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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2010年09月14日(火) 17:00~
出席者 桜井正光 代表幹事

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冒頭、桜井代表幹事より、菅直人民主党代表の再選についてコメントを述べた後、記者の質問に答える形で、(1)民主党代表選、(2)ねじれ国会の運営、(3)為替、(4)リーマン・ショックから2年、などについて発言があった。

桜井正光代表幹事によるコメント「菅民主党代表の再選について」

まず、今回の代表選を通じて、また今日の投開票の様子を見て、代表選をやって良かったのではないかとつくづく感じた。議論の争点の深堀りという意味では至らない点もあったかもしれないが、民主党の代表選は首相を決める選挙でもあり、真剣な議論と真剣な投票が実施されたのではないかと思う。また、今回は、2002年(9月)に鳩山氏、菅氏、野田氏、横路氏で実施した代表選以来の党員、サポーター、地方議員を含む投票となり、さらに民主党主催の公開討論会なども実施され、党員および国民にオープンな選挙となった点において、評価したい。

一方、日本の現状は自立的な経済回復の見通しがなかなか立たない、また国内外の経済情勢は決して良くない環境の中での代表選、首相の選任であったことを考えれば、当面の経済対策のみならず、この国をどういう国にしていくのかを描き、実現するための重要政策を明確にしていくことが求められていたと思う。これらを論点に論争していただきたかったが、実際には、「国のかたち」がない、個別の政策課題の論争になってしまったことは残念である。

国会運営については、6月に鳩山首相が退任してから、政治空白が続いている。今後の政権運営を間違えれば、政治空白がさらに長引くことになる。日本は今、政治空白でいられるような状況ではないので、菅首相には、速やかに「5原則・5策」に基づいた政権運営体制の再構築を強く求めたい。その上で、変わらない「ねじれ国会」を克服するためには、「この国のかたち」を真剣に議論し、重要政策を野党も説得できるレベルに昇華させて、国会に挑むことが非常に大事である。一部で「熟議の国会」と言われているが、議論をするだけでは結論は出ない。政策の背景をしっかりと描き、確固たる政策にし、野党を説得できるものにした上で国会審議に臨んでいただきたい。

今後の菅首相の政策展開については、(6/11の)所信表明で強く言及された「強い経済、強い財政、強い社会保障」の一体改革を、活力ある日本を作るために、微動だにしない強い信念の下に、徹底的に追求し、推進していただきたい。「強い経済」(のために重要なの)は、一にも二にも新・成長戦略である。そのエンジンとなるのは企業であり、企業が牽引役を果たすためには、企業が需要を創造し、雇用を創造するための環境整備が必要だ。そのためには、ひとつは規制改革、二つ目はEPA/FTA、特に日本の成長のために取り込まなくてはならない市場であるアジアを始めとする新興国とのEPA/FTAを、戦略的に結んでいくことが望まれる。三つ目は法人税(率)の見直しである。

最後に、いまの課題多き日本には、時間をかけたしっかりとした構造改革を断行することが必要である。また、(経済社会の)グローバル化の中で(強く)生きる日本を作っていくためには、グローバル社会に対して、私たち自身が役割と責任を果たし、主体的に貢献することが望まれる。これも時間をかけて積み上げていくことによって、世界からの信頼が得られる。粘り強い政策の展開、構造改革、国際社会への貢献は、安定した政権の下でしか実現できない。前(自民党)政権を含め、(短期間の内に)民意を得ない首相の交代が続いたことは大問題だと思っている。その意味で、政府・与党の代表任期を次の衆議院選挙の実施時期までとすることを、強く求めたい。これをぜひ党内で検討していただきたい。

質疑応答

Q: 代表選について、当初激戦が予想されていたが、投票結果では230ポイントもの差がついた。この差についてどのように見ているか。

桜井:  党員・サポーター(の投票数)で、かなり差がついた。ここには世論が非常に影響すると思う。(報道各社によると)世論の差は、(結果より)もっと離れていた。(世論の差が)党員・サポーターに大きく影響した(結果の)開きであろう。地方議員も同様で、その地域の住民の声を反映しての票になったと思う。そこで大きな差が出たことは不思議なことではなく、むしろある意味健全なのかなという気がする。

