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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2008年07月08日(火)13:30~
出席者 桜井 正光 代表幹事
小島 邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で、(1)北海道洞爺湖サミット、(2)税制改革・消費税、(3)株安と景気見通し、(4)中小企業のCO2削減対策、などについて発言があった。

Q: 昨日から北海道洞爺湖サミットが始まっているが、サミットに期待すること、また議長国である日本に期待することについて、改めて伺いたい。

桜井: 総括的な話だが、今回のテーマは、話題としては非常に盛沢山だと思う。

第一番目に重要なことは、世界経済が非常に不透明感を増しているなか、G8でしっかりとした方策(を決めることである)。世界経済における金融不安、原油・食糧(価格)の高騰、つまり世界的なインフレと景気の失速・後退感にどう対峙していくかという意味で、非常に重要な時期にある。実際には要因がかなり輻輳(ふくそう)しているので、昔流の単なる財政出動や金利政策などで簡単に解決するものではない。このようななか、(これらの課題について)安定化・解決を図るのは、主要国がいかに協調していくかに掛かっている。そのような解を見出すことができるかどうか、協調体制を仕組むことができるかどうかが注目点のひとつである。

もうひとつ、これも輻輳的な課題であるが、地球環境、特に温暖化の問題である。途上国対先進国(の問題)と、開発新興国をどのように取り込んでいくか。ひとつひとつ(の国)にとってみれば、各々の国益と利害関係がどうしても対立軸になってくる。温暖化防止のために、これら(の課題)をどう乗り越えて、全員参加の枠組みを築くことができるか。これも主要国が責任を持って基本事項を合意していくこと(である)。大変難しい問題ではあるが、解決していかなければいけない。

さらには、開発途上国の問題である。これは、温暖化の被害国という意味合いだけではなく、今後の世界の平和と安全、そして世界の全体としての成長を担保するためにも、先進国が開発途上国に対して、どれだけの方策と支援を展開できるかというのも大事な話である。

これ以外にあるとも思うが、以上の3つ(の課題)は、従来のG8という枠組みで簡単に処理できる問題ではなく、問題多い課題に取り組むという点で、世界が大いに期待していると思う。

Q: 今年のサミットは、拡大会合を含めて22カ国が参加している。地球規模の問題が山積しているなかで、G8という枠組みは適当か、この枠組みの見直しが必要ではないか、という声もある。(現在の)G8の枠組みについてはいかがお考えか

桜井: (私としては)具体的な枠組みについての結論は持っていないが、先進国だけで結論が出る課題ではないものが多くなってきているのは確かである。16(カ国)にしても22(カ国)にしても、8(カ国)から増やすのが良いことなのかという問題であると思うが、(現枠組みでも)方法はいろいろあると思う。

例えば、温暖化の問題で言えば、現在でもG8の周辺に16(カ国協議)があって、13(カ国協議)がある。また、財務相、環境相、エネルギー相など各大臣クラスでの周辺会合を持っている。そういったもの(会合)と並行・協調しながら、段々煮詰めていき、最終的にはG8で方向性(について)の意思決定をするということになっており、このようなやり方もある。必ずしも(G8の国の数を)増やせば良いというような簡単な問題ではない。(国の数を)増やすと(かえって)固定化してしまうこともあるし、(また)テーマによっては、(国の数を)増やす必要のないものもある。そのようなことを考えると、急がなくても、周辺の会合を持ち、それらと協調していくという今の体制でも良いのではないかと思う。

小島: (国の数を)増やすことで答えが出るかどうかという話である。数が増えれば増えるほど、答えが出にくくなるという問題もある。もう少し慎重に考えたほうが良い。増やすとかえって、今までG8なりG7なりが持っていた意味合いが薄れてしまうこともある。

桜井: 例えば、今回の環境問題では、なんとか解を見出そうと、関連大臣サミット、シェルパを中心とした関係者の激烈な議論といった周辺の議論とその展開が、予想以上に非常によく行なわれている。これを(増やした)サミット一箇所で処理しようとしたら多分難しいと思う。

Q: 先ほどサミットG8の首脳宣言で経済部分が採択された。具体的には、世界経済については引き続き不確実性に直面しているとした上で、特に原油や食糧の価格高騰が世界の安定成長に重大な試練を与え、世界的にインフレ圧力を高める恐れがあるとして、G8として原油や食糧の高騰に強い懸念を示した。もうひとつは、原油価格の高騰に対して、主要国が連携して原油の生産能力の拡大にむけた油田開発や精製施設等への投資を拡大するとか、また投機マネー対策としては、先物市場に流れ込む資金について情報の開示を進めるとか市場の透明性を高めるなどして価格の安定化を目指すという宣言であり。G8が、原油や食糧の価格の高騰が世界の安定成長に重大な試練を与え、世界的にインフレ圧力を高める恐れがあることを共有したという点について、代表幹事のご感想を伺いたい。

桜井: 共有は絶対必要であり、これは大変重要なことである。重要政策の意思決定までは、今回はとても無理だとは思うが、危機感を共有し、各国がどのような政策展開をすべきか(が提示されること)が期待したところである。しかし、そこまではいかないだろう。エネルギー相会合、財務相会合、そしてIMFに(問題を)預け、さらにG8の首脳サミットまで、ずっとそのまま(課題を)持ち越している。これは非常に残念である。

共有化した後、そのために各国は協調して一体何をするのか。サミットで共有化することは最低限大事なことであるが、その次に、危機を脱するために何をするのかについて、大変難しいことではあるが、これだけのリーダーたちが集まっているのだから、(解を)出していくことが本当は大事だと思う。

