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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2008年09月02日(火)13:30~
出席者 桜井 正光 代表幹事
小島 邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で、(1)福田総理の辞任、(2)次期総裁に求める資質と総裁候補の適正、(3)総合経済政策の評価、(4)二世や三世議員と政治の弱さ、(5)財政規律、(6)自民党総裁選、(7)労基法改正と日雇派遣、などについて発言があった。

Q: 昨日、福田総理が辞意を表明された。安倍前総理に続き、2代続けて任期半ばで政権を投げ出した形となったが、辞意をどのように受け止めているか。特に、景気が後退局面に入り、政府として総合経済対策等を決めている最中での辞意は、今後の政策への影響も大きいと思うが、この点も含めてお考えを伺いたい。

桜井: 影響は大きいだろう。その影響を最小限に食い止め、新たな構造改革や経済活性化等を促進させることが、非常に重要だと思う。

まず、辞意表明に対する印象を述べたい。質問にもあったように、日本経済が停滞気味であるなかで、緊急経済対策を作って、具体的に重点化をして進めようという時で、これからが旗振りをするのに大変重要な時期であるという(タイミングでの)辞任は、意外だった。色々な意見が出ているが、責められても仕方がないと思う。また、(安倍前総理とは)状況や環境の違いはあるにしても、日本の首相が2代続けての辞任となったことは、国民からも、また海外からも、不信と失望に繋がることを恐れる。次の新しい体制を早急に作っていくことが大事だと思う。

方針をしっかり定め、施策を決め、予算を付けて前に進むのが大事であるという状況下で、日本の政治に空白は許されない。しかし、この事態においては、空白期間を可能な限り短くする一方、次の新体制を決めるという意味では非常に大事な時期であるので、やり方によっては、単に空白と位置付けることもない。貴重な新体制作りの時期と捉えることが必要である。

次の課題である次期総裁(の選出)については、民主党のような無投票(による決定)ではなく、複数の候補によるしっかりとした総裁選を行うことが非常に大事である。総裁選では、ぜひとも一人ひとりの立候補者が、「日本はこうあるべき」というビジョンを掲げ、そのビジョンに則って、いま足下では何をすべきか、中長期的には何をすべきか、その政策をしっかりと明示し、しかも現況下では財政健全化が非常に重要な方針であるため、財源を明確にし、政策展開のスケジュールを明確にする(ことが望まれる)。さらに、政策展開、いわゆるマニフェストは、単に展開項目や方法、スケジュールだけではなく、政策が実際に展開されたときに評価ができるレベルのものにしなければならない。そのようなマニフェストを(各候補者が)互いに明示して、政策論争を競い合い、それによって総裁を決めていただくことが非常に大事だと思う。

これは、ひとりの総裁の下に党を束ねていくというだけではない。今まで自民党の中には色々な意見があり、その意見の違いが今回の首相の辞任にも繋がっていると思う。党内の政策をはっきりとさせるという意味でも、マニフェストによる総裁選(が必要である)。もうひとつ、自民党は何をする党であるかを、国民にはっきり分かっていただく絶好のチャンスであり、その意味でもマニフェストによる総裁選が非常に大事だと思う。さらに、二度も同じ(ような総理の)辞任ということで(与えた)、日本は構造改革のできない国なのか、という海外からの評価を払拭するためにも、次期総裁選で政策論争を行うことが必要だと思う。

これは首相の辞任に発するものではないとわきまえているが、お二方の辞任には色々な共通点があると思う。大元にあるのは、(二人の)首相が民意を得ていないことが致命傷になったのではないかと思う。しっかりとした政策に基づいた選挙で民意を得ることがあれば、ねじれ国会を乗り越えることも、連立(政権)や党を束ねることも可能であったのではないか。そういう意味で、今回は、適切な時期に、民意を問う衆議院解散と総選挙を行うことが大事ではないかと思う。

民意を問うと申し上げたが、民意の方もしっかりしなければいけない。これは大事なことで、また未来永劫非常に難しい問題だと思うが、マニフェストで総選挙が行なわれ、政策が明示され、情報開示されるという土俵ができたうえでは、国民には、しっかりと政党、そして議員を選ぶ責任がある。決して足下(の政策論議)だけで政党、議員を選ぶのではなく、今後の日本の成長と活力という点が大事で、中長期の視点で評価、判断することが国民の責任だ。その覚悟が求められる。

