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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2010年09月28日(火) 13:30~
出席者 桜井正光 代表幹事
前原金一 副代表幹事・専務理事

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記者の質問に答える形で、(1)尖閣諸島沖での中国漁船と海上保安庁巡視船との衝突事件に関する政府の対応、(2)日中間の経済面での影響、(3)武富士の会社更生法申請、(4)景況感、(5)補正予算、(6)グローバル化と国内産業、などについて発言があった。

Q: 尖閣諸島沖での中国漁船と海上保安庁巡視船との衝突事件に関連して、船長の釈放後も中国政府の姿勢は変わっていないように見える。この間日本政府がとった対応について、評価を伺いたい。

桜井:  処分保留と言いながらもそれまでの推移から急転(して)の釈放は、どのようなプロセスでどのような判断の下に行われたのかが非常に不明快(であった)としか適当な言葉がない。不明快ながら釈放した結果、今後の日中関係のあり方や領土の問題などへの影響を考えると、良い方向というよりもむしろ、日本にとって難しい事態に向かうのではないか。尖閣諸島を含む東シナ海での(日本政府の)対応は、日中間の問題だけでなく、南シナ海で問題が起きているASEAN諸国にも影響を及ぼす。政府としては、少なくともここに至った経過を国民に説明することが大事である。

日本政府は今後、領有権にも関わるような課題や安全保障の問題について、改めて立て直す必要がある。また、日中関係という意味では、パイプがないことがここまでに至ってしまった大きな原因だと思う。日本と中国は、安全保障においても、経済交流においてもても、その他文化交流などについても、戦略的互恵関係、すなわち平和と友好を基軸としたお付き合いを太くしていくことが大事で、(それには)トップ同士、閣僚同士の太いパイプを常に持っていることが必須だ。(これが)未然防止や再発防止、緊急対応に役立つ。

Q: レアアースの輸出停止に加え、一般貨物の通関検査も厳しくなっている。今後の経済への影響に大きな懸念もあるが、どのようにお考えか。

桜井:  基本的に、日本と中国は、互いの経済の発展・成長においてwin-winの関係という意味で、非常に大事な関係である。今よりますます強固に経済関係を構築していかなければならない中で、レアアースの話だけではなく、その他の貨物についても厳格な通関チェック体制のために停滞を見るようになってきたことは、互いにとって良くない。両国の経済成長、発展を考えれば、(このような)一種の報復的な処置を導入し長引かせることは、お互いに不幸であるため、早く解消していただくことを求めたいし、期待したい。

企業は、(今回の問題が起こる)以前から取り組んできたが、一国に集中した生産や(顧客)市場は、リスク管理の観点からも問題があるので、資源・エネルギーの調達の面も含めその他諸地域・国への分散をしっかりしていくことが必要である。

Q: 通関検査が強化されていることについて、経済同友会として現状や今後の影響をどの程度把握しているか。

桜井:  経済同友会としてアンケート調査などは行っていないが、部分的には情報を収集している。例えばリコーでは、輸出入ともに、2%程度だった(日中間の通関での)抜き取り率が、90%程度に上がった(と見ている)。実際の影響としては、通関に時間がかかるため、一部で(基準を下回る)在庫切れが起こっている。(生産)ラインが止まるまでには至っていないが、影響は出始めている。ラインが止まるまでにどのくらいかという予測は難しいが、1~2週間は大丈夫だろう。日本企業の状況は、ほぼ同様ととらえている。このような状況は、日本(企業)の中国を起点としたでの生産活動や中国市場への(高付加価値)製品・サービスの提供などから考えても、中国にとっても得な話ではない。双方の(健全な)経済交流がベースにあって互いの国が発展するという視点から、このような処置は早期に解除されることを期待するし、そうなるだろうと考えている。

Q: (日本企業は)中国に一極集中しすぎたとの発言があったが、コスト面から見るとどうしても(中国に)頼らざるを得ないところもあると思われる。日本企業が中国への一極集中を解消することは可能なのか。

桜井:  もちろん可能だ。ひとつは、近年、中国の人件費は着実に上がってきており、地代なども含めた経営のインフラ・コストの面でもっと有利なところが、(中国以外の)周辺地域に出てきている。もう一つは、アセンブリー工場が建設できて人件費が安ければ良いという単純な話ではない。周辺地域に部品・材料を提供できるベンダーなど、インフラとしてどれだけあるかということも重要だ。アジア全体で徐々に充実してきている。部品の安定供給という面からも中国だけではないということだ。さらに、ASEAN全体で面的なFTAや2国間での協定も整いつつある。従って、(リスク分散という観点からのみの)脱中国(一極集中)ということではなく、自然に(適地生産展開を可能とする)そうした状況が生まれつつある。今回の尖閣諸島の問題が起こる以前から企業は分散化を始めており、(今回の事態を受けて)ますます分散化の必要性を痛感させられた。

レアアースに関しては、現状日本は必要量の約90%を中国から購入していると言われているが、他の地域での発掘・開発の可能性もあり得ると聞いており、調達先を拡げていくことはできるのではないか。

前原:  約20年前、香港と台湾の複数の保険会社を指導していたことがあるが、先方の経営者のうち、何人かはカナダ国籍を取得していた。香港返還を控えていた時期で、リスク分散を考えての行動である。何かが起こればカナダへ移住でき、資産も守れるなど、きちんとリスク分散をしながらビジネスをしていた。これは日本人にはない行動パターンだと思った。