小島: 極めて難しい話であることは確かだ。

Q: 自民党の税制調査会が、例年より早くスタートした。税の議論のなかで、早くも来年の消費税引き上げは難しそうな情勢だが、(自民)党税調の議論にどのようなことを期待されるか。

桜井: 今回の税議論のなかで消費税をどうするかという範囲で言えば、まず歳出については、喫緊の課題である年金の(基礎年金部分の)国庫負担増(1/3から1/2へ)を来年度実施する際、その財源をどうするかということになる。基本的には、「骨太方針2006」において2011年にプライマリーバランスを取るということが決められ、消費税率アップを考えなくても、11.4兆円から14.3兆円の歳出削減を実施し、歳出・歳入一体改革のなかで実現するということになっている。この方針は絶対に維持すべきである。これは選挙に絡ませるなどという話ではなく、歳出抑制によって歳出・歳入一体改革を果たしていくべきだ。

一方で中長期的には、歳出として必要になってくるのは社会保障費だが、現行の社会保障制度が行き詰まりをみせるなか、これをどうするのか。さらには地球環境保全の問題や、グローバル大競争下での人口減少の問題への対応等、本当に(歳出が)必要なものが益々多くなってくる。その場合でも、歳出削減への更なる努力をすることを大前提に、消費税率を上げることが必要になってくる(ことを視野に入れつつ)、税制の抜本改革についてなるべく早い時期から議論し、長期的な(観点から)税制はかくあるべしという設計図を、広く国民に示すことが大事だ。

喫緊の課題と長期的な抜本改革の両方に、政府および与党が取り組んでいくよう望んでいる。

Q: 消費税の議論で、中長期的に(消費税増税の議論が)必要ではあろうことは疑いがないと思うが、景気の先行きにかなり不安の影がさしているなか、今年度の税制改正の議論で来年4月か10月に消費税を上げるという方向で積極的に議論をしていくべきとお考えか

桜井: 長期的な(視野での)消費税議論は必要だ。足下の喫緊の課題で言うなら、国庫負担1/2に絡めて消費税を上げるという議論をする必要はない。むしろ歳出削減を徹底して行うことの方が必要だ。「骨太の方針2006」の歳出・歳入一体改革について、いつの間にか歳出のところが徐々にトーンダウンし始めているようだが、これはよくない。理想論で言っているのではない。すでに明らかになっているものを含め、まだまだ無駄な歳出がたくさんある。無駄なものを徹底して搾り出さなければならない。これをできるかできないかが、改革を進めるうえで非常に大事なことだと思う。

小島: 景気云々ということと関わりなく、いま消費税率アップの議論をするのは最適ではないということだ。

Q: 株価について、昨日は反発したが今日は一時300円も下げている。景気の先行きへの不安感が出ているとも思えるが、いかがお考えか。

桜井: (不安感は)出ているだろう。質問が株価の予想であれば非常に難しい。(昨今の株安の)原因は、サブプライムローンに端を発した米国の実体経済の減速・後退と、その世界金融市場への波及にあり、それが現在、日本の実体経済、特に企業業績に跳ね返ってきたために、このような株安現象になっている。直接的な原因は米国の景気後退で、蒼々たる企業を含め米国企業の株安が続いている。日本経済も、日銀短観等でも(明らかなように)以前の予測と比較して景気は停滞している。日本経済がこのまま後退するかどうかについては、企業経営においてはかなりのリストラや債務超過処理を実施してきたこともあり、底堅い面があると思う。しかし、前述のようなサブプライムローンを発端とした米国経済の後退と世界金融市場不安、そして現在のインフレ不安等の影響が長期に及ぶのか、あるいはさらに悪化の方向へ進むのか、これを読み切るのは難しい。

Q: CO2排出量削減について、大企業は進んできているが、中小企業はなかなか進まない。現在の経済情勢を見ても中小企業は厳しい状況にあるが、中小企業にもCO2排出量削減を波及させるためにはどうすればよいとお考えか。

桜井: (大企業と中小企業との関係は、)世界の先進国と開発国・新興国(との関係)に似ている。中小企業の温室効果ガス(排出量の)削減を促進させるためには、中小企業も中小企業なりの削減目標を持つことが第一である。この目標が、義務的なのか申告なのかについては検討の余地があるが、中小企業もこれだけのもの(削減)をやらなくてはならない、それにチャレンジしよう、ということがまず原点にある。

次に、大企業はこれまで粛々と、エネルギー効率を上げたり、脱化石の開発をしたり、かなりのことを実施してきており、これらを中小企業に移転する(ことが大事で、これへの)インセンティブが必要になってくるだろう。大企業の排出削減量とみなすような枠組みを作ることも大事である。

中小企業にもいろいろな企業があるので一概に言うのは難しいが、技術移転や資金の支援だけで済むかについては疑問もある。(技術)移転をするには、受け手である中小企業側に“人”が必要であり、そのようなことを考えていくと、“人”をどうするかという議論が出てくるだろう。

Q: CO 2 排出量の削減は、零細企業を含めた全ての中小企業に必要か。

桜井: 総排出量を見れば零細企業が小さいことが分かると思うが、ある規模以上の中小企業だろう。特に、工場型、ものづくり型の企業は技術移転や資金支援が(削減に)効くが、サービス産業はあまり効かないので、特に、ある規模以上のものづくり企業を重点的に考えるべきだろう。

(サミットの話題に戻るが、)今回のサミットで、2050年までに(温室効果ガス排出量)半減という長期目標が合意できないとなると、これは不思議な世界だと思う。あまりにも利害関係のぶつけ合いだけになってしまっている。これこそ、真の危機感の共有化をもっとやらなくてはいけない。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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