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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2010年04月06日(火)13:30~
出席者 桜井 正光 代表幹事
小島 邦夫 専務理事

記者の質問に答える形で、(1)公益法人への移行、(2)雇用・景気情勢、(3)資源価格の高騰、(4)人民元、(5)平沼・与謝野新党の発足、(6)二大政党制、(7)国民総幸福(GNH)、(8)中国での日本人死刑執行、(9)子ども手当の消費への効果、などについて発言があった。

Q: (経済同友会は)4月から公益法人に移行し、1週間が経つがいかがか。

桜井: まだスタートしたばかりだ。(まず)理事会を開き、今度(4月末に)総会があるが、その役割も変わった。特に戸惑うところは一つもない。現執行体制、そして、今後の公益法人に対応する新しい組織・役割という配置換えも、順調に承認を得た。事業計画および財務内容も、公益法人に相応しい構成で計画できた。後は、きちんと事業計画を推進し、結果を出すことである。

Q: 新年度がスタートして1週間になる。雇用情勢について、特に中小企業が厳しい状況で、各種アンケート結果でも来年の採用計画は増やすより減らす方が目立っている。現下の景気情勢も含めて認識を伺いたい。

桜井: 先般発表された日銀短観の各指標を見ると、一応(景気の)底は完全に打ち、これから底離れをしようかという状況に来ている。政府の(内閣府の)月例(経済)報告は来週(になるが)、自律的回復に近いところまでは来ていると思う。しかし、世界経済を見ると、米国では回復が見え始めてきたが、欧州はまだそういう状況にはない。中国を中心とした新興国では、新たな問題が出始めてきた。これからどうなるかは、注意深く見ていかなければならない。

日本は、生産関係の指標は良く、在庫もどちらかといえば積み増し状況にきた。しかし基本的に、デフレ体質からなかなか脱皮できないという大きな問題がある。また、長期的な経済の見通しがつかないことから、設備投資や雇用の面で重しがかかっている状況に変わりはない。雇用については、生産量増大に対しては、今のところ時間外勤務で調整せざるを得ないため、雇用増大にはまだ結びつかない状況である。経済同友会の景気定点観測アンケート調査結果でも、前々回(2009年12月)も、前回(2010年3月)も、少々内容は変わった(ものの)、設備投資や雇用に対しては、まだ過剰感が高い。しかし、これ以上ひどくなるという傾向ではないと思う。業績は底を打ったが、将来的な設備投資および雇用は企業にとって大きな固定費としての重しとなるため、依然として慎重な姿勢だ。

Q: 景気の関係で、原油をはじめ資源類の価格が高騰しているが、先行きをどう見ているか。

桜井: 資源高は、原価・コストの問題として重くのしかかるため、非常に痛手になる。問題なのは、資源高を顧客市場に転嫁する(ことが難しい)、顧客市場とのバランスのなかで資源高を吸収していく策が取れない(ことである)。生産性を上げたり、軽い経営体質を目指した経営革新などは、当然のこととしてやらなければいけない。特に日本は、デフレを抱えての資源高であるため、大きな影響が出てくると思う。

Q: 世界で注目されている中国の人民元について、日本の企業業績や景気にどのような影響を与えるとお考えか。どんどん上がってくると、企業にどのような影響があるか。

桜井: 人民元については、基本的にはその国や産業の力が反映されるレートになっていくことが望ましいが、簡単にはできない理由も十分に承知している。(為替の)フラクチュエーション(変動)の幅を広げる方向にいっていただくことが、日本企業や日本(国)だけでなく、世界経済のためにも必要であろう。影響については、当然のことながら、良い方もあれば、悪い方もある。

Q: 今夜にも(平沼・)与謝野新党が発足する見通しになっているが、政治情勢について所見を伺いたい。

桜井: 政局の話はよく分からない。新党発足ということでは、何を政策の軸に、どういう展開を図っていくかに注目する。それが見えないと何とも申し上げようがない。

Q: (平沼・)与謝野新党に関連して、このような流れを見ていると日本には二大政党制が根付かないのではという見方が出てくる。代表幹事は(日本には二大政党制が)根付かないとお考えか、あるいはひとつの過渡期とお考えか。

桜井: 過渡期的な現象だと思っており、(二大政党制が)根付くか根付かないかを、この状況で判定すべきではない。しかし、今後の日本の国を運営していく体制としては、二大政党はやはり必要である。二大政党作りという方向で、政治はもちろん、国民も努力をしていくことが大事だと思う。二大政党作りは、まだ緒に就いたばかりである。二大政党作りのためにすべきことは、ある意味では明らかになっており、それらを一つひとつ積み上げていくことが大事だと思う。明らかになっていることは何か。対抗政党たる自民党が、いかに対極たる党に生まれ変わっていくかが非常に重要な課題になる。

Q: 「(新党の)政策が見えないとコメントのしようがない」との発言があったが、これまでの与謝野氏等の主張から考えると、この新党の政策の大きなポイントは財政再建にあると思う。二大政党作りのために必要なこと、その性格を分ける争点として、財政再建がどのように位置付けられるとお考えか。

桜井: 財政再建はこの国の大きな課題なので、二大政党(ともが課題にすべきで)対極軸ではないだろう。二大政党について、私がそれぞれの政策軸をコメントする立場にないし、するつもりはない。自民党はまず、前回の衆院選でなぜ国民の支持を得られなかったのかをきちんと総括することが大事である。2番目に、民主党政権はまだまだスタートアップしたばかりだが、色々な課題・問題が見えてきている。その問題・課題に対して、対極たる自民党はどういう政策をとるのかを見極め、軸にしていくことが大事であろう。3番目に、二大政党になるということは「いつでも私たちに政権を任せてください」という政権運営体制である。(自民党は)ここをどのようにもう一度組み立て直すことが必要だろう。