Q: 衆議院解散と総選挙について「適切な時期」との発言があったが、代表幹事が思う望ましい時期はいつか。

桜井: 以前にも「早い時期に」とお話した。その(時期の)選択は新総理の専権事項である。

Q: 次期総裁に求める資質、政策はどのようなものか。また、麻生幹事長が総裁選への出馬を表明したが、次期総裁として適任とお考えか。

桜井: 前段については常々お話しているが、日本は先端的に少子高齢化という洗礼を受けている。少子高齢化に対応する(ために)、いままでの仕組み、制度を変えていかなければいけない。また、細かい説明は割愛するが、構造改革全体としては、「国から地方へ」、「官から民へ」をもっと促進する改革が必要である。また、その中心軸にあり忘れてはならないのは、財政の健全化である。これは2006年に閣議決定された「骨太の方針2006」の軸であり、決して揺るがしてはならない。そして、新たに地球環境の問題(がある)。これは温暖化防止だけの話ではなく、日本はこれから低炭素社会を創っていかなければならない。低炭素社会創りが、将来に対する大変重要な社会・経済システムの大改造になり、これを乗り越えることで、日本は国際的にも強い国になるし、活力のある国になる。(つまり)日本の勝ち筋はここにある。このようなことができる方を(次期総裁に)求めたいが、全てというと大変なことになるので、狙いをしっかりと定めて重点化し、しつこく、今後も続く「ねじれ国会」を乗り越えるだけの強固な意志を発揮される方になっていただきたい。

後段の人物評価は、いまのところ私にはできない。麻生氏がどうであるという以前に、先述の構造改革の究極は、重点をどちらに置くかということである。原油やエネルギー、資源、食料の(価格)高騰によって国民の生活が脅かされているという視点で、全方位かつある程度手厚い施策をとる、いわゆる「バラ撒き」スタイルなのか、それとも、将来の日本のために、もっとスリムで効率(性)を高く(するように)、大きく社会を変えていく「構造変革」に重点を置くのか、この選択だと思う。そういう意味で、総裁選では適切な議論を進めたうえで(次期総裁を)選んでいただきたい。

Q: スリムな政策かバラ撒きかのどちらに軸足を置くか、というお話があったが、財政出動を示唆している麻生候補は、代表幹事からみて政策的にあまり好ましくないのではないかという印象を受けた。それについてはいかがか。また、小池百合子さんの名前も挙がっているが。

桜井: 総裁選の際にどのような政策を出されるか次第だと思う。小池さんは(総裁選に)出られるかどうかもわからないが、足下だけではなく将来に対する施策も含め、どのような政策を出されるかによる。経済同友会としては、来たる総裁選に焦点を当てて、マニフェスト総裁選とその評価を、可能な限りやっていきたい。

Q: 直近で政府が経済総合対策をまとめた。今回の総理の辞任においても、定額減税を巡る公明党との軋轢が一因ではないかと言われている。いまの経済総合対策の評価と、バラ撒き政策とそうでない政策のせめぎ合いもあると思うが、国の経済政策はどうあるべきかについて、今回の総裁選と関連付けて意見を伺いたい。また、麻生幹事長もそうだが、安倍前総理も福田総理も二世(議員)で、小泉元総理は三世(議員)だが、このような点が政治の弱さにつながっているとの意見についてはいかがお考えか。

桜井: 総合経済対策は、一定の評価をしている部分と、定額減税という疑問を感じる部分がある。

緊急ではあったが、昨今の様々な状況を考えたうえで、政策・施策として、今後のための構造改革的な活力を得るための部分と、現在の痛みに対する手当の部分とをしっかりと分類して、総合経済対策を作ったことは評価できる。極端に、痛みの部分に対する手当、補給だけではない、という点である。

定額減税について、現在のひっ迫した財政状態では無理のある話だ。財源をどうするかを明確にしたうえでの定額減税であるべきだろう。(財政出動の)規模の話にもなるだろうから、是非論含めてしっかりと議論をしていただきたい。中・低所得者層に対しての補助や支援を単に広く一律に実施していくのは、現在のような状況下では、現実的には難しいのではないか。その意味から、定額減税を簡単に盛り込むことには疑問を持たざるを得ない。

