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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2009年10月06日(火)13:30~
出席者 桜井 正光 代表幹事
小島 邦夫 専務理事

記者の質問に答える形で、(1)税制改正、(2)円高の企業業績への影響、(3)鳩山内閣の印象、(4)日本郵政の経営陣一新、(5)亀井大臣による「家族間殺人増加の経営者責任」発言、(6)民主党の亀井大臣への対応、(7)返済猶予法案、(8)国家戦略局(室)、(9)日本航空の経営再建、(10)行政刷新会議のメンバー、などについて発言があった。

Q: 今後本格的に進む税制改正議論について伺いたい。新しく設置された政府税調では、租税特別措置の見直しや暫定税率の廃止、一方で地球温暖化対策税を設けるなど、斬新なことをやろうとしている。経済同友会としては、来年度の税制改正をどのように進めたらよいとお考えか。

桜井: (2010年度の)税制改正(への要望)という切り口だけで(意見書を)まとめる予定はない。(税制は、)今後の日本のあり方(を決め)、各政策を展開する(ために重要な)ものなので、総合的な抜本改革が必要である。新政権として(主張している)「生活第一」を起点として必要となる税制(改正)だけではない。社会保障、地球環境、経済活性化など多方面での税制措置が必要なので、総合的に検討していただきたい。

日本の財政は非常に痛んでいるため、財政健全化という視点で必要な税制をとっていく必要がある。その中には、消費税の問題があり、先になるかもしれないが法人税の問題もある。これらを視野に入れた税制改革にしていただきたい。基本的には、国民の視点から、国民負担率の問題を外してはならない。

小島: 誤解のないように申し上げるが、経済同友会は、新年度の税制改正に向けた要望は毎年出していない。

Q: このところ円高傾向にある。為替の動向を踏まえ、企業の下期の業績に与える影響について伺いたい。

桜井: 輸出型企業やグローバル展開型企業は、(1ドル)95円程度、90~95円を基準においているので、90円台を割る円高の方向に向かうとダメージは大きい。(業績に対する)減益要素になり、非常に厳しいだろう。但し、為替の問題は私たち(企業)が人為的に処理できる話ではない。企業経営から見ると、一年以内で5円、あるいはそれ以上振れるのは厳しいので、為替は安定的な推移であってほしいと思う。

Q: 鳩山内閣発足後、初の定例会見となる。八ツ場ダムやJALの再建などいろいろな問題が起きているが、鳩山内閣の印象を伺いたい。

桜井: 経済同友会では、総選挙で民主党が勝った直後(8月31日)に意見書「新政権に望む」を発表した。新政権に望むことは、まずこの意見書が基調である。内容は、「国民生活第一」は重要だが、責任政党としてこれから日本の運営、舵取りをしていくためには、財政健全化が重要な要素になるということをベースに、成長戦略、社会保障制度と税制の一体改革、歳出削減を徹底するための行政改革などを軸に述べた。新政権発足からまだ3週間しか経っていないので、まだ評価は早いと思うが、新政権への評価と課題を3点申し上げる。

(評価する)一つは、地球温暖化の問題である。経済同友会の地球環境問題委員会では、90年比マイナス7%(の温室効果ガス削減の中期目標)を提言した。(鳩山政権の掲げる90年比25%削減という中期目標は、)それを遥かに超えており実現可能性についての問題点はあるが、世界が全員参加で地球の気温上昇を2度以内に阻止するという視点から考えると、これは必要なハイレベルの目標値ということである。かつ「主要排出国が野心的な目標をもって全員参加する」ことを前提にしていることも併せて評価したい。今後は、第一に、実現のための道筋、具体的施策を固めていくことが必要であると思う。第二に、前提条件である「主要排出国の野心的な目標を持った参画」のために、新興国や途上国への日本の技術や資金支援のあり方や制度設計が大事だと思う。第三に、国民への説明がある。いまは、削減の活動が、コスト・負担という一面的な説明しかしていない。技術革新や生活スタイルの革新など、多くの変革をしなければならない。この変革の成果・効果が、どれだけのGDP(押し上げ/下押し)、国民負担になるのか。国民に対する受益と負担という両面で提示し、国民の理解を得ることが重要である。この三点を明確にするためには、経済同友会として、また私見も含め、積極的に(政権に)支援、協力をしていきたい。

