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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2009年07月28日(火)13:30~
出席者 桜井 正光 代表幹事
小島 邦夫 専務理事

冒頭、桜井代表幹事より、「衆議院議員選挙の投票率向上のための経済同友会の取り組み」について説明し、その後、記者の質問に答える形で、(1)民主党の政権政策マニフェスト2009、(2)企業・団体献金、(3)自民党のマニフェスト、(4)産業革新機構、などについて発言があった。

Q: 昨日、民主党がマニフェストを発表した。代表幹事の受け止めと、特に目を引く政策など、所見を伺いたい。

桜井: まず、前回(2005年9月の衆院選で)も(マニフェストを出されていたが)、政権選択、そして「民主党が政権と取ったならば」という責任の下にマニフェストが作られており、評価したい。発表形式においても、(鳩山)代表を含め責任者の方々が出席して説明し、質問にも丁寧に回答されており、観ていて責任政党としての心意気を感じることができた。

内容については、冒頭の(鳩山)代表のあいさつ部分に、マニフェストの力点をどこに置いているかがしっかりと述べられている。国民生活が第一であることにベースがあり、足下では予算の組み替えを行い、子育て・教育、年金・医療、地域主権、雇用・経済、この経済はカッコ付きくらいの内容かもしれないが、とにかく力点・論点として挙げるのはここだ、とはっきり述べられていることは、非常に明快で分かりやすい。

しかし、国民生活が第一というときに、国民生活をいかに支援するか、家計を中心に余裕を持ってもらうという視点があまりにも強すぎて、他の重要な要素が不足していると思う。当会の夏季セミナーでも議論したが、今回の政権選択選挙では、まず、しっかりとしたマニフェストを書いてほしい、そのマニフェストを基に論争を展開してほしい、それが国民に行き渡ることが大事で、そして国民が選択の1票を投じる、というステップが非常に大事である。原点はマニフェストである。特に、政権選択を意識した場合、マニフェストの中には、決して足下の問題や国民の家計の問題のみならず、将来日本をどうしていくかという原点を置かなくては(ならない)。この(足下志向の)マニフェストだけで行くと、日本の成長力、あるいは将来の日本の存在を危うくしかねないと思う。

問題事項や欠けている点を整理してみると、まず、「この国のかたち」が明示されていない。さらに、その重要な要素である「成長戦略」(が表現されていない)。即ち、少子高齢化・人口減少のなかで、いかに(国を)成長させ、経済のパイを大きくしていくかは非常に大事な視点であり、テーマでもある。また、それを実現していくために、従来やってきた「民の活力を大いに活用しよう」という経済活性化の視点からも大変重要であるはずの「構造改革」をどう捉えるのか(が述べられていない)。さらに、財政再建や財政規律の展開についてもだ。「国民生活第一」という視点に立った(施策)を、際限なくできる訳ではない。財政再建を大きなひとつの条件として政策を展開していかなければならないが、財政再建・税制については述べられていない。もうひとつの視点は、外交である。オバマ大統領の言を引くまでもないが、新しい責任の時代である。このグローバル社会のなかで、日本の国際社会に対する責任・役割について、「国のかたち」のひとつとして述べることが非常に重要である。

これらがあって初めて、国民が将来を託す政権を判断できる。その面の不足を指摘しておかなければならないと思っている。

Q: 以前、経済同友会ではマニフェストに書き込むべき項目について意見を出したが、それらの項目は入っているか。

桜井: (意見書「各党の『政権公約(マニフェスト)』に望む」で求めた事項は、今申し上げた中に)すべて入っている。見ていただければ分かるが、特に、我々は、今の経済危機をいかに脱出するかという視点については意識的に削除した。むしろ、今後経済を復興させ、活性化させ、将来の安心・安全な社会をどう作るのかという視点に(力点を)置いた。マニフェストで要望すべき事項として、まず国の統治機構をどうするのか。第二に、受益と負担。受益と負担の問題は、財政規律、社会保障、構造改革全般の問題が主体になる。第三の大きな事項は、成長戦略。この三部構成である。これと対応させて考えると、この「国のかたち」ほか前述の項目が欠けていると申し上げている。

