代表幹事の発言

記者会見発言要旨(未定稿)

桜井 正光 代表幹事
小島 邦夫 専務理事

記者の質問に答える形で、(1)江利川前厚生労働次官の人事院人事官への国会同意人事案、(2)日本郵政の役員人事と郵政民営化の見直し、(3)税制改正、(4)税収減と2010年度予算編成、(5)複数年度予算、(6)2009年度第2次補正予算、(7)日本航空の再建問題、(8)国会審議の雰囲気、などについて発言があった。

Q: 本日昼、国会同意人事で、人事院人事官に前厚生労働次官の江利川氏をあてる案が出された。日本郵政社長人事に続き、民主党が掲げる「脱官僚」に反する官僚起用という批判もあるが、代表幹事の所見を伺いたい。

桜井: 終始一貫していただきたい。

小島: 公務員の人事管理という人事院の性格(ゆえという考え)は多少あるかもしれない。

Q: 日本郵政の役員人事が決着し、取締役に多くの官僚経験者が起用された。亀井担当大臣は本日昼の予算委員会で、「世界でも有数の大企業になるので官僚が入ることは悪いことではない」と表明しているが、改めて日本郵政の役員の布陣について、所見を伺いたい。

桜井: 行政の地域における均一サービスの拠点、という前提で考えればそのようなシナリオになるのかとは思うが、ここに至った郵政民営化の見直しがなぜ必要なのか、という説明が、国民に対してしっかりとなされていない。人事の問題以前に、郵政民営化の見直しがなぜ必要で、具体的にどのような方向にあるべきか、についての正当性、妥当性に(問題の)原点がある。これについて、今後の国会審議や法案の提出にあたり、十分に説明されることが非常に重要である。

Q: 牛尾元代表幹事や奥谷幹事、丹羽元委員長など、経済同友会の関係者で日本郵政の取締役だった方々が去る形となった。民営化の必要性を強く主張されていたメンバーが退任されたことについて、感想を伺いたい。

桜井: 先述の通り、なぜ(見直しが)必要なのかについて説明がない限り、コメントのしようがない。経済同友会の先輩やメンバーが(日本郵政の取締役を)辞任したことについては、特別な感想はない。

Q: 日本郵政の役員人事について、「追い出されたのは同友会の方々」と経済同友会を名指しする見方もあるが、喧嘩を売られた、という印象はないか。

桜井: そのような感覚はまったくない。何よりも(郵政民営化の見直しについて)もっと説明していただきたい。

これは郵政民営化(見直し)に限った問題ではない。今後政権が、大きな変革を起こそう、あるいは法案を提出しようとする際、重要な意思決定をするプロセスを、もっと透明性の高いものにしていただきたい。それが非常に大事なことだと思っている。

人事に関して、経済同友会が狙い打ちされたなどとは思っていない。例えば、国土交通省や経済産業省の成長戦略会議や行政刷新会議などに、経済同友会の幹部が起用されているが、それを喜んでいる訳でもない。もっと志が高い。経営者にとって人事は大切であるが、人事において好き嫌いで考えていては経営は成り立たず、経営者はそのようなことはあまり考えない。

Q: 日本郵政の役員人事の決め方について、担当大臣が先に決めてしまって、委員会等設置会社のあるべき手続きはまったく踏まれなかった。このやり方についてはいかがお考えか。

桜井: それも良くない。人事を急ぐからそうなったのだろう。先に社外役員の辞任を促し、指名委員会が開けない状態になった。本来は、新しい郵政が始まる時点で今後の方針が示されるべきだったが、順番がおかしかった。

Q: (10月)20日に、郵政民営化の見直しに関する基本方針が閣議決定されているが。

小島: 具体的な中身はほとんどなかった。

桜井: 中身が十分検討されないうちに、方向性だけで、先に組織や人事を変えてしまうというのは、手順的にも非常に問題があるではないか。

Q: 今回の(郵政)人事について、なぜ(見直し)かがわからないというお話だが、郵政改革にとって大きなマイナス、逆に戻す動きだと評価されるか。

桜井: 見直しの方向についてはそう考えている。人事が改革に逆行するものかについては、見直しの具体的内容次第だろう。

Q: 2009年度の税収が40兆円を切るという厳しい状況のなかで、どのように税制改正を進めればよいとお考えか。

桜井: 税収の落ち込みや各省から出ている減税施策と、民主党が主張する「生活者第一」(の政策)の取り込み重点で、今後の成長戦略、そして全体的な財政健全化に関する議論が不足しているなかで、時間が限られていることもあるが、トータルで必要な税収額とのバランスをとる税制改正になってしまっており、非常に残念である。