(評価する)二つ目は、補正予算および概算要求を根底からゼロベースで見直そう、ということについてである。これまでの通例ではなく、政策重点で、ゼロベースで予算を編成する、これに対して政務三役が主体的に動いていることについて、評価したい。期待としては、この見直しを通じて、政策と金額の話だけではなく、優先度の低い政策を生み出している背景、すなわち制度自体の問題をも見直し、次の2011年度以降の予算編成に向けた制度改革にもつなげてほしい。国家戦略室に「予算編成のあり方検討委員会」を設置したが、大いに期待したい。

三つ目は(課題だが)、意見書「新政権に望む」でも述べた通り、これからの日本の再生には、「生活第一」と同時に、経済の活力も非常に大事である。経済活性化には、構造改革、なかでも規制改革によって民間の力を存分に発揮させるという視点が失われては困る。顕著なものとして、郵政民営化に相当なブレーキが掛かり始めていることを挙げたい。郵政民営化の目的は何かという本質を、もう一度しっかりと確認していただきたい。郵貯・簡保で集めた政府保証付きのお金を、政府系の独立行政法人等の「官」に使っており、ここに無駄な使い方が多いという問題があった。(つまり、)有利な条件で集めた民間の資金が官の無駄遣いに流れていくという構図を直そう、というのが郵政民営化(の狙い)であった。この当初の目的をしっかりと捉え、郵政民営化(の推進上)に問題があれば、その問題事項をどのように補正・修正していくかを考えるべきである。一足飛びに、分社化や株式売却など郵政民営化の根本的なところを変えていこうと(いう方向に)なるのは、どうしても考えられない。民主党は政権政党として、責任を持ち、本質を捉え郵政民営化について、適切な修正を図っていく方向に行ってほしい。

Q: 郵政民営化について、亀井郵政・金融担当大臣から、(日本)郵政(株式会社)の経営者を一新するとの発言があった。西川社長だけではなく、社外取締役も対象にするとの意向を示したが、(役員)全員を一新することの必要性について、またその際の影響について、どのようにお考えか。

桜井: 西川社長についても、経営陣全員の一新にしても、基本として守るべきことは、郵政(株式会社は)民営化会社である。日本郵政は、委員会等設置会社であり、その指名委員会の答申を大事にしてほしい。また、西川社長や役員の辞任を要請することについて、なぜ要請しなければならないのか、なぜ辞任しなければならないのかを明確にしていただかないと、国民も理解できない。これについては説明不足であると思っている。仮にも民営化の方向へ進もうと思っているなかで、政府が(過度に)人事に介入するのであれば、十分な説明が必要だと思っている。

Q: (経営者一新の必要について)説明不足とのことだが、亀井郵政・金融担当大臣およびその周辺の方々は、「日本郵政のあり方が変わる以上はこれまでの経営者には代わっていただく」という言い方をしている。この説明では不足ということか。

桜井: それは説明ではない。日本郵政の経営陣の方々も、(日本郵政のあり方が)変わるとは考えていないのではないか。民営化の路線のなかで、郵政事業が国民に対して効率の良いサービスを提供し、国民から預かったお金を有効に、経済の活性化のために使っていくという信念を持ってやってきていると思う。今後もその路線を維持していくことが、経営陣の役割である。

説明責任という意味で補足すれば、郵政事業の利益は、公社時代よりも民営化路線以降の1年半の方が上がっており、成果を上げている。一律的なサービスの低下や不祥事など個々の問題が出ているが、特に不祥事については民営化以前、公社かそれ以前からの問題である。現経営陣は、(問題の多かった)郵政のファミリー企業を整理し、問題の温床を無くすことに尽力されてきた。郵政民営化委員会でも、進んでいる点と問題点についてのヒアリングと評価が行われている。そうした事実を視野に入れた上で、民営化の問題点があれば、それをどのように修正するかを導き出していただきたい。

