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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2010年11月02日(火) 13:30~
出席者 桜井正光 代表幹事
前原金一 副代表幹事・専務理事

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冒頭、桜井代表幹事がTPP(環太平洋経済連携協定)についてコメントを述べた後、記者の質問に答える形で、(1)TPP、(2)ロシア・メドベージェフ大統領の北方領土訪問、(3)同友会版「この国のかたち」、(4)民主党の企業・団体献金の一部受け入れ再開、(5)アメリカ経済、(6)ベトナムでの原発受注、(7)新卒採用、(8)企業の決算見通し、などについて発言があった。

TPP(環太平洋経済連携協定)について

桜井:  TPPは、非常にハードルが高く、自由化度が高い、除外品なし、貿易のみならず、サービスや知財、政府調達など非関税障壁分野を含めた包括的な(自由)貿易協定である。世界のモノ、ヒト、カネの(自由な)移動を促すルールになるであろう。世界経済(の活力)あっての日本経済という意味で、日本の活性化のためには、まずは近隣地域との経済連携が非常に大事だ。(特に)APEC地域は、日本の経済成長にとって大きな取り込み対象として連携強化が必要だ。TPPの交渉も具体的、実質的に展開されているなかで、(日本が)そのルールづくりに参加することは、日本の国益のためにも大事である。APEC(の会議)が(11月7日から)始まることもあり、昨日(11月1日)、経済三団体主催で(TPP交渉への早期参加を求める緊急集会を行い)決議を採択した。政府には、今後の日本活性化のためにも、「日本を開く」ことが非常に大事だという観点から、勇気を持って進めていくことをお願いしたい。

Q: 昨日の(TPPの緊急)集会では、農産物を中心に(それらへの)影響にどう対応するかという話があったが、製造業にとってTPP(への参加)はバラ色なのか、死角や注意すべき点はないのか、代表幹事の考えを伺いたい。

桜井:  モノの輸出という面だけでなく、日本国内での海外製品との競争という面でも、製造業にも、強い分野と弱い分野がある。ものづくりという分野もそうだが、農業と同じように課題となる分野が出てくる。特に、サービス関係の分野、代表的なものを挙げれば、医療や介護、金融などの分野においても、厳しい状況になると思う。

グローバル時代では、世界の、ヒト、モノ、金を自由に活用することができる。このメリットを活かしていくことが大事である。先ほど厳しいと述べたのは、(一方で)世界の大競争、グローバル大競争が始まるということである。EPA、FTA等が、難しい・易しいという以前に、将来的にはますます(厳しい)グローバル大競争になっていく(ことを覚悟する必要がある)。これをするために、関税をかけてハードルを高くし、(安い輸入品の流入を)差し止めるという方法もある。(一方、)関税を撤廃し、壊滅的な打撃を受ける(であろう国内の)弱い産業については、単なる保護ではなく、政策的な強化支援をしていく(方法もある)。サービス産業についても、国際競争のなかで通用する競争力をつけていかなければいけない。これをしなければ、(扉を)クローズして(永遠に)守ることはできないし、守るためにはお金がかかる。(例えば)農産物を関税で守ることは消費者にはあまり見えないが、米には778%、小麦には200%以上の関税をかけている。(高い)関税をかけるということは、それだけ国民が負担しているということである。(一方で)関税を撤廃するとなると、産業強化や保護のための財源を見つけ、投入しなければならない。その財源は、税として(これもまた)国民に負担がかかる。国民にとって、どちらのお金の使い方が良いかということになる。関税をかけて、関税(分)高いものを買う(という選択肢であれば)、多分永遠に続けなければいけないであろう。しかし、関税をなくし、再生のためにお金を使えば、再生され国際競争力がつけば、税金を育成費用(や保護のため)に使う必要はなくなるか軽減される。将来を考えれば、関税撤廃と国内産業強化が、国民にとって望まれる方法であろう。

Q: ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土を訪問した。最近は、中国の尖閣諸島の問題以降、日本の外交政策を不安視する声が出ているが、一連の外交問題について所感を伺いたい。

桜井:  ロシアの問題も、尖閣諸島の問題も、共通しているのは、この国、特に現政権に、外交戦略が不足している、あるいは乏しいということであろう。外交戦略があれば、その下にひとつ一つの戦術を積み上げていくことができる。また、海外諸国から領土問題や安全保障の問題を仕掛けられたとしても、それに対応する手立てを、速やかに、大きな筋道のなかで執りうる。戦略以前に、どういう国にしたいかというビジョンとそのなかでの外交戦略がないことが、今の混乱を招いていると思う。

Q: 国のビジョンを示すひとつの処方箋が、経済同友会が検討している「国のかたち」だと思うが、進捗状況はいかがか。

桜井:  スケジュール的には着々と進んでいる。「国のかたち」のなかで、深堀りし、具体論を出そうと、いま一生懸命に詰めている。これがどこまで届くか、というところである。完全なものなどあり得ないが、それなりの提言(をし)、議論をいただくに耐えるものには仕上げていこうと考えている。年内には発表する予定である。

