ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
ローカルナビ(l)へ
サイトのご利用案内(i)へ

ここからグローバルナビです。

グローバルメニューここまでです。

ここから本文です。

記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2010年01月19日(火)13:30~
出席者 桜井 正光 代表幹事
小島 邦夫 専務理事

冒頭、小島専務理事より意見書「郵政改革に関する意見」について説明があり、その後、記者の質問に答える形で、(1)政治とカネ、(2)国会運営、(3)日本航空の再建、(4)春闘と雇用、(5)中国のGDP、などについて発言があった。

Q: 通常国会が始まった。小沢幹事長の元秘書である石川衆院議員が逮捕されるなど、「政治とカネ」の問題がクローズ・アップされているが、一連の逮捕等をどのように認識されているか。

桜井: 現在、検察の調査中ということもあり、基本的にはその結果をしっかりとウォッチし、適切な対応を求めなくてはならないと思っている。

しかし、基本的には政治資金規正法に照らした記載の虚偽や不備だろうが、政府・与党の責任者の周辺で起訴や逮捕が起こったことについて、責任者の課題としては、単なる記載の虚偽や不備といった形式的な問題ではなく、なぜそのような問題が起こったのか、党の責任者との関わりにおいてどうなのか、法の基本精神に戻って、自ら疑惑的なところを明らかにし、責任のあり方を明確にしていくことが大事だと思う。

企業経営者として考えると、いろいろな法律の問題に対して、個々の社員一人ひとりを管理・コントロールすることは大変難しい。しかし、社員が法を犯すことになったときには、経営責任、管理責任(が出てくる)。見過ごしていることによる企業に対する大きなダメージや本人の大きな過ちを許してしまうところに(経営者の)管理責任があり、その責任をきちんと取っていくのが企業の態度である。

「政治とカネ」についても、法を犯すことの背景や疑惑のよって立つところを、しっかりと法の精神の下に明らかにするのが、政治責任だと思う。

Q: 「政治とカネ」の問題を受け、今通常国会で与野党にどのような議論を求めるか。

桜井: 今国会は、政権政党にとってみれば、予算編成を審議し、今年度末までに成立させることが一番重要な課題だと思う。(「政治とカネ」の問題か予算審議か)どちらを優先させるかは国会で決めるべきことだが、予算を審議し、成立を求めていくためにも、今段々と顕著になってきた「政治とカネ」の問題による政治不信にしっかりと対応し、疑念に対しては明らかにし、責任の所在を明らかにすべく努める(という)行為がなければだめだと思う。(国民からの)政治不信を基盤に持ったまま(での)予算編成は、予算の不信につながりかねない。政治不信を解消するために、国会で責任を持って政治責任のあり方を明確にしていくことが重要だと思う。国会で、(「政治とカネ」か予算か)どちらを先に、どのようなやり方で、政治不信の解消を行っていくかは国会が決めることで、私がコメントすることではないと、今の段階では思っている。

Q: 「政治とカネ」について「責任者」という表現を使われたが、具体的には誰を指すか。

桜井: 総理と幹事長のことである。

Q: 責任の所在を明らかにすることが大事ということだが、責任の取り方について、(今回は)どのような選択肢があり得るとお考えか。

桜井: それは党や政府、あるいは当事者が、最も相応しいと思う方法を選択すれば良い。私がコメントすることではない。

Q: 経営者として、同じような問題にあたったとき、どう対処されるか。

桜井: それも経営者自身が決める。また、企業の場合には取締役会、あるいはその指名・報酬委員会において議論する問題である。世の中や顧客が決める問題ではない。「政治とカネ」について最も危惧するのは、政治不信が強まっている点だ。(この払拭に)真正面から取り組まなければならない。政治不信に対して国会で真摯に議論し、疑念なり疑惑なりの内容について浮き彫りにしていく必要がある。裁判の中で出てくる事項もあるが、そうしたレベルとは異なる政治責任(の問題だ)。法の理念、目的に照らしつつ、果たして政治責任としてどうなのかを出していくべきである。そうした議論なしに、仮に予算が成立したとしても、政治に対する国民の不信は残るのではないか。

Q: 本日、日本航空(JAL)が会社更生法の適用を申請する。(JALが)法的整理(をされること)になったことについて、どう受け止めているか。また、今後再建にあたってどのようなことが課題になるとお考えか。

