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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2008年10月07日(火)13:30~
出席者 桜井 正光 代表幹事
小島 邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で、(1)株価下落・円高の日本経済・企業収益に与える影響、(2)臨時国会の感想と解散総選挙の時期、(3)金融危機と必要な政策、G7への期待、などについて発言があった。

Q: アメリカの株価下落を受け、日本の平均株価も一時1万円を割り込み、円高も急激に進んでいる。株価下落と円高が日本経済や企業収益に与える影響について、所見を伺いたい。

桜井: 今回限りのことで影響をすべて言い尽くすことは難しい。株安・円高は、実体経済や海外の需要に影響が出てくるので、日本経済や企業収益に対して、外需、輸出の面で大きな影響を与えることになる。株安は、消費行動に影響が出ることから国内の消費が慎重な姿勢になるだろうし、企業の資金調達の面からも、調達が難しくなることに繋がるので、企業経営にとっても良くない。

Q: 臨時国会について伺いたい。麻生総理の所信表明演説や各党の代表質問に続き、昨日から審議が始まったが、この間の与野党の論戦をどう見ているか。麻生首相は景気対策を重視するとして、補正予算をまず通し、追加対策にも前向きな姿勢を示しており、解散時期を先送りするという議論も出ている。桜井代表幹事は、常々「早期に解散して民意を問え」とおっしゃっているが、この流れをどう思われるか。

桜井: まず、麻生総理の所信表明演説についてコメントしたい。麻生総理は、いま何をやりたいかについて、明確に表明されたと思う。特に、過去2代総理(辞任)の経緯を考えると、国会の合意形成が非常に難しかったということで、麻生総理は国会の合意形成に焦点をあて、どうあるべきかを問いかけたと思う。その内容として、大変異例ではあったが、喫緊の課題に対する総理の考え方を示し、野党に明確な対応を求めたことは、足下の課題に対する国会での合意形成を意図し、前に進めようという意思表示だと思う。これまでのパターンとは違うと思うが、総理のやりたいことを明確にした点で評価したい。

他方、以前から言い続けているが、国民は中・長期の課題についても知りたいと思っている。サブプライム問題に端を発した金融危機や実体経済への影響で、世界経済が停滞し、そのあおりを日本が受け、日本経済も、強さはあるものの、徐々に停滞気味になっている。いま何をすべきかということも重要であるとは思うが、この金融危機はそう簡単に解決する問題ではなく、長引く問題であるということは、以前から発言していた通りである。その対応としては、日本が今後中・長期にわたって経済活性化を実現するためには何をすべきなのかを明確にし、その方向性と政策、手段をはっきりとすることが大事である。特に、社会保障、税制改革などについて、国民の将来に対する不安がある。社会保障制度は、本当に今後も機能し、私たちの生活の安定を確保してもらえるのか、また税制について、私たちの負担すべき税は今後どうなるのかだ。(これらの点で)予測がつかないことが国民の大いなる不安であるし、内需が盛り上がらない原因となっている。今後の国のあり方とそれに対するさまざまな重要政策をはっきりさせていくことが大事だった。所信表明(演説)のなかで(麻生総理は)、非常に明快に経済政策の三段階を示された。しかし、聞きたかったのは、一段階目の全治3年と言われる(部分)に対して、いまの補正予算でいう緊急対策項目だけでなく、全治3年の日本経済を建て直すために、一体どういう政策を展開する必要があるのか、ということである。二段階目の中期の財政再建については、かなり難しい問題がいろいろとある。プライマリーバランス(黒字化)は重要視するが、目標は、プライマリーバランスをとることではなく、(あくまで)成長である、とだけが言われている。いかにプライマリーバランスをとり、(かつ)成長も図っていくのか、どのような政策を展開していくのか。先延ばしされている課題であるが、これ(について)はっきり進路と重点政策を明確にすることが必要である。三段階目の「改革をもって成長を促進させる」の「改革」が、技術イノベーション主体になっていたような気がしたが、経済成長をさらに図っていこうとしたときの「改革」とは一体何だろうか。今まで続けてきた「構造改革」の根幹をなす(考え方、つまり)「国から地方へ」、「官から民へ」をどう展開しようとしているのか、(構造改革の)継続性はどうなのかが見えてこない。このような、中・長期の方向と具体的施策について聞けなかったことは非常に残念だ。

これから衆議院議員選挙が始まったときに、第一段階の緊急経済対策(を争点に)選挙が行なわれることに対して、非常に心配している。政権選択の選挙として、中・長期課題についてビジョンを示し、政策の重点化、スケジュールなどを明示して、衆議院議員選挙(で議論)が行なわれることが非常に大事であり、国民もそれを望んでいると確信している。