来たる総裁選では、今回の緊急経済対策への姿勢が相当問われると思われるが、総裁は、あるいは自民党として(取り組まなければならない課題は)、いまの緊急経済対策だけではない。これから日本のかたちをどう整えていくのか、そのための構造改革はいかに推進していくのか、等を含めた総裁選(を実施していただき)、あるいはマニフェストの中身を充実させていただきたい。

二世議員だからダメ、二世議員でない方が良い、と言い切れるかについては、答えに困る。議員の質という意味で、企業経営に例えるならば、社長になる人材は、様々な体験をし、窮地に追い込まれ、失敗をしながらも上がってくる。さらに、経営者にふさわしい資質を磨くための特別な教育・訓練によって、必要な能力を付けていく。政治の世界に敢えて言うとすれば、日本の政治のトップになる人をいかに育てていくか、このプロセスがもっとしっかりあるべきだと思う。そうすれば、二世であるか否かよりも、現場での実地経験を含め(ふさわしい人材として)育成されているかが問われることになる。これからが大変だ、正念場だ、などというような場面でこそ力を発揮できるようなトップが育つことが何よりも大事だと思う。

Q: バラ撒きか構造改革かどちらに重点を置くかという点に関連して、定額減税(を実施する)来年について赤字国債発行もやむ無しという声もあるが、経済界として財政規律を維持するために最低限ここまでのラインは守ってほしいという要望はあるか。

桜井: 前年度以上の国債発行は止めるべきだし、もちろん赤字国債の発行には反対だ。建設国債であっても、トータルとしては国債であり、借金という意味では同じで、借金の増加は止めなければならない。プライマリーバランスについては、(2011年度の黒字化を)絶対死守すべきである。一部に延期、2011年にこだわらなくても良いのではないかという声も漏れ聞こえるが、ではいつになるのか、歯止めがかからなくなる恐れがある。(2011年度のプライマリーバランス黒字化は)目安ではなく目標としてしっかりと定めて初めて、もっとスリムで効率の良い日本経済ができ上がる。現実問題としてなかなか議論が具体化しないところには、社会・経済の環境の変化、例えば原油や物価の価格高騰などによっていろいろな課題が生じ、それに応じて施策事項の重点が変わってくることがある。そして、変わった重点事項を展開するために新たな経費が必要になる。そのような場合には、今までの施策事項の上に新たな施策を積み上げるのではなく、積み上げる施策事項に対しては、相当の努力で政策を整理し、削減を図るべきである。これによって財源を出していくという姿勢が、日本の経済運営においては求められている。2009年度の概算要求にしても、種々削減はなされているであろうが、要求を賄うだけの財源がまだまだ見えていない。

Q: 1年間に2人の首相が、就任から1年足らずで辞めるという異常事態で、前例がないので判断は難しいと思うが、このような事態を招いた自民党の総裁の選び方や党の体質についてどうお考えか。また、総裁選を行うことで、政治の混乱をもたらした責任を取ったと言えるか。

桜井: 与党、自民党、政府の責任は当然あると思う。前述の通り、時の与党、政権とその政府は、国民に「こういうことをやる」と約束して民意の支持を得ることが重要だが、これが不足していたことが、基本的な問題のひとつだと思う。民主党でも他の党でも同じだが、これ(民意の支持)がしっかりしているということが、責任政党、政府として必要な政策・施策を展開するうえで、大事なことだと思う。「ねじれ国会」や民主党の反対への固執によって(辞任に)追い込まれたところがあるだろうが、原点は、民意がしっかりと支えていることが重要だったと思う。

自民党も、今回の総裁選で責任逃れをしようとは思っていないだろう。むしろ、自民党とはこういう党で、日本の将来のために、そして遡って現在の問題を解決するために、どのような政策を実現したい、ということを、総裁選で国民にしっかりと説明したいと思っているのではないか。そこに期待したい。加えて、両党とも、今後の国のあり方や政策・施策の展開に相当の責任を持つ党なので、民主党は今回は代表選をやらずに無投票で代表を決めることになっているが、代表者になる方は、マニフェストを出すべきである。それがないと国民が分からないし、比較ができない。

Q: 臨時国会で、残業代割増の前倒しと残業時間が80時間から60時間に減るという労基法の改正と、日雇派遣原則禁止の法案が提出される動きがあるが、いかがお考えか。

桜井: 日雇派遣原則禁止の法案については、明日(9月3日)当会から意見書を発表する予定なので、その発表会見にお越しいただきたい。労基法改正は、個人的には良いと思う。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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