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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2010年07月06日(火) 13:30~
出席者 桜井正光 代表幹事

記者の質問に答える形で、(1)参院選と消費税率引き上げ、(2)ゆうパックの遅配、(3)景況感、などについて発言があった。

Q: 報道各社の世論調査で内閣支持率が低下している。要因として、菅首相が消費税引き上げについて具体的な税率に言及したことが大きいのではないかと言われている。選挙を戦っている参議院議員からは、選挙前に具体的な税率にまで触れるのは良くなかったのではないかという意見もあるようだが、これについて見解を伺いたい。

桜井:  選挙なので支持率は大事だろうが、支持率が下がったから(といって)消費税の見直しをテーマに挙げるべきではなかったとは言ってはならない。勇気を持って消費税を今後の大きな課題として掲げ、争点にしたことは大変重要だと思う。消費税を課題にしたことが支持率低下に影響したとは思うが、消費税の何たるものか(理由と使途)を大いに議論していくことが大事である。

(むしろ)消費税だけが論点になってきたことが大問題だと思う。(消費税が課題になった)背景、理由、日本のこれからの立ち直りに対して、「強い経済、強い財政、強い社会保障」と菅総理が所信表明やマニフェストで掲げられた通り、日本の今後の活性化を三位一体で進め、一体的に立て直さなくてはならない。その「一体」とは何かを明確に説明すべきである。これは、財政再建と(経済)成長を同時に実現できるのか、また、社会保障制度改革と税制抜本改革をどのように同時実現していくのか、ということだと思う。(その焦点の)ひとつは歳出・歳入一体改革、もうひとつは社会保障制度と税制の抜本改革、これが政策的に重要なキーワードとなる。その(流れの)中で大きなテーマとなる税制抜本改革のなかで、どれだけ消費税の見直しが必要なのか、ということである。本来であれば、強い経済・財政・社会保障の一体改革をどのようにするか、その大きなひとつの施策として消費税をどう扱うのか、この構図を説明した上で消費税論議をひとつの争点にすることは正しいと思うが、この説明がないことが大問題だと思っている。

(三位一体的な立て直しの)説明なしの論議では、消費税率、(消費税率が上がった場合の)国民負担増、その場合の低所得者に対する軽減策、スケジュールなどの話題へと、どんどん(必要性抜きの)消費税だけの話に入っていってしまう。与・野党双方にとって大変重要な参議院議員選挙において、その様な消費税のみに焦点をあてただけの進め方では、日本の再生をどうするかという本論を争点にしない選挙戦となってしまい、大変心配している。

(日本の再生における)消費税議論で、もうひとつ大事なことは、持続可能な社会保障制度(構築)のために必要な消費税の見直しなのか、経済成長戦略に使うための見直しなのか、この辺りがしっかりと議論される必要がある。

超党派(議論)について申し上げると、このテーマは超党派で議論できるテーマではないと思っている。消費税について議論を進めると、なぜ消費税の見直しが必要なのか、日本をどういう国にしていくのか、それを達成するためには経済、財政、社会保障をどう組み立てて一体的に改革しなくてはならないか、そのなかで歳出・歳入一体改革および社会保障制度と税制の一体改革をどうするのか(、を詰めなくてはならない)。結局、消費税の議論は、国のかたちをどうするかという話と、(三位一体改革の様な)総合的な政策論となる。これら抜きには消費税は語れない。よって、ほとんど同じ政策と同じ方向性を持つ党(同士)でないと、超党派ではまとまらないと思う。

Q: 消費税の議論は超党派では難しいということだが、参院選後に多数を取った党か、連立した党が議論をリードすれば良いということか。

桜井:  そういうことである。安易に超党派で(できる課題で)はないと思っている。消費税の税率やタイミング、使途の問題の前に、日本経済の活性化、(経済・財政・社会保障の)一体改革ということに(議論が)進む。それなくして、歳入不足や財源不足のために消費税を上げるという単純な発想でやるべきではない。

超党派で議論すべきは、社会保障制度改革だと考えている。持続可能な社会保障制度を構築するためには、追いついていけない財源と、年代層別の受益と負担の格差をいかに是正するかが必要である。民主党の主張する最低保障年金(部分)や経済同友会の主張する基礎年金部分には、相当な公的資金を必要とする。(この財源として)消費税でどの程度カバーするのか、この部分については、超党派でできる。スウェーデンでも実際に行われたように、超党派で消費税の議論をし、政権交代が起こっても社会保障制度自体が変わらないように歯止めをかけるという意味でも超党派での検討が必要である。

Q: 消費税を上げた場合の使途が議論されていないことが問題との発言があったが、社会福祉の財源として使うのか、菅首相のいう第三の道で成長分野への財政出動のために使うのか、代表幹事はどちらが好ましいとお考えか。

桜井:  この国の活力を作り出していくという意味で、菅首相のおっしゃる通り、社会保障制度は大きな柱のひとつである。若者が将来安心して社会保障を享受できるような、持続可能な制度にしなくてはならない。消費税は景気変動にあまり振れない安定した財源なので、そのために消費税を使うということである。

