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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2008年10月21日(火)13:30~
出席者 桜井 正光 代表幹事

記者の質問に答える形で、(1)国内排出量取引制度の試行、(2)景気認識と追加対策、(3)解散総選挙、(4)読売新聞社の医療制度改革案、(5)道府県による国庫補助金の不正利用、などについて発言があった。

Q: 温暖化防止対策について、本日、国内排出量取引制度の試験的実施が始まった。企業の自主参加、削減目標の自主策定、過不足分の自主売買などが主な内容で、これから参加企業を募る。産業界にはまだ考え方に差があるようだが、改めてどう受け止めているか。

桜井: 排出量取引については以前から述べている。一番大事なのは、意味ある排出「枠」設定の必要性がきちんと理解され、排出「枠」を設定しなくてはいけないという認識があって初めて、その「枠」通りの削減を達成するために、排出「量」の取引がひとつの有効な手段・方法となる。これが基本的に理解されなくてはいけない。そうでないと、量の過不足を取引するために枠が必要だ、というように、「トレード」のための「キャップ」になる。そうすると、排出「枠」の設定は、自主計画、すなわち自分で設定しても良い、ということになり、排出量取引の考え方に対する大きな間違いがある。排出枠(キャップ)を自主計画、自己申告で設定する方法で、本当に(排出)量の取引が必要となるのか。取引市場の活性化がどうして起きるのか。取引市場における問題点をどう見出すことができるのか。これらについて疑問を感じる。

キャップの設定に問題はあるが、とりあえず自己申告型の枠の設定で排出量取引市場を開設してみれば、枠の設定の重要さや、欲しいときに必要な排出量をいかに買うか、口座の設定はどうするのか、などのいろいろな問題が出てくるので、それらを通して十分ではないがシステム構築が進むことには意味がある。また、枠の設定の重要性も理解されてくると思うので、その面では期待するところもある。

(今回の試行は)自主参加型なので、参加するかどうかは企業の考え方によるが、各企業が、地球温暖化防止のために自社でどのくらいの排出枠を設定しなければいけないかをしっかりと考え、参加していただくことが望ましい。

排出「量」の取引のためでない本来の「枠」の設定について補足する。2050年には(全)世界で(温室効果ガスを)半減する、(中でも)先進国は70%以上、90%程度は削減しなければいけないという大きな目標がある。(そのためには)中間地点の2020年あるいは2025年に、先進国は40%程度の削減が必要である。それに従った国の(義務的削減)枠の設定があり、それをブレークダウンした企業の枠の設定がある。これが本来の排出「枠」ということだ。

Q: 排出量取引について、自主申告で取引が活性化するのか疑問を感じるとの発言があったが、自主申告では企業の削減幅が本来必要なレベルより少なくなりがちだという認識か。

桜井: 自主申告であれば、(削減幅が)少なくなることは当たり前である。京都議定書で(決定した日本の温室効果ガス排出削減目標は)6%である。地球温暖化阻止のため(ポスト京都議定書)には、先述の通り、中期(目標)で先進国が約40%である。このふたつは、ほぼ同じ約10年という期間である。自主申告で通用するのは、今までの実績を考えれば、京都(議定書)の6%(レベル)前後であろう。それで本当に良いのか、ということである。

Q: 今回は試行だが、いずれ本格実施になったときには、誰かがキャップを掛けることが必要だということか。

桜井: そうだ。排出量取引を活かすためには、長期目標、中期目標をブレークダウンした数字が意味ある高いレベルの(削減)目標値になり、それにチャレンジするときに、一生懸命(削減を)行った(企業)はその結果(目標を)越えた分を(達成できなかった企業が)購入する、ということで、トレード・システムが活きてくる。しかし、自主的に作った低い目標で行けば、ほとんどの企業は達成するだろう。これでは売ろうとしても買い手がつかない。このようななかで炭素価格がついたとしても、かなり安くなるだろう。試行ではそれでも良いと思うが、排出量取引という手段を本当に有効に活用しようと思うのであれば、(国別目標を)ブレークダウンした義務的な(企業の)目標値が重要である。

以前から申し上げているが、私は排出量(取引)論者ではなく、義務的目標論者である。

Q: 政府は、昨日(発表した)月例経済報告で景況感を下方修正した。景気は日増しに悪くなってきていると思われるが、現状の景気認識と、今後追加的な対策が必要かどうか、要望なども含めて伺いたい。

桜井: 日本の景気について、政府は今までの「弱含みである」という見解から(現在は)まさに「弱い」と変更するまでになっている。また、民間の景気予測でも、2008年度(の経済成長率)は0%台、0.5%前後だろうし、2009年度についても1%前後(へ)と下方修正している。外来不景気と言うべきか、サブプライムローン問題、一連の金融危機、そして実体経済への影響のあおりが日本に出ている。(従って、)やはり下方(に向かう)と言わざるを得ないと私も考えている。

麻生内閣発足前、福田内閣の時に緊急経済対策を出したが、これはリーマン・ブラザーズ(の経営破たん)前、すなわち現在のような金融収縮、金融危機が実体経済に影響してくる以前のことであり、今回の補正予算は、外圧による日本の景気減速に対する景気刺激策が主流(の項目)であった。よって、次の追加対策は、追加の景気対策というよりむしろ、世界的な大不況の恐れのなかで、日本の景気をどのようにしっかりと支え、かつ中・長期的に日本の経済活性化、長持ちする日本経済を視野に入れた対策でなければいけないと思う。