Q: 代表幹事は、丹羽中国大使の就任時に、大変期待していると発言されたが、(尖閣諸島での)問題が起きてから、(大使は)とんでもない時間に呼びつけられたり、拘束された日本人に関して話し合いを求めても断られたりという事態が起きている。一部では、中国側に見下されているのではないかという意見もある。今までの大使とは異なる経歴やビジネス経験を持つ大使として赴任されている丹羽大使ができること、期待されているところを伺いたい。

桜井:  (丹羽大使の就任が決まった際)経済人であり、今後の日中関係に生かされていくことを期待していると述べた。(大使としての任務を)経済だけに限ってはいけないだろうが、経済外交を一つの軸に丹羽大使が力を発揮し始めると信じている。今の質問の内容(中国側に見下されている)はうがった見方にすぎる。(丹羽大使は)しっかり任務を遂行していただければいいと思う。

Q: 日本人の拘束は、尖閣諸島の問題との関連には否定的な見方があり、関連(の有無)もわからないが、今回の一連の流れで、たとえば経済界として中国への進出や駐在に対する危惧、注意喚起などの考えはあるか。

桜井:  これまでも、例えばテロや誘拐の問題などがあり、その度に海外邦人の安全に一抹の不安が生じた。日中の関係というよりむしろ、テロ対策であろう。海外で邦人がテロに遭遇した際の安全確保に関する対策、環境、行動などを、しっかりと考えていく必要がある。

Q: 武富士が今日にも経営破たんとなりそうだが、産業界に与える影響について所見を伺いたい。

桜井:  かつての金融危機の時のような大きな影響はないと思う。局部的に、武富士に融資・出資をしていた金融機関が損失を被ると思うが、日本の金融機関はそれに耐えられる体力を十分に持っているので、大きな問題になるとは思わない。

Q: 日銀短観を前に、現下の景況感を伺いたい。

桜井:  経済の持ち直しの基調は、今のところ崩れていないと思う。7-9月期は、輸出の伸び率が鈍ってきているものの、政府の政策が効いており、まぁまぁ(のところに落ち着くと思う)。10-12月期は、エコカー減税や補助金などの政策の終了と、米国の経済情勢が不透明になってきていることもあり、景気の減速が予想される。また、問題は、円高となかなか脱却できないデフレである。今度の補正予算と来年度の予算が非常に重要になる。政府は、景気回復の軌道を腰折れさせないよう、緊急経済対策、補正予算、2011年度予算の三段ロケットを噴射させていくことになると思うので、今後の国会のあり方が非常に重要になる。

Q: 補正予算について、4.6兆円という数字が出てきているが、この規模についてどのようにお考えか。

桜井:  今度の補正予算は、緊急対応と同時に、今後の経済の成長とデフレ脱却を築くためのベースになる。1兆円では少ないだろうが、10兆や20兆円では今後の健全財政をどうするかという(政策効果と財源)問題があるため、規模感も重要かもしれないが、一体何を重点にするのか。臨時国会では、政権与党として何をしたいのかを明確にすることが重要である。ねじれ国会を克服する上でも、(独自案を提示し)積極的に政策協議を野党に働きかけ、同意を得ることが必要だろう。その結果として、(規模は)自ずと妥当な線が出てくると思う。

Q: いま政府から出されている分野、領域は妥当なものとお考えか。

桜井:  いま見えているようなざっくりとした分野については、その方向で良いだろうが、何を軸に補正予算を組もうとしているのか、具体的にはまだ分からない。

Q: 企業はグローバルに最適地を考えて動いていると思う。今後、雇用の面から日本にどのような仕事を残すのかということが問題になってくると思うが、これについて所見を伺いたい。

桜井:  世界がコモディティ商品だけを求めているわけではなく、先進国はもちろん、中国でも高付加価値商品を望む層は決して少なくない。日本の強さは、高技術、先端技術、新しい付加価値を持った商品・サービスを開発・提供できるところにある。そうした商品・サービスへのニーズ、マーケットも世界中から消えることはない。日本は世界の高付加価値市場での競争で戦い、あるいはこれまでの市場を守っていくことも重要になる。一方、低価格のコモディティ化した商品群については、もはや国内で作るのは無理だろう。企業戦略上、国外へ出て行かざるを得ないが、これを空洞化と呼ぶのは相応しくない。

Q: 高付加価値商品は日本に残り、コモディティ商品は(国外に)出ていくことは単純な空洞化とは違うと思うが、この傾向が今後進んだ場合、日本の雇用は量の面で守っていけるとお考えか。

桜井:  雇用を考える際、まず国内マーケットに適した内需の拡大が必要になる。そこ(マーケット)ではコモディティ化した商品ばかりでなく、高付加価値商品や(モノではなく)サービス分野への要望も高くなっていく。日本企業だけがモノやサービスを供給するのではなく、(日本が)法人税や規制面などで魅力的な投資先になれば、海外の企業が日本にもっと進出してこよう。(そうした)対内直接投資を増やしていけば需要も雇用も増大する。日本のマーケットは、日本企業だけのものではなく、需要も雇用も日本企業だけで支える話ではない。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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