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経済3団体長 新年合同記者会見 桜井代表幹事発言要旨(未定稿)

日時 2009年01月06日(火) 15:00~
出席者 御手洗 冨士夫 日本経団連 会長(幹事)
岡村 正 日本・東京商工会議所 会頭
桜井 正光 経済同友会 代表幹事

記者からの質問に答える形で、(1)景気見通し、(2)雇用問題、(3)政治への要望、(4)株価と為替、(5)少子高齢化対策、(6)米国型経営の評価、について発言があった。

(*以下、桜井代表幹事発言部分)

Q: 今年2009年の景気の見通しについて見解を伺いたい。

桜井: 全般的な景気の状況について、お二人と重複するところがあると思う(が、お話する)。世界経済の状況は、ご承知の通り、サブプライム問題に(端を)発して金融収縮から金融危機へと(シフト)、それが実体経済に悪影響を及ぼし、(金融危機と実体経済への悪影響という)この二つが全世界に波及してきている。いまや世界同時不況ということさえ視野に入ってきた感がある。日本は、金融システムにおいても企業の体力においても、比較的に健全であったが、日本経済が世界に連動していることから、金融危機よりもむしろ実体経済への影響、つまり海外市場の急激な収縮のあおりを受けたこと、そして円高、という二つの面で、日本経済に相当な打撃が出てきている。日本経済は、外需主導、それに伴った設備投資、そして雇用・賃金の維持によって消費がなんとかもっていた状況だったが、特に11月に来て急激な(業績)ダウンになり、目の前に経済危機的な状況が迫っている。

いま岡村会頭からも調査結果が発表されたが、経済同友会では3ヶ月に1度「景気定点観測アンケート調査」を行っている。(直近の)12月初めの調査より現状はもっと悪くなっていると思うが、(12月の調査結果では)約90%のメンバー企業(経営者)が(景気の現状について)「後退している」と回答している。その四半期前(9月)の調査では30%程度だったので、「急激な冷え込み」という現状把握をしている。先行きについても、日本経済が外需依存型であることから考えると、とても簡単には良くならないという予測である。

個々の数字を見ると、調査をした12月初めはまだまだ強気で、(日本の実質GDP成長率は、)2008年度はマイナス0.2%、2009年度はマイナス0.3%という予測だった。これは現時点で予測すれば、希望を含めても2008年度がマイナス0.7%、2009年度通年でマイナス0.7~0.8%程度となるだろう。

政府に期待する今後の取り組み事項は、お二人が仰った通り、第二次補正予算、2009年度予算および関連法案を年度内に通す、これは非常に重要だと思っている。ただ、予算が成立すれば良い、いまの足下の様々な課題に対する対応策・政策ができあがれば良いということではない。足下(の課題への対応)と同時に、中・長期の日本経済の活性化のための構造改革をもっと見極め、強力に推進することが大事である。時間の関係で全ての詳細は述べないが、財政再建をベースにした7~8項目の構造改革が大変大事である。

企業に望むことは、まず、お客様市場の分散化が起こっているので、米国主体の外需頼みではなく、市場のシフトを見極めたうえでの事業展開である。第二に、経営のスリム化である。これは円高への対応が多いと思うが、円安ではなく、円高をエンジョイできる企業変革を行っていく必要が大いにある。三番目に、中・長期的なお客様ニーズ、以前から申し上げているが、明確なものは「低炭素社会」である。既に40年先の目標値まで決まっているのだから、企業が個別にマーケティングをやって探すよりも非常に明確な社会的ニーズである。もう一つが、先進国の少子高齢化、人口減少で、これに対して適切なサービス・商品を提供していくことが非常に大事である。ここにいかに技術革新を起こして対応していくかが非常に大事で、これが政府にも企業にも求められるだろう。このように言うことは簡単だが、(実際は)企業の中でいかに資源の配分を変え、人材(の配置)を変え、きっちりとしたステップ、戦略を組んで勇敢に取り組むかの競争になるであろう。