(臨時国会での論戦についての)これまでの印象は、予算委員会について、政策の議論というよりも、(与野党)それぞれの主張がいままで以上に噛み合わないということのみである。このまま噛み合わないまま進んでも、国会での合意形成がますます遠のいていくだけであると国民に知らせるだけで、政治不信の解決にならないことを心配する。

(衆議院)解散時期については、以前から申し上げている通り、国会での合意形成が非常に難しい状況ならば、早く選挙を行って民意を問うことが大事であろうし、いまもその気持ちは一切変わっていない。(解散総選挙は)どの時期が良いのか総理の専権事項だができるだけ早い時期にやられた方が良いと思う。

後で経済情勢に関するご質問があるかもしれないが、世界は「金融危機」、「金融不安」だが、日本にはどちらかというと「政治不安」または「政治不信」があると思う。日本のファンダメンタルズはそれほど痛んでいない、(欧米の金融危機の)影響は今のところ少ないにも関わらず、欧米の株価の下落率より日本の株価の下落率が大きい。(この背景として、)政治不安あるいは政治不信があると思う。このような点からも、早くしっかりと足下(の対策)と、今後の日本の成長を担保する政策の議論と、政策合意を図る意思決定システムを早期に作り上げることが大事だと思う。

Q: いまの金融危機的状況がいつまで続くと見ているか。また、金融危機の背景として、米国で金融安定化法案が成立しても、これだけでは危機は遠のかないのではないかという懸念があるが、とすれば具体的にどのような政策が求められるか。さらに、近くG7財務相・中央銀行総裁会議が行われるが、どのように期待されているか。

桜井: 率直に申し上げて(危機的状況がいつまで続くかは)予想がつかない。構造自体は明らかになってきた。サブプライム問題を震源に、いまなお住宅価格の下落が続き、証券化された商品の価格はもちろん、健全な証券化商品の価格まで下落し、金融機関、証券会社の損失が拡大している。証券会社や投資銀行の危機的状況が生じ、銀行間や銀行と民間企業、さらには消費者、国民に資金が回らなくなっている。これが実体経済に影響を与え、さらなる金融不安・収縮という悪い循環に陥っている。素人から見ると、中心的な課題である金融不安に歯止めをかけるべきだと思う。日本の経験から言うと、やはり(損失の)買取りをして(病根を)切り離す、買い取りを実施すれば、値付け次第では新たに金融機関の損失が発生するので資本注入が必要になる。これまでの様子を見ていると、不良債権の買い取りを行っても(値付けにもよるが)必ずしも大きな安心材料にはなっていない。重要なのは、不安を解消するに足る具体的な施策とでタイミングだ。資本注入など適切な不安解消策が求められる。G7に対しても同様で、各国が協調し合い、担当当局がタイムリーに適切な手を打ってくれるよう強く望みたい。

Q: 米国の住宅バブル崩壊から始まった今の金融危機について、世界が何を問われていると思うか。また、日本および日本の経営者は、このような事態をどう受け止めるべきか。

桜井: 今回の金融危機の原因のひとつは証券化商品自体の問題で、商品の開発や信用度の格付け、さらにはそれを無闇にばら撒いたことであると思うが、(最大の要因は)限度を逸した証券化商品の販売と、限度を逸した(元本等の)保証だったと思う。

Q: これは経営の判断ミスか、それともモラルの問題か。

桜井: 経営の判断ミスだろう。限度を逸した行為が原因だと思う。今後の対策として、限度をどう見極めるのか、それを維持するルールはどういうものか、この辺りの制度設計や仕組みを確立することが重要ではないか。これは決して証券化商品を否定する話ではない。

Q: 先ほど、日本経済の中・長期的な課題という話をされたが、いま言われた米住宅金融公社にしても23兆円のカネが日本の農林公庫などから流れ込んだ。ということは、政府補助金で農民に与えた金が貯蓄になって、それが米国に行き、米国の住宅ローンになって焦げついたという訳だ。中・長期的に、これから日本の内需拡大というとき、資金の流れについてもなにか考える必要があるのではないか。

桜井: グローバルな金融システムのなかでは、出る方だけの話ではなく、いかに資金を調達するかも重要な課題である。日本の国の形というものを、中・長期的に活性化していく施策の中身が問われなければならない。先ほど(所信表明演説について)残念だと述べたのは、それが見えていないということだ。例えば、地域活性化のために一次産業をどう活性化するか、あるいは社会保障制度で安心・安全を確保するために、国民に対してどれだけの負担をかけざるを得ないのか、さらには地方に対する権限移譲や財源移譲によって自主・自立の地域をどう構築していくかなど、そのためにどれだけの資金を血液として循環させるか、という(施策の)話になる。基本的には、日本の将来の形(ビジョン)を決め、その政策はどうあらねばならないのかをしっかりさせる必要がある。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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