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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2009年04月21日(火)13:30~
出席者 桜井 正光 代表幹事
小島 邦夫 副代表幹事・専務理事

冒頭、桜井代表幹事より米国ワシントンD.C.訪問(4月8~10日)について報告があり、その後、記者の質問に答える形で、(1)政府による2009年度経済成長率の下方修正、(2)育児・介護休業法の閣議決定、(3)政府の温暖化対策中期目標案、(4)上海モーターショーと自動車市場、などについて発言があった。

米国ワシントンD.C.訪問の報告

以前からの計画通り、4月8日から10日までの3日間、オバマ政権を迎えた新体制の米国ワシントンD.C.を訪問した。特に、金融・経済、温暖化対策、および安全保障について、オバマ政権を支える政策関係者や政策研究機関を中心に訪れ、意見交換を行った。イースターの時期だったこともあり、政治関係者が多く集まることはなかったが、USTR(アメリカ通商代表部)やCSIS(戦略国際問題研究所)、USCAP(米国気候行動パートナーシップ)、外交問題評議会(CFR)などで、有益な議論を行った。日本に対する期待も強く感じられたので、簡単に報告したい。

  1. 金融・経済危機については、これまで一極集中型、いわゆるアメリカ消費型に世界が依存していた構造があり、いまの危機を脱してもアメリカ一国だけで今後の世界を背負っていくことは難しいため、各国・各地域の国内需要を拡大し、相応の分担をしていくことが求められる。
  2. 世界第二の経済大国である日本は、経済力や技術開発力、人材・能力において優れたものを持っており、世界の経済危機脱出、そして危機後の経済のリーダー役を務めてほしいという期待が大きい。
  3. 地球温暖化対策については、新政権発足直後ではあるが、オバマ政権のスタッフはかなり積極派であり、世界に冠たる経済大国、(温室効果ガス)排出量ナンバーワンの国としての責任を持って、ポスト京都議定書の枠組みに相応の役割を果たしていくとの強い心構えを持っていることが感じ取れた。
    ただし、USCAPとの会合では、中期目標に努力すると言うよりは、長期目標をいかに達成していくかにシフトしているという印象を受けた。帰国後確認したところ、独・ボンでのワーキンググループにおいて、スターン米特使もそのような趣旨の発言をしていた。もちろん、そういうスタンスが米国のすべてだとは思っておらず、(米国も)中期目標にはそれなりの枠組みが必要であると感じているように思う。今後の交渉や、今後の米国のスタンスは非常に重要な位置付けになってきたと思っている。

米国側も、親日派が少なくなってきていると聞いた。日本側も、政界・経済界ともに、自ら米国を訪れ、日本の現状や役割、新しい日米関係について積極的に発言する人たちが減ってきている。

かつて貿易摩擦があった時代に日米賢人会議ができ、政治のバッティングを救うために財界人が集まって、(問題解決の)方策などを主体的に決め、両国政府が健全な方向に向かうようサポートするといった役割を果たしたが、むしろこれから、経済や地球温暖化、あるいは安全保障などの問題を積極的に動かしていくような交流が必要であり、フォローしていかなければならないと思っている。

Q: 政府は、今年度の経済成長見通しを下方修正する方向を打ち出し、来週早々にも発表される見通しである。一部報道によると、今年度マイナス3%と戦後最悪の数字となるが、代表幹事の所見を伺いたい。

桜井: (経済)成長率見通しは、非常に難しい。(マイナス)3%前後(と言われているが)、これも追加経済対策のうち今年度中に間に合う対策(による効果)を含める(という)前提である。(追加経済対策が経済成長を)支えられるのは、民間予測によると1%前後で、(それを含めて)トータルでマイナス3%程度にはおさめようということであろう。以前0%という予想だったものを、マイナスに(下方)修正しなければいけない(ということだ)。(2008年)10~12月の(GDPの)落ち込み、および(2009年)1~3月も引き続き年率2ケタのマイナス(成長)が予想される。また、現在、在庫調整はある程度見えてきたものの、市場の収縮や売上高の減退等によって今後波及するであろう賃金・雇用問題の情勢を考えれば、09年度は大きなマイナスになるだろう。(09年度補正予算の)追加経済対策や(景気対策の)三段ロケットの第一弾(である08年度補正予算)などを総合して、なんとか下落ちを緩和するのが精一杯だ。残念ながら、良くてマイナス3%台と予測せざるを得ない。

Q: (マイナス3%は)妥当と思われるか。

桜井: 大きな(景気・経済)対策を講じることもあり、日本の産業においてこのところ良い指標も出てきているので、これに期待したいところではあるが、経済予測として悲観的な視点から申し上げると、日本経済は外需依存型から脱しておらず、世界経済の影響を直接的に受けることを勘案すれば、もっと厳しい(予測にならざるを得ない)と思う。

