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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2010年06月02日(火)15:00~
出席者 桜井 正光 代表幹事
前原 金一 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で、(1)鳩山総理の退陣、(2)次期総理の課題、(3)鳩山政権の評価、(4)経済界と政治との関係、(5)郵政改革法案の衆院可決、などについて発言があった。

Q: 今朝、鳩山総理が退陣を表明、併せて小沢幹事長が党の役職を退くことになった。現状、回復軌道に乗るかどうかの瀬戸際にある日本経済に与える影響について、どのようにお考えか。

桜井: 国内のみならず、海外から日本を見る目という意味でも、不安を感じざるを得ない。今回の辞任は、個人的にも正直意外だった。政局的な問題があるにせよ、国民の期待は、新しい政権が、前政権ではできなかった種々の改革を進め、活力ある日本をつくり上げていく点にあった。このような結果になったことを大変残念に思う。

今朝の民主党両院議員総会で鳩山総理が話された通り、(退陣の)理由としては、普天間基地問題で大揺れに揺れ、米国、(沖縄)県民、三党連立体制に負の遺産を残したまま元に戻った決着と、「政治とカネ」の問題を軽視した政権運営、国民の疑問に対する答えが出なかった、という2点だったと思う。

(昨年夏の)衆議院選挙で300以上の議席を取り、選挙によって政権交代が実現するという、日本の歴史においても、民主主義上非常に意義のある出来事であった。それが、8ヶ月で辞任をする。前政権と同じような形態で時の総理が辞めるということで、国民からの政治に対する不安感、海外から見ても日本の国は変革ができない国なのかという不信感が、これから起こってくるのではないかという不安を覚えざるを得ない。

総理が交代すれば、日本の政治や国が新たな変革を行うことができるというのは、あまりにも単純過ぎる考え方だと思う。政局による交代ではなく、この国を思い、活力ある国をつくるための変革推進に軸足を置いた交代であることが大事である。今回はそうではないので、政府・与党の責任はかなり大きい。

足下の課題としては、総理が代わることで、行政上の政策の展開・実施や国会審議、また国の運営上大きな課題である財政健全化、成長戦略、地方分権・地域主権、および今回の原因にもなった外交・安全保障のあり方・考え方・戦略の構築などが、遅滞することがあってはならない。次期代表を速やかに決め、空白を防ぐことが望まれる。

代表選出においては、複数の候補が立ち、いまのマニフェストのうち、何を継続し、何を見直し、新しい政策を取り込むかという必要な修正を練り、議論し、国民に披露することが大事だと思う。ただし、政治空白が長くなってしまうのも問題だ。代表を速やかに決め次期代表のもとに、次の参議院選挙で、今回辞任に至った要因は何か、政権政党として責任を持ったあるべきマニフェストをしっかりと策定し、改めて国民の信を問うていただきたい。参議院選挙は政権選択選挙ではないが、マニフェストや国の運営状況の中間報告にあたる。次期代表は責任をもってマニフェストの必要な修正をもって国民に問うていただきたい。

Q: 後任の総理は、国民の政治への不信に直面することになると思うが、それを払拭するために、まず何をしなければならないとお考えか。

桜井:  (代表選に)立候補する方も含め、新しい総理は、少なくとも選挙にかける政権公約と、政権を責任をもって運営する政権公約とをしっかりとわきまえ、今後の国の運営にあたる重要な政策に対し、軸を持ち、考え方を明確にしていただきたい。常に申し上げているように「政党による政策本位の政治」をわきまえ、必要な政策を提示することが大事である。

また、国の経営をあずかるにはリーダーシップが不可欠である。強固な意思を持ち、率先垂範して内閣や行政を束ねるには、本人の力も必要だが、それを支える政権の運営体制の構築も必要である。

Q: 以前に鳩山政権の評価を伺った際は、6月末の重要政策の提示を待つとのことだったが、今回鳩山政権が終わることとなった。改めて、8ヶ月間の鳩山政権の評価を伺いたい。