Q: 税制改正について、暫定税率の廃止と環境税を衣替えで導入するとの議論がある。暫定税率廃止に対する認識と、環境税導入の是非についての所見を伺いたい。

桜井: 民主党は暫定税率廃止をマニフェストで掲げていた。まず、暫定税率の廃止は税収減につながるが、その分をどう補充するかについては、マニフェストを作る段階でプランを立てておくべきであった。次に、埋め合わせのために環境税を、という趣旨では、環境税たるものの意味合いが不明確で、財源だけの環境税という色彩が強く、将来的に温暖化防止活動のネックになりかねない。環境税の本質的な意味合いは何か(をしっかり認識すべきである)。地球温暖化を食い止めるために、環境税があることによって、温室効果ガス発生量の多いサービスを国民が回避するという動きにつなげなくてはならない。温室効果ガス削減に役に立つサービスを国民がこぞって選ぶインセンティブにならなくてはならない。その意味で、揮発油税や軽油税を単純に衣替えするということではいけない。温室効果ガス発生に対応した税率を設定する。(天然)ガスや石炭なども含めて、総合的に考え制度設計をしていかなければならない。現在の税制と組み替えなければならない部分がかなり出てくる。

Q: 代表幹事は、環境税導入に賛成か、反対か。

桜井: 前述のような「インセンティブの環境税」という趣旨での導入は賛成である。しかし、実現のためには、総合的に、対象は何か、何にどのくらいかけるか、各々の料率をどうするか、現行の税制との組み替えをどうするか、などをしっかりと組み込んでいかなければならないので、すぐにできるとは考えていない。それなりの時間が必要だ。

Q: 暫定税率は廃止すべきか。

桜井: 以前から申し上げているが、廃止は慎重にすべきだ。

Q: 愛煙家である代表幹事に、たばこ税の増税には賛成か、反対かについて伺いたい。

桜井: 愛煙家なので個人的な意見になるが、(増税に)抵抗感はない。自身のたばこに対する考え方と家計と(のバランス)を鑑みれば、選択肢はある。また、法人税でも同様だが、ある程度の国際比較が大事である。

Q: (たばこが)値上がりしたらやめるか。

桜井: やめないだろう。そう考えると、ある程度の値ごろ感でお願いしたい。国際比較で見れば、例えば米国で700円程度、欧州で800円程度なので、(日本でも)600~700円程度が良い線ではないか。

Q: 4~9月の税収が大幅に下がり、今年度の税収見込みは30兆円後半になると言われているなか、鳩山総理は2日の衆院予算委員会で、国債発行額を44兆円以下に抑えると発言された。税収の減り方についての率直なお考えと、予算編成にあたって(国債発行を)44兆円以下に抑えるためにどうすべきとお考えか。

桜井: 我々も鳩山総理に問うてみたい思いである。税収が大幅に下がり、(09年度当初見通しから)約6兆円のマイナスとなる予想である。かたや歳出の(2010年度予算の)概算要求額は95兆円を超える規模で、歳入と歳出の間に大きなギャップがある。そこで、いわゆる埋蔵金を使い、さらには国債発行も、ということになっている。(第一に)国債発行高をいかにシーリングするかが重要である。(次に限度額だが)この444兆円という数字も、当初の09年度予算(分)は33兆円で、そこに11兆円の補正予算(分)を加えた数字である。一般歳出をどの程度の規模にするのか等、まだまだ方法や手段はあるはずである。政治の責任で、まず国債発行高(の上限)をどのレベルにするのかを明言しなければ、それ以外のことが決められない。

Q: 予算編成について、複数年度予算が検討されているが、どのようにお考えか。

桜井: 複数年度、通年予算には大いに賛成である。(単年度予算では)一度組んだ予算をすべて使い切らなければならないという問題がある。政策のなかには、単年度で終わるものだけでなく、中期計画の下に行われる政策もあり、それについては通期で予算を組むことも大事である。ただし、その(通年予算を組む)際にはしっかりとした準備が必要である。例えば3年計画の場合、最終的にはどのレベルまでやるのか、どういう成果を出すのか、また、初年度はどこまでのステップでどれだけの成果を出すのか、等について明確にしておく必要がある。(政府の国家戦略室の検討委員会は)「政策達成目標」制度と呼んでいるが、徹底していただきたい。