Q: 二大政党の対立軸には、どのような政策があり得るか。また、代表幹事が考える「見えてきた民主党政権の問題・課題」とは何かを伺いたい。

桜井: 民主党政権の問題・課題について、現時点で評価しようとは思っていないが、例えば、民主党は衆議院議員総選挙用にマニフェストを作り、支持を得て、政権を運営する立場になった。しかし、マニフェストで信任を得たものだけでは、この国の運営はできない。(では)一体何を他の重要政策として取り込んでいかなければならないのか。元のマニフェスト、公約した政策と、(国を)運営するための政策とを整理して、優先順位を付ける(ことが必要である)。マニフェストの見直しと必要な修正を行い、民主党が政権政党として(国を)運営できる体質になることが求められている。具体的に言うと、国民生活第一の家計支援だけではこの国は運営できない。財政健全化を軸にいかに歳出と歳入の一体改革を行うか、もっと現実的に言うなら、歳入については成長戦略をどうとるのか、また税制をどのようにしていくのか、こうしたところにきちんとした明確な答えを出していかなければならない。

民主党政権は、参院選前、5月6月をターゲットに、新成長戦略の工程表、あるいは財政再建の中期財政フレーム、そしていつどのように健全化を行うのかという工程表にあたる財政運営戦略を出そうとしている。歳出の方では、「国から地方へ」を徹底しようと、6月に地域主権戦略大綱を出そうとしている。まだ他にもあるが、これらを見てみないと新政権のどこに本当の課題があるのかが見えてこない。

Q: その流れのなかでは、今起きている新党構想は自民党の総括の中には位置付けられないとお考えか。

桜井: 何をする新党なのかが明らかになれば、位置付けられるのか位置付けられないのかが分かるが、(今のところ)何も表明されていないので何とも申し上げられない。今言われているのは"挟み撃ち"のみだから。政局については、述べたくない。

Q: 来週、全国経済同友会セミナーが開催される。テーマが「国民総幸福(GNH)」だが、今のGDPを中心とするものの測り方に不備があるとすればどのような点だとお考えか。

桜井: 「国民総幸福:Gross National Happiness」をテーマに取り上げた経緯はあまり把握していないが、分科会は4セッションあり、そのうち国民総幸福をテーマにしたものは第1セッションのみである。従来型のGDPという成長を数字的に測る尺度を捨てるわけにはいかないし、国の成長と発展を計画し測る指標としてこれは非常に重要なものである。それとは別に、いわゆる「国民の幸せ」度を計画し測る指標が大事な事はいうまでもない。現政権も言っているので、勉強しようということで、ブータンの話を聞いてみようと(なった)。他の第2、第3、第4セッションは、地方分権(や国家・政治、成長など)をどう進めるのかを軸にしたミーティングになる。

小島: ブータンも幸福(のこと)だけを言っているわけではなく、8%成長をしながらGNHを掲げていることを念頭に置いていただきたい。

桜井: 企業経営者が実践している「幸福論」について述べる。企業経営の最大の課題 はP/L(損益計算書)、つまり売上、原価、経費、営業利益である。もう一つは、もうかっていれば済むものではなく、資本、資産の有効活用を示すB/S(バランス・シート)である。しかし、B/Sが健全でP/Lも非常に健全、つまり伸び続けていたとしても、実際に社員が意欲的に働く会社となると、これだけではない。どの企業もやっていると思うが、Employee's Satisfaction(ES:従業員満足)というものがある。当社の例で言えば、100項目以上、大分類で7項目以上について、例えば、上司との職場の環境はどうか、自分がやりたいことに挑戦できて達成感を得られるか等、詳細に、やりがいを軸にした従業員の満足度を調査している。このESの位置付けは、まずP/LやB/Sの戦略と計画があり、それを通じて、従業員の満足感はどうかと聞いている。ESの向上については、P/Lとは別に、問題を、部門で片付けること、部門を超えたレベルで片付けること、経営者が問題解決にあたること、等と整理をして、毎年その(解決の)進捗状況を報告するようになっている。ESは、非常に大事なものではあるが、決してP/L、B/Sに替わるものではない。

Q: 今日中国で、覚せい剤の密輸に関連した日本人の死刑が執行された。これについてコメントを伺いたい。

桜井: 世界では、国によって法制度も違うし、国民の法制度に対する価値観、判断基準も異なり、それらをベースに(国の法制度は)成り立っている。どういう犯罪が死刑に値するのかということだろう。私の欧州(駐在)だけの経験から見れば、欧州と日本との差は中国との差以上ではないと思うが、(それでも)違う。(今回の執行は)残念だという他ない。しかし、そういう違いがあるということを前提に、今日のグローバル時代にそれぞれが注意して、違いを超えたコミュニケーションと行動が必要だろう。

Q: 今期の小売業の業績を占う上で、子ども手当が効くがどうかが議論になっている。代表幹事の見解を伺いたい。

桜井: (政府は今年度、)子ども手当として約2兆3000億円を投入した。(それが)消費にどの程度効くか。鳩山総理の答弁にも1兆円程度とあったが、(私も)その程度(だと思う)。2兆3000億円がそのまま2010年度の消費に回るとは誰も考えないだろう。後になって消費に回ってくるという成果もあるだろうし、単純には計算できない。

Q: 言われているよりは、意外と消費に使われると考える市場関係者もいる。生活が逼迫しているため、例えば子供に十分に食べ物を与えられない家庭があるなどと言う理由のようだが。

桜井: そのような面ばかりを見ている人はそう言うだろう。しかし、全般的にそうでもないのではないか。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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