ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
ローカルナビ(l)へ
サイトのご利用案内(i)へ

ここからグローバルナビです。

グローバルメニューここまでです。

ここから本文です。

記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2010年06月15日(火)13:30~
出席者 桜井 正光 代表幹事
前原 金一 副代表幹事・専務理事
田谷 禎三 経済情勢・政策委員会副委員長

冒頭、田谷禎三経済情勢・政策委員会副委員長より、2010年6月(第93回)景気定点観測アンケート調査結果について説明があり、その後、記者の質問に答える形で、(1)景気回復の見通し、(2)財政再建、(3)丹羽宇一郎・伊藤忠商事相談役の中国大使への起用、(4)規制改革、(5)2010 FIFAワールドカップ・南アフリカ大会、(6)民営化会社への民間経営者の登用、などについて発言があった。

Q: 景気定点観測アンケート調査結果に関連して、政府が景気回復を宣言するタイミングが近づいていると考えられるが、見通しについて所見を伺いたい。

田谷: 個人的意見だが、日本の景気回復は、輸出の伸びのペースは遅くなっても、(伸びが)続く限り、じわじわと広がっていく。輸出の伸びは続くと思うので、景気回復宣言はいつでも良いのではないか。所得(のなかで)平均賃金は少しずつ上向いてきているし、雇用情勢も上がっており、設備投資も底を打って上がり始めていることは確かである。あまり大きな阻害要因は見当たらないように感じる。

桜井: これだけ財政が悪化している日本で、成長と活力ある社会づくりという課題においては、まず景気対策、次に構造改革、あるいは成長戦略という順番で対処する問題ではない。菅首相が述べられているような、経済・財政・社会保障の一体的改革(が必要)である。シリーズ型の話ではなく、上手く一体的に実施していくべきというのが企業経営者の見方で、それがアンケート調査結果に如実に表れている。(P12~の「民主党政権の財政への取り組み課題」に対する回答の通り、)歳出削減、成長戦略、税制抜本改革がほぼ同じ比率で出てきている。経済同友会では以前からそのような発想が強かったが、まさに同時に実施すべきという強い意志を持ったアンケート調査結果となった。

Q: 財政再建について、国会答弁などで、まもなくまとまるであろう「中期財政フレーム」の骨格が見え始めてきた。国債費を除く歳出を71兆円以下に抑える、プライマリー・バランスを20年度に黒字化させるなどが盛り込まれるようだが、この内容について所見を伺いたい。

桜井: 財政健全化は、日本の今後の政策上、非常に大きなキーとして扱っていかなければならない政策事項である。昨年の夏季セミナーや、その後の(財政・税制改革委員会提言)「財政健全化に一歩を踏み出し、持続的な成長につなげよ – 歳出・歳入一体改革の早期断行を求める」(2009年11月発表)でも、財政健全化をひとつの機軸としてその再建を図りつつ、成長戦略や社会保障・税制の抜本改革などをセットで行ってほしいと一貫して述べてきた。新内閣にもさらに強めていただきたいと考えている。6月末に焦点をあてた、歳出と歳入、特に歳出の枠を設定する「中期財政フレーム」、財政健全化の道筋を述べる「財政運営戦略」、一方で(歳入の)「成長戦略」が非常に大事である。これらに対して、具体的に数字を挙げつつ、次年度予算や長期の財政健全化を言及され始めたことは、非常に重要であり、ぜひこの方向で国を運営していただきたい。

数字については、6月末に発表される「中期財政フレーム」や「財政運営戦略」の中身をきちんと見たい。現時点では、国債費を除く歳出を71兆円以下に抑える、(2011年度の新規)国債発行を44.3兆円以下とするなど(の数字が出ている。これを継続すると(国債発行残高は)積み上がるだけだが、(歳出に)枠をはめると表明されたことは、非常に重要である。大事なのは、中長期的な財政健全化のスケジュールとどう整合性をとるのかである。