桜井: 政権与党としては、重要な(政策である)財政健全化、税制の抜本改正、成長戦略などが不透明で、6月末までに各々まとめられることになっており、現時点ではまだ途中である。辞任に対する評価は前述の通りだが、いままでの鳩山政権を評価するには、重要政策(の方針)を出されることが必要である。6月末までに、方針・骨格づくりを止めることなく、鳩山総理の責任としても止めないように後任の総理に継承していただくことが非常に大事である。方針が出たところで評価をすべきという考えは変わっていない。

Q: いまの時点では、鳩山政権について、評価・判断のしようがないということか。

桜井: そういうことである。

Q: 6月末までに策定すると言っていたものが、「政治とカネ」や普天間の問題で実行できなかったのではないか。

桜井: 政権として、この国の運営に重要な要素を6月末までに出すことは変わらないはずである。(鳩山総理が)トップとして責任を持って作り込むことができなくなった。それに対する評価は先述の通りで、重要な政策課題があり、それを出して遂行していく任務・責任があったのにお辞めになる、これは遺憾である。

また、途中でお辞めになることについて、前政権から繰り返されるトップの交代の仕方(について)、断念して辞めていくため、大きな変革が続かない。前述の通り、国民としても海外から見ても、日本に対する信頼感は非常に不安定になり、この疑念が今後の日本経済に対して、また日本の国際社会に対する貢献に対して、かなり悪い影響があると思う。

Q: 鳩山総理の辞任劇を受けて、経済界と政治との関係のあり方について、考え直さなくてはならないとお考えか。

桜井: 鳩山政権の誕生後、経済界との建設的な議論や協力が難しくなっていた。その意味で、鳩山政権が続いていたにしても、建設的関係の構築という課題はあった。新しい総理が決まっても、その課題は変わらない。われわれからのアプローチもあるし、その提案や意見の質を高める努力も当然必要で、建設的な関係の構築はますます大事になってきている。

Q: 成長戦略や財政健全化などは、足下の対策とは異なり中長期的な課題だと思う。内閣が頻繁に交代するような政治状況では実現が難しいという危機感や無力感はないか。

桜井: (政策の一貫性があれば)ない。われわれがしっかりと提言や意見交換をしなければ、という気持ちである。このような事態に対して、閉塞感や失望感を述べているときではない。どのような政権、政党であっても、経済成長のエンジン役をあずかる企業や産業界が、今後の日本の活性化に向けてどのような役割を果たすか、責任は重い。われわれが役割と責任をまっとうすることが大事である。

総理の交代が、6月末にまとまる予定の重要政策課題のアウトプットに与える影響はあるだろう、決して良い影響ではないと思う。公務員制度改革にも言えるが、せっかくの政主導、省益重視ではなく、横串の国重視の成長戦略、財政健全化、税制改革、地方分権であるべき政策に、この空白がどう影響するのかは心配である。次期総理は、省益重視でなく、国重視、国益重視で6月末に束ねていただくことを強く望む。

Q: 代表幹事は、任期4年目を迎えた所見で、「民間の自主・自立・自己責任」を掲げられた。一方で、政治との協力も必要だと思うが、これだけ政治が不安定では、政治に頼ってはいられないという思いを強くされるのではないか。

桜井: 誤解があるかもしれないが、政治はもちろん重要で、政治に頼るべきところもある。個々の企業や業界の団結だけで、活力ある国にすることは難しい。企業や国民が活力ある活動に向かえるような環境づくりは、政治がしっかり行わなければならず、この環境整備の役割は大きい。企業経営者や企業が責任をもって成長戦略を描き、その環境整備を政治が行うというシステムを作っていきたいとの思いでは、パートナーである政治が(政策の一貫性なくして)度々変わることは困る。

Q: 経済界の不安を払拭するために、次の内閣に最初にやってほしいことは何か。

桜井: 先述の通りである。運営体制の問題もあるが、6月末に出される戦略および方針は非常に重要である。これをしっかりと作っていくことが大事である。

Q: 今回の退陣を契機に、民主党政権による過去8ヶ月の経済政策を総括いただきたい。労働組合を支持基盤とし、雇用や賃金に重点を置いた経済政策であった。メディアからすると中道左派的と言える政策について、経済界はやりやすいのか、やりにくいのか。建設的な協力が難しいと言うのは、対話が難しいのか、それとも経済政策があまり気に入らないのか。

