぶのか、それとも成長・発展の活力ある道を進むのかの選択と決断の分水嶺の時期だと述べた。(それだけに)私は菅首相の分水嶺という言葉に惹かれた。TPP交渉への参画についても社会保障制度改革についても、5月、6月に分水嶺となる重要な決断の時期がくる。その際にはぜひ、本当の意思を、決断をもって示していただきたい。その後は実行あるのみである。そこ(実行)までお願いしたい。

Q: 菅首相は、経済界へのお願いとして、努力して大きく稼いだお金を貯め込むのではなく、思い切って国内に投資をし、有能な人材を雇用し、優秀な人材への給料を増やすという攻めの経営をお願いしたいと述べられた。裏返せば、雇用も賃金も増やさず、国内への投資もしていないという首相の認識のように受け取れる。これに対して反論があれば伺いたい。

桜井: (菅首相の真意は分かりかねるが、)お金のある・なし以前に、もっと国内に投資をしてほしい、雇用を増大し、賃金にお金を使ってほしいという意味でとらえると、そのまま即座に返事をするわけにはいかない。企業は、今後の成長をプランニングし、海外の競合企業に勝る戦略の展開と実現が前提となる。その上で雇用の増大や賃金の上昇などに適切な配分を図ってしていくことが必要である。政府と企業が協力し合い、成長できる、活力ある日本を共に創り上げていくことが非常に大事である。それによって(菅首相の)期待する結果になっていくはずだ。

Q: 今年のキーワードを伺いたい。併せて、発足後6ヶ月の菅政権を評価すると何点になるか。

桜井: キーワードは、「決断」である。もう(課題を)先延ばしできる日本ではない。これは、政(治)の世界でも、企業経営の世界でも、また国民も同様である。皆がいま分水嶺に立っていることを認識し、重要な案件、将来を築き上げるための案件に対して、自分たちの責任の下に「決断」する時期にある。

(菅政権の)評価については、点数(にすること)は難しい。良いところ、悪いところ、色々あるが、50点くらいが私の評価である。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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