ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
ローカルナビ(l)へ
サイトのご利用案内(i)へ

ここからグローバルナビです。

グローバルメニューここまでです。

ここから本文です。

記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2009年02月17日(火)13:30~
出席者 桜井 正光 代表幹事
小島 邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で、(1)中川財務相兼金融担当相の辞任表明、(2)2008年第4四半期のGDP実質成長率速報値、(3)麻生首相の郵政民営化見直し発言、(4)内閣支持率と解散総選挙、(5)平成21年度補正予算、(6)米GMとクライスラーのチャプター・イレブン問題、(7)春闘、(8)ヒラリー・クリントン米国務長官の来日、などについて発言があった。

Q: 先ほど入ったニュースで、中川財務相兼金融担当相が、G7後の記者会見を受けて、(09年度)予算および関連法案の成立後に辞任すると表明した。一連の問題と中川大臣の出処進退の判断について、見解を伺いたい。

桜井: 今回のG7では、以前から協議されていた事項も多く、特に変わったということではないかもしれないが、各国政府および金融当局の方々が、世界的に協調し、この異常な世界同時不況にしっかりと対処していこうと決めた。特に、必要であれば金融を含む財政政策の追加的措置も積極的にやっていく(との)申し合わせをし、金融不安を解消し、実体経済の底上げを早期に行うという大事なメッセージを送った。また、G7としてはある意味異例とも言えるが、一歩踏み込んで、保護主義に走ってはならない、ということにまで言及し、非常に積極的で責任を感じさせるメッセージを決議した。特に日本は、2008年10-12月期のGDP速報値を見ても、欧米と比較して落ち込みが激しい。必要な対策をもって日本経済の(落ち込みの)底止めと回復を図るという意味でも、2008年度第2次補正予算関連法案と2009年度予算および関連法案を、できるだけ迅速に成立させることが非常に大事である。(今回の中川大臣の問題は)このような背景のなかで起きたことであり、かなり重く受け止めなければならない。

中川大臣の進退のあり方については、この様な厳しい環境下、日本経済をこれ以上悪化させないために予算(成立)を確実に遂行していかなければならないなかで、ご自身の判断で辞任を決められたことは、妥当かつ必要な判断だと思っている。このような判断の下で、日本の経済対策のための予算および関連法案の可決を速やかに行なう努力を、与・野党共に図っていただきたい。

Q: 「妥当で必要な判断」との発言があったが、中川財務相兼金融担当大臣が、引き続き大臣として予算および関連法案の審議にあたっていくことは妥当とお考えか。

桜井: この点については、首相および内閣としての適切な対応を期待したい。また、民主党も、この問題に対して相当な批判はあるだろうが、粛々と、そして迅速に、予算および関連法案の協議、採決をしっかりとやっていっていただきたいという思いである。

Q: 中川大臣が辞意を表明し、国会が混乱、ドタバタしているが、中川大臣の辞任の決断に対する感想と内政の混乱について、所感を伺いたい。

桜井: 混乱はまだ起こっていないが、ドタバタしないようにしていただきたい。辞任の決断は、先述の通り、妥当な、必要な判断だと思う。中川大臣が予算成立まで全うする方が良いという話ではなく、予算(成立)をしっかりと遂行するためには、このようなネックになる問題は早く対処し、その後速やかに審議が進んでいくよう(な環境)にしなければいけない。

Q: 中川大臣(の任命)は、金融危機が深まるなかで財政相と金融担当相を兼務するという麻生内閣での目玉人事だった。過去にも中川大臣の酒気帯び会見が話題になったことがあるが、麻生首相の任命責任については、どのようにお考えか。

桜井: どこまでどのような責任があると言えるかは非常に難しいが、責任がないとは言えない。任免者は、その環境のなかで、能力や手腕を考え、期待し、任免する。このような事態になったことには、任免者としての何らかの責任があるだろう。

Q: 問題になっている中川大臣の記者会見の映像をご覧になった印象はいかがか。

桜井: 誰が見ても「考えられない」という気持ちになるのではないか。酔っているとかいう話ではなく、G7という国際会議の流れのなかでの記者会見であのような状態は、国際的な会議やミーティング、会見では国際的な常識もあるので、驚かざるをえない。