Q: 民主党のマニフェストについて発言があったが、一番心配な点、足りない点はどこか。

桜井: 一番は、「国のかたち」である。(これが示されていないと、)国民(の判断)は偏りがちになる。「国のかたち」がはっきりしていれば、それを実現するために、国民に対して、生活の安心を可能とする施策や、その財源や財政規律などの政策課題も適切な対応の下に、示せるようになる。まず「国のかたち」(を示すことが必要である)。

「国のかたち」は、どう表現をしたら良いか分かりにくい。例えば、社会保障制度はどうあるべきか、財政規律はどうあるべきか、地方分権はどうすべきか、など、規制改革も含めて7つ、8つの重要項目がある。(「国のかたち」を示すというのは、)中・長期的に実現する社会保障制度とはいったい何かを明確にすること、あるいは、地方分権・道州制の最終的な形を明確にすることなど、各制度が辿り着くべき将来のかたちを明確に謳うことである。全部合わせて整合性をとるとどうなるかを描くことが、「国のかたち」なのである。「国のかたち」を(マニフェストに)書かずに、(各政策を)バラバラに表現するから、一つひとつの政策が良い、悪いということになる。本来は、この大元を束ねたものがないと、良し悪しを評価することができない。今度の政権選択選挙は、トータルの「国のかたち」、バランスのとれた「国のかたち」を描き、それぞれの政策項目を評価できるようにしたい。(各政党には)その論戦をしていただきたい。

Q: (民主党の)マニフェストのなかには、代表幹事が言う「国のかたち」について表現はなかったということか。であれば、今後の選挙戦のなかで明らかにしてほしいということか。

桜井: 「国のかたち」については書かれていない。8月の検証大会でも強くお願いしたいと思っている。

Q: (民主党の)マニフェストについて、何点くらいつけられるか。

桜井: 詳細な評価はこれからなので(採点は)時期尚早である。(検証大会が行われる)8月9日までに作る。もちろん、どちらが政権を取るかとは関係なく、絶対評価とする。

Q: 民主党は責任政党としてマニフェストを書いていることを評価した一方で、「国のかたち」が見えないと指摘された。このマニフェストの採点について、(今の時点では)難しいと思うが、満足いくものか不満足かというとどちらか。

桜井: (8月9日に予定している)マニフェストの検証大会でお話する。非常に大事な評価なので、同友会内でしっかりと議論し、(結論を)出すので、期待してほしい。

Q: (民主党の)マニフェストにはそれなりに財源が示してあるが、この示し方では財政規律の面から評価できないということか。

桜井: 100点の評価ができるかと言えば、まだまだと言わざるを得ない。民主党は、以前から財源をどうするのかと言われ続けてきたが、それに対して今回のマニフェストでは、各政策の所要資金はいくらか、その資金はどこから出すかということは書かれている。行政の無駄を9兆円程度減らすとあり、その主な項目は列挙されているが、その場合、具体的にどのように捻出するかが非常に大事になるはずである。政権責任政党となるとすれば、これから考えるのではなく、狙っている項目、(捻出できる)可能性があるのはどこか、というところにまで踏み込んでいただきたい。また、政権を取ってから、いかに政のイニシアティブ、リーダーシップを発揮して捻出するかという、大きな課題が出てくる。法改正や制度改革が必要なものもあるため、かなりのパワーが求められるだろう。政主導の政権運営体制はどうあるべきか、今度のマニフェストにはそうした統治機構について、5つの原則と5つの策として詳しく述べられているが、これを機能させるためには時間がかかるだろう。(話を財源に戻すと、)これで十分なのかと言えば、行政の無駄をなくすだけで果たして必要な財源を確保できるのかは、分かり難い。

