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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2008年11月07日(金)13:30~
出席者 桜井 正光 代表幹事
小島 邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で、(1)現状の株価認識と企業業績の先行き、(2)G20金融サミット、(3)時価会計の一時停止、(4)政府の追加経済対策、(5)米国経済とGM、などについて発言があった。

Q: 株式市場では、今日の前場で一時600円安など不安定な状況が続いている。昨日はトヨタ自動車の決算が発表され、先行きに厳しい見通しが示された。現状の株価の認識と、先行きの企業業績について、見解を伺いたい。

桜井: 株価はこのところ随分変動しており、今後も下方に流れていくのかは容易に言えるものではない。世界各国の政府や金融当局が、持てる対策をフル出動しているし、日本も追随する形ではあるが、金利引下げや財政出動、資本注入などフル稼働を始めている。このような状況でなかなか振れが止まらない状況は、金融不安の原因が原因であり、また(サブプライムを含んだ金融)商品が相当世界に広がっていることもあるので、急な不安解消という訳にはいかないのだろう。これからの株価・為替の動きに注視し、念頭においておかなければならない。

企業業績については、昨日決算発表のあったトヨタ自動車が顕著な例である。原油や資源(価格)の高騰は止まり、円高のスピードも一応止まったように見えるが、円高によるメリットを越えるような世界の市場の収縮や株(価低迷)の問題がある。トヨタ自動車を筆頭に今回の決算発表は(各社)惨憺たるもので、今年度は、企業経営者にとって非常に厳しい決算をせざるを得ない。このような状況は今後も続くであろうと見なければならず、安穏とはしていられない。

小島: それにしても株価そのものは依然として安すぎると思う。

桜井: 基本的には、何故こんなに安いのか、ということで、この「何故」は不安の話である。前回も申し上げたが、マーケット参加者に「もっと落ち着いて欲しい」と叫びたいくらいで、行き過ぎである。実体のある企業が商品・サービスの提供を行い、そのやりとりで実体経済のベースが作られている。従来であれば、そこにお金という血液を潤沢に流す金融機関があり、この金融機関と企業との組み合わせで経済がどんどん活性化し、互いに良い影響をし合って成長・発展を遂げていくというシナリオがあった。(しかし)そこに架空の(金融商品という)ものが乗り、信用や期待だけが猛烈な勢いで膨れ上がり、それが(金融)バブル(崩壊)により崩れ去った。その(上に乗った架空の)部分だけを切り取ることで落ち着けば良いのだが、(今回は)その下の純粋な金融システムや実体経済に、株(価)と為替の乱高下で相当なダメージを与え始めている。これを本当になんとかしなければいけない。

Q: 11月15日に20カ国が集まり金融サミットが開催される。麻生総理も参加され、金融問題を含めいろいろな議題を提起するということだが、金融サミットに向けて、各国の政府や金融当局に望みたいことは何か。

桜井: 現在のシステムは、以前の金融恐慌の時とは異なり、世界が政策ネットワークで繋がり、敏感に協調できるようになっている。その力をフルに発揮し、お互いに確認し合うことが必要で、これは現在も続けているので再確認になる。もうひとつ、経済同友会としてはまだしっかりと議論をしていないが、金融(商品)における、架空の、信用だけ(に頼った)ものについては、きちんとルールを作成すべきだと思う。この「ルール」は、「規制」とは異なる意味で申し上げている。過度な規制は、金融システム自体を麻痺させてしまうことがあるので、非常に大事な(本来の)金融は健全なものにしていくべきである。ただし、信用だけが過度に膨らんでいくことがないように、ある程度のルール化については議論すべきであると思う。その辺りを(金融サミットに)期待したい。

Q: 政策ネットワークの力をフルに発揮すべきだと言われたが、現状、日本の金融政策と財政政策の出動できる余地が限られているように思うが、その点についてはいかがか。

桜井:  (政策は)それぞれの国の状況によって異なる。例えば、金利は(日本は)ほとんどゼロに近く、(諸外国のように)3-4%台の話ではない。協調をするにしても、やり方は個々の国の状況に合わせる必要がある。やらないというのではなく、先日日銀が行ったように0.2%下げるというやり方もあるだろう。それぞれの国の事情により、それぞれの幅、有効性の範囲内で実施することが重要である。

Q: 金融機関の時価会計を一時停止する動きがあるが、それについて過去の流れから、今になって何故という感もある。米国からのプレッシャーに日本も対応するという形のようだが、これについて代表幹事の所感を伺いたい。

桜井: 何故という気持ちが大きいと思うし、私も同感である。(時価会計の一時停止により、)金融機関の健全性を曲げ、(その結果、会計が)偽りになることは非常に危険である。しかし、(議論の)内容や現在の過度な金融不安を考慮すると、マーケットで商品の取引が成り立たないものが多分にあり、それらは価格がつかないだけでゼロではないので、(無理やり)価格を付けて時価会計に持ち込まなくても良いのではないか。市場できちんと価格が成立する商品については、今まで同様時価会計を、という区分で考えるのであれば、現在のような事態に合った時価会計の見直しには意味があるのではないかと思う。

小島: そういう話だと思う。投げ売り価格も「時価」であると言い出すと、滅茶苦茶になってしまう。その限りにおいては、(時価会計の一時停止のほうが)良いということになるのではないか。

Q: (政府の追加経済対策に盛り込まれた)給付金について、高額所得者には辞退を促すということが検討されているが、代表幹事はどのように考えるか。

桜井: もともと給付金自体(の効果)には疑問で、この財政状況における2兆円規模の有効活用という点で、慎重に検討した方がよい。もう決まることなので、(給付の)範囲や出し方について慎重に考えて欲しいと思っている。しかし、こういう時にはしっかりとした政策をきちんと出すことが大事で、出した後に様々(な修正や定義が)出てくるというやり方には少し疑問を持つ。給付されたお金が消費に回るのか、本当に経済活性化(に結びつくの)かについては、非常に疑問である。