小島: GDPの予測は、あくまで数字であり、それが妥当であるとかないと言ったところで仕方がないという面もある。

Q: 今朝、3歳未満の子供を持つ世帯(を対象にした)育児・介護休業法改正案が閣議決定された。これは、子供を育てながら社会で働こうとする者の助け、少子化対策の一助になるか。その効果について、また、経営者にとってはかなり厳しい法律改正案だと思うが、実行性を伴うものなのかについて、所見を伺いたい。

小島: 企業によっては、既に同様の措置をとっているところもある。(法改正の実効性・実行性については、)実際の育児をしている人が、どの程度利用するかにもかかっている。もちろん法律的に定められれば、企業はそれに対応することになるが、働いている人たちの意識の問題も出てくるであろう。どの程度の効果や実行性があるかは、実際にやってみないと分からない。

Q: 一部には、女性の雇用が抑制されるのではないかとの懸念もあるがいかがか。

小島: 現在(の制度)でも2年近くは育児休業を取得できるはずである。これと、今回法改正される措置とで、どの程度効果を上げられるかは、本当に分からない。一方で、育児休業を取得した後に、色々な問題が起こっているという話もある。企業としては、これからますます、女性に戦力として働いていただかなければいけないという側面が強くなってくるはずだ。簡単に、「(法改正によって)女性は使わない」という話にはならないと思う。

桜井: 私も、そのようなことにはならないと思う。(経営者は)そのような狭い了見では(務まら)ない。少子高齢化が進むなか、いかに女性に活躍していただくかについて、(経営者は)もっと高いレベルの考え方を持たなければいけない。各企業は、そのための施策をとっていかなければいけない。(女性の活用は)もっと大きな位置付けである。

Q: 温暖化対策について、政府から(CO2の削減の中期目標が)6案出され、6月末の最終決定に向けて意見が求められている。パブリックコメントなど何らかの意見表明をされるか。

桜井: 当然、意見表明はすべきだと考えている。タイミングは難しいが、日本のスタンスが固まるであろう5月末よりも前、5月中旬くらいをリミットととらえている。経済同友会では、地球環境問題委員会において、中期目標に対する考え方、およびその後の低炭素社会づくりなどについて議論を重ねている。その進捗にもよるが、中期目標の部分だけを切り出せば(意見表明も)可能と考えている。

Q: 政府が出した6案についてパブリックコメントが求められているが、代表幹事の意見を伺いたい。

桜井: 中期目標は、日本の経済、人々の暮らしや産業のあり方を規定するものにもなり得るし、一方では、新しい時代に向けての変革の意識づけにもなり得るなど、さまざまな意味で非常に重要な目標値である。(従って)産業界、国民全体にコメントを求めるステップを設けたというのは然るべきだと考えている。しかし、果たして提示されている6案で期待されるようなパブリックコメントが得られるのかというと、これは甚だ難しいと思う。

前回の会見でも申し上げたが、削減量のレベルや達成するために何をすべきか、どの程度GDPを下押しするか、生活者にどれだけの負担を求めることになるか、失業者はどれくらいになるのか等、あるモデルを想定して作成されていると思うが、6案すべてが削減目標を達成するためのコスト負担について述べられているため、これだけ(の情報開示)でパブリックコメントを求められても(適切なものを)出しようがないのではないか。この想定では、一番コストを要さず、GDPも下押ししない第1案(4%増)がベスト(の選択)になってしまう。

パブリックコメントも参考にしつつ、先進国としての自覚をもって、地球温暖化を阻止する、次期枠組みをリードする、すべての国と地域が参加できるような枠組みを作る等の立場から、実現性やコストという下押しの要素も含め、政治が総合的に結論を出すことに期待する他ない。

経済同友会は、産業界の責任ある立場として、難しいが不足している事項に対しても可能な限り考察を行い、総合的な判断で、「こうあるべき」というものを出したいと考えている。

Q: 昨日から上海のモーターショーが始まった。GMといった危機にあえいでいるメーカーも出展しており、中国市場を世界の頼みの綱にしている印象を受ける。翻って、日本では東京モーターショーの出展見送りが続出という状況で、複雑な気持ちになる人も多いと思う。この現象をどのようにご覧になっているか。

桜井: 現象的なことを考えれば、日本、および欧・米の(自動車)市場の落ち込みは大きく、(東京)モーターショー(の規模縮小)という事態は残念だ。一方で、中国の(自動車)市場は月間100万台を突破し、米国を超す勢いとなっている。企業としては、今後勢いのある国・地域の顧客に訴求していくのは当然の戦略であろう。

おそらく将来、世界の需要が戻ってきたときには、低炭素カーや小型車が(どこでも)重要な戦略商品になるはずである。その意味でも中国は、今後の世界の市場のなかでも、製品的に見ても重要な戦略市場になってきたと思う。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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