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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2008年12月17日(水)13:30~
出席者 桜井 正光 代表幹事
小島 邦夫 副代表幹事・専務理事
田谷 禎三 経済情勢・政策委員会副委員長

Q: 円高および日・米の金利が拮抗してきた状況を受けて、特に輸出産業にどのような影響を与えるか、見解を伺いたい。

桜井: 米国のゼロ金利政策は、即円高という結果になった。株価は、政府やFRBの対応に好感を示して上がっており、日本の株価も同様に反発している。

円高は、いつも述べているように、(企業の)対応に時間がかかるため、振れ幅が大きな問題である。(為替は1ドル=)80円台後半になっているが、長期的にみると、90円を割るような円高を通常のベースとしての企業経営・運営が必要になってくると思う。しかし、「景気定点観測アンケート調査結果」にもある通り、多くの企業は100~105円で(2008年度)予算を組んでおり、これに対してかなり円高が進んでいるため、吸収しづらいということで、今後の減収減益の大きな要素になるだろう。

Q: (今回の)米国の利下げについて、どのように評価されるか。また、世界経済への影響について見解を伺いたい。

桜井: 一般論になるが、公的資金による不良債権の買取りや金融機関への資金投入、金融関係のみならず大手企業の破たんといった危機を回避するための資本増強、利下げや供給量の増大などの金融政策など、いずれの対応も(タイミングが)遅いと感じている。日本も(バブル崩壊後に)素早く(対策を)実施できたわけではないが、(金融危機の)経験があれば適切なタイミングを判断し、先行的な手を打つことができたはずである。当事者は、その時点で相応の切迫感・緊張感が生まれないと、これだけの(大胆な)公的介入や支援策が打てないのであろうが、(それを理解したうえでなお、)米国の対応が後手後手に回ったがために、マーケットや社会を安心させるには手遅れだったという感想である。

Q: 金融緩和について、日本でも米国と同様の対応が必要ではないかとの声が、政府(関係者)からも出ていることについてはいかがお考えか。また、日銀はどう対応すべきとお考えか。

桜井: 私が答える問題ではないが、(今回の危機は)日本独自の課題ではなく、世界とのバランスのうえで金融危機をいかに脱出するかという問題なので、政府および日銀がよく考慮して適切な対応をとっていただきたい。

Q: 日銀の対応が遅れているとお考えか。

桜井: そうした気持ちは持っていない。

Q: 昨日、日本経団連が「経営労働政策委員会報告」を発表し、夕刻には連合が反論会見を開いた。連合は8年振りのベアを要求し、日本経団連はベアは困難との見解を述べ、むしろ雇用に重点を置くとのことだった。今後、賃上げや雇用など来春闘はどうなっていくとお考えか。

桜井: 同友会は(経営者個人の団体なので)、例年、雇用や賃金について取りまとめることはしていないため、代表幹事としての個人の意見を述べる。賃上げより雇用の問題に、企業としては重点を置いて慎重に対応を取っていくことが必要だろう。いまの状況では、雇用問題は企業だけの問題ではなく、生活者の収入や居住環境を奪うことにもなるので、ギリギリの線まで熟慮して慎重に行うべきだと思っている。

賃上げは、個々の企業の現状と見通しによるもので、今日明日で変えられるものではないため、各企業の状況によって違う。一般論から言えば、世界経済、日本経済ともに、これから金融システム不安が実体経済にどんどんマイナスの影響を与えてくる。この回復も、「景気定点観測アンケート調査結果」にもある通り、再来年の春頃まで慎重に見ておかなければならない。これらを含めて考えると、賃上げは非常に厳しいと判断せざるを得ない。

Q: 雇用の問題について、「ギリギリの線まで熟慮してほしい」ということは、「企業は雇用調整には慎重にあるべきだ」ということか。

桜井: そうである。

Q: 特に、派遣や請負が切られていることについてはいかがか。

桜井: 企業の立場で言えば、雇用の多様化は、いまのようなマイナスのときだけではなく、プラスのときにも、企業経営に柔軟性を持たせるという意味を持つ。ただし背景として、非正規(の働き方)というのは、昔は生活を支える業があるうえでのプラスアルファだったが、今は全体的に雇用環境が限られてきたため働く側にも選択肢が少なくなり、(生活を支える)安定的な収入を得るためであっても非正規(で職に就く)しかない場合もある。このような状態のなかでの非正規社員の解雇という問題なので、企業は、背景を考え、熟慮したうえで、解雇に踏み切るということであれば慎重であってほしい。

