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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2009年12月22日(火)13:30~
出席者 桜井 正光 代表幹事

記者の質問に答える形で、(1)暫定税率と子ども手当、(2)政府の意思決定能力と小沢幹事長の影響力、(3)マニフェストの修正、(4)鳩山内閣の支持率低下、(5)民主党の運営とマニフェストの財源問題、(6)COP15の結果、(7)雇用と春闘、などについて発言があった。

Q: 来年度の予算編成、税制改正にからんで、暫定税率は廃止するが税率維持、子ども手当については所得制限を設けないことが決まった。この2つの大きな問題の扱いについて、所見を伺いたい。

桜井: 政府の予算編成、あるいは重要政策の予算への盛り込み方という面で、今回は大変難しい状況にあったと思う。マニフェストをいかに維持するかと財政規律との間の意思決定に難しさがあった。(それが、)与党・民主党の重点要望によって、一挙に意思決定できたという構造だったと思う。ここで見えたのは、政府に重要政策の意思決定能力が不足しているということである。暫定税率と子ども手当という2つの課題については、一長一短あると思うが、まぁまぁ理解できる結論だと思う。

(党の)重点要望でこのような解決を見ることには、いくつかの問題点がある。ひとつは、先述の通り、政府の責任を持った意思決定能力をもっと高めなくてはならないということである。もうひとつは、当初は業界団体や地方自治体からの陳情・要望をうまく拾って整理してまとめ、予算編成や税制改革に向けた国民からの貴重な要望という情報を、政府の意思決定の参考として入れるという位置づけだったものが、重点要望という、予算編成や政策(決定の)基本方針として出てきた。意思決定の政府への一元化という点において、今後課題を残すだろう。また、要望のなかには、例えば整備新幹線や高速道路料金など、マニフェストには(記載が)なかったものがあった。陳情・要望というレベルでは良いが、予算編成・税制改正に対する要望事項というかなり重みを持ったものになっていることから、国会を通さずに意思決定をできるという方向へ逆行してしまうという点で、大変に問題である。

マニフェストになかったものを入れる、あるいはマニフェストを修正することについては、国民に対して、重点要望の背景や整理した考え方の基準をしっかりと説明することが非常に重要である。

政府の意思決定能力について、民主党政権で期待された「変わる」というエンジン(ちから)になるところは、国家戦略局を軸にした、(政策の)企画・立案・意思決定を強固かつ透明性のあるものにしようということだった。ここが欠落していることによって、今回のように与党の重点要望に後押しされないと意思決定できない(という事態が起こった)。政府に対しては、ぜひ早急に、国家戦略局や行政刷新会議の位置づけ・機構を明確にし、法的な処理をして確固たるものにしていただきたい。

Q: 暫定税率と子ども手当について、「まぁまぁ理解できる結論」との発言があったが、子ども手当の所得制限を設けなかったことは正解だとお考えか。

桜井: 「まぁまぁ」というのは、政治的判断について(理解できるということ)である。マニフェストを維持することと、財政規律の面で、議論はあるものの国債発行を44兆円に維持したこと(から)、その意思決定における政治的判断で「まぁまぁ」の結論を得ていると評価する。

Q: 政府の重要政策への意思決定能力が不足しているとの発言があったが、巷間、小沢幹事長の影響力が言われている。代表幹事には小沢幹事長の影響力がどう映っているか。また、政府と党の力関係は、現在適切なものとお考えか。

桜井: 今回のことを見ていると、小沢幹事長の影響力は相当大きいと感じる。このままの状態では(政府への意思決定の)一元化に対して不安を持つ。二元(体制)における問題点としては、意思決定にさらに遅れが生じるであろうし、国民に対して非常に不透明な状態になるであろう。政策決定の政府への一元化は非常に重要である。小沢幹事長のご経験と遂行しようとしていることが強く出ていることもあるが、それはそれとして、国の運営に責任を持つ政府が、それ以上の強い意思を持つということが大事である。それがない限り(党の要望を)聞かざるを得ないという状況になるだろう。政府として、国に対する意識と具体的なビジョン、戦略というものをしっかりと作り込めるようにすることが大事である。

Q: 暫定税率について、マニフェストを変えたが、国民への説明は十分にされたと思われるか。

桜井: (政府の国民への説明は)十分ではない。テレビでの記者会見の様子や新聞報道から見ている限り、きちんとした説明はしていないのではないか。マニフェストは、国の政権をあずかる党が、重点政策や何年後にはこうするといった政策を(掲げて選挙に臨み)、(投票する)国民に約束したものなので、非常に重要である。状況が大きく変わるなかで、その位置付けを再評価することはあっても良い。しかし、(マニフェストの内容を)変える場合には、それを支持して投票した国民に対して、十分な説明をする必要がある。現在の(政府の)コメントでは不十分と言わざるを得ない。

