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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2009年06月02日(火)13:30~
出席者 桜井 正光 代表幹事
小島 邦夫 専務理事

冒頭、桜井代表幹事より、コペンハーゲンで開催された「気候変動をめぐる世界ビジネス・サミット」への参加報告を行った後、記者の質問に答える形で、(1)GMの破産法申請、(2)民主党による企業・団体献金全面禁止の政治資金規正法改正案提出、(3)株価の高値更新と景気見通し、(4)雇用悪化、(5)日本郵政の社長人事、(6)総選挙に向けた重点政策、(7)民主党政権になった場合の影響、などについて発言があった。

「気候変動をめぐる世界ビジネス・サミット」に出席して/桜井代表幹事より報告

5月24日から26日まで、コペンハーゲンで開催された「気候変動をめぐる世界ビジネス・サミット」に出席した。現地では、「地球温暖化(阻止)に危機感を持って取り組むべきで、産業界が積極的な活動をすることが重要である。低炭素社会づくりは、産業界にとって変革の絶好のチャンスであることを十分認識したうえで、政府に対し、適切な支援を要求すべきである」という趣旨の意見書「コペンハーゲン・コール」が採択された。今年末、コペンハーゲンで開催予定のCOP15を前に召集された会議で、(参加者は)概ね積極派の産業人だったように感じた。エネルギー多消費型の産業も、そうでないところもあったが、積極派のみなさんが集まった会合で、かなり意欲的な意見書になった。大事なことは、世界の産業界でも、「(温暖化防止には)産業の役割が大きい」、「自らが温暖化阻止活動に関わらなければならない」とする積極的な意見を持つ人が多くいる、ということである。

Q: 昨日、アメリカのゼネラル・モーターズが、(米連邦)破産法(11条の適用)を申請した。これについて、経済への影響を含めて代表幹事の所見を伺いたい。

桜井: 第一に、オバマ新政権にとって、経済の底抜け、底割れを防ぐために、非常に高いハードル、大きな課題であり、政権が発足してから強い意志のもとに取り組んでこられた。オバマ政権にとって、GMが破たんした場合にアメリカ経済に与える大混乱という被害を考えれば、一時的国有化も致し方ないという覚悟のうえで取り組まれたことだと思うので、やむを得ないというよりも、GMに対する最初のテコ入れという意味で、適切かつ必要な処置であったと思う。

第二に、今後のアメリカ経済については、まだまだ悪い指標もあり、まだ安穏としていられる状況ではないと思う。鉱工業生産指数や在庫指数等(を見ても悪い状況であるし)、住宅の減少もまだ続いている。金融不安や信用収縮については、かなりのテコ入れを行い、(金融危機に対する)不安要因にはかなり対応できた状況にあると思うが、実体経済に対してはまだまだだろう。安心できる状況ではないと思う。(GMは、)いわゆる国有企業になったわけだが、これを長続きさせる訳にはいかない。早くGM自身が新生GMとして、スリム化し、市場に受け入れられる商品・サービスを提供できる会社に変わっていくことが大きな課題だと思う。

第三に、破産法適用という過程で、関連会社、特にディーラーや、日本への影響という意味で考えれば部品・材料供給会社に(アメリカ)政府が公的資金注入を行い、(関連会社への)影響が大きくならないように支援していくことが必要だと思う。関連会社に倒産や経営悪化が起こると、その一部には日本の各部品産業等があるため、影響が心配される。

Q: 昨日、民主党が、3年後に企業・団体献金を全面的に廃止するという法案を国会に提出した。西松建設の事件以降、政治献金のあり方について議論を呼んでいるが、(企業献金を)一切禁止してしまうことについて、代表幹事の所見を伺いたい。

桜井: 経済同友会では、以前、政治献金のあり方について提言を出しており、今も(スタンスは)変わっていない。基本的には、民主主義をしっかりと支える意味でのコストとして、適切な政治資金が必要であると考えている。政治献金については、個人献金が基本であるべきだが、企業・団体献金を完全に廃止することまで考える必要はない、規制をかける必要はないだろうと考えている。それぞれの個人、それぞれの企業の考え方に従って、節度ある資金を政治資金として提供することは許される。もちろん、政治家個人への献金ではなく、資金管理団体等(への献金)である。ただし、企業が献金するにあたっては、透明性の確保が大事である、というのが、基本的な方針である。

政治とカネのあり方については、今度のマニフェスト等に、両党共にしっかりと、考え方や移行ステップを明記し、国民の判断を仰ぐ必要があるだろう。

Q: このところ株価が年初来高値を更新しているが、代表幹事はどのように見ているか。

桜井: 株価の予想については何とも言えない。直近のこととしては、GMのチャプター11(米連邦破産法11条)申請があるので、恐らく下がるのではないかと思っていたが、オバマ政権が頑としてチャプター11もあり得るという態度をとっていたし、労働組合や債権者がそれを視野に(事前)準備をしていたこともあり、市場は既に織り込み済で、結局あまり動かなかった。むしろ、ようやく実現したという良い評価になって(株価が)上がった。それがベースにあって、日本の株価も上げ基調を維持したということだろう。

