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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2008年07月29日(火)15:00~
出席者 桜井 正光 代表幹事
小島 邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で、(1)WTO(世界貿易機関)交渉、(2)消費者物価、(3)日雇い派遣、(4)四半期決算・企業業績、(5)原油価格、(6)漁業への燃料費補填、(7)予算概算要求、などについて発言があった。

Q: いまちょうどWTO交渉が大詰めと思われる。日本は農産物に対して(重要品目数を全品目の)4~6%の案を受け入れると報道されているものの、中国・インドの関係でまだ決まったとまではいかないようである。WTO交渉に期待されることや現状の所感などを伺いたい。

桜井: WTOのドーハ・ラウンドは、世界の貿易の拡大や世界経済の活性化という意味から、目標として大変重要なもので、世界的な貿易や投資をオープンにし、障壁をなくしていくことは、全世界の各国にとってメリットが出てくるし、重要なことである。私としても経済同友会としても、これまでの提言通り相当期待をしていた。今年中に枠組みをまとめるために、この時期の閣僚会議は重要な意味を持っており、ここで方向性がしっかりしないと年内の枠組み(策定)は難しいだろう。これがずれてしまうと、さらに3年前後かかってしまう。「1回休み」となると、各国態勢立て直しであれば良いが、保護主義的な動きになっていく危険性は高い。是非ともあと2-3日詰めてでも、方向性をしっかりと合意していただきたい。

昨日までの報道では、8割方いけるのではないかと(感じた)。(問題点としては、)アルゼンチンが全方位的に納得できないということや、インドがセーフガードの条件緩和を求めるなど、焦点がある程度明確だったので、全体の流れとしては、いけるのかな、と思った。しかし、今日の情報を見ていると、2-3日で終わるのかという危機感を持つ。

Q: WTOについて、農産物(の関税)が下がることに農業は反対すると思うが、鉱工業製品について産業界は歓迎だろう。産業界として、今回の交渉をどう見ているか。

桜井: 基本的に、日本の今後の成長戦略のひとつに近隣諸国との貿易拡大があるため、WTOは非常に重要である。なかでも日本経済を押し上げていくエンジン役は、いまのところ外需関係がひとつであり、企業業績もまたひとつであるので、ここは重視せざるを得ない。そういう意味で、鉱工業製品については評価したい。

一方、WTOでは、途上国対先進国の構図として、途上国からは「農業でかなり譲歩したのに鉱工業でもまた譲歩を迫られる」という意見、先進国からは「農業でかなり努力をしているが鉱工業では途上国があまり努力をしてくれない」という意見で、混乱がある。

日本のスタンスとしては、先述の通り日本の鉱工業はエンジン役になっているので、WTOでは「オープンに」という方針を死守していただきたい。一方、農業については、かなり迫られる側であり、農業を魅力ある産業にする大きなチャンスだと思う。これまで(農業については)産業意識がなかったと思うが、準備期間はかなりあるので、これをきっかけに、日本の農業政策、農業構造を含めて変えていく良いチャンスになると考えた方が良い。日本の農業は、技術的にも産物的にも、高付加価値なものを作ることができるし、生産性をかなり上げることもできるので、いろいろとやること・できることがあるという点で、これを良い機会として挑戦していくことが大事だろう。

Q: 先日、消費者物価指数が公表された。1.9%の上昇ということで、諸外国に比べて日本ではなかなかインフレ率が上がらないのは良いことだが、ここにきて原材料価格の転嫁など、物価上昇の懸念がある。物価と経済の状況についてどのようにご覧になっているか。

桜井: 1.9%という指数に対するコメントは難しい。流れはCPI上昇の方向であろう。(この流れが短期的なもので)早晩落ち着く、あるいは下降していくという気配は、今のところ伺えない。物価上昇は、経済においてシビアな問題であるだけに注意が必要だが、日銀でも0~2%程度であれば安全圏でインフレではないという見方をしている。いずれにしても、もう少し様子を見たうえでないと今後の判断はできない。

Q: 日雇い派遣について、これまでの規制緩和の流れから原則禁止、「専ら派遣」の上限を8割にするなど、規制を強化する流れが出てきている。日雇い派遣の問題について、賛成か、反対か、また現状の規制強化の流れをどのようにご覧になっているか。

桜井: 確かに、日雇い派遣は雇用の安定化という意味からは問題であり、また、派遣会社についてもコンプライアンスの点から問題があると思う。しかし、一律に日雇い派遣を禁止するということには賛成しかねる。現実に日雇いのニーズを持っている方々がおり、特に派遣法の初期段階の対象業種などは、供給側にも需要側にもニーズがあり、日雇い派遣の方が良いという面がある。さらに、今後のワーキング・スタイルの多様化という面でも意味を持っている。その辺りを慎重に検討し、どの部分のどのような形態を除いて禁止とするのかを見極めることが重要である。

Q: いまちょうど企業の四半期決算が相次いでいる。原材料価格の高騰やサブプライム問題の影響の余波で年度の決算が一回締まった。全体の企業業績、経済の状況をどのようにご覧になっているか。