Q: 昨日、2008年の第4四半期のGDPが(年率換算で)2ケタ台の落ち込み、35年ぶりの記録的な減となった。これまで日本経済への打撃は欧米に比べて軽微だといわれていたが、統計をみると欧米以上に痛んでいることが明らかになった。第2次補正予算、2009年度予算の迅速な成立以外に、今後日本経済の建て直しにどのような対策が必要か。具体的な提案があれば伺いたい。

桜井: 欧米に比べて大幅で急激な落ち込みだが、その背景には、日本のGDPの内容、つまり(日本)経済の構造が外需依存型であるということがある。この依存が大きければ大きいほど、世界経済の発展とともに相当な成長を確保できるが、反対の局面になれば、このような形になることは既に周知の通りである。「言うは易し、行うは難し」だが、内需をもっと喚起する構造改革を、より積極的に図っていかなければならないことが浮き彫りになった。企業から見れば、輸出に頼らず国内市場で売上高を伸ばしていくことが簡単にできるのかというと、これは大変に難しい。政府はしっかりとした長期ビジョンの下で、政策的に国内需要を拡大していく必要がある。以前から、申し上げている通り、内需拡大のためには、単に消費を喚起するだけではなく、新しく消費を生み出すような新しい事業、新しいサービス(を創り出すこと)で新しい需要を喚起できるような政策を(政府が)とっていく必要がある。例えば、政府が新経済成長戦略として挙げている、環境・ソフトパワー、いわゆる「底力」の分野、また医療・介護関係の「健康・長寿」(の分野)などの焦点が大きく浮かび上がる。このような新しい需要を喚起するための国家戦略を、しっかりとしたビジョンと政策で展開する必要がある。これらを、いま展開しているセーフティネット的な対策と同時に、経済活性化のための中・長期的視野の下に展開することが非常に大事だ。

Q: 麻生首相の郵政民営化見直しを巡る発言が波紋を呼んでおり、小泉元首相や与党内からも批判、反発が出ている。経済同友会は郵政民営化に推進の立場だと思うが、一連の首相の発言について感想を伺いたい。

桜井: 麻生首相がいったい何を考えておられるのか、非常に分かりにくい。郵政民営化は、2005年の衆院選挙で中心となった争点であり、結果として民営化が必要であるという国民の審判を受けた。当時の民営化の議論は、郵便局がどうなるのかという話よりも、(従来の郵便局で)「入口」として国民のお金を預かり、官はそれを精査しているとは考えられないような使い方をしているという「出口」の問題に対して、いかに民のお金を民の活力のために使うかという目的で始まった。当然のことながら、民営化とは、国が株式を上場して売る、というのが一つである。もう一つは、あれだけの巨大な保険、郵便、貯金を抱えた大金融関連事業が(市場に)出てくると、民業圧迫になり、競争という条件もないという点で、民営化した母体の効率性が疑わしくなる。四分割の話はその時点で既に明確に出ており、それらを含めて民意を得て、自公連立で衆院の2/3(の議席)を獲ることができた。今の政権を支える基盤となった。これを首相はしっかりと認識されるべきで、今回の麻生首相の発言は、非常に理解し難い。

Q: 郵政民営化見直し発言の影響もあったと思うが、最近の世論調査では、麻生内閣の支持率低下に歯止めがかからない。一部の社の報道によると、森内閣以来10%を割り込む1ケタの支持率となっている。支持率低下が急激に進んでいる問題に関して、解散総選挙の時期も含め、意見を伺いたい。

桜井: 解散総選挙の時期は、いつもお話している通り、私がコメントすることではないと思っている。一番大事なのは、いま日本がおかれている経済状況から、早く防波堤を組んで、早く次の活力を生み出すための政策を展開することである。第2次補正予算、2009年度予算および関連法案を速やかに審議し、展開していくことが非常に大事である。支持率の低さがこの法案審議に影響するかについては、マイナスの影響があるだろう。