小島: 基本的な部分で、財政規律をどうするのかがまったく書かれていない。今ある大きな借金をどうするのか、それを前提に今後の財政をどうすべきかを考えていかなければならないはずだが、今回のマニフェストはそこに触れていないことが問題だと思う。

Q: 21世紀臨調主催で行われる(自・公連立政権「政権実績」)検証大会と(自民党、民主党「政権公約・政権運営ビジョン」)検証大会を実施することの意義について伺いたい。また、これらに臨むにあたり、どのような観点を重視しているか。

桜井: マニフェストの意義については、特に、今回のような政権選択選挙となれば、国民はいずれかの政党に政権を任せることになり、その責任の果たし方をしっかりと明記することが求められる。(マニフェストの明示を)口で要望しているだけでは定着しないが、メディアの皆さんの協力も得て、マニフェストがどういう意味合いを持ち、どれだけ重要かということが(国民の間にも)かなり浸透していきている。本日の朝刊各紙の一面にもマニフェストについて書かれていたが、かつてここまで取り上げられたことはなかったのではないか。メディアの方々も(マニフェストの明示の重要性に)賛同してくださっていると実感させられた。選挙において、国民に約束事を開示することの大切さが理解されるようになってきたと思う。

マニフェストの検証大会の意図は、選挙で明示したマニフェスト(そのもの)を評価する以上に、先ずは、約束事として出されたものの実績が評価できることが重要である。(そのためにも)進捗状況や実績を評価できるに足る内容であるかが大きなポイントとなる。また、この評価・検証大会は、各党の比較であり、同じ政策のゴール、レベル、質の違いをオープンな場で検証すると共に、一方の政党では重視されている政策が、他方の政党には書かれていないなどの差異も見なければならない。そうしたことを明らかにできるという意味でも、検証大会は非常に重要な役割を果たすことになると考えている。

Q: 今回の民主党のマニフェストでは、子育て支援など家計を助ける政策が中心になっている。家計に対する援助は、消費に回り、内需中心の経済成長につながるのか、それとも将来の姿が見えないだけに、将来不安から(家計への援助が)貯蓄に回るのか。民主党の政策の(経済への)影響についてどのようにお考えか。

桜井: さまざまな見方があるだろうが、社会保障をはじめ、将来の日本の経済の改革や成長の方向性が見えていれば、子育て・教育等への支援といった目的系の支援策を積極的に享受・活用しようという動きになり、消費にもつながるだろう。将来への安心感があれば、各支援策の効果は大いに出てくるはずである。一方、将来の姿が見えない場合には、まず貯蓄や借金の返済などに回すことになるだろう。

子育てや教育(支援)が重要でない、と申し上げているわけではない。今後の日本の将来や経済成長を考える場合、いかに人口減少を食い止め、働き手を増やすかが非常に大事であり、そのための政策は重要であると考えている。

メディアの調査を見る限り、次期選挙で期待する政策について、国民と企業・経営者とでは若干異なる。企業・経営者は一番に成長戦略を望んでいるが、国民は社会保障の充実などへの期待がもっとも高く、将来への不安の表れの一つだと思う。

Q: かねてより、代表幹事は、中・長期の成長戦略の重要性を主張されており、(今回の民主党のマニフェストについても)経済活性化への言及が足りないとのことだった。民主党が掲げたマニフェストに関して、経済・雇用や中小企業に対する税率の引き下げについて、どう受け止めているか。また、温暖化では、(2020年までに温暖化ガス)25%削減(1990年度比)のために、キャップアンドトレードの創設や環境税(地球温暖化対策税)の導入を検討するとしているが、25%削減への道筋として、示している青写真は十分とお考えか。

