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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2010年04月21日(水)13:30~
出席者 桜井正光 代表幹事
小島邦夫 専務理事

記者の質問に答える形で、(1)成長戦略に関する民主党への説明、(2)郵政改革法案、(3)民主党の支持率低下と政権の先行き、(4)「この国のかたち」、(5)ブータン王国首相の講演と国民総幸福(GNH)、(6)連休分散化、(7)普天間基地移設問題、(8)小島専務理事の副代表幹事、専務理事の5年間を振り返って、などについて発言があった。

Q: 成長戦略に関して、昨日政府に説明があったようだが、その様子について伺いたい。

小島: 政府ではなく、民主党(の成長・地域戦略研究会)に対し、先般(4月13日に)発表した内需拡大・経済成長戦略委員会の提言「豊かな社会に向けた3つの成長戦略」について説明を行った。日本経団連と日本商工会議所からも同様に提言や意見が説明された。(国会の)本会議の都合で開始が30分程遅れたこともあり、時間がなかったため、ほぼ3団体からの説明に終わった。(説明後、)2人の議員から、「金融に関する言及がない」「日本はODAなどで貢献しているがあまり感謝されていない、日本にとっても役に立っていない」などという意見があった。

桜井: 政府も含め、もっと意見交換の機会を持った方が良い。

小島: 政府に対しては、提言発表後に経済産業省の(近藤洋介)政務官に説明した。

Q: 郵政改革法案について、詳細はこれからだが、昨日示された骨子について、どのように受け止めているか。

桜井: まず、郵政民営化の(これほどまでの)見直しがなぜ必要なのかが理解できない。郵政民営化の基本的な理念は、お金の流れを「官から民へ」(と変え)、国民生活や日本経済の活性化を狙い、また、隠れた国民負担を排除することである。この基本的な線に沿うことの何が問題なのか。いま「完全民営化を撤回する」方向で進められているが、なぜここまで来るのかが理解できないし、おそらく国民も理解できないだろう。

完全民営化を止めて金融と郵便の全国一律サービスを徹底する、ということだが、そうなると当然コストがかかる。そのコストをまかなうために、郵貯・簡保等金融関係の業容を拡大するということである。完全民営化をしないで、政府の資本介入があり、業容拡大をすることで、ますます大きな国営金融(機関)を作り上げ、(これが)民業圧迫につながる。また、170~180兆円に上る金融資産を(さらに)膨大にしていくことになると、このお金をいかに運用できるのか(という)運用の技術的なノウハウの問題(もある)。ひとつ間違えると、税金でそれ(損失)を埋めることになり、国民にとっては大きな負担になる危険性(がある)。3番目に、民業圧迫を避けるために第三者組織の郵政改革推進委員会を作り、ウォッチング機能を設ける(という)。これまでは、郵政民営化委員会による監視が効いており、(業容を)拡大するときには当局の認可が必要であった。それが今度は、当局に対する届出でよいということになる。郵政改革推進委員会で監視する(と言うが)、どれだけ機能するのか、非常に不安な要素になる。民営化を見直し、一律サービスという趣旨の下に、民営化前の国が運営する膨大な金融組織に戻ることは、理解に苦しむと言わざるを得ない

小島: あれだけ莫大な金をきちんと運用していくノウハウは、世界にも無いと思う。リスク管理をきちんとやって運用できる(サイズ)かというと、私は、不可能に近いくらい大きいと思う。(金融資産を)小さくすることを考えない限り、国民負担が大きくなることは避けられない。完全に(国民の)負担を増やす政策であるという理解が正しいと思っている。

Q: (政権や)民主党に対する支持率の低下に歯止めがかからないが、原因はどこにあると分析しているか。また、政権の先行きをどのように見ているか。

桜井: 原因は、調査をされた各報道機関のデータの通り、一番大きいのが総理のリーダーシップ(の欠如)、次に、政策への疑問、政策を評価できないという点だと思う。選挙に勝つまでの政策と、政権をとって国を運営する際の政策とのギャップがある。このギャップをいかに速く修正し、立て直していくかということだが、リーダーシップ論だけでは片付かない。(政策に対する党内や閣内の意思統一に)ブレが出ているが、それを抑えるような政権の運営体制、(即ち)国家戦略局や行政刷新会議、閣内の意思統一をする閣僚会議などがうまく機能するに至っていないのではないか。これを速く、しっかりとした体制にしていくことが非常に大事であると思う。