Q: 景気が上向いてきているのではないかとの経済指標も出ているが、代表幹事はどう見ているか。少し上向いてきたという感触は持っているか。

桜井: 鉱工業生産指数や在庫指数等の指標は改善されており、消費も、大きく言えば横這いの状況にある。下がり傾向が緩やかになったということだと思う。ただ、これをもって底と言って良いか、これは専門家でも分からないだろう。一般的には、今までのように、(底が)割れる心配はまず無くなったと見て良いだろう。4~6月が底なのか、1~3月が底なのかは分からないが、そろそろ底に近付きつつあるというところだろう。

もうひとつ大事なのは、景気回復がいつになるか。経済同友会の(景気定点観測)アンケート調査では、来年(2010年)の上半期と下半期で半々に分かれている。また、需給ギャップについて、マイナス8.5%、絶対金額にして45兆円という恐ろしい数字が出ているが、これはおそらく1~3月の中でも悪い時期をベースにしているのだろう。先述の通り、下がる傾向はかなり緩やかになって来ているため、これからを考えれば、この45兆円がさらに膨らむ傾向にあるとは思えない。しかも、2008年度の2次補正予算、2009年予算および補正予算で、かなりの景気対策を行っており、需要の創造が期待できるだろう。ただし、回復は来年くらいになるため、厳しい状況は続くと思うが、これ(需給ギャップ)がさらに拡大することはないだろう。

Q: 景気回復について、やや底に近付いてきたとの発言があったが、政府の対策がある程度効いていると評価されているのか、それとも他の要因によるものか、いかがお考えか。

桜井: はっきりと数値やデータベースで言うことはできないが、大きな景気対策がとられたことで、国民に足下での安心感は出てきているだろう。ここから本当に需要や消費活動をプラスに持っていくまでの行為につながるかは、国民の多くには、社会保障制度や税制、あるいは雇用についての将来不安があり、将来的な見通しがまだ描き切れていない。安心感はあるにしても、まだまだ回復力としては非常に弱いということだろう。

Q: 景気について、底が近付いてきたのは内需の効果があると思われる。(一方、)外需については、GMが破たんしたことにより、北米との取引は今後悪くなると思われる。北米の景気動向について、どう見ているか。

桜井: 北米の方がますます(悪化する)ということも考えられるだろうが、世界(市場)の構造から言えば、中国を主体とする新興国の回復基調がはっきりし出したと思っている。アメリカの景気後退が止まって底が見出せるようにならないと厳しいし、今回のGMの問題がどれだけ悪影響を及ぼすかに心配な点もあり、(これから)社員の削減も始まるので何とも言えないが、ここについては希望的観測しかない。GMの問題が、米国全体の経済にマイナス影響を及ぼさないよう、現政権には努力していただきたい。政策当局等でしっかり抑えることをやらなければいけない。これに期待ということになる。

Q: 雇用情勢は相変わらず悪化しており、過去最悪(の記録)を更新するのではないかという見方も出ているが、代表幹事はどのように見ているか。

桜井: 雇用の問題はまだ悪化する方向にあると思う。まずは金融の安定化、金融危機からの脱出ということで、これは見えてきているが、実体経済への影響は遅れて出てきているし、やはりまだ企業の中には、需要や生産量に対して設備や雇用の過剰感があると思う。対応手段は別として、この数字で止まるとは言い切れない状況にあるだろう。

Q: 日本郵政の社長人事についてもめているが、代表幹事はどうご覧になっているか。

桜井: 郵政(公社)を民営化した際に、経営体質、経営のガバナンスについて、委員会等設置会社に等しい仕組みしようということで、指名委員会を作った。指名委員会で一番大切なのは社長人事であり、基本的には指名委員会にきちんと論議してもらい、その提案を受けて取締役会で決めることが、民間会社の非常に大事なところだ。それを重んじて次期社長を決めるのが大事だと思う。お任せするところはしっかりとお任せするのが良い。

小島: (日本郵政のガバナンスは、)委員会設置会社そのものである。

Q: 国会の会期延長が決まり、8月以降の選挙の日程が噂されているように、選挙が現実味を帯びてきた。改めて、与・野党にマニフェストの盛り込んでほしい争点について、どの辺りを明確にしてほしいとお考えか。

桜井: 今度(の総選挙)は政権選択選挙になるので、両者とも政権担当能力というものを明確にマニフェストに表して欲しい。今後の日本の景気回復局面を考えると、経済危機からの脱出、底割れ防止と、もうひとつ、景気回復エンジンをどう発射するかという日本の景気活性化、そして成長戦略が重要になる。この辺りをマニフェストに明示することが大事だ。経済の活性化、成長戦略というのは、この危機後の日本のあり方、ビジョン、これからどういう国の形を目指すのかが、(マニフェストの)前提になければいけない。これがしっかりと書き込まれることが非常に大事だと思う。だんだん両者(自民党、民主党)の政策が似通ってきているが、似通ったところは似通ったところで良いが、違うところを明確にすることも意図してマニフェストに書き表すことが大事である。最終的には国民が選択するのだから、ぜひ国民に分かり易くマニフェスト、政権公約を表記し、両党が選挙においてしっかりとその違いを表すような激論をしていただきたい。

Q: 仮定の話で恐縮だが、民主党は、環境問題で(CO2削減について)90年度比25%減の中期目標など主張している。仮に、民主党が政権をとった際、産業界としてどのような影響があるか。

桜井: 産業界として政策について議論してみないと分からない。政権を担当した時には、政策のみならず執行力が(重要であり、これが)どうなるか分からないので、現時点で答えるのは難しい。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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