前原: (民主党政権とわれわれとでは、経済政策における)基本的な考え方が違う。マニフェストを見ても、これまで政策展開をしてきたプロセスでも(違いが)分かる。「国民生活第一」(という民主党の経済政策)を否定はしない。国民の生活を大事にし、需要を刺激し喚起することも重要だが、もう一つ、国民、消費者が本当に必要なものやサービスを、技術革新や経営革新を通して提供していく供給者側が、それだけの機能を発揮できることも大事である。(需要者と供給者はクルマの)両輪で、生活者、需要者側だけに重点を置いていてはだめである。そこが(民主党政権とわれわれとの)一番の相違だ。消費税が需要者、生活者、消費者(に対するもの)で、法人税が供給者(に対するもの)という非常に単純な対立構造で考えていては、税制改革に手が出せない。供給者側の(支援の)戦略もしっかり作り、執行していく必要がある。それが財政健全化、成長戦略、地方分権(・地域主権)、(規制改革)などで、いずれも民の力を活用する戦略である。そして、最初から分かっていた(昨年「新政権に望む」で言及した)ことではあるが、世界の平和があって初めて日本の経済が活力あるものになるので、外交・安全保障についての考え方を明確にしなければならない。

Q: 郵政改革法案が衆議院を通過した。連立政権はこの法案の処理を優先し、これだけはスピーディに進められた。審議の過程は、小泉政権時代に膨大な審議の時間を要したのとは対照的に、本当に極わずかな時間のみで、一体何が変更されたのかも国民にきちんと知らせないまま、重大な政策変更が行われている。連立政権の経済政策とも関わってくることだが、あまりにも審議不足ではないか。経済同友会としても、過去の小泉政権時代の経緯から考えると看過できないのではないか。

桜井: まったくその通りである。小泉政権では郵政民営化法案の審議に、約40日間、約108時間を費やしたが、それに対して今回は1日、6.5時間のみ、時間だけを見てもおかしい。(本来の)国会のあり方ではない。経済同友会は一貫して主張しているが、郵政民営化の基本方針として大事にすべきは、「金の流れを官から民へ」ということである。それによって、国民経済の活力増大につなげようとした。また、国民の利便性を確保しようとした。さらに、隠れたコストや無駄遣いの撲滅を図ろうとした。今回はそうした(基本方針についての)議論がまったくなされていない。

(民営化見直しの)発端は、一律サービスがなくなったことで地方・地域で郵便、保険、貯金のサービスが行き渡らなくなったという一点で、郵政民営化を根本から変えてしまおうと変化している。審議を尽くした上での変化ならまだしも、その過程がまったく見えないところで動き、その結果、逆の方向へ戻してしまうことは、民主主義の世界ではあってはならないことだと強く思う。

以前から申し上げているが、「官から民へ」という時には、競争上のイコール・フッティングが担保されなければならない。銀行法や保険業法に則った郵貯や簡保の運営が図られなければならない。政府からホールディングス(日本郵政)へ、さらにホールディングスから郵貯・簡保の金融2社へそれぞれ1/3超を出資ことは問題である。次に、資本形態がイコール・フッティングでないにもかかわらず、業容拡大の際、法案では届け出制になるという。(第三者委員会である)郵政改革推進委員会が設置されるが、(問題があっても)事前に止めることができない。国の資本比率が1/3あって、業容拡大が届け出制というのでは問題である。だからUSTRが(このまま郵政改革法案が可決されればWTOに)訴える。(法案が成立し)そのような郵政になった場合、日本の国民には大変な(負担)になる。ゆうちょ銀行の(資金の)80%相当は国債を買い、政府の政策も(郵政に)非常に甘くなるだろうし、もし日本の信用が一転して悪くなれば、国債の消化力もなくなり、長期金利が跳ね上がって、それらはすべて国民負担という形で跳ね返ってくる。小泉政権時代に、こうした流れを相当な議論をした上で固めたのだから、変えるのであれば、十分に時間をかけ、国民に見えるような議論をすべきである。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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