Q: 国民新党は、郵政民営化に反対してきた経緯がある。(民営化の動きを)戻そうとしている亀井大臣について、民主党は止めようとせず放置している感があるが、どう思われるか。

桜井: 新政権の軸である民主党としての適切な判断を期待している。

Q: 亀井大臣が発言されている中小企業に対するモラトリアム(返済猶予法案)については、いかがお考えか。

桜井: 状況がよくわからない。過去に前例は一度だけあったが、相当非常事態的な処置であった。(実施した場合の)今後の影響などを考えると、かなり慎重に結論を出すことが求められるだろう。

Q: 「今後の影響」とは、どういう意味か。

桜井: (厳しい経済)状況のなかで(経営が苦しい企業を)救う方が良いのだろうが、見境なく救うという方向であれば、そのツケは「税」という形で国民負担として返ってくる。また、(実施の)方式にもよるが、金融機関としても、企業の健全性を保つという立場上、貸し渋りなど逆の方向へ向かう可能性も否定できない。そういう意味で、モラトリアムがどのような影響を及ぼすか、リスク等について、十分に精査した上で結論を出していただきたい。

Q: 亀井郵政・金融担当大臣の昨日の講演で、「家族間の殺人が増えているのは大企業の経営者のやり方に問題がある」との発言があった。今朝の閣議後の会見でも同様の発言の上で、経済同友会にも同じ趣旨のことを伝えたことがあると言われた。同友会では、(以前)亀井大臣から(直接)お聞きになったことがあるか。また、この発言についてどう思われるか。

桜井: 国民新党との意見交換会は選挙前に行い、昔の経済同友会は、政府に対してもっと強烈に叱咤激励をしてくれたと(いうお話で)。同友会へもむしろ逆に叱咤激励を受けた。発言については、子育てに企業が全く無関係ということではないが、なぜ経営者の問題なのか、なぜ企業の責任なのか、亀井大臣がどのような思いで発言されたのかは分からない。

Q: 温暖化対策について、「経済同友会として積極的に支援していきたい」との発言があったが、具体的に想定されていることはあるか。また、リコーが参加しているJapan-CLP(日本気候リーダーズ・パートナーシップ)が関わることはあるか。

桜井: CLPは別として、今後25%削減(という中期目標)をいかに達成するか、その道筋について、全排出量の6~7割に起因している産業界として、達成に向けてどう動いていくかを議論し、提案しなければいけない。限界ということも含めて、政権に対して表明することも必要になってくるだろう。(産業界が)努力していくにあたって、政府としてどのような環境作りをすべきか、例えば、促進税制や顧客価値、環境ニーズを喚起するための環境税の導入等もあるのではないか。また、排出権(取引)についても、(参加するかしないかは企業の判断だが、)適切な炭素価格(価値)を設定するためにはひとつの有効な一手段だと思うので、その活用法も考えていくべきだろう。あるいは、どのような技術革新を急ぐべきかというテーマもある。基本的には、2020年(まで)という期間では技術革新に期待するところは少ない。2030~2040年というスパンで考えると技術革新はかなり期待できるだろうが、(中期目標に向けては)現在持っている技術、例えば、家電製品や自動車、オフィス機器での省エネ、新エネ商品の普及・促進を図る環境づくりが考えられる。支援とは減税や補填ばかりではない。基本的にやるべきことは中期目標検討委員会のレポートにほぼ出揃っているので、どこに集中するかなどの議論が必要であろう。

Q: 年内にCOP15が開催されるが、これに向けて年内に提言を出す予定はあるか。

桜井: それはない。政府がすべきは先述の3点、すなわち(25%削減に向けた)道筋、新興国に対する支援、そして国民への受益と負担を提示した説明、これを行った上でCOP15に臨むべきである。この3点に対しての大枠、骨格だけでも(COP15までに)準備しておく必要がある。それを経済同友会が提言するということではなく、政府の骨格づくりに対して協議、協力をしていくということである。