第三の道への消費税などの税の使い方については、率直に言ってあまり理解できていない。今のところの(政府の)説明では粗い(と感じている)。税を、健康・医療など今後の成長分野に投入することで、雇用が増大して所得が増え、それが消費に回り、経済全体の成長を促進させる、という構図だと思うが、これには疑いを持っている。(それには)成長領域へのお金の使い方に一部供給サイドの話もあるが、より規制を改革してその分野の産業活力を上げる、供給サイドがもっと自由な発想の下でより高付加価値・高効率なサービスを提供できるような政策があって初めて成長を促すことができる。第三の道が"賢い使い方"なのか理解しづらい。

Q: 消費税の扱いについて、(政府の)説明が足りないとの発言があったが。

桜井:  きちんと(説明を)した上での支持率の調査なのかが重要である。消費税を負担として見れば(選挙の争点として)確かに危険だが、これは国民の今後の生活を豊かにする方向のためのやむを得ない負担だという理解を求めるには、きちんと(前述したような)説明をする必要がある。その上での世論調査結果にはなっていないと思う。

Q: 国民への説明について、例えば、財政再建に成功したカナダは、タウン・ミーティングなどを頻繁に行い、懇切に国民に説明したという事例があるが、具体的にどうすればよいか。

桜井:  (参院選まで数日という)今の時点では手遅れだろうが、大きな課題では、相当の時間をかけたしっかりとした説明が必要だろう。また、(実施に当たっては)経済や成長戦略への影響、(財政)再建への影響等、さまざまな問題もあるから、税率は一度に上げるのではなく、段階的に上げていくことも必要だろう。そうしたステップ論の議論も必要である。

Q: 財政再建と経済成長は、同時に達成できるものか。

桜井:  達成可能であり、また達成しなければならない。順番として、例えば財政健全化を先行させて、その後に成長を、というように若干(タイミングを)ずらす必要は出てくるかもしれないが、(民の活力を活かし)同時に影響させ合ってうまく仕組むことはできると思う。歳出については、すでに無駄な歳出の削減が行われている。一方の歳入の拡大は、(中長期的には)成長戦略が多くをあずからなくてはならない課題である。成長戦略には即効性はなく、産業振興策による産業構造の変革や環境関係などさらなる技術の強化や、あるいはインフラやシステム関連の構築能力強化といった(種々の産業が)成長できる構造を、官民一体で作り上げていく必要がある。(成果が出るまでには)時間がかかるが、税収増による歳入改革につながる。

Q: ゆうパックの遅配が問題化している。お中元のピークの時期に合わせて(組織が)統合されたこともあり、準備不足などが指摘され、全国的に影響が出ている。これについて見解を伺いたい。

桜井:  現象的な面から言えば準備不足だろう。コンピュータ・システムの改革と業務改革の同時実現を図らなければ、大きなシステムは稼動しない。既存の大企業でも、お客様に迷惑をかけないよう、時間とお金をかけてコンピュータ・システムと業務のあり方を作り直している。(実務開始の)1週間程前に、現場にシステムの使い方や仕事の仕方について指示があったという報道があったが、これが本当だとすれば、当然問題が出てくるだろう。大規模なシステムを動かそうとするには準備不足である。

Q: 金融市場では、急速に円高が進み、株価も9,300円台にまで落ち込んでおり、景気の二番底も心配されている。足下の景気をどのように見ているか。

桜井:  日本経済は、やっと持ち直したが、まだ回復というところまでは行っていない。数字的には、マイナスからは持ち直したが(回復ラインの)水面下にいるというところだろう。2010年度の予測は、最終的には回復基調になると思っている。また2011年度もプラスと予測している。日銀の展望レポートでは、(実質成長率が)10年度1.8%、11年度2.0%だったと思うが、そのような状況にあると思う。全体の状況としては、持ち直しから回復へと移り変わろうとしている。

問題は、欧州である。(ギリシャ発の)財政・金融不安の問題が、どれほど欧州の経済全体に影響するか、また、欧州を越えて世界経済に波及するのか。しかし、これはEUやIMF等の協調努力で何とか押さえられるだろう、期待も含めて押さえていただけるだろうと予想している。一方、米国は、現在雇用問題等で若干もたついているようだが、これも回復してくるであろう。アジア、特に中国は、政策的にバブルを防ぐための引き締めもあるが、全体基調としては伸ばすことを国の政策とせざるを得ない。

全体の構造から申し上げれば、日本経済は外需を軸に回復すると読んでいる。為替と株(価)について、まず株(価)は、最近は米国の株式市場に左右される状況だが、大きく見れば、これから米国経済が回復し、(米株価の上昇に)より日本もその(好)影響を受けると思う。為替は、市場が常に敏感に反応している。非常に予測し難い。世界の経済動向や金融不安を見て、マネーが大きく移動する。(比較的)安定した経済成長力や安定した金融システムとして考えられる、日本に資金が回ってくるということで、円高基調は今後も続くのではないか。企業にとっては、株の下落と円高による影響は大である。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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