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経済3団体長 新年合同記者会見 桜井代表幹事発言要旨(未定稿)

日時 2010年01月05日(火)15:00~
出席者 御手洗 冨士夫 日本経団連 会長
岡村 正 日本・東京商工会議所 会頭
桜井 正光 経済同友会 代表幹事(幹事)

記者からの質問に答える形で、(1)今年の抱負と景気見通し、(2)デフレ脱却、(3)株価・為替の予測、(4)日本経済が活力を取り戻すためのキーワード、(5)2010年を一言で、(6)成長戦略、(7)春闘・定昇、(8)世界的供給過剰、について発言があった。

(*以下、桜井代表幹事発言部分)

Q: 新年を迎えて、今年の抱負と二番底の可能性も含めた景気の見通しについて伺いたい。

桜井:  経済の現状認識および見通しについては、基調としては御手洗会長のご発言と同じである。今後の見通し以前に、経済を回復基調に乗せるためには、自立的、そして将来的に持続可能な経済にしていくことが大変重要である。そのためには、需要不足の問題を解決しなくてはいけない。政府の財政支出や世界経済にもよると思うが、国内的な政府の財政支出は、多額の債務を抱えていることから、限られている。(そこで)何が一番大事かを考えると、民の主体である企業がいかに需要を喚起させ、需要拡大を図っていくか、(つまり)企業独自の努力が非常に重要になる。政府に頼るべきところは頼るとしても、企業が自主・自立・自己責任で、成長戦略を示し、需要喚起の具体策を明確に意志表示し、技術革新やプロセス革新でそれを果たすという、企業の努力・態度が大事である。景気見通しとしては、この辺りがキーになってくる。(さらに)今年に(限定)すると、横這いより少し上昇という程度のプラスの見通しになると思う。

今年の抱負としては、「頑張れ、日本企業」。我々(企業)が責任を持って、需要を喚起・創造するような行動・活動をとることである。経済同友会としても、我々がいかに頑張るかという提言・意見書を出したいと考えているし、我々自身がそのような活動をしていくことが非常に大事であると思っている。

Q: デフレから早期に脱却するために、政府、日銀など金融当局、および民間は、それぞれ何をすべきとお考えか。

桜井:  デフレ脱却(に)は、相当時間がかかると覚悟しなければいけないと思う。(なぜならデフレの)原因は、根底に構造的な問題があるからだ。それを一つひとつ、解決していくことが大事であり、これには時間がかかるという認識が要る。政府の財政支出や金融当局の金融緩和は、いずれも手詰まりの感がある。財政支出については、かなりの長期債務を抱えた最悪の財政状況であること。金融緩和についても、ゼロ金利に近いところまで来ており、これも手詰まりの感がある。こうなると、民の力で徹底的に成長戦略を推進していくことが大事である。

企業が成長戦略を軸にデフレ脱却を図るために重要なことは、反省を込めて申し上げるが、日本企業は死に物狂いで自分の首を絞めるまで価格競争をやってしまうことだ。ここから脱却しなければならない。単なる低価格(競争)に追い込まれない、適切なニーズに対応し、付加価値のあるより良い商品を、技術革新により実現し、世の中に提供していくことが大事である。また、事業や、商品、サービスの新陳代謝(も必要)である。既存の、あるいはこれまでのコアの部分も大事だが、それらも含めて新しい商品や新しいサービスに置き換えていく新陳代謝が必要であると思う。P/L(損益計算書)経営で、ゼロに近くても利益さえあれば良いという考え方ではなく、持てる資源・資本をいかに有効に(活用するか)、いわゆる資本効率を高めた経営をしていく。新陳代謝を促進させることが、企業に求められる構造的な問題の解決である。

政府に求めることは、需要サイドを支援するだけでは、財政的に続くはずがない。供給サイドをいかに意識づけるか。(それには)規制緩和、規制改革が大事な政策の軸になる。規制改革は、財政支出を伴わない経済の活性化につながる。

Q:2010年を通した株価と為替の動きをどのように予測されているか、具体的な数字をいただきたい。また、日本が活力を取り戻すためにはいくつかの課題があるが、キーワードをひとつ挙げていただきたい。

桜井:  私に(株価や為替の予測を)聞かれても難しい。経済同友会の(景気定点観測)アンケート(調査への回答)では、期待値では、12,300円、中央値でほぼ10,000円、悲観値で8,000円というところである。「企業よ頑張れ、自分も頑張る」と申し上げているので、その成果が出ると期待して、2009年の年初から年末(まで)の上昇率が19%、約20%なので、アンケート調査(結果)の中央値より20%高い、期待値である12,300円としたい。

為替は、変動要因が多く非常に分かり難い。今の動きの判断材料としては、ユーロや円基調よりも、ドル基調で動いているので、米国経済がどうなるかだ。米国経済が回復して政策金利が正常に戻り始めるのが(2010年)後半とすれば、為替は円安に振れると期待できる。(予測としては)90円から95円(の間)ではないか。