Q: (代表幹事は)長期政権という立場から菅首相続投(支持)を表明されていたが、今回の結果について、率直なご感想を伺いたい。

桜井: 以前から言い続けているが、菅氏支持を述べていた理由は二つある。ひとつは、一年に3人も総理が交代するのは、先述の着実な改革の推進という点で、とても無理な話である。また、国際社会への貢献や役割を果たすことについても、無理である。その意味から、現首相に引き続きやっていただきたいと述べており、言い換えれば、菅氏支持になる。菅首相が再任ということになるだろうから、正直安心したという感想を持っている。もうひとつの理由は、菅首相が所信表明で述べられた「強い経済、強い財政、強い社会保障」と税制の一体改革を、我々は支持したいと思っている。これらが本当に実行されないと、今の危機を脱することもできないし、活力ある日本にもならない。そういう意味で、菅首相再任ということは、日本にとっても大変に良いことではないかと思っている。これら3つ(経済、財政、社会保障)の一体的な改革には、もっと強い信念と自信を持って、強い態度でリーダーシップを発揮していくことが大事だと思っている。

Q: 菅首相にはまだリーダーシップが足りないということか。

桜井: リーダーシップには、いろいろある。カリスマ的なリーダーシップや、いろいろな人たちの能力を十分に生かす(ための)環境づくりをし、最終責任は自分が取っていく(リーダーシップがある)。もちろんその前提には、(企業経営で言えば)どういう方向にこの会社を持っていくかを明らかにしなくてはならない。今、これだけのグローバル社会、グローバル経済、そして地球規模の課題が相互に複雑に絡み合っているような時には、ひとりで(カリスマ的な)リーダーシップを発揮するのは非常に難しいだろう。

Q: (代表選で)党員・サポーター票で差がついたことについて、有権者に近いところでの判断で健全だという発言があった。今回の代表選で菅氏が大差で再選された最大の理由は、代表幹事と同様、1年で首相が3人も代わることに対する(反対の意思表示)なのか、それとも他の理由があるのか。国民の判断という点からどのように分析されているか。

桜井: 私自身が菅氏を支持した理由は、先述の通りである。(1年に)3人も(首相が)交代していては、しっかりと政策を展開することができない。菅氏の3つの一体的な改革という政策が非常に大事であるという面。この2つである。国民が同じ意見かどうかは、私には分からない。

Q: 党員・サポーターで差がついた一方、国会議員票は12ポイント(の差)しかなかった。永田町の中と世論との間にはかなり乖離があるのではないかと思われるが、いかがお考えか。

桜井:  私には分析できない。想像で言える話ではない。それぞれの議員がいろいろと考察をした結果(の票数)なのだから、党員、サポーター、地方議員の思考・行為と、国会議員の思考・行為とに違うところがあるということだ。

Q: かつての自民党の派閥政治と同じような構図と感じ取った国民もいるのではないか。

桜井:  いい加減な分析はできない。国会議員の中にも、そのように思い、過去の自民党的なやり方は良くないと思って投票した人もいるだろう。我々が分析してコメントをするという類のものではない。

Q: 菅氏は(選挙が終われば)ノーサイドとしきりに言っておられるが、これはあり得るか。

桜井:  ラグビーにあるのだから、当然あり得るだろう。スポーツで考えると、戦えば戦うほど相手への敵対心が強くなるのは事実だが、同時に、例えばラグビーで激しく体当たりし合えばし合うほど、互いに相手を慮る気持ちも出てくる。だからこそ、試合終了後はノーサイドで一杯飲もうという気持ちにもなる。これは自然に出てくる気持ちだ。問題は、ノーサイドの下に何をするかだ。挙党体制と言うが、挙党体制とは相手を慮り、処遇の話にしてはならない。あくまでもノーサイドで、新たなスタートラインに立ち、この国を活力ある国にするために適材適所の布陣を敷くことだと思う。そういうノーサイドでなければならない。

Q: ねじれ国会に関連して、今の状況を改革するために、野党はどうすべきかについて伺いたい。

桜井: (今年の)夏季セミナーの軽井沢アピールでも述べた。政治は、この国をどういう国にしたいか、すべきか、それには、どのような重要な政策があるべきか、その優先順位はどうあるべきか、お金、ヒト等の資源は有限なので、それを重点的にどの政策に配分するかを考えなければならない。この国を一体どういう国にしたいか、の一念だけである。当然、この国をこういう国にしたいというのは、結局、与党も野党もほとんど同じになると思っている。戦略・政策の展開は(与・野党で)少々違うだろうが、望むところはほとんど一緒になるはずである。与党は、この国をこのような国にする、その重要政策はこれである、優先順位はこうである、財源はどのように持って行く、ということを明確に政策(として)作り、提出すべきである。それが真摯な、この国を思う政策で、その内容が具体的・論理的であれば、野党は、ただ反対する(ため)だけの反対では済まなくなる。野党も真剣に、この国を思う政策の対案を出し、議論することになる。どちらがビジョンのない発言、政策なのかが明確になってくる。「ねじれ国会」を克服することは、(この国を思う)真摯な政策の提案(をすること)である。そこまで真摯な提案と真摯な対案が出てくるようになることが大事である。それ以外で、「ねじれ国会」を克服するのは非常に難しいだろう。数(の争い)では、(克服は)難しい。