桜井: 政府も日本航空も企業再生支援機構も、現状分析をし、今後の再生にとって、会社更生法によって支援していく、再建を図ることが大事であるという結論なので、これに異論はないし、妥当だと思う。

ここまでの状況は、あくまでも、財務的にきちんと整理をし、言葉は不適切かもしれないが、きちんと身軽にして、再生を図れる状態にしたというだけである。今後(経営を再建する上で)の問題は、航空業界は世界的に過激な競争の中にあり、また、世界(経済)的にも、景気は持ち直しつつあるものの、まだ不安要素は残っている。(航空業界は)事業展開という意味でも大変に厳しく、過当競争(が進む)業界のひとつである。このような状況の中で、経営としてどのように成長戦略を描き、事業計画を策定し、より付加価値の高い、より効率(性)の高い経営を行っていくかにかかっている。そう考えると、成長戦略も非常に大事であるが、政府は、(JALの)運営に今までのような足かせがないような環境づくりや、国際的に競争力を高める意味からの環境整備をしていかなければいけないと思う。

Q: JAL(の再建)に関して、「政府に対して、今までの足かせがないような環境作りを求める」との発言があったが、これは、今まで地方空港に無理やり(JAL便を)運航させたりしていた、等のことか。

桜井: 航空行政面において全般的に言えるが、航空会社に対しての負荷、(例えば、)発着の料金が高いなど料金面や、地方空港の建設や維持の面で、過大な負荷が掛かることである。また、国際的な面では、規制をできるだけ緩和し、オープンスカイ(を実現し)、しっかりと航空会社が世界にネットワークを形成できるよう、制度的にも支援をする(ことも必要である)。また、もうひとつ政府がやらなければならないことがある。日本航空は、これから(会社)更正法のなかで再生が始まるが、これは今後の日本航空の努力による。日本航空に対する過剰な支援は、日本に限らず海外も含め、他の航空会社との競争条件・経営条件のイコール・フッティングの面で問題があってはならない。政府は、このイコール・フッティングするような環境整備に注意を払っていかなければいけないと思う。

Q: 「(郵政改革に関する)意見」の中で、「ゆうちょ銀行、かんぽ生命の完全民営化を求める」とあるが、これは(株式の)100%売却という意味か。

小島: 期間を限定した場合を除いて、国の資本が(企業に)入ったままでは、隠れた政府保証ということになる。そのような体制では、民間金融機関との対等な競争条件とは言い難いし、あれだけ(多額の)の資金が固定されていること自身が、民間の経済活力という観点からもおかしい。

Q: 資金量では、三菱東京UFJ銀行のほうが上回っているのではないか。

小島: そんなことはない。郵貯・かんぽの資金(預金)量は170兆円あり、対して三菱東京UFJは92兆円だ(2008年度末)。

Q: 春闘が本番を迎える。新卒採用が厳しく、また景気の先行きが不透明な中で、賃金優先の方向で進むのではないかと見られている。デフレとの兼ね合いで景気の悪影響も指摘されているが、今春闘についてどのような点を注目されているか。

桜井: 基本的には、個別企業が、企業側として今後の経営をしっかりと読み、その中で雇用・採用をどうしていくか、ということであると思う。労働者側も、この(経営や経済の)状況を把握した上で、企業の経営状況にかなりの(悪)影響を与えるような要求は避けるという姿勢も必要である。個々の企業によって状況が異なるので、一概に申し上げることはできない。

今の質問は定昇(について)だと思うが、定昇は、生活者や労働者にとって非常に大事なことである。私(個人)としては、基本的には経営は厳しい状況だと思うが、定昇維持というスタンスの下に対応していくことが大事であろうと思う。ただし、条件として、賃金か雇用かの問題がある。雇用の問題とは、雇用の確保や採用数の増大のことである。

Q: 春闘について、「経営状況が厳しくても定昇維持のスタンスで対応していくのが大事」との発言があったが、なぜそのように思われるのか。

桜井: 企業の成果は、従業員や株主、内部留保、開発投資などに再配分していくもので、それを基本に考えているだけである。

Q: 昨年、電機業界の一部で定昇凍結の動きが出た。デフレに陥っているなか、今年もそのような動きが昨年より増えるのか、もしくは減るのか、どのように認識されているか。