Q: 中国大使に丹羽宇一郎・伊藤忠商事相談役の起用が決まった。経済同友会でも活躍された方だが、感想や期待、注文などを伺いたい。

桜井: 民間人の登用は、今後の行政のあり方について大事だと思う。丹羽さんは、経済同友会では、公務員制度改革や行政改革、政治などの委員会で提言や意見書をまとめ、いまの基礎を築いていただいたので、その分野については知見をお持ちである。また、企業経営者としても、グローバルに展開する企業のなかでの経営のあり方や見識をお持ちで、中国でも大きな事業を展開され、(中国の情勢に)詳しい方だと思う。丹羽さんの知見・経験から、非常に期待できる。

中国は、言うに及ばず、これからの活力ある日本の国づくりにおいて大事なパートナーであり、また強力な競争相手でもある。この二面をしっかりと念頭において、互いにイノベーションを起こし、互いに発展していく、良い競争をするという外交を展開していただきたい。

Q: 海外の大使に民間人が就く功罪について伺いたい。丹羽さんのような経済通が、これから経済的な結びつきが強まるであろう中国の大使に就くことはプラスに働くと思うが、米倉・日本経団連会長は「利権が絡みかねないので律しなくてはならない」とおっしゃっていた。そのような部分もあると思うが、どのようにお考えか。

桜井: 人によるが、もちろんあるだろう。企業経営をベースにした発想で、国と国との関係を構築するのは問題であろう。企業意識での利害関係や共存共栄だけが、国と国との共存共栄ではないので、もっと広い視野での外交の実践が大事である。ただ、民間人だとそのセンスがない、民間人だから問題があるのではなく、どういう人かである。国と国との良い関係、共に成長できる可能性を持っているかは、人選にかかっている。丹羽さんには期待ができると思う。罪の部分をいま述べても仕方がない。

Q: 中国との経済活動が活発になるにつれて、例えば知的財産保護の問題や現地での法令の解釈のされ方の不透明さなど、現場には不満がある。これまでの職業外交人では、その辺りに十分踏み込んでいなかったという不満が、企業経営者にはあると思う。ビジネスの現場を知っている経営者が、大使として中国政府にものを言うことに対する期待はあるか。

桜井: もちろんある。企業経営者が大使として期待できることのひとつに、いまの質問の内容がある。国の経済成長において、世界や社会のルールをしっかりと共有化する、誰もが心配なく直接投資ができる、貿易にしても世界のルールを遵守する、などが鉄則となる。(それらを背景に)中国に対して友好的で強力なアドバイスができるだろう。

Q: 民間(出身の)大使は、これまでもアフリカの小国や中近東の国などで例があった。代表幹事の発言からは、(中国のような)重要視されている国の大使についても、人選さえ適任であれば民間人で務まると受け止められるが、駐米や駐英、あるいは国連(大使)でも適材適所であればウエルカムというお考えか。当初から民主党のマニフェストにも入っていたし、民間人を登用することになっていたが、人選さえ良ければ、全ての大使は職業外交官でなくても良いとお考えか。

桜井: 人選さえ良ければ(大国でも)良いと思うが、具体的にいつ、どこから(民間出身者の登用を)広げていくかについては、今回の登用を一つのモデルケースとすべきである。期待通りにいくか、(大国における民間大使の)サポートにはどういうことがあるべきなのか(などについて)、経験を積み実証していければ(他の大国にも)広げて良いのではないか。

Q: 民間大使を迎えた場合の職業外交官の役割についてはいかがか。

桜井: それは変わらないだろう。職業外交官が良い分野や国もあるだろうし、ケース・バイ・ケースで人選すれば良い。

Q: 先般、行政刷新会議の規制・制度改革分科会が一次報告書案をまとめた。これについての評価と、今後の日本経済の回復において、規制改革がもっとも必要と思われる分野を教えていただきたい。