加えて、(今一度)挙党体制について述べる。今回の代表選で、(個別政策についてとは言いながらも)党首討論や公開討論など、いろいろな場でオープンに議論をしてきた。かなりきわどいところまで、はっきりとお互いに意思表明をする議論が展開された。そうすると、党も分裂が心配で、挙党体制でなんとかまとめなければ、ということになる。経営者として、挙党体制とは何かと考えてみれば、非常に明快である。(全社員範囲での)適材適所である。(新たなスタートラインに立って)この会社は何をしなければいけないか、経営戦略を見直す、事業戦略を見直す、そして実施体制を強化する、と明確である。全社一丸となって取り組むためにはどうすれば良いか。経営戦略を作れる人、作った戦略を徹底的にしっかりと展開できる人(など、各々の能力を持った)適切な人材を置くことが大事である。(代表選で)対立した側の人材を処遇するのとは違う。挙党体制というと(一般には)処遇の話になってしまう。処遇は否定しないが、それは適材適所でなければいけない。

Q:為替相場について、今日も(1ドル)83円割れ直前までいったが、今夏以来、85円を割ったところで張り付いた感がある。現在の為替相場に対する評価と影響、対策について伺いたい。

桜井: 為替相場は、一般論で言えば経済の底力、ファンダメンタルズの強さで決まる。しかし、欧州や米国に比べてそこまでファンダメンタルズの強さがあるのかについては、甚だ疑問である。円が独歩高で進行していくのはファンダメンタルズの話ではないように思う。金利差がなくなり、さらに経済状況において欧州、米国は依然として不安要素を抱えていることから、マネーが円に投資されているという状況になっている。しかし、日本に投資されるだけの強さがあるかと言うと、肯定しかねる。市場が日本の政府や日銀は円高を防衛する姿勢がなさそうだと見ているのではないか、というくらいしか答えが見当たらない。その意味で、政府、日銀には、今後円高に対応する政策の展開を期待したい。各企業への影響については、今年度下期の為替計画レートを90円前後で想定しているところが多いはずだ。(このまま)83円台が長期化すると利益計画上、大変な影響を受ける。とはいえ、政府、日銀は対応政策に限られているし、効果的政策を持ち合わせていない。政府・日銀がどうこうという問題でもなく、ましてや企業はいかんともしようがない。

Q: 単独介入はあまり効果がないという声もあるが、いかがお考えか。

桜井: (単独介入には)効果はない。

Q: 9月15日で、リーマン・ショックから丸2年が経つ。過去2年間の世界経済の回復振りや再発防止に向けた国際的な取り組みについて、所見を伺いたい。

桜井:  (2年前の金融危機は)金融システムの不安から生じたもので、再発防止策として自己資本の適正化など国際的な枠組みが出てきている。この動きは自己資本だけの問題ではなく、金融関係の管理・監督をも強化していこうとのいう動きにもなっている。もう一つ、米国という大消費国に頼った世界の経済構造があったということだ。(その反省から)それぞれの国や地域が内需を拡大に努めるということになったが、(実際には)そう容易ではない。新興国は着々と内需を拡大しているが、それは発展途上という性格上、インフラの整備や教育の整備、社会の生活レベルを高めていくための国内投資には政策的にも合理性があるからだ。問題は先進国で、経済構造はそう簡単に変えられるものではない。日本も含め、内需拡大をどう図っていくか(が課題である)。菅首相が言う内需拡大、つまり需要創造と雇用創造は、新成長戦略を見る限り、これまでのような需要サイドへの各支援のみならず、供給サイドに対しても需要を喚起するための環境整備項目が並んでいる。供給側と需要側のバランスを取った政策を打ち出し始めている。これには期待している。話を戻すと、リーマン・ショック以来、米国頼りではなく需要の拡大を図ることと、金融システム安定化という面で(金融関係に対する)管理・監督を強化しようという動きが進んでいる。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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