(世論調査)結果を見ると、内閣支持率も民主党支持率も下がってきている。そして、自民党支持率は一向に上がってこず、むしろ微減している。これは、政党を支持しない方々が増えているということである。政党不支持が増えていることは、政治に対する不信が増えていると言い直すことができると思う。これは大変なことで、日本にとっても国民にとっても、大変に困ったことである。政治の責任として、経済同友会が常々申し上げている「政党による政策本位の政治」に対する信頼が揺らいでいるということである。現政権のみならず、野党等にもしっかりしてほしいと期待する以外にない。

先行きについては、この国をどのような国にするかという基本的なビジョンと「この国のかたち」を描いていないところに問題があると思う。今度の参議院選挙では、「この国のかたち」をしっかりと描き、特に財政健全化や税制の問題等の重要政策について、逃げずに争点としていくことが大事である。

Q: (政府が目指すべき国の)ビジョンを描いていないことが問題ということだが、(7月の)参院選で対立軸になるようなビジョンとは、どのようなものがあるとお考えか。

桜井: 国民の生活支援を軸とするか、それとも、生活支援はセーフティネットとしては非常に重要だが、成長戦略を重要視し軸とするか、の差があると思う。以前も申し上げたが、どちらの「国のかたち」を描くにしても、いかに健全な財政(状況)にしていくかは、共通の課題になる。財政健全化の道筋を描きつつ、国民の生活に重点を置くか、それとも、それに加えて成長戦略に重点に置くか、で変わるのではないか。

経済同友会では、以前から何度も「国のかたち」の明示を求めてきたが、「国のかたち」は票につながらないためか、政治にお願いしてもなかなか難しいと思われる。これまで(経済同友会では)、成長戦略、財政健全化、社会保障制度、地方分権・地域主権等(について提言)を出してきた。(「国のかたち」を描くための)財産は相当あるので、経済同友会として、経営者が考える「10年後のこの国のかたち」を出そうと決めた。2010年度の事業計画は、これをメインに進める。年末までには、予算編成や予算審議に間に合うように、しっかりと出そうと考えている。

Q: 「大きな政府」か「小さな政府」かということも、「国のかたち」に入ってくるのか。

桜井: 先述の、国民生活視点に立脚するのか、(それとも経済)成長に立脚するのか、軸足として共通しているのは財政健全化だが、前者は「大きな政府」、後者は「小さな政府」になるだろう。経済同友会の(求める)「国のかたち」は、政府が全てを管理・コントロールするのではなく、民の活力を大いに使うという意味で、リーズナブルな「小さな政府」の方だろう。

小島: 経済同友会では、かねてより「国民負担率を今以上に増やさない」と主張しており、その線で考えることになる。国民負担率については、2009年11月5日に発表した提言「財政健全化に一歩を踏み出し、持続的な成長につなげよ」において、「GDP比30%台前半、NI比40%台前半にとどめることを目標とすべき」と明記した。日本経団連は、(先般発表された成長戦略のなかで、)国民負担率を増やしても良いと書かれているので、その部分(の考え方)は異なると思う。

桜井: 基本は、今の(国民負担率を増やさないという)話と、政府におねだりしないで済む国にしようということである。

Q: 先週、高知で開催された第23回全国経済同友会セミナーについて伺いたい。特に、ブータン王国の首相のスピーチにあったGNHは、「物欲を捨てるべし」という精神論だけではなく、成長戦略がしっかりとあり、その上での幸福論であった。(ブータン王国に)学ぶものはあったか、感想を伺いたい。

桜井: 学ぶものはあった。ブータン王国のGNH(Gross National Happiness:国民総幸福)は、国として繁栄、発展させる上で非常に重要なビジョンであり、政策展開されるものである。(ブータンのティンレイ)首相の講演で、個人的に心に残ったことをお話する。ひとつ目は、(ブータンは、)日本に元々あった幸福論や幸福政策というものを勉強し、それを軸に展開し始めたということ。二つ目は、日本が求めた幸福とは何かと言うと、人と人との絆、もう少し大きな意味ではコミュニティの形成と発展で、それが大事である、ということ。三つ目に、幸福は、国王や政府が押し付けるものではなく、国民が求める幸福とは何かを(国王や政府が)つぶさに拾い上げ、その展開方法については地域・地方から自発的に実施されるということ。その展開のためには、国王自らが権限を積極的に移譲する、実際に移譲されているということ。もう一つ、GNH はGDPに代わるものではなく、あくまでもGDPがベースとなって、それを補佐する役割(指標)という位置付けであるということ。これは、(セミナーの)分科会で、首相顧問を務めるパネリストが強調されていた。