桜井: 報告書案をまだしっかり読んでおらず、中身を精査していないので、規制改革に対する考え方を述べる。今後の経済運営という意味で、規制改革は非常に大事である。前政権の規制改革会議も強くサポートしてきたし、その後継会議にもしっかりやっていただきたいと述べてきた。鳩山内閣が発足し、規制改革(に関する表記)がマニフェストからもなくなり、(政権が)どのくらいの意欲を持って具体的に展開されるのかを不安視していたが、後継の行政刷新会議で具体的に議論、提案がされたと思っている。

規制改革が求められる分野は、全分野である。民の活力や創意工夫を引き出し、財政出動を伴わない成長戦略にするために、特に規制改革が必要になる。これから出てくる成長戦略次第であるが、新・成長戦略の4つの分野のなかでも、特にライフ・スタイルの変革、医療・介護等の健康分野や教育分野は、かなりの規制がかかった成長分野なので、まずは徹底した規制改革を進めることが大事である。

Q: 2010 FIFAワールドカップ・南アフリカ大会で、日本は(初戦)勝った。率直な感想と、まだ一勝だが経済効果について伺いたい。

桜井: 経済効果については分からない。少なくともテレビを通して見ている範囲では、皆で外に出て一緒に観戦しながら飲食などをしていれば、効果はあるのだろう。日本戦だけではなく、有望なチームの試合でも、外で皆で観戦するとなれば尚更だし、グッズなども売れているようだ。

経済効果以上に感じることがある。2002年の日韓共催ワールドカップで、韓国の若者が、日本の若者が韓国を応援している姿を見て、あのワールドカップを契機に、日韓の若者の交流は爆発的に広がった。スポーツにはそうした効用がある。今回のワールドカップでサッカー人気が再び盛り上がるだろうし、他国との付き合いが広がる契機にもなり、心が開けていく。そうした効果も大きいと思う。日本チームが決勝戦までできるだけ長く出場してもらえれば、更なる経済効果も、心のオープン化も期待できるだろう。

Q: 民営化会社(トップ)への民間人登用について伺いたい。直近では高速道路5社のトップ人事が発表されたが、顔ぶれについてどのような感想をお持ちか。民主党政権では民主導の旗色を出そうとしている。少し前の例では、社保庁に行かれた村瀬(清司・元長官)さんはぼろぼろになって退任された。また(中日本高速道路会長職)を途中で退任された道路公団(元総裁)の近藤剛さんの例もあり、必ずしも上手くいくかという疑問がある。流行のように民間人を使うというトレンドがあるなかで、民主党の人の使い方や民間の人材の状況などについてコメントをいただきたい。

桜井: 基本的には、民間企業の経営者が、新たに民営化される企業に行くことは結構なことで、やるべきだと思っている。問題は、民での経営の経験・知見が(民営化される企業で)発揮できるかである。それは(就任する)人の能力にもよるが、能力のある人でも大変な努力が必要だ。経営文化も価値観も異なり、さらに利害関係も相当絡んでいる。そうした固定的なつながりを打破するには、大変なパワーが必要で、これは一人でやれることではないと思う。トップが(民間企業から)入れば文化を改革できる、しがらみを断ち切れるというものではない。民間企業でも同様で、他社から一人だけをスカウトしても、企業体質や文化が違うので、大体ははじき飛ばされる。(大事なのは)複数で入ることだ。政府も、単に人を送り込むだけではなく、継続した支援が必要だ。相当な抵抗があるので、例え複数名で入ったとしても、抵抗を排除するために政府の力を継続的に発揮していかなければならない。支援もなく、長いスパンで見ることもなく途中で降板させるようなことがあると、民間企業からいく人はいなくなってくるだろう。

基本的には、民営化は官の出身者にはできないので、民間企業の経営を経験した人達が担うべきだということ。二番目は、団体、複数の体制で入らなければならないような大仕事であるということ。三番目に、政府の(抵抗排除の)支援が必要だということ。以上三つが揃わなければ難しいだろう。

以上

(文責:経済同友会事務局)


ローカルナビここまでです。

ここからサイトのご利用案内です。

スマートフォン版サイトに戻る

サイトのご利用案内ここまでです。