キーワードは、冒頭申し上げたように、やはり、企業自らの変革による需要喚起、需要拡大(が重要)であるため、「企業自らの変革」としたい。

Q: 2010年がどのような年になるか、あるいはどのような年にしたいかについて、一言で表していただきたい。また、今後の日本経済には成長戦略が重要であるとの発言があったが、年末に政府が成長戦略の基本方針を発表した。工程表は6月までまとまらず、遅れているとの指摘もあるが、成長戦略を具体化する上でどのような施策が最も重要か、重点分野を具体的にお示しいただきたい。

桜井: 2010年は、「自立的経済成長スタート」の年としたい。力技での生活者支援はいつまでも続くものではないし、自立型でもない。企業や国民が自ら頑張って「自分たちに任せろ」と、自分たちの力で需要を増大させ、経済を活性化していくという年にしなければならない。

政府の成長戦略については、数値的な目標が明確で、進捗状況をチェックできるという点では素晴らしいと思う。新政権はこれまで、財政再建計画や成長戦略が不明確で、マクロ経済運営がどうなっているのかが案じられていたが、ここで成長戦略の基本方針として目標数値を明らかにしたことは大変評価できる。しかし、この目標数値は非常に高く、達成するには、さまざまな方面で、従来の構造の破壊的創造をどうやるか、いままでのしがらみをどう断ち切るか、という大きな課題がある。強い政治のリーダーシップが要求される。いま、御手洗会長からもご指摘があったが、具体的に何をすればその高い目標を達成できるのかという道筋をきちんと描いていくことが大事である。もう一つ、需要サイドに偏った成長戦略であるという点も挙げておきたい。供給サイド(の成長)を後押しする戦略も必要である。(成長戦略を実現するには)需要拡大が鍵となるが、単に(需要サイドに)お金があれば可能になるというものではなく、本当に必要なものが(供給サイドから)世の中に出回ることが不可欠である。需要サイドと供給サイドの両方を兼ね備えた成長戦略が必要である同時に、かつこの国の現状と将来を考えれば、財政健全化という枠を設け、その中で需要/供給の両サイドの活性化を促す成長戦略が求められる。供給サイドは、国民のニーズをよく理解しているので、成長戦略を具体化していく今後の詰めとなるワーキング・グループには、ぜひ供給サイドのメンバーを加えていただきたい。

Q: 春闘について、近々日本経団連から経労委報告が出されるが、経営者からは定期昇給の抑制も必要になるのではないかとの声も聞かれる。定昇の抑制やカット、あるいは凍結について、どのようにお考えか。

桜井: (御手洗会長や岡村会頭にお聞きいただくのが相応しいと思うが)言うまでもなく、企業業績や景気見通しは依然として非常に厳しく、持ち直し気味とは言うものの(生産)稼働率は70~80%止まりで、これを伸ばしていくのはなかなか難しい状況にある。企業は、経営体質の改革や生産調整等に取り組み、ようやくここまできたが、今後の見通しはそう安穏たるものではない。当会のアンケート調査でも、雇用と設備の過剰感は解消できておらず、2010年度の見通しでもこれまで同様の過剰感が続くという回答がほとんどだった。労・使・政府ともに、いかに雇用を維持・確保するかが焦点にならざるを得ない。定昇については、種々議論があると聞いているが、各企業によって状況が異なるので、一般論で申し上げるのは難しい。

Q: 今のデフレの背後には世界的な供給過剰の問題があると思う。資本主義社会が競争していけば、それぞれが(マーケット・)シェアを取り合うわけで、個別企業として拡大してシェアを取ろうとするのは当然だと思う。しかし、桜井代表幹事の発言にもあった通り、(供給の)過剰感が解消しない限り、雇用も含めていろいろな問題が収まらないのも事実だと思う。この世界的な供給過剰をどう考えていくのが良いか。社会として考えるにはどうすれば良いか、また個別企業としてどう対応していけば良いとお考えか。

桜井: (解決に時間はかかるが、)需給ギャップを埋める方法はいくらでもある。人口が増えると、消費者ばかりが増加するわけではなく、供給者も増える。(需給ギャップの)問題の一つは、(需要サイドからみて)需要に耐える、買っても良い商品・サービスがなかなか見当たらないということではないか。もう一つは、今はお金を使いたくないという、中・長期的な不安要素に起因する問題もある。さらに、(供給サイドからみて)悪い低価格化という昨今の動きもあり、これは供給者として寂しい事態である。皆が揃って似た商品を作り続ければ価格が下がるのは当然で、知恵とイノベーションをもってここから抜け出す必要がある。アジア市場については、取り込み方を間違えれば、デフレを促進する大きな要素になり兼ねないと懸念している。例えば、(雇用の面で)人を取り込めば低賃金化をまねく恐れがあるし、市場を取り込めば、中産階級が台頭してきているとはいえ、ベースとしては低価格市場が拡大する可能性がある。(そうした事態に陥らないために、)日本の技術力を活用し、付加価値の高い商品・サービスで(アジア市場を)取り込んでいく努力が必要だ。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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