第一に重要なことは、与・野党がこの法案審議を、全力投球で行い、必要なら修正をして、早く可決する、ということである。言い換えれば、超党派的な感覚(が必要)である。国民視点で考えれば、このまま予算も組めず、財政出動もできないようなことはあってはならない。(与・野党で)真剣に捉え、協議し、必要な修正をしていくことができるかどうかである。第二に、それができないのであれば、他の方法を考えなくてはならないだろう。

Q: 日本が欧米よりも経済の落ち込みが酷いという状況のなかで、平成21年度予算に加え、21年度の補正予算が要るのではないかという議論が出始めているが、いかがお考えか。

桜井: 企業では、生産調整を行いながらも在庫は増えている状況である。これまでなんとか保っていた国内の消費もダウンしてきている。いまの状態では、景気を向上させることは至難の業であり、(その意味でも)追加の景気対策が必要になってくるだろう。(金)額の面でも、世界のレベルと比較してもまだ余地は出てきていると感じる。

追加対策は必要になるだろうが、(重要なのは)使い方である。非常に難しいが、追加対策が単に一時的な消費や雇用のみに貢献するものではなく、そのお金は今後の新たな成長の原動力になるという使い方をしなくてはならない。一般的な公共投資ではなく、今後日本が中・長期の成長を遂げていくために、どのような分野を重点とし、そこにどのくらい投資し、どれだけ経済の活性化に寄与させるかを明確にしたうえで(追加対策の予算を)使うべきである。数兆円、数十兆円という数字がにわかに出てきているが、まずは、いま述べたような議論をしっかり行うことが必要である。

Q: アメリカで、今晩にもGMとクライスラーの経営計画の提出期限を迎える。一部にはチャプター・イレブンも、という話もあるが、仮にチャプター・イレブンとなった場合、日本への影響についていかがお考えか。

桜井: 一言で言えば、日本も同じような事態にならないように、ということである。そして、保護主義にならないように頑張ることである。日本にとっては、世界のマーケットがオープンであることが一番重要であるし、官民共に保護主義をとるべきではない。米国も欧州も、現状やむを得ない部分もあるとは思うが、(保護主義的動きは)短期間で済ませていただきたい。

Q: 明日から春闘の本格交渉が始まる。主要な労働組合は、内需拡大を理由に賃上げを要求しているが、これについていかがお考えか。

桜井: 内需拡大のためには政策的に財政出動等をきちんとするべきで、雇用の安定化、雇用維持、そして今後の経済成長を確かなものとする政策展開を重要視している。ご承知のように、いま企業は、雇用を維持しよう、雇用を調整するにしても 経営改革(の中のひとつとして)しようと必死になっている。企業は非常に苦しい状態にあるが、政府が成長政策を展開し環境づくりをするなかで、企業も相当な経営改革投資、開発投資をしていかなければならない。いま企業が考えるべきことは、賃上げよりも雇用を維持、あるいは削減のミニマム化である。

Q: 経営者が雇用維持のために最大限努力をするなかで、賃下げという選択肢はあるか。

桜井: 雇用維持のなかで賃下げがあるとすれば、恐らくワークシェアリングの議論のなかで出てくるだろう。ワークシェアリングにもいろいろな形態があるが、最初から賃下げという話ではなく、雇用維持のための賃下げということが各社で判断されれば、組合側との交渉・調整の下にあり得るとは思う。

Q: ヒラリー・クリントン米国務長官が訪日している。来日の意義と要望があれば伺いたい。

桜井: 最初(の訪問国)に日本が選ばれたことは非常に大きな意味を持つ。日本(への)意識が大きいことを表明している(に等しい)ので、これからの日米関係において、日本の責任をつくづく感じる。(滞在は)短い時間なので、今後の日米関係のあり方について、どれだけ意義ある議論ができるか分からないが、日本の立場としては、オバマ大統領の時代になって、この経済危機から脱しようとしている時期に、日米がそれぞれどのような責任、主体性を持って新しい関係を作っていくかが重要である。日本もこれからは、安全保障や経済、地球環境、その他主要な問題について、日本の立ち位置、日本の世界への貢献(在り方)を明確にして、アメリカとの新しい関係を構築していくことが大事である。

(文責:経済同友会事務局)

以上


ローカルナビここまでです。

ここからサイトのご利用案内です。

スマートフォン版サイトに戻る

サイトのご利用案内ここまでです。