Q: 最近の世論調査で鳩山内閣の支持率が急落していることについて、お考えを伺いたい。

桜井: (支持率が)落ちていることは確かで、落ちている理由も確かだろう。ただ、レベルとして50%前後ということは、まだそれだけ支持されているとも言える。まだ(内閣発足後)100日を過ぎたところということもあり、重要政策についての意思決定の延期(などの問題)さえ建て直すことができれば良いと思う。先ほど、国家戦略局について述べたが、なぜ国家戦略局が束ね役にならなくてはいけないか(を考えるべきだ)。いまは、閣僚がそれぞれに意思を持ってバラバラであることが見えている。予算編成を見ても、省庁のタテ割りがまだまだ改良されておらず、政務三役もタテ割りになり始めている。鳩山政権はこれらをしっかりと束ねることが重要で、(国民の支持も)ここにかかっていると思う。

Q: 民主党政権の運営全般について、もともと(民主党は)無駄を徹底的に排除すればいろいろなことが出来ると国民に夢を見せてきた。税収が思うように上がらなかったことはイレギュラーかもしれないが、結局財政は膨張し、約束を果たせないままマニフェストを修正することになった。何がいけなかったのかとお考えか。

桜井: 先ほどから申し上げている国民への説明に、絶対に必要なことがある。民主党はマニフェストで、(選挙当時)政権下の行政の無駄使いを洗い出せば、初年度(平成22年度)7.1兆円を弾き出せるとしていた。結局、それが実現できなかったことに、一番の問題がある。国民に説明する際には、単にマニフェストを修正するという説明だけではなく、削減できなかった理由を解説しなければならない。ここが非常に大事である。

新政権の良い点として、脱官僚で政務三役が前面に出て官僚に遠慮せず自らの考えを展開し、また、事業仕分けにも挑んで(無駄の排除を)徹底してやろうとした。これは評価すべきで、今後も予算編成において絶対にやるべきだ。それでもなおかつ(7.1兆円の捻出が)実現できなかったわけで、何が問題だったのか、どのような課題が残っているのかを明確にする必要がある。それによって、次年度(2011年度)には無駄な予算を立てずに済むだろう。そのためにも、早期に未達成の要因を調べておく必要がある。

Q: 行政の無駄の排除に関連して、民主党のマニフェスト(で掲げた)初年度7.1兆円の(財源が)確保ができていないことが、今回の予算編成が迷走した理由ではないか。事業仕分けで(出た財源は)初年度6,700億円で、7.1兆円の10分の1以下だった。そもそも民主党マニフェストの7.1兆円が虚構の数字だったのか、無駄に対する切り込み方が甘かったのか、それとも、(今回の事業仕分けは、対象)範囲を限定しての切り込み(だったの)で、これから(他の領域へ)つなげる余地があるのか。この点に関してどのようにお考えか。

桜井: 7.1兆円(という財源)には、事業仕分けで切り込めないものが多い。それは政策そのものに関わるからだ。事業仕分けは、政策の仕分けではなく、あくまでもその政策を前提としたお金の使い方、成果・効果の有無を調べたものだ。その事業仕分けの範疇では、数字の根拠はよく分からないが、3兆円(削減)というターゲットだった。もっと大きな観点で見れば、政策の重要性(の仕分けが必要)である。また、前政権が行ってきた既存の政策と、子ども手当や暫定税率廃止、高校授業料無料化など民主党が掲げた新しい政策とのウエイト付けに取り組まなければ、7.1兆円という数字は出てこないだろう。残念ながら、今回はそこまで至らなかったということだ。

Q: それは時間が足りなかったのか、それとも能力や気力が不足していたということか。

桜井: 国家戦略局ができて、全体の日本のあり方と今後の重要な政策を出していれば、そこで政策の仕分けができるし、新しい政策と既存の政策との仕分けもできる。この軸がなかったということだ。軸である国家戦略局を作らなかったのは、気力がなかったためかどうかはわからない。

Q: COP15が注目されるなかで閉幕した。先が見通せない結論になったが、今後日本として、鳩山政権が条件付きで提示した25%の削減目標を、次期枠組みを作るにあたってどのように扱うべきとお考えか。

桜井: (来年1月末までに)中期目標の提示があるが、そのあり方は、慎重に、(かつ)短期間のうちにスタンスをしっかりと決めることが必要である。経済同友会としても、緊急に提示に対してのあり方(について)の意見を集約し、年明け1月31日までの(削減目標)提示に間に合うように、政府に意見具申をしたい。