桜井: 業種や個々の企業によって対応は異なる。予測はできない。

Q: 今回の春闘はなかなか相場観がつかみづらい。労・使それぞれよって立つところが違うが、現状認識の点で、去年はダウン・トレンドの中での春闘であった。今年は若干アップ・トレンドではないかと思うが、この見方は楽観的過ぎるか。

桜井: 希望的にはアップ・トレンドとしたいが、全体の経済は二番底の恐れもあると言われており、海外の景気動向の影響も加味する必要がある。楽観は難しいだろう。海外の景気動向については、各国の財政出動の効果が続くのかという懸念もある。米国経済も完全には立ち上がっておらず、欧州も相当に悪い状況で、アジア新興諸国に期待せざるを得ない。中国を先頭に、当面8~9%の成長が見込まれてはいるものの、この先も果たしてアジア新興諸国だけが先進国の経済とは無関係に、自立的成長を遂げられるか。今年の全体経済は予測し難い。業種、業態、さらには各社ごとに見ていく他ないだろう。

Q: 雇用確保が大事だということだが、企業側は雇用の多様化が大事だとしてこれを進めてきた。一方、労働者側は、それに反対して労働者を保護する政策を求めている。企業側、経営者側として、(この問題を)どのように整理したらよいとお考えか、改めて伺いたい。

桜井: 雇用の多様化における中心課題は、派遣労働を含む非正規雇用についてであろう。これに対して政府は、登録型の派遣の原則禁止と製造業派遣の全面禁止を打ち出している。

一方で、企業側も労働側も双方とも、多様な雇用形態を求めているのも事実だ。2008年の厚生労働省(「派遣労働者実態調査」)によれば、(派遣で)働く人の約34%が多様な働き方(派遣として働き続けること)を求めている。非正規雇用、派遣労働を一律で全面禁止するのではなく、なぜこうした労働形態が問題となったのか、その原因をしっかりと認識・把握した上で、労働者派遣法というものを整理していく必要がある。(改めて見てみるならば)リーマン・ショック以降、急激に経済が悪化し、それに伴って大量の派遣解約が発生した。その現象だけを見て労働者側にのみ軸足を置いて(労働者)派遣法の見直しを進めるというのは行き過ぎだと思う。セーフティネットでいかにカバーするかと(いう対策に労働者)派遣法(の適用)を組み合わせるなど、いろいろな策が考えられるだろう。

セーフティネットの問題、雇用形態の問題、そして企業の雇用の問題(全てを検討する必要がある)。企業が継続的な安定を確保するためには、年齢構成比率が歪にならないように採用を行い、将来に向けても経営の安定化を図っていく必要がある。直近の景気の良し悪しに左右されない雇用をいかに確保していくかも真剣に考えていくことが大事だ。(その意味でも)企業側も、労働側も、雇用についてはやるべきことが各々ある。労働者派遣法のみ突出して扱うことには違和感を覚える。

Q: 今月21日、中国のGDPが発表される予定で、2010年中に日本が中国に抜かれることが確実視されている。(日本が中国に)抜かれることについての受け止めと、製造業として今後どのように対処すべきとお考えか。

桜井: 抜かれること自体は当然だと受け止めている。あれだけの人口と成長に対する伸びしろがあり、国全体のインフラ作りが急速に進んでいる国なのだから当たり前だ。抜かれること自体に抵抗感やショックはない。

日本はここしばらく0~2%の成長率、潜在成長率は1%以下であるのに対して、中国は毎年8~9%、さらに今後は10%も狙おうかという高い成長率を維持している。問題は、日本のこうした極めて低い経済成長率を今後どう高めていくかということである。いかに日本の潜在成長率を高め、需給ギャップを解消し、成長軌道に乗せていくか。中国を抜くという意識ではない。非常に大きな政府債務、デフレ、さらいは格差の問題等、これらをすべて解消していく上でも、適切な経済成長力が必要である。そのために中国には、力を借りられるところや活用するところが大いにある。

(文責:経済同友会事務局)

以上


ローカルナビここまでです。

ここからサイトのご利用案内です。

スマートフォン版サイトに戻る

サイトのご利用案内ここまでです。