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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2010年02月02日(火)13:30~
出席者 桜井 正光 代表幹事
小島 邦夫 専務理事

記者の質問に答える形で、(1)地球温暖化対策、(2)鳩山首相の施政方針演説、(3)子ども手当とマニフェストの修正、(4)民主党・小沢幹事長の問題と「政治とカネ」、(5)春闘・定昇、(6)トヨタの大量リコール、(7)米倉弘昌日本経団連次期会長の内定、などについて発言があった。

Q: 温暖化対策について、1月末に主要国の(温室効果ガス排出削減の自主)目標が出揃った。これについて所見を伺いたい。

桜井: まずお断りしておきたい(ことがある)。昨年12月22日の定例記者会見で、「(1月末までの)中期目標の届出に間に合うように政府に意見具申をしたい」と述べていた。しかし、(経済同友会としては、)11月17日に意見書「COP15に向けて」を発表し、「90年比25%削減の前提として(国際的)公平性を担保すること」、「25%は意義ある高い目標だが、その達成に向けた道筋を明確にすること」、「国民に対し、受益と負担の両面からしっかりと説明すること」を求めた。(1月末の目標値の提出に向けて、地球環境問題委員会等で)議論を重ねたが、先述の意見書の立場が重要であるとの結論に至り、改めて意見を提出することは止めた。

各国・地域の自主目標が提出されたが、先進国の上積みもなく、新興国も「先進国の責任」という基調から一歩も外れることなく、原単位、GDP比の削減目標にこだわった。先進国も新興国もこれまで表明していた通りの数字が並び、何ら変化がない。COP16でまとまる方向に進んだかと言うとそうではない、この域を脱することは非常に難しいということだ。COP16で、先進国の意欲的な目標、新興国の絶対値での削減目標を掲げることにまとめるのは、非常に難しい状況になった。

このままでは、2013年度からの京都議定書の延長も見え始めてきた。これは、地球のためにも、先進国にとっても、日本のあるべき姿にとっても、これまで通り(全世界の排出量の)約30%の排出国のみが対象となってしまうため、実効性の面から非常に問題である。京都議定書の延長ということでは、無責任な状態だ、大問題である。一番あってはならないシナリオの方向に進みつつあり、非常に危機感を覚える。

Q: 先週末、鳩山首相が施政方針演説を行った。この内容について所見を伺いたい。

桜井: (鳩山首相の施政方針演説は、)最初は非常に心地良かった。首相の所信表明として、政治理念を述べることは非常に大事である。

しかし、国会が始まる(時点での)所信表明としては、今国会は2009年度第2次補正予算や2010年度予算の編成が一番の大きな課題だ。審議に資するような具体的な政策、およびその優先順位等が明確になることが大事である。2010年度の予算は、今までにない規模の予算であり、国債の発行高も(過去)最高である。(また、)それによりプライマリー・バランスも、2008年度が(補正も含め)13兆円程度、2009年度が34兆円、今年度は(当初予算で既に)約24兆円である。財政はますます危機的な状況を増していくため、国会では真剣な審議が必要である。ところが、審議をしようにも、国のかたちが表明されていない、財政健全化の道筋も表明されていない、成長戦略も表明されていない、税制がどうあるべきかもまだ具体的に表明されていない、さらに、将来不安を解消するような長持ちする社会保障制度がどうあるべきかも表明されていない。このような状態で、2010年度予算の審議ができるのか、不安どころではなく、全く見通しがつかない。理念と、その理念に照らした具体的な政策を表明することが、予算審議の一番の基盤になると思う。鳩山首相には、その基盤(の表明)を期待していた。

また、審議がどうあろうと、予算がどのように着地しようと、現政権に(予算の)執行能力があるかを考えると、一番基盤にあるのは「政治とカネ」の問題(である)。政治に対する期待、信頼がきちんと(確立)しない限り、物事は進まない。「政治とカネ」に対する考え方の説明が期待された。これらが無かったことが非常に残念である。

Q: 先週末から、子ども手当の2011年度からの満額支給が難しいとの発言が相次いでいるが、これについていかがお考えか。

桜井: 子ども手当は大切だとは思うが、当然ながら財源が必要である。今言われているのは、(2010年度からの)半額でも非常に難しく、2011年度から倍の満額を出そうとすると(さらに)2兆5000億円程度が必要になるということである。財政再建という枠のなかでどれだけの財源を用意できるか(が課題)であり、ここをしっかりしなければいけない。(政府は、)中期財政フレーム」と「財政運営戦略」を5~6月にはまとめるということなので、それを見守るしかない。

Q: マニフェストとずれても止むを得ないとお考えか。

桜井: 財政規律のなかで財源をどう見つけるか、その余裕(があるか)である。成長戦略や消費税を含めた税制(改正)などで、すぐに解決するものではないだろう。マニフェストの見直しは、必要になってくると予測する。