桜井: 資源・エネルギー関係の価格高騰の影響は、全体的には大きいと思うが、業種別に見ると違う。現状についても、資源・エネルギーを中心として一次産品のところはかなり価格が上昇しており、また企業内取引価格も高騰するなど、価格転嫁が進み、業績に対して相当な影響を与えつつある。企業側は、この資源・エネルギー(価格)の高騰は、第一四半期で収束するものではなく、しばらく続くと見ている。上期を過ぎれば下期は大丈夫と見ていた向きもあったが、下期も相当厳しいと判断せざるを得ない状況である。減益は必須と思われる。業種によって相違があるので一概に言うことは難しいが、企業が最終価格転嫁にどのように踏み切るのかについては、原材料以外でのコストや経費の削減など一層の企業努力をしていくであろうが、それだけで乗り切るには非常に難しい局面にある。

Q: 原油の価格は、EUがファンド規制の立場をとったことで若干落ち着きつつあるようだが、今後の見通しについてご意見を伺いたい。

桜井: 私は予想屋ではないので、おそらく殆ど外れるとは思うが。原油が130ドル程度に下がった理由については、(洞爺湖)サミットで投機に対する抑制措置を講ずるべきという話が出たことや、米国で住宅ローンに対する公的支援を好感したなど、色々と言われている。投機が発生するのは、ベースには需給が逼迫していると市場が判断しているからだ。今のところ、新興国の需要が著しく減り需給の逼迫状態が解消されたとはまだ言えない。私としては、そう楽観的には見ないほうが良いと思っている。色々な要因が絡むことで、プロでさえ出鱈目なことを言うので、私などが見通せるようなことではない。

Q: 原油高、資源高に関連して、政府は、漁業対策として燃料代を大部分補填するような形で直接補償することも含めた対策を打とうとしている。このような動きに対して、代表幹事が日ごろ仰っているように、できるだけ市場メカニズムに委ねて調整すべきという考えもある。現に原油高で操業を維持できないという状況もあるが、どのようにお考えか。

桜井: 原油高によって、生活者、なかでも低所得者層や小規模事業者へのダメージが非常に大きいので、その補償はあり得ると思う。しかし、補償はずっとそのまま続けられるものではない。政府の対応としては、直接的に値上がりした分を補填することより、同じ資金を出すのであれば、生活スタイルなり企業の経営スタイルを変えていくことについて、その補助・支援をする方が良い。外境の変化に対応した生活スタイル、経営スタイルに変えるために、いかに有効に資金を使うかだと思う。これが結局、市場のメカニズムに対応する社会(づくりの促進)ということになる。ライフスタイルにしても、企業スタイルにしても、(何も)変えないで埋め合わせをすることは、(市場)メカニズムを効かせないということになる。埋め合わせは、必ず他の人への負担になり、継続すれば今度はその人が痛んできてしまう。

日本のガソリン、石油、食料(など問題が出てきているが)、特に喫緊の例は漁業問題である。漁業従事者に対して、値上がりした重油の差額を補填していくだけで良いのか。(なすべきことは)低燃費のエンジンに替えるとか、(低燃費の)船に替えるといったことなどが変革の話である。それから(もう一方の問題は)やはり流通である。これをいかに変えていくか。このような変革に対して政府が資金を投入していくべきであると思う。

Q: 概算要求について、今日大枠2%の深堀りをして3,000億円の「重要課題推進枠」を追加するスキームになっている。一方、年金の負担や後期高齢者医療制度の改革の財源化については今後進められることになっている。シーリングの評価や、年末の予算編成について、どのような点に注目されているか。

桜井: 今回の概算要求について、まず基本的な考え方として、2011年のプライマリーバランス(黒字化)を絶対に確保しようということである。それから歳費削減をしっかりと組み込もうということである。公共投資等は、最大限の3%やる、社会保障費の2,200億円(削減)もやる、ということで全体枠を決めた。歓迎したい。また、これは去年も行なったが、重点化枠(がある)。私は、これは良い発想だと思う。省という縦割り(の予算編成)だけではなく、(省庁を)横串にして、必要な政策展開分の(さらに)そのなかで重要なものについては重点化(枠でメリハリ)を図る。昨年500億円程度だったものを(今年度)は3,000億円にした。重要なことは(この)3,000億円をいかに捻出するかで、ベースになる一般歳出を、従来の3%削減に対して更に2%を積上げるということだ。これをいかにしっかりできるかである。2%の削減を積上げ、それを3,000億円の原資にする。2011年プライマリーバランス(黒字化達成という)基本方針の旗を降ろしているわけではないので、これを責任もって維持しなければいけない。しかし、外境はそれほど簡単なものではない。「3%削減プラス2%(の積上げ)は一応飲んでおこう、しかし、3,000億円で挽回してしまおう」ということであってはならない。(もしそうであるなら)それは単に歳出の名前ラベルの張り替えに過ぎず、なんら意味のないことである。福田総理がリーダーシップをとって絶対に死守するという姿勢で、今後の日本の成長と歳出削減を同時に実現するためには、このような歳出項目は削減(する)、こういうものには適切な予算を付けるなど、(予算要求項目の)中身で指示していく、あるいは中身で予算を評価することを是非ともやっていただきたい

(文責:経済同友会事務局)

以上


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