Q: 景気の調整弁として派遣や請負が位置づけられているとお考えか。

桜井: 基本的にはそうである。雇用の多様化をプラスに考えていただく面も必要であるし、企業経営にとっても、長い目で見た成長と拡大を考えたときの(経営の)柔軟性も大事である。それをベースに、働いている非正規社員の生計を考え、慎重であってほしい、ムードに流されないでほしい、ということである。

Q: 賃金や雇用は内需に響いてくるので、個々の企業としては最適選択としても、全体としては日本経済を冷やすということになる。合成の誤謬のような現象について、総資本の立場から良いとお考えか。

桜井: (総資本の話を)企業にばかり持ってこられても答えにくい。これまで、雇用形態の問題やここまでの経済悪化を想定していなかった。一企業ではできないことが随分あるので、政治と労働側と経営側の3者が、新たな仕組みや制度を作っていくことが必要だと思う。

解雇されたひとたちが生活や住居に困るという状況では、国として、セーフティネットの拡充や、働くチャンスを失ったひとたちが固定化しないよう再チャレンジができる(例えば)訓練制度などが必要である。

また、大きくは産業構造の見直しもある。例えば、二次産業の三次産業化や、一次産業の活性化をどう進めていく。現在の固定概念ではなく、一次産業を二次産業化、三次産業化する、いわゆる六次産業などと言われているが、このようことを国家戦略として後押しし、チャンスを増大させることなどを含めて制度設計を行わなければならない。

Q: 政・経・労の3者による協議や情報交換の場を、(経済同友会として)提案あるいはつくる考えはあるか。

桜井: 現時点では(具体的には)持っていないが、改めて、このようなことは絶対に必要であると考えている。

Q: 中長期的に、産業構造を変えたり、雇用の場を創出するなどの取り組みはもちろん重要だが、短期的、緊急避難的な対応として、産業界にできることはないのか。

桜井: 個別には、(社員)寮を開放するなどが考えられるだろうが、いま求められている対応はそういうことではないと思う。例えば、十数年前に欧州で試みられ、日本でも一部導入されたワークシェアリング方式などが考えられるが、これも労使間で十分に協議をして進める必要があるので、ある程度時間がかかる。人件費を、個々の解雇によって削減するのではなく、全従業員で抑制(削減)することで雇用を総トータルで守るという手法なので、賃金のカットにつながる。一長一短はあるが、種々個別に打つべき手はあると思う。

Q: 派遣や請負が景気の調整弁になっているとのお話があったが、ここにきて労働の多様性におけるマイナスの面が大きく出てきている。雇用のあり方そのものに対する政策を改める必要はないのか。

桜井: (多様な働き方についての政策を)根本的に改めるということは、やるべきではない。先述の通り、背景として、非正規社員で生計を立てる人が昔と違って主流になってきているので、その点を考慮して、非正規社員はどうあるべきかを考えることが重要である。以前から同友会が主張しているように、また私の海外での経験からも言えることだが、非正規社員と正規社員が同じ仕事をしている場合は、同じ賃金であるべきだ。現在の非正規社員の働き方をふまえて、然るべき改め方が導き出されると思う。単に、非正規社員を正規社員にするという改め方はないと考えている。もしも、そのような形(正社員化の義務付け)になると、企業は、(雇用の市場が)日本が良いのか海外が良いのかを選択することになるだろう。

Q: 同一労働同一賃金は経営者の判断によると思うが、代表幹事の会社での取組みがいかがか。

桜井: 自分の会社のことを言う場ではないが、(実現は)難しいことではない。

小島: 派遣や請負の仕組みの一つとして、セーフティネットができていなかったという側面がある。これについては(今後)考えていかなければならない。

Q: 大分県で職を失った非正規の人々に役所が対応策を講じていることについては、いかがお考えか。

小島: それはそれで良いと思うが、本質的には、例えば失業保険でカバーされていないことなどを含めてどう対策すべきかなどを議論していくことが必要ではないか。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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