桜井: 成長戦略の観点においても、景気後退局面から脱して経済の活性化を図り、今後の経済成長を目指すうえでも、中小(企業)対策は非常に重要である。ただし、中小企業の問題を一般論で語ることはできない。今後の経済成長を支えていくのはどのような企業なのか。これは決して審査をして決める話ではなく、中小企業が頑張っていく中で明らかになってくることだ。日本の産業の強さは、中小企業があり、中堅企業があって、さらに大企業、そのなかにグローバル企業が存在する、という構図にある。これは中国・韓国等のアジア諸国にも欧米諸国にもない、非常に力強い構造で、これを活かしていくことが、成長戦略においても重要なことだと考えている。

環境について、(25%削減への道筋は)今回のマニフェストからは見えてこない。25%削減が良いのか悪いのかについては、非常に難解(な問題)である。民主党のマニフェストには、「次期枠組みで日本がリーダーシップを発揮するため」とある。これには深い意味があるのだろうが、日本が次期枠組み、あるいは今後の世界の低炭素社会作りにおいて、実力もあるのだからリーダーシップを発揮すべきだ。ただし、25%(という削減目標)が(リーダーシップを発揮するうえでの)絶対必要条件かというと、経済同友会でも議論を重ねて「2005年比14%」という結論をだした。この視点から言うと、(民主党案は)実現可能性の点で非常に厳しい目標だと思う。ただ、高い目標を設定して、イノベーションで新たな可能性を見つけ出していく余地は、我々もあると思っているので、絶対に不可能とは言えない。大事なのは、果たして何をすべきなのかを(明らかにするよう)期待したい。しかし、少なくとも私の見たところでは、このマニフェストには見当たらない。

Q: 民主党は、いままでの主張通り、企業・団体献金をなくすとマニフェストに書いている。(経済同友会の夏季)セミナーで、企業献金のあり方についてアンケートを実施すればよいという議論もあったが、具体的に予定はあるか。

桜井: まだ(具体的には)決めていないが、ぜひ実施したい。経済同友会の企業・団体献金に関する考え方については、先日(夏季セミナーで)説明した通りである。基本になっている主張は、企業・団体献金はやめよう、政治のコスト負担は個人献金と政党助成金の2本建て(にするべき)というものである。私の予想では、アンケート(結果)でも個人献金を主体(にするべき)が多くなると思う。(アンケートについては決まったら)またご案内する。

Q: 今週末に発表される予定の自民党のマニフェストに望むことについて、改めて伺いたい。

桜井: 以前出した意見書「各党の『政権公約(マニフェスト)』に望む」と同じである。今月末に発表されるということだが、まだ現実に(手元に)ない。今後のスケジュールとしては、21世紀臨調の主催で、現政権与党(自・公連立政権)について、小泉政権の時に出されたマニフェストから1サイクルが回った衆議院議員選挙なので、その実績評価を8月2日に行う。また、今月末に出される(予定の)自民党の政権公約で(各党のマニフェストが)出揃うので、特に、自民党と民主党の政権公約について、評価大会を8月9日に行う。その場はプレス・オープンなので、そこで当会の評価を示す。

Q: 昨日、「産業革新機構」が官民合同で発足した。これについて所見を伺いたい。

桜井: 基本的には良いのではないか。先端技術のみならず、新しいことをやっていこうというときには新しい枠組みが必要である。資金の出所は、今回の場合、大部分が政府であるが、民間資金も同時に投入していこうということである。大変に良い技術があっても、それがなかなか企業化に繋がらないというのは、これまでもずっと抱えてきた問題である。ここに日を当てて、産業化・企業化を促進させようというのは非常に良いことである。(たとえ)競合関係の企業だとしも、まったくの異業種だとしても、良いところをうまく組み合わせ、技術開発や産業化・企業化を促進するというアイディアは以前からあったが、それを束ねていくことは、日本では非常に難しかった。そこにメスを入れ、合体方式をとっていこうというのは非常に良い。このようなことにチャレンジすることは、日本の成長への活路を開くひとつの動きになるという期待を持っている。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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