Q: 日本政府は、ロシアへの対抗措置として、ロシア大使の一時帰国などを示唆している。今後の日露経済にどのような影響を及ぼすとお考えか。

桜井:  影響が出ないようにしていただきたい。日露関係では特に、資源・エネルギーの共同開発と(日本にとっては)その確保が重要である。日本としては技術の提供と資源の確保、ロシア側としては資源開発と供給拡大ということで、双方にとってWin‐Winでメリットがあるということだ。そうした関係になるべく悪影響を及ぼさぬよう、日本の首相は(領土問題の)基本論として言うべきことはしっかりと言い、かつそれによって二国間の関係に大きな支障がないよう、最善の策を見出していただきたい。

Q: 先日、民主党の岡田幹事長が、政治献金の受け取りを再開すると表明された。この発言に対して、また、あるべき企業献金の姿をどう考えるかについて、意見を伺いたい。

桜井:  岡田幹事長のご発言の真意がはかり知れないので、大変難しい質問だと思う。一言で述べるなら、政治にはコストはかかるけれども、企業・団体献金を止める(という当初の)方向を貫くべきと考える。経済同友会では今年2月に、政治献金に関する提言「 『政党による政策本位の政治』の実現に向けて 」を発表した。基本としては、政治コストは必要だが、(政党への)企業・団体献金を提供することは止める、という提言である。(一方で)政党あるいは政権の政策の立案および執行能力を強めるために、特に政党シンクタンクの強化や政治家の育成では、(専門)大学の強化を図ることを目的に、企業・団体献金は行われるべきだとしている。経済同友会は、この立場を絶対に変えない。実際には過渡的な措置として(政治献金を)行うと説明されれば、確かにマニフェスト違反ではないとも思うが、企業・団体献金を止めるという本当の意味合いは、過渡期の話をしているのではない。今後どうするのかという話をしているはずだ。

Q: 経済同友会の提言では、米国の個人献金のようにすると述べているのか。

桜井:  個人献金主体にすべきということである。しかし、個人献金の出し方や、有権者にとって個人献金を提供する必要があるという文化と制度がまだ日本では弱い。そこをいかに強化していくかについても、提言で述べた。

Q: 米国経済について伺いたい。近々、金融政策決定の機会や、明日にも結果が出そうな中間選挙があるが、これらを踏まえ、米国経済の現状と展望について所感を伺いたい。また、米国経済の動きは日本経済や企業活動への影響が大きいと思う。これから先がどうなるかの見通しは難しいと思うが、日本企業は米国との付き合いや米国でのビジネスにおいて、どういった点に留意すべきとお考えか。

桜井:  米国経済の専門家ではないが、それぞれの指標を見ていくと、まず注意しなければいけないのは失業レベルが高止まりしている点だろう。また、消費の活力があるかというと、家庭のバランス・シート、いわゆる借金の返済がまだ解決しておらず、バランス・シート上からも消費にまわっていく活力がない。これ(の回復に)は時間がかかるだろう。次に、米国の企業業績については、ドル安にも支えられ輸出産業はある程度好調で、回復傾向にあるのではないか。米国経済の強さは、IT改革が進み、システムやサービス関連の産業が強く、それが底力にもなっている。しかし、まだ消費の活力が弱いという状況ということだろう。こうした状況を見ていると、最近米GDPが下方修正されたたように、復活の見通しまでは立っていないようだ。とは言え、やはり米国は(金融市場のみならず)最終製品の市場という点でも非常に大きく、依然として大いに期待している。(日本企業の米国とのつき合いについては)システム構想力を持った、新しい価値を創造するというバイタリティは米国にしかない。米国のマーケットを狙ったビジネスや、新しい付加価値を創造するビジネスにおいても、今後とも期待している。

Q: インフラ輸出について伺いたい。ベトナムへの原発の売り込みが一応成功との報道がある。昨年来、ロシアに潜水艦を付けられて負けてしまったり、韓国に60年保証をつけられて負けてしまったり連敗続きであったが、今回の勝因は何とお考えか。

桜井:  潜水艦を付けたわけでも60年保証をしたわけでもないので、ロシアや韓国に比べて無理をした対策を講じているようには思えない。勝因はやはり、日本への信頼、期待感であろう。原発を一基つくるためには、高度な技術と能力を持った人材、安全性を確保するためのシステム、材料の供給等、すべてが揃っていなければならない。その点で日本の底力、すなわち個々の技術力、人材の育成、安全を保証する力、そして全体の効率性などにおいて、他国に比べて優位性があり、期待が持てたのだと思う。