Q: 焦点となっている雇用問題について、経済界としてどう取り組み、また政府にどういうことを求めていくか。

桜井: まず、企業の雇用対策・雇用調整はどうあるべきかについてお話したい。いまお二人からもお話があったが、基本的に企業は、事業や商品など新しい価値創造を通して成長と発展を遂げ、雇用の拡大や給与を含む処遇の改善を第一にやらなくてはならない。しかし、いま話題になっている非正規雇用(期限付き雇用)の問題は、雇用の多様化により、働き手にとっても企業側にとっても意味あるシステム・形態として実証されてきたが、急激な景気後退という局面で、同時発生的に「派遣切り」や「派遣カット」ということが起こり、社会的問題としてクローズアップされている。企業には、そのような(「派遣切り」という)状態がいまの社会には大きな問題なのだという認識が必要だと思う。しかしそれが、この雇用形態を排除してまで責任を取るというような方策が必要だということを意味しているわけではなく、企業は、(非正規雇用の)運用の仕方について新たな取り組みを考えるべきである。具体的には、「市場の縮小に対応した生産縮小、それが即雇用の縮小・調整」、という単純な図式ではないということである。企業を挙げて経営革新を起こす、その手段のひとつとして雇用調整がある、という観点に立ったやり方が必要であろう。

企業ひとりが全責任を負ってこの社会的問題を解くわけではなく、政府と企業と働く側の三者がそれなりの役割分担を持ち、連携を取りながら展開していくことが非常に重要である。誤解を覚悟で三者の役割を簡単に言うと、政府は「セーフティーネットの充実」、企業は「雇用調整は経営改革・革新のひとつの手段という位置づけの下での展開」、働き側はいろいろな意味を含めてやはり「我慢」、だと思う。

Q: 雇用について、昨日、舛添厚生労働大臣が製造業の労働者派遣法の見直しに言及されたが、これについての見解を伺いたい。また、いま非正規雇用の問題がクローズアップされているが、今年中には正規雇用の調整にも及ぶのではないかという声もある。御手洗日本経団連会長は、先ほどパーティーの挨拶で、「緊急的には所定労働時間を短縮して雇用を守るという考え方も必要」と仰っていたが、企業として雇用をどう守っていくのか、具体的にこれからどういうことを考えていく必要があるか。

桜井: お二人の意見に同感である。昨日の舛添大臣のコメントは行き過ぎであると思っている。製造業の(派遣労働の)対象からの排除は行き過ぎた話で、御手洗会長や岡村会頭が仰ったように、その(派遣労働の)仕組みのなかにこれまで不足していた部分があり、その手直しをしていくこと、例えば、セーフティーネットの充実や解雇以外のやり方をより考えることなどが重要で、一点集中的に(製造業を派遣対象から外すなど)やる話ではない。

Q: 昨日国会が開会した。今年政治に対して何を求めていくか。

桜井: 党利党略の問題と中・長期の問題は、お二人に全く同感で、現在のような事態に際しては、党利党略ではなく協調してしっかりと予算編成に取り組むと同時に、中・長期的な政策議論をスタートさせることが非常に大事である。

そしていま一度、なぜ大事なのかを国民も含めて共有化すべきではないか。日本は未曾有の大借金を抱えた国で、その国が少子高齢化、人口減少により、借金の返済どころではなくなっているというところに、根本的な問題があると思う。そのような状態にある国を、もっと効率の良い活力のある国にすべきだということで、構造改革(の取り組み)が始まったはずである。すなわち、国から地方へ、官から民へという方向で効率化を進めていこう、と。ところが、いわゆる"ねじれ国会"の下に、政治がそれを乗り越えられず、それどころか後戻りするようになってしまった。その後戻りをしている最中に、世界的な金融危機、経済危機という、百年に一度あるかないかという規模の爆弾が落ちてきて、いまはそれが爆発するかどうかというところである。そのような状況なのだから、難しいとはいえ、(景気対策と活性化のための構造改革の)両方をやらなければならない。

国民はいま、閉塞感を抱いていると言われているが、それはこの国がどうなるのかわからない(からである)。まともに政策が前に進まないなかで、大きな爆弾がまさに爆発しようとしている。まずは足下をしっかりと支える、つまり景気対策を実施して経済の活性化を図る、(同時に)将来に向けて活力をつける政策をさらに加えていかなければならない、これらに同時に取り組まなくてはならない。最初の3年はこれ、次は、などと年数を区切って進める、ブツ切りで取り組んでいく話ではない。企業経営では、(直近の課題と中・長期の改革を)くさび状に同時並行で進めていくのは当然のことである。

