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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2008年12月25日(木)14:00~
出席者 桜井 正光 代表幹事
小島 邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で、(1)1年を振り返って、(2)雇用問題、(3)日本の製造業、(4)2009年度副代表幹事人事、などについて発言があった。

Q: 今年一年を振り返って、どういう一年だったか。

桜井: ひとことで言うと、政治・経済ともに「混迷の一年」という感想である。

政治の混迷というのは、昨年の参院選以降、「ねじれ国会」という現象を乗り越えられず、その状態が現在まで延々と尾を引いている感じがする。

経済の混迷については、サブプライムローンに端を発した世界の金融不安・金融収縮であるが、今年9月のリーマンブラザーズ破たんをきっかけに、一部の金融機関に留まっていたものが、信用不安としての波が一気に全体に広がり、さらにそれが実体経済に影響した。これにより、金融不安と実体経済(への影響)という負のスパイラル、即ちスパイラル・ダウンが発生した。原点は見えているが、米国の住宅市場の底がなかなか見えず、それが現在も続いている。各国政府や中央銀行があらゆる手段を講じていながら、なかなか信用不安が落ち着かない。これが落ち着かない限り、経済が落ち着くことはない。今のところ復活の兆しも無いし、復活の時期も予想しにくい。これが「経済の混迷」であり、実体経済の色々な部分に波及している。政治、経済、そして企業経営まで、「混迷」が進んでいるという印象である。

Q: 企業経営の混迷もあるかと思うが、いま企業が非正規雇用の削減を続けていることに、世間から非常に厳しい批判が出ている。いすゞ自動車が中途解雇する予定だった期間工550人を契約満了まで雇うなど、いろいろな動きも出てきている。企業への批判に対する代表幹事の回答はどのようなものか、見解を伺いたい。

桜井: 雇用問題については、前回の記者会見でも申し上げたが、企業には、雇用に対する責任が当然ある。企業が雇用に対して責任を果たすという基本的な考え方は、企業は常に経営革新を行い、企業の成長と発展を持続的に達成していくことにより、雇用の拡大、諸待遇の改善に努めていくことである。現在、非正規社員(の割合)が35%程度にまで増えてきており、これは増え続ける傾向にある。また、非正規社員の働き方も変化している。以前は、生計を支える主たる収入が(別に)あって、パート、アルバイトとしての収入はプラスアルファということが多かったと思う。それが、非正規社員の範疇も拡大し、(その収入が)主たる生活のための非常に重要な収入源になってきた。非正規社員化やそのような働き方(自体)は、新しいビジネスモデルが出てきた(ことを見ても分かる)ように、働き手にとっても、企業にとっても、非常に重要な雇用形態だと思っている。日本の経済の活力という点から見ても、(このような働き方の)被雇用者を排除してはならない。但し、現在問題なのは、急激な経済の悪化によって、ある産業では経営危機にまで追い込まれるという(状況の)なかで、(非正規社員の)解雇が出てきており、(それが)社会的な問題となりつつある。企業は、(非正規社員の)解雇が、(被雇用者が)仕事を奪われ、生活を奪われ、生計を立てられないという社会的な課題であると認識する必要がある。そのうえで、解雇に対しては、慎重に雇用調整に取り組む姿勢が必要であると思う。「慎重な雇用調整」については、2009年の年頭見解でも触れているが、年明け以降至急に委員会を新設し、企業がいかに取り組むべきかについて、長く時間をかけることなく、綿密に議論をしたうえで、経済同友会としての考え方を皆さんに報告したい。

現段階での私の考え方としては、経営が非常に追い込まれてきたところで、「生産調整」即「解雇」とならないように、(解雇を)全体的な経営改革を進めるなかの1項目として考える必要があると思っている。企業経営のなかで、経費削減や、事業や商品・サービスの選択と集中、また長期的に見ても重要な新事業の創造など、いわゆる経営改革を大いに進めていくなかで、解雇をどう位置づけるかを慎重に検討して答えを出していく姿勢が非常に重要である。次に、雇用調整にもいろいろなやり方がある。企業によって考え方は異なるとは思うが、人件費の問題として考えると、人件費は一人あたりの賃金と人数(の掛け合わせ)である。雇用調整をするときに、これをいかに考えるか。例えば、一般的に言われるワークシェアリングが考えられ、その検討を進めることも、ひとつの「慎重な取り組み」になるのではないか。(これは一例ではあるが、いずれにせよ)総合的な考え方をしていくことが大事だと思う。

Q: ワークシェアリングとは、社会全体でやるべきだということか。

桜井: そういう話ではない。社会全体として考えれば、産業構造まで含めた考え方もあると思う。将来雇用能力の増大が難しい産業から、これから大きく育つ産業(へ)といった、いわゆる「産業シフト」によって、(社会)全体でのワークシェアリングが可能になるとは思う。しかし、社会全体で考えてしまうと、頭で(考える理論として)は分かるけれども、(実際にやるとなると)どのように調整すべきか、手がつけられなくなるだろう。やはり企業のなかで、そして関連会社も含め、さらには関連会社外でも、という風に段階で広げていくことはできるだろう。最初から社会全体でというのは、取り組みにくいと思う。