これからの「国のかたち」を考える上でも、モノの豊かさを追求することは必要だが、その中で、幸福、幸せとは何だろうか、ということをどう取り込んでいくかが大事になってくるだろうと思う。

Q: 観光庁で検討されている連休の分散化について、代表幹事の見解を伺いたい。

桜井: もっと慎重に考える必要があると思う。(連休)分散化の意図は、観光産業を中心として、地方、地域の経済の活性化促進であろう。しかし、企業側から考えると、慎重に考えなければいけない問題が出てくる。大きな(課題の)一つは、決済の問題。もう一つは、サプライチェーン(の問題である)。企業は、全国規模で販売会社や仕入れ先等とネットワークを組み、モノの購入、販売、決済の仕組みを構築している。(連休分散化によって)地域ごとにずらして休みを取るようになると、企業経営上の効率という点では、(現行の)サプライチェーンのシステムを組み替えなければならいところも出てくる。長年をかけて構築したシステムなので、再構築は容易ではない。

私見だが、例えば、ゴールデンウイーク(GW)や夏休みを削って、春と秋のシーズンに(連休を)増やし、地域ごとにずらさず全国一斉に休むようにするという方法もあり得るだろう。観光面でのメリットと企業側の問題解決の両面がある程度かなうのではないか。これは、私の思いつき程度の話だが、(いずれにしても)もっと検討が必要な課題だと思う。

小島: 学校は(地域ごとの休みに対応して)変えられるだろうが、普通の企業は対応が難しいだろう。休まなくなるという心配も出てくるのではないか。

Q: 普天間(基地移設)問題について、昨日、徳之島の3町長が平野官房長官との会談に応じる必要もないとの姿勢を示した。米国側も(移設先地元住民の理解が得られるのか)不信感を持っている状況である。普天間問題と日米関係について、代表幹事の所見を伺いたい。

桜井: 事実としては二つある。ひとつは、鳩山首相は「5月末までに決着させる」と仰っており、決着とは、私たちの感覚では、米国も含めて合意を得るということだろう。一方、米国側は、国内調整が済んでからでないと交渉には応じられないということである。今後これがどう展開されていくか。国内調整はまだ済んでいない、政府案もまだ一向に分からない、そのような状態で、残り一ヶ月と少し、果たして(この先の)交渉で米国の承認が得られるのか、見通しが立たないままである。

普天間基地は、日本を含め、アジア全体の平和と安全保障、世界の安全確保という点でも非常に大事である。世界の安全保障の中で日米が果たす役割という見地からも、(この問題で)いつまでも揉め、(解決を)長引かせて良いはずがない。大変に重要な局面を迎えており、5月末決着をずらすなどということは、あってはならない。

Q: 小島専務理事に伺いたい。定例会見は今日で最後になる。副代表幹事および専務理事として足掛け5年間、経済も政治状況も大きく変わった。現在は、「官から民へ」という経済同友会の主張とは相容れないような政策がとられるような状況になっている。これまでの活動を通して、この現状をどのようにとらえているか。

小島: 私がこの仕事(経済同友会の副代表幹事や専務理事)を受けたひとつの理由として、日本は、喫緊では大きな心配はないだろうが、子供や孫の世代に大変なことが起こるような環境を徐々に作りつつあるという懸念があった。しかし実際には、自分が今後数年生きていく間にも変なことになりかねない状況になりつつある。その点では、予想外である。経済に関しては、リーマン・ショックもあったが、就任時の5年前と現在とを比較しても、それほど悪くなっているとの認識は持っていない。むしろ、悲観的にとらえ過ぎているがために、(実際以上に)悪くなっていると国民が思うようになったことの方が問題だろう。日本の経済を冷静に見れば、4~5年前と大差ないのではないか。明らかに変わったのは、政治の混乱である。ここ1~3年は、それがきつかったと感じている。率直に言えば、我々がいろいろと考え、発言していく上では、もう少し(政治に)しっかりして欲しいという気持ちがある。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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