マニフェストは(選挙で国民に約束した)政権公約なので、そう簡単に変えるべきではないが、状況によっては、必要であればやるべきである。但し、2010年度の予算編成の際に行われたような、暫定税率(廃止見直し)や高速道路無償化の修正、またマニフェストに入っていなかった(政策)項目の追加など、何の説明もなく、どのような議論がなされたかも分からないままに修正されることは非常に問題である。民主党に期待したこと(のひとつ)は透明性であり、民主党も透明性を大事に(しながら)変革を行っていくということだと思うが、それが無いことが非常に残念である。今回の子ども手当や新たな2011年度予算編成においては、(マニフェストの)修正は必要に応じてはやむを得ないと思うが、しっかりと国民に説明することが大事である。

Q: 民主党は、(予算編成前に、)無駄な予算がたくさんあり、(それらを)削れば、特会(の見直し)を含めて財源が出てくると言っていたが、結局それは難しいとの認識か。

桜井: (確かに)難しいだろうが、事業仕分けはまだ一部(しか手がつけられておらず)、特会、独法(の見直しを)含めて徹底する余地はあるし、そこから(無駄の)削減を進める必要がある。しかし、今後必要となる財源を全て(無駄の削減から)確保できるかとなると、非常に難しいだろう。現状でも更に年間1兆円強が必要と言われている社会保障費の今後のさらなる増大や、単なる一時的財源確保ではなく、新たな長持ちする社会保障制度(の構築)を考えれば、いかに歳入を膨らませていくかを考える必要がある。(具体的には)成長戦略と税制改正である。

Q: 先週末、民主党の小沢幹事長が(2度目の)事情聴取を受けていたことがわかり、また、民主党の若手議員からも(小沢幹事長の)進退を問う声が出始めている。この問題について、現在どのように見ているか。

桜井: この問題については報道を通じての情報しか持ち合わせていないため、何とも言えず、捜査を見つめていくことしかできない。民主党内でも、種々のグループでの活動があったようだが、国会審議を通じても(それらの活動が)どういう目的で行われたのかがいまひとつ明確ではなく、現在は(活動も)抑え気味のようなので、コメントのしようがない。

Q: 「政治とカネ」の問題がクローズ・アップされていることについては、いかがお考えか。

桜井: 小沢幹事長の問題は検察の捜査が進展するだろう。鳩山首相の問題については、虚偽記載が明らかになってきている。事実として出てきているのは、(報道)各社の世論調査を見ても、国民はかなり疑いや政治(への)不信感を抱いているということだ。こうした国民の目線を理解し、それなりの説明をする必要がある。

Q: 春闘について、前回の記者会見で、「基本的には定昇維持というスタンスで臨むべき」との発言があったが、(改めて)その理由を伺いたい。社員の士気に影響するということか、あるいは(定昇を)凍結しても企業にとってそれほど救いにならないということか。

桜井: 定昇維持と述べた背景には、社員の生活やモラル(維持)、また、需要が停滞しているという現下の社会情勢などがある。ベースアップは別にして、できるだけ定昇を維持していくことが望まれる。但し、経済同友会は、会員企業を束ねて同じ方向へ進むという行動はとっておらず、またそうすべきでもない。(定昇については、)各社の状況に応じて判断されるだろうが、(凍結には)慎重であってほしいと考えている。

Q: トヨタの大量リコールについて、日本のメーカーに対する品質管理や信頼自体が問われるような状況になってきている。代表幹事はどのように見ているか。

桜井: 今回の件について正確な数字は把握していないが、北米で約400万台、欧州も含めると約600万台とも言われている。これは年間生産高のおよそ半数にも達する数字で、企業にとっては大変な痛手だ。弊社(リコー・グループ)もそうだが、世界の市場に対して事業展開をしているモノづくり企業は、グローバル競争に打ち勝つために、第一に価格を考えた徹底した低コスト化、第二に他社にないようなお客様に受け入れられる商品を考えた高付加価値化、この2つを徹底する。低コスト化のためには、世界に出す商品の部品や材料の共通化・標準化を行う。一つの部品や材料に問題が起こると、甚大な被害が出てしまう。これを熟知しているため、部品や材料の品質管理には相当の注意を払っており、それが日本のモノづくり企業の強みでもある。そこに今回、漏れが生じたということだろう。

今回の件で、日本のメーカーは、今後の品質保証・品質管理のあり方や、リコールにどう速やかに対応していくか等、改めて(身を)引き締めなければいけないと受け止めている。

Q: 日本経団連の次期会長が米倉弘昌住友化学会長に決まったことについて、印象を伺いたい。また、米倉さんに何を期待されるか。

桜井: 今後、経済界は非常に大事(な存在)である。オバマ米大統領が一般教書(演説)でも述べられた通り、ポスト・クライシスの時代においては、(世界的に)雇用が(重要な)問題である。種々の政府の政策もあるだろうが、やはり成長戦略をもとにした企業のがんばりが、雇用の増大につながる。政策的には、需要側への手厚い再配分と同時に、供給側の能力増大のための再配分も非常に重要である。世界経済、あるいは日本経済をますます活力あるものにしていくためには、企業の力、企業の努力がますます求められる。そのような中での、日本経団連の会長交代だけに、次期会長にはぜひ今後の日本経済の活性化や世界経済への貢献を大いに期待したい。米倉氏個人について熟知しているわけではないが、大変グローバルな感覚をお持ちで、世界の視点で行動される方だと思う。人材ネットワークも豊富で、グローバル企業(経営者)としての知見もお持ちなので、大変期待している。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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