Q: 生活対策には「経済界に賃上げを促す」とあったが、政策のひとつだと考えるか。

桜井: 報酬・給与を上げることは、企業にとって現在の(ような)状況下で非常に厳しい。それよりもむしろ、雇用をいかに守っていくかの方が大事である。賃上げは、個々の企業の考え方や経営状態、業績の動向、競争関係など、その企業が置かれている状況で考えていただくことが大事である。国の政策という性質のものではない。

小島: 先ほどの話ではないが、株式市場をなんとかするというような政策の方が良いのではないか。

Q: 将来的には消費税の引上げを視野に入れるという話があるが、これについていかがか。

桜井: 中・長期の視点で、年金、医療、介護などを含めた長持ちする持続可能な社会保障制度にするためには、当然、消費税は上げていかざるを得ない。経済同友会では、継続的な社会保障制度を作るためには、現在(制度の)継続が困難になっている背景には不払いや無年金、若者と高齢者との間で生じている負担と受給のバランス格差など制度的な問題があるので、基礎年金(部分)は税方式にすべきと提案している。それらを含めて考えると、社会保障制度(を維持していくため)の国民の負担は、現状のレベルでは収まらないし、給付(国民から見ると受給)もある意味では絞らざるを得なくなるだろう。そうしたなかでの安定した財源として消費税を位置付けていくべきと考えている。

もうひとつ、現在の議論が消費税論だけになってしまっているが、これは違うと言いたい。消費税だけではなくそれ以外(の負担)も含め、国民負担がどれくらいになるのかというのが大事な点である。国民負担というのは、税と社会保障関係の保険料が2つの大きな柱だが、その(負担の)トータルが国民所得に占める割合が何割なのかが非常に重要な点だ。新聞等の報道や政府の委員会、懇談会等のアウトプットを見ると、すべて消費税換算となっており、消費税のみが浮き彫りにされている。トータルで保険料+税という解釈をし、それをどの程度の負担にするかという角度で国民に掲示し、(国民に)我慢を求めるべきだろう。

小島: その意味で、先般の社会保障国民会議(の報告)は、保険料について何も言っておらず、我々としては不満である。

桜井: また、給付の効率性アップについて全然述べられていない。(報告で)述べられている社会保障の機能強化、例えば医師不足や医療の地域格差や偏在、(医療)分野の偏重などを是正する取り組み等は非常に大事だが、追加するサービスばかりが全面に出てきているように思える。まだまだ効率アップすべきところが多々ある。こうした課題も同時に入れ込まずに負担にばかり向かうと、当然保険料や消費税の引上げだけの話になってしまう。

以前から指摘されているにも関わらず進展が見られないことから考えても、やはり早期にスウェーデンのような与・野党超党派による取り組みが必要ではないか。(制度そのものを)スウェーデン方式(のような高福祉・高負担)にすべきという意味ではなく、喫緊の重要課題に対して超党派で取り組むというやり方のことを述べている。

Q: 給付金について、麻生総理は当初、4人家族で6万円、全家庭に支払うと記者会見で述べたが、バラ撒き批判が出ると一転、所得制限を設けて高額所得者には辞退を求めるなど、迷走が感じられる。経済対策はスピード感が必要だが、そういう状況になっていない。消費税の問題も同様で、3年後に(景気の動向次第と断りつつも)引上げをすると語ったものが、最近では景気の動向次第という一点を強調する姿勢になっている。こうした総理の発言のあり方について、代表幹事の見解を伺いたい。

桜井: 現時点で総理の評価をするのは早い。今回の給付金については、当初から、バラ撒きなのか違うのか、という議論があった。迅速に実施すべきという指摘は理解できるが、実施するのであれば、「障害はあってもこのようなやり方をしたい」と明確に述べた方が良いだろう。例えば1年後に受け取れると分かれば、国民も安心感が持てる。

消費税についても、景気次第というのも大事だが、国民のお金が消費に回っていないのは、お金がないから回らない人もいるだろうし、将来が不安だからお金を使わない人もいる。選挙の争点を(国民に)問えば、常に社会保障の問題がトップにくる。これだけ国民の関心が高いのは、中・長期に対する不安を表わしている。選挙を考える上でも、社会保障(制度)をどのように設計するのか、負担はどの程度か、受給はどうなるのか、そしてその財源は何か、について明確にすることが必要だと思う。真正面から争点にして選挙をしても良いのではないか。

Q: 米国経済について、新大統領が決まったが株価の下落は止まらない。また、ビッグ3がビッグ2になるのかというクライマックスが迫っている。こうした現状をどのように見ているか。

桜井: まだオバマ氏が新大新統領に決まったというだけで、就任まで時間もあるし、移行期間中にどのような流れになるのかは不透明な状況だ。そういう意味で、すぐに市場が敏感に反応するとは思っていない。現政権も様々な手を打っているが、それでも株価が下げ止まらないことからも、政権交代に過度に期待し過ぎではないか。

今回の金融不安・金融危機は、ここまで拡大、深化して不透明になっているので容易(に脱却できるもの)ではなく、米国経済がすぐに好転するようなことはまずないだろう。

Q: 自動車メーカーのGMについては、クライマックスを迎えているようだが、どう見ているか。

桜井: 質問の意図は、世界的な自動車業界の再編ということか。それは(トヨタ自動車の)奥田さんに聞いてみていただきたい。(一般論としては業界)再編という方向はあり得るだろう。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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