Q: 先日、株価急落を受けて代表幹事コメントを発表された。そのなかで、(政府、日本銀行、民間金融機関が協力し、株式の買取をするという昭和40年代の)「日本共同証券」の設立という思い切った提言をされた。いま株安は、一時小康状態にあるが、これで落ち着いたと見てよいのか、あるいは先般のコメントの程度までスキームを準備しておくべきか、伺いたい。

桜井: ここ2-3日急激な株安は収まっているが、株価がここで底値なのかと言えばそうではなく、相当警戒していかなければならない。世界の金融収縮、金融危機を食い止めるために、G7が行動計画を出し、欧米はそれにすぐに呼応するかたちで、5項目の行動計画のうち、資本注入や銀行間取引の政府保証、預金者保護など実際のアクションを起こした。そして市場は(各国の対応に)ある程度良しという評価を下した。ところが、一度収まったかに見えた株の動きがすぐ大幅に落ちた。この意味するところは、金融システムの安定化はそう易しいものではない、市場を安心させるには至っていないということだ。指標的にも実体経済の悪化が目立ってくるなど、金融機関の経営の安定化にはまだ目処がついていないという評価だと思う。

ここ2-3日の動きは、金融危機、金融収縮がここで大丈夫(と受け止められておらず)、いわゆる金融機関の資産の劣化、金融機関の持っている不良債権が出尽くしたとは思われていない、まだあるのではないかという不安の表れだ。

Q: 株価対策についてはいかがか。

桜井: 「日本共同証券」のようなスキームは、ある意味で劇薬にもなるだろうし、いろいろな問題点を出すことにもなるだろうが、いまから検討を開始したほうが良いのではと提案した。負のスパイラル、つまり金融システム不安、金融収縮、実体経済の悪化、金融システム不安が止まった状態にないので、スキームの議論を始め、検討をしたほうが良いのではと考えている。

Q: 追加経済対策について、景気が長持ちする対策(が必要)というお話があった。具体的には、2兆円規模の定額減税などいくつかの案が与党のなかで出され、そのうち固まると思う。いま、政府与党内で検討されている追加経済対策として、具体的にどういう対策を望むか。また、俎上に上っている対策で充分か、まったく別の対策は必要ないか、などについて伺いたい。

桜井: まず(今後の対策については)、これだけ経済の活動が落ち込み、景気が停滞、さらには後退局面にもなりかねない現状で、また、原油や資源価格は収まっているかに見えるものの依然元に戻っておらず、株価の下落、資源高はまだある。生活や企業経営に活力を取り戻すためには、ある意味では足下施策になるだろうが、減税等が必要だろう。ただし、定額減税が良いことなのかは、大きな財政赤字を抱えた厳しい日本の下で、どれだけ経済の活性化や生計の安定化、消費活動への起爆剤になるのか、真剣に考え、減税規模等を検討すべきである。

中・長期につながる政策も、いま織り込む必要がある。すべて(の施策)が、景気刺激策だけになってしまうことを、非常に恐れている。今後の経済活性化のために施策を講ずることがもっとも重要で、これは構造改革そのものだと我々は捉えている。言うまでもなく、日本は相当な財政赤字を抱えた国であるため、(第一に)歳出・歳入の一体改革という基軸は、外すことがあってはならない。

2番目に、活力を出すということは、もっと民に任せ、民の知恵を出させる改革、つまり規制改革が必要で、これが大きな軸になる。歳出・歳入一体改革、規制改革を横軸に眺めてみると、やはり公務員制度改革が重要である。前述の2つの改革を進めるうえでも、公務員が脱・省益、国益を中心に据えた政への支援、そして国民の視点で活動していくことが大切である。もう一つの横軸として新たに強化しなければならないのは、低炭素社会作りを軸にした改革を進めていくことが非常に重要だと考える。日本はその力を相当持っている。その持てる力を発揮して、低炭素社会作りを軸にした構造改革等を進めていかねばならない。世界に貢献することもできる。

Q: 解散総選挙の時期について伺いたい。代表幹事は、以前から解散の時期はできるだけ早いほうが良いと発言されている。ここにきて、解散より経済対策が先という議論もあるが、このような情勢の変化を踏まえて現時点でどのようにお考えか。

桜井: (前回質問を受けた際)早い方が良いだろうと答えた。ますます様々な状況が明らかになってきており、ここまで来ると、もはや私がコメントする問題ではなく、総理が(解散を)いつにするのかを決断する時である。

Q: 先日、読売新聞社が医療制度の改革案を提言した。経済同友会でも、医療制度改革について検討されていると思うが、その考え方も踏まえ、読売案についてのコメントを伺いたい。

桜井: まだ十分に読んでいないので理解が不足しているかもしれないが、提言のポイントとして挙げられた項目は素晴らしいと思う。(ただし、)医療制度の構造として、受益と負担とのバランスをどう取るかがよく見えない。資料の読み取り不足かもしれないが、当面約1.6兆円と示されている財源が何にかかる費用なのかが分からないので、適切なコメントが難しい。きちんと読んで理解したい。

Q: 会計検査院の調査により、道府県による国の補助金の不正利用がまたぞろ発覚しているが、これについて意見を伺いたい。

桜井: 内容をよく知らないが、(不正は)よろしくない。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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