遅くとも9月までには衆議院議員選挙が行われるが、日本の国民は、足下だけではなく、将来この国がどうなるのかに大きな関心を持っており、それが明らかでなければ戸惑うだろう。よって(次期総選挙では)マニフェストが非常に大事になる。明確な政策や財源が求められるだけではなく、むしろ将来「この国のかたち」をこうするのだ、ということを争点にしたマニフェストにしていただきたい。この「かたち」というのは「美しい国」などのキーワードではなく、例えば、社会保障費の給付費用が増えるのであれば国民の負担はどのくらいになるのか、(個人の)収入のうちどの程度の割合を保険料や税として収めなければならにのか、すなわち国民負担率はどれくらいか、求める社会保障が受けられかつこの国の抱える借金を返済できるのか、勿論社会保障はこの国のかたちのひとつの要素だが、「この国のかたち論争」を明示し、それに必要な政策論争をしていただきたい。政策の話だけに終始してしまうと、足下の問題のみに寄っていってしまい、中・長期の(重要な)課題は忘れられて、国民の(大きな)関心事は論点に上らないという大きな間違いを起こすことになる。

Q: 今年の株価と為替について、最高値と最安値は。そしてそれはいつ頃を予想されているか。

桜井: 昨年(この会見の場で株価は)約14,000円と申し上げたところ、直後に13,000円台になってしまったので、今年は幅で申し上げる。株価は7,000~12,000円くらい、為替(円ドル)は95~100円くらいではないか。上限はかなり期待を含んだ数字である。

Q: 少子高齢化問題について伺いたい。これは10年、20年のスパンで考えなくてはいけない問題である。企業に働く女性にとって、(結婚)適齢期はオープンだが、出産の適齢期は40歳くらいである。いまの女性が求めているのは、3高のイケメンではなく、育児に協力してくれる男性だ。北欧では、父親の育児休業がクオーター制で、ジョブ・シェアリングもできるので、働く女性は、母親も家庭も楽しむことができ、仕事もできる。また国自体も、技術革新などで国際社会に尊敬される地位を占めている。先ほど、(企業が)足下でできることという発言があったが、子育てをするイケメンを増やすために経済団体として相談し、強制的に新しい父親には10カ月間の育児休暇を取らせる、その間、ジョブ・シェアリングなり派遣なりで補うなどして業務を続ける、というような革新的な考えはあるか。

桜井: 経済同友会では、ワーク・ライフ・バランスについてかなり積極的な提言をしているが、ご質問の強制的な展開については、会の性格上、行うことはない。先進的な提言をし、企業がそれなりの社会的価値観に基づいて積極的に展開するよう、働きかけている。

Q: いま、世界同時不況やアメリカ発の金融危機を受け、新自由主義の失敗が言われている。この新自由主義と表裏一体をなすように、この10年位日本の経営者が理想モデルとしてきたのが米国型経営だった。いま、株主重視や短期利益を求める米国型経営をどのように評価されているか。見直す(必要がある)のか、そうではないのか。米国型経営に対する考えを伺いたい。

桜井: 経済同友会では、1年半くらい前から、「新・日本流経営」を見極めようという活動を展開している。日本企業は決して、単純にグローバル・スタンダードを求めて展開している、あるいは米国を超えた先鋭的な経営をしている、というわけではない。むしろ、グローバル・スタンダードと称される米国型の市場原理(主義)に近い経営と、昔ながらの日本型と言われる経営との間を行きつ戻りつしてきたことに、危機感を持っている。もっと日本流と言われる強さ、例えば、中・長期的展望の経営や、株主だけの企業という見方ではないマルチステークホルダー型、あるいはチームワーク重視、現場志向などをしっかりと見極め、それを磨いて、欧米流のこれからの経済や社会に対応できる経営を融合させていく、これをしっかりしようという(「新・日本流経営」を目指す)活動をしている。

いまご質問にあったような「日本企業がグローバル・スタンダードで展開している」という認識は、私にはまったくない。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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