本日の時点で私見を申し上げれば、私はCOP15(の結果)に非常にがっかりしている。(一方で、)安堵している点もある。(それは、)先進国の責任感という背景が議論されず、また(公平性が)担保できないまま、(中期目標を)決めてしまうよりは、(今回の結果は)良かったと思う。

しかし反面、今後が大変難しいことが明らかになってきた。今まで何年も準備(期間)があり、国連の会合やワーキンググループ、サミットなどが開催され、問題点が明確に出ていたのに(も関わらず)、(当然のことではあるが)各国とも国益重視(の姿勢のまま)国益と国益のぶつかり合いで、これを一向に乗り越えることできなかった。今後1ヶ月の間に、(各国が)国益(重視)をある程度押さえ、共通の責任である「地球益」をより重要視していくという態度に変わってくるかというと、これは大変に難しい話であると思う。そのような環境のなかで、日本が中期目標を提示するということなので、慎重な考え方で進めることが必要である。

日本は、地球温暖化防止の能力を確実に持っている。今後より明確になってくる(地球)温暖化防止という課題に対して、(日本の持つ能力を)有効に活用していき、それが日本の国益に繋がり、そして日本の世界への貢献に繋がるという構図を作りあげるために、(国際)公約としての中期目標がどうあろうとも、日本の技術革新やプロセス革新を起こしていくにふさわしい(中期)目標を日本国のなかで決め、低炭素社会世界一の国を作り上げていくことが非常に大事ではないか。

Q: 25%削減という数字にこだわる必要はないということか。

桜井: それも含めて、1月の半ば以降に(経済同友会としての意見)を出す。

Q: 鳩山総理は25%という削減目標で世界をリードすると言われていたが、COP15の現場を見た記者によれば、日本は(交渉の)蚊帳の外に近い状況だったようだ。(日本が)高い目標値を掲げて世界を引っ張っていくのは土台無理なのでは、という意見もあるが、いかがか。

桜井: 今回の結果を見ると、土台無理だ。冒頭には2050年までの(温室効果ガス発生量)半減や、先進国は意欲的な目標を立てて新興国・途上国を含めた全員参加の枠組みを作る、という議論があった。しかし、その後の展開は、中国と米国の対立構造が目立ち、いかに相互が納得する結論を導き出すかという議論に終始してしまった。最後の全体会議では、中国と米国よる政治合意に対して、途上国、特に被害国が生存権を主張して猛反対した。結局この構図ばかりが目立ち、高い目標値といった次元の話は出す場もなかったのではないか。

今後、次期枠組みを作るうえで、日本のリーダーシップを考えれば、単に来年1月末に先進国が目標値を提示するというだけでなく、米国と中国に対してもっと責任を持つよう、日本が迫れるかどうかだろう。米国は、常に経済成長を止めてはいけない、また公平性の観点から中国が義務的な目標を持たない限り認めないとの姿勢を崩さないだろう。片や中国は、常に過去の責任論ばかりで、責任は先進国だと主張し、先進国に徹底的に高い目標を求めて自らは成長ののりしろを確保したい、と(いう姿勢である)。つまりすべて国益(ばかり)の話である。この二大排出大国および二大経済大国の姿勢が変わらない限り、次期枠組み(づくり)は進まない。米国と中国に地球に対する責任(感)をいかに持ってもらうかを、日本がリーダーシップを執って説得していくかに掛かっている。その意味では、欧州と組んで進めるべきだ。日本のリーダーシップを発揮できる余地は、ここにしかないと思う。

Q: 今年を振り返ると、急激な減産に伴う雇用の減少や派遣切りから幕を開けた。また年が明けると、雇用や春闘の議論が盛り上がると思うが、来年の労使交渉の争点についてはどのようにお考えか。

桜井: 雇用問題については、まだまだ雇用の過剰感はあるものの、これからこの大きな雇用問題に対して責任を果たし(雇用を)維持していこうとしている。また、新卒で雇用機会を失うなど、再び就職氷河期のように定着化するような事態はできるだけ避けていこうとしている。おそらく春闘でも、賃金の定昇よりも、雇用の維持、あるいは新卒の可能な限りの採用が焦点になるのではないか。

Q: 賃金に関して、労働側は今回ベア要求を見送って、賃金価格の維持を訴えていきたいとの姿勢を示している。再び日本がデフレに陥ったなかでの来年の交渉になるが、賃金の扱いについて、使用者側としての見解を伺いたい。

桜井: それぞれの企業で考えることだろうが、定昇は非常に難しいのではないか。雇用維持に専念せざるを得ないと思う。経済同友会のアンケート調査や日銀短観を見ても、設備の過剰感や雇用の過剰感がまだまだ残っている。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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