Q: 今まで産業界は自主的な削減目標を決めて活動するという方式だった。(政府は)キャップ・アンド・トレードを前提にしており、(今までのやり方は)無意味になってしまうと思うがいかがか。

桜井: 私見で述べる。25%(削減)が(中期)目標になるかどうかは、新興国を含めた主要排出国の全員参加で決まるが、いずれにしても、従来の(京都議定書のような)6%程度ではなく、もっと高い目標値になるだろう。そうなると、自主計画というレベルではなく、義務的目標が必要になってくる。

Q: 「積極的に(政府に)支援、協力したい」との発言があったが、具体的に政府と協議する枠組みのようなものを想定されているのか。

桜井: 政府で家計の経済負担の見直しが始まっており、これが今後の25%(削減)達成の道筋議論のための会議体であると認識している。現時点で、経済同友会として提案しているわけではないが、今後、その(政府の)会議体との連携が必要になってくるだろう。

Q: 省エネ・新エネ商品の普及のための支援が必要という発言があった。省エネ家電のエコポイントや自動車の(エコカー)減税などはまだ効果が続いていると思うが、新政権でも、前(政権)の政策で良いものは残していくべきとお考えか。あるいは新しい政策を打ち出すべきとお考えか。

桜井: (前政権の政策で良いものは)残せばよいと思う。但し、政府が需要を喚起させるという意味で、エコポイントや(資金の)補填といった制度をずっと続けるわけにはいかない。財政支出を続けるのでは、低炭素社会づくりが自律的に動き出さない。大事なのは、自律的な経済・産業活動に結びつけなくてはならないということである。刺激によって生まれた動きを経済や産業の動きへとつなげていくことが重要である。産業界が責任を負っている。望ましいのは、補助金無しでもこぞって買ってもらえる商品・サービスを企業が提供すること、また、お客様も地球温暖化阻止は大きな国際的なニーズだと認識し、少々価格が高くても購入するという市場になることである。環境税の働きはそこにある、と私は考えている。

Q: 新しい政権に期待するなかで、国家戦略局の位置づけを高く持たれていると思うが、(これに)なかなか魂が入らない、動きがない状況である。この背景として、官僚主導が抜け切れないのではないかという印象を持っているが、いかがか。

桜井: 私に聞くことではないと思うが、敢えて述べるならば、国家戦略局(室)の重要性は言うまでもない。国の方向性や経済・財政のあり方を決め、予算編成の大本の方針を定め、予算編成の実務をチェックし、その後もある程度の関わりをもっていく組織である。企業で言えば、経営戦略室や経営企画室に相当し、最高経営責任者である鳩山総理にとって重要な存在となる。国家戦略局(室)が十分な役割を果たしていけるようにすることは、(政権にとって)最優先課題だと思う。それがなぜ、まだ作ろうとしていないのかは私の想像を超えている。鳩山総理も満足していないのではないか。(まず)「室」という単位で機能させていくのは手順としては結構だろうが、今後、(法的に位置づけが明確な)戦略「局」として動いていけるようにすることは、ぜひとも必要であろう。

小島: まだ約3週間なので、(今後どうなるかは)もう少し時間をかけて見極めていく必要があるだろう。

Q: 日本航空の経営再建問題について、どこに問題があって、どう(再建を)進めていくべきか、経営者の立場から伺いたい。

桜井: 日本航空の経営については詳細を知らず、報道による情報でしか分からない。対応として、国がどの程度関わりを持っていくのかは、最終的に国民の負担になることはできる限り排除して取り組んでいただきたい。

Q: 行政刷新会議のメンバーが本日発表された。経済同友会の元副代表幹事の茂木友三郎氏(キッコーマン会長)も入られたが、メンバーについて印象を伺いたい。

桜井: 茂木さんがメンバーとして入られたことは、これまで行政減量・効率化有識者会議で徹底して活動されてきた(経験を活かす)流れだろう。(有識者会議での)茂木さんたちの提案は、必ずしもその時の政権に十分には受け止めらなかったと思うが、新政権では、これまでの経験や得られた情報、問題点等が活かされる。そのような方が入られるのは非常に良いのではないか。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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