もうひとつ、事業仕分けは大変重要だが、年度予算計画のときに実施すべきである。政策達成目標制度では、その政策を作るとき、年度予算を組むときに目標値を設定し、評価できるようにしておくこと(が大事である)。加えて、その政策の必要性についても、事業仕分け的な方法で優先順位を明確にして、予算を編成するやり方が良いだろう。

Q: 政府は、来年1月の通常国会に2009年度第2次補正予算案を提出するのは、景気の2番底を防止するためと言っている。税収が落ち込み、歳出削減もすぐにはうまく行かないというなかで、補正予算をどうすべきか。消費者物価指数も落ち込み、雇用も少し改善したものの依然厳しい状況だ。今後の景気動向の認識と補正(予算)について、どう対処すべきとお考えか。財源の問題も含めてお考えを伺いたい。

桜井: 補正しなければならない要項としては、雇用問題や景気の後退、2番底を防ぐという点があるだろう。必要性を考えれば種々出てくるが、景気の現況や今後の景気動向を整理して認識する必要がある。すなわち財政健全化への道筋を立てることが非常に大事である。その枠のなかで、必要な補正(予算額)をどの程度におさめるかを描いていくことが必要であろう。鳩山総理は所信表明演説で、生活者の不安解消などに必要な財政構造を固めた上で次に財政規律を、と述べられたが、まず財政規律、財政健全化の大きなプランニングを出し、そのなかでの補正予算を描いていかないと、将来不安を拡大することになりかねないと思う。

Q: 亀井大臣は、2番底(を回避する)には10兆円くらい必要、とかなり影響力のある発言をされているが、今の足下や今後の景気見通しを考えた時に、補正予算はどれくらい規模であるべきとお考えか。

桜井: (規模については)回答は持ち合わせていないが、景気の現状認識と、2番底を避けるための補正と、財政規律という3つの組み合わせをしっかり描いて(補正の規模を)出さなければならないだろう。

Q: 財政規律を損なうような2次補正は必要ないということか。

桜井: 不要だとは言っていない。必要だとしてもその(規律の)中でレベルを抑えなければならない。

Q: 日本航空の再建について、先日、企業再生支援機構に委ねられることが決まり、企業年金の債務の扱いが最大のポイントと言われている。これについて、どのように問題を解決していけば良いとお考えか。

桜井: 国と企業再生支援機構が、日本航空の資産状況を整理、調査して、今後の再建計画を作っていくという段階なので、これをしっかりと見守りたい。今度の再建計画では、公的資金の投入が多分に出てくるだろうから、しっかりとした査定と再建できるという確かな計画で、公的資金の投入が国民の負担に跳ね返ってこないように、策定していただくことが重要である。(企業)年金問題をどう解決するかは、政府(および再生機構)と日本航空との間、本質的には日本航空と年金受給者であるOBとの間の契約の問題なので、適切な回答を見出すことが望まれる。

Q: 日本航空の企業年金の給付水準引き下げはやむを得ないのではないか、という声があるが、この点についてはどのようにお考えか。

桜井: コメントのしようがない。

Q: 国会審議について、攻守交替で雰囲気は変わったように感じるが、代表幹事はどのような印象をお持ちか。

桜井: 雰囲気は変わったと思う。今のところはまだ、代表質問が終わり、予算委員会に入ったばかりだが、与・野党双方まだ戸惑っているという印象だ。

代表質問での大きな課題としては、2010年度予算編成、外交問題、景気対策の3つだろうが、具体的なところまでは踏み込めておらず、これは代表質問の(形式上の)限界だろう。野党・自民党と政権与党との応答の多くは噛み合っていなかったようにも思う。今後の予算委員会や法案の審議等で、新しい国会の議論が深掘りされていくのか、そうはならないのかが見えてくると思う。

望みたいのは、時間的には厳しい状況であるが、与・野党双方が、新しい政権政党の下に新しい変革を起こし、最終的には日本の成長と発展を担保するスタートにあたる国会であるとの一念で、審議、議論を行っていただきたい。

(文責:経済同友会事務局)

以上

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