Q: これまで負けていて今回勝てたというのはなぜか。

桜井:  今回は(前述の日本への信頼感に加え)前回に比べ、人の教育や燃料の供給や廃棄物の処理などを広範囲なきめの細かい提案が、以前より優れているところがあった。協力関係や保証関係でこれまでのレベルを上回っている点が多い。同じように韓国も第2期に参加しているが、(原発システム全般に関して)これを超えるものではないのではないか。もう一つは、ようやく官と民が一体となった国のトップ・セールスがあったのも功を奏したのだろう。

Q: 自民党時代にそれ(トップ・セールス)がなかったのはなぜか。

桜井:  (前政権時代にもトップ・セールスにより)新幹線のような壮大なシステムの売り込みはあったと思うが、これは(今回の原発に比べ)総額もおそらく高く、一国だけから調達しまうのは外交的配慮から、新幹線システムが分割発注されてしまった。システムが壮大なだけに(一国で)全部を獲るということができなかっただけだと思う。

前原:  昔は制度的に整っていた面もある。国全体でバックアップするという強力な体制が日本にはあった。自民党や政府が走り回らなくても、制度として、例えば通産省のバックアップなどもあり、それらがうまく機能していしていた。ずいぶん昔のことではあるが。

Q: 新卒採用について伺いたい。採用が前倒しになっていくという弊害があり、大手商社では採用時期を遅らせようという動きも出ているが、代表幹事の所感を伺いたい。

桜井:  前回の記者会見でも述べたが、政府が今後進めようとしている雇用促進策として、ポイントは3つある。ひとつは、(企業に対して)積極的に採用の拡大を働きかけていること。二つ目は、青田買いの問題で、特に学業専念への弊害となっているため、4年生の新学期(4月)までは採用活動を控えて欲しいということ。三つ目は、卒業後3年以内は新卒扱いとして欲しいということ。1番目は努力目標であるにしても、企業は各社の経営状況に応じて採用計画を立てる。むやみに採用数を拡大してしまうのは企業の体力を失わせる恐れがあり、安易には受け入れ難い。2番目の青田買いについては、企業が責任をもって対応すべきだと考えている。4年生の4月1日から企業説明会等をスタートさせ、夏頃に面接を開始し採用試験を行うことになるだろう。できる企業から積極的にやっていくことになると思う。3番目の卒業後3年間を新卒扱いとするのは、企業として実施するのはやぶさかではない。卒業した年に採用機会を失うと後々まで非正規雇用で生活する他ないというのは大きな問題だ。しかし、それをもって雇用が拡大するということではない。

Q: リコー社では、卒業後3年間、新卒扱いするか。

桜井:  まだ協議していないがやる予定だ。

Q: 企業によっては、広報活動という名を借りた採用活動なども行っているが、改善策はある か。

桜井:  (青田買いの是正は)企業の責任の持ち方だ。ルールを設けるだけでなく、企業が青田買いを止めるという姿勢を持たなければならない。どこかがやるから負けずに、抜け道を見つけてでも早くやらなければ、ということを改めなければならない。理想は、全産業分野が一斉に採用をスタートさせることだろう。現実的にはそれは難しいであろうし、やるとしても時間がかかる。まずは業界ごとに始めるのが現実的だろう。商社という就職で人気のある業界がルールを守っていこうというのだから、それはぜひ他の業界にも広げていただきたいと思う。

Q: 学生に就職情報を提供している企業などが情報を前倒しで提供すれば、学生も早い時期から活動するようになると思う。採用時期を遅らせるといっても紳士協定のようなものなので、学生は疑心暗鬼になるのではないか。

桜井:  採用する企業が学生に安心感を与えることが大事で、責任を持った取り組みをしなければならない。学生も全員揃って3年生の間は学業に専念しようとならなければいけないが、やはり重要なのは企業側の姿勢だ。

Q: 各企業の中間決算が進んでいる。リコーもかなりの回復振りを示しており、各社そのような傾向だが、通期で見た場合、円高や政策の息切れなどで、今後不安要因があるのではないかとの見方もある。中間決算への評価と通期の見通しについて、代表幹事の所感を伺いたい。

桜井:  一般論としてはリコーの状況と似ていると見ている。7~9月および上期の決算は各社とも、前年を上回り、リーマン・ショック以前の状況まで届くところまで来ているように思うが、同時に不安材料も多い。現在の円高がどこまで続くのか、また、自動車や家電業界のように、政策減税や政策的な購買促進の助成や補助金などに支えられた業界では、(下期は)厳しい状況になってくることが考えられる。(全業界とも)おそらく為替レートを、80円前後に切り替えていくことになるだろう。これは、円高ベースの計画レートにした上で今期初めに発表した通年計画の利益水準を守ための措置だが、それでも通期の利益計画達成は非常に厳しいのではないかと思われる。(円が高止まりすれば)産業によっては、期初計画の達成が難しい企業が多いのではないか。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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