Q: (ワークシェアリングに関連して)働き方の新しい方向性として同一労働同一賃金(への取り組み)を進めていくことが必要ではないかという議論があったと思うが、代表幹事の考えとしては、現状は正規・非正規含めて全従業員で負担し合うべきで、賃金カットもやむなしということか。

桜井: ワークシェアリングについて正しく理解していただきたい。ワークシェアリングは、正規社員と非正規社員を含めて考えなければならない。これが重要な要素で、同一労働同一賃金となっていればワークシェアリングを導入し易いが、それ(賃金)が異なるとしにくい。シェアリングする際には、仕事ごとに行うのが基本で、同じ仕事に対しては同じ賃金で、ということが実現していると、ワークシェアリングがし易い。

Q: ワークシェアリングは、必ずしも賃金引下げにはつながらないということか。

桜井: 企業によって異なり、賃金に結びつけずにワークシェアリングしようという企業もあるだろう。ただし、私が欧州の経験で知っている範囲では、賃金とセットで考えていた。例えば、仕事量が半分しかない場合は、従業員全員で半分の時間だけ勤務し、本来は賃金が下がるというシェアの仕方だ。企業がシェアリングまで実施しなければならない状態になっている時に、企業として(賃金を勘案せずに)どのような成果を上げられると言うのか。賃金と絡まないシェアリングを否定しているわけではないが、(単に仕事を)シェアするだけでは(本当の意味の)ワークシェアリングではない。

Q: 非正規社員のなかにも、直接雇用と派遣・請負契約というように形態が異なっている。非正規社員のうち、派遣・請負といった直接雇用でない人に対してもワークシェアリングの考え方を拡大すべきか、それとも一線を引くべきか。

桜井: その辺りに難しさが出てくると思うが、シェアリングは共通に分けることを前提に考えるべきなので、企業として手段を工夫する必要がある。ワークシェアのみにこだわっているわけではなく、あくまでも一例として話をしている。

Q: 非正規雇用削減への批判のなかで、中途で契約を解除される従業員、即ちかつての解雇に近い概念への批判のみならず、契約期間が満了した従業員の契約を延長しない企業も批判されている今の状況をどう受け止めているか。

桜井: 期間内の解雇については、企業の雇用に対する責任として守っていく方向が良い。一方、期間を満了した後の継続については、現在、新たな法改正等で規制を設けようという動きがある。例えば、働き手の方が継続を要望する場合、相当な理由がない限り契約打ち切りさせないというような案が出ているようだ。これは、解雇ではなく(契約)継続の話で、そこまで規制で企業側を縛るようなことは避けていただきたい。雇用に関する規制の法整備は慎重にすべきである。先述のとおり、もちろん企業も慎重な姿勢で(雇用調整に)取り組まなくてはならないが、企業の自由度を奪うような規制や法改正は、むしろ新しい貴重な雇用形態による経済の活力を失わせることにつながることを危惧する。もちろんここで言う自由度というのは、企業が勝手なことをするという意味ではない。

Q: かつて日本の製造業は非常に強かったが、今や、例えばトヨタの利益2兆円が(円高で)失われてしまうなど、急激なブレーキがかかっている。なぜこれほどまでに製造業全般が落ち込んでしまう事態となったのか。

桜井: 個別企業については同社のIR(部門)に尋ねていただくのが良い。

製造業全般について一般論を述べると、日本の経済を支えている製造業は、外需の比率が高い。国内市場は少子高齢化などから成熟状態にあり、海外に(市場を)求めていかざるを得ない。以前は(製品を)輸出するのみだったが、現地生産・現地事業化も加速し、外需依存型へと進んできた。今回は、その外需が崩れてしまい、大きな打撃を受けることとなった。他にも(企業経営として)構造的に考えなければならない問題が増えてきている。(例えば)原油や資材の価格は、現在元に戻っているとはいえ一時高騰した影響も少なくないし、いまは落ち着いているように見えるが、また上がってくるだろう。(急激な)円高に耐えられなかった(という問題もある)。日本の企業経営が抱えている構造的な(課題の)部分が(世界的な経済危機などに)耐えられるようになっていなかったということが、共通して言えると思う。

Q: 来年度の副代表幹事選出について、2名が発表されたが、来春までに当初の予定通り3名選出されることになるのか。

桜井: 基本的には、役員選考委員会として3名を提案し、それが委員会、および幹事会で認められて内定となった。従って3名が妥当で、それでもなお(副代表幹事の)欠員は2名、これを守りたいとは思っている。しかし、人材や後任人事などを含めて考える必要があるので、来年開かれる役員選考委員会で議論して決めようと思う。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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