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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2008年05月27日(火)13:30~
出席者 桜井 正光 代表幹事

記者の質問に答える形で、(1)ガソリン価格の高騰と国内経済、企業経営への影響、(2)日銀副総裁等の国会同意人事、(3)地球温暖化、(4)G8環境大臣会合、(5)社会保障費の2200億円抑制、(6)ねじれ国会、について発言があった。

Q: 本日、エネルギー白書が閣議で承認され、そのなかでガソリンの適正価格は60ドルくらいではないかと表明した。実際の足元の価格からすると2倍ほどのかい離があり、その大半はファンド等による投機資金によるものである。かねてより代表幹事は、市場に任せるとの主張をされているが、(その市場に)ひずみが出てきているのではないか。見解を伺いたい。

桜井: エネルギー白書はまだ十分に見ていない。市場の(動きに)任せることが大事だというのは、需要と供給の問題である。もう一つは、サブプライムローン問題に発した米国経済の停滞から来るドル離れや資金の流入があり、これも市場である。

市場の流れを長期的に見ると、例えば、1バレル130ドルを突破している現状から、将来的には脱石油・脱オイルという動きが生まれ、さらにもっと節約しようという動きが出てくる。その結果、需給バランスの理論のなかで、石油の取引価格が改定されていく。それまでにかなりの時間は要するだろうが、最終的には高騰し過ぎればその代替案が出てくるというのが市場である。そのような市場の動きに任せることが大事である。

Q: 国内のガソリン価格が来月から10円値上がりし(1リッター当たり)170円になる見通しであると(石油)元売各社が発表している。価格転嫁が進むことで物価上昇に拍車がかかっている状況について、これからの見通しと日本の国内経済に与える影響をどうお考えか。

桜井: ガソリン価格が100円程度まで戻るとは、短期的には予想し難く、高止まり基調は当面続くと思われる。価格転嫁が進めばそれだけ値上げということになるが、問題はどこまで価格転嫁が進むかである。石油やガソリン等、生活必需品や生活用のエネルギー・コストが上昇を続けているが、市場が(最終製品への)価格転嫁を拒む動きもあり、完全には転嫁しきれていない。今後も、市場の要求度合いやサービス提供者(企業)の工夫等のバランスのなかで決まってくる。予想は非常に難しいが、この先も価格転嫁がどんどん進むことはないと思う。(価格転嫁にのみ頼ると)企業サイドのマーケットの縮小、あるいは工夫をしないことによる競争力の低下などにつながる恐れがある。

Q: 価格転嫁できるかどうかが企業経営にも影響し、日本の景気の落ち込みにもつながると思うが。

桜井: 企業経営の観点で言えば、価格転嫁をすれば企業は楽になるが、一方で需要を冷やすことになる。(それを避けるためには、コスト上昇分を)企業の努力、工夫で吸収する必要がある。その限界点を探っていくのが経営である。

Q: 日銀の副総裁人事をはじめとする国会同意人事(案)が報道先行を理由に流れた。今国会での成立は難しそうだが、この状況について見解を伺いたい。

桜井: 「またそういう問題が起こったか」という印象だ。日銀副総裁について言えば、世界および日本の経済状況はいま、インフレ懸念と経済成長(景気)という二つの問題のせめぎ合いのなかにあり、金融政策の舵取りが非常に重要な時期である。従って、日銀総裁と副総裁の陣容がしっかりと固まっていることが非常に重要である。一部には総裁一人、副総裁一人でも何とかなるという声もあるが、それはいまの状況に限った話であり、今後の課題への対応を考えるならば大いに不安要素がある。早期に(本来あるべき)総裁、副総裁体制を確立すべきだ。

今回、政府から人事案が提出ができないのは、一つは良い人選がうまくいかないこと、もう一つは(人事案が)リークされたことだそうだが、この二つが(副総裁人事が滞るという)事の重大さに鑑みて、果たして本当に同意人事をしなくてよいのかを考えると、まるで理解できない。国会が責任を持って、早く同意人事に結論を出すことが大事だと思う。今回の提案のなかに副総裁(人事)が含まれていなかったことも、大変に問題だろう。副総裁人事、(日銀の)体制の重要性を強く認識し、(与・野党)協力しながら集中して(同意人事を行って)いただきたい。

Q: 日銀副総裁人事でリークがあったということだが、リークであるかないかがどうして判るのか、報道は取材の結果流れるものであり、リークかどうかは明らかではないのにそれを理由に同意人事を受け付けないのはおかしいのではないか、と当初から言われていた。日銀総裁人事でゴタゴタした後、この局面でまたこのようなやりとりすることについて、どうお考えか。

桜井: コメントもしたくないほどその通りだと思う。日銀の体制が、いまの経済環境のなかで、また世界経済の状況が日本に相当影響を及ぼすなかで、事の重要性をしっかり認識することが大事である。そうすれば、リークの問題や財務省関係の問題(副総裁人事には財務省関係者という問題ではないようだが)などは乗り越えられるはずだ。

Q: 温暖化問題について、政府は来週辺り「福田ビジョン」を出す予定である。2050年に60~80%削減という(目標)は、概ねそういう内容かと思われるが、それに至る手段についての議論がされていないように思う。排出量取引のみ俎上に上がっているが、(この目標を)どう実現するのかという議論なしに、60~80%(削減)という(目標)数字が出てくることについて、いかがお考えか。

桜井: はっきり言えば、手段無しで結構だと思う。温暖化防止はそういう問題である。手段が明確にならないと目標値を設定できないという立場では、いつになったら目標値が出るのだということになる。目標値なしで、世界で協力して温暖化防止にあたろうというやり方では、多分動かないだろう。日本も、世界も、温暖化防止活動の枠組み(作り)については、IPCCや各研究所の報告から(も判るように)、このまま放ってはおけないという認識や危機感が大事である。ある程度の方法・手段は見えている。IPCCでは、どれだけのコストを掛ければどれだけの削減ができるか、ということを予想しているし、日本の環境省の傘下にある国立環境研究所でも試算をしている。また、経産省でも独自に積上げを行なっている。全て(の試算)が(目標値の達成に)届いている訳ではないが、7~8割方(目標値達成に)届く数値が出ている。私はこれで充分だと思う。まず、それらを元にIPCCの報告にある(削減目標)ラインに中期も長期も届かせる中・長期目標を立てることが大事だと思う。繰り返しになるが、実現手段が分からないというが、(実際は)ある程度分かっている。そしてどれだけ積み上げ、かさ上げすれば(目標値達成が)可能かということも大体想像の域に入っている。

Q: 洞爺湖サミットの前哨戦となるG8環境大臣会合が昨日、議長総括とまとめて閉会した。代表幹事は初日の議論の一部に参加されたと思うが、この議長総括の中身について、どう評価されるか。

桜井: 良い所もあったし、まだまだ(期待していたレベルに)届いていないところもあった。

G8環境大臣会合の役割は、洞爺湖サミットでの合意事項に向けて弾みをつけ、支援をすることである。洞爺湖サミットは先進国のサミットなので、先進国が責任を持って中・長期の目標値を設定することが第一に重要なことである。二番目は、到達するためのもうひとつの条件として、新興国を組み入れることと、途上国に意味のある目標値、責任を持って参加させることである。そして三番目は、その目標を達成させるための促進策、制度設計、つまり排出権取引や環境税、環境関税などの問題について、洞爺湖サミットではある程度方向性を出すことになる。その合意と方向性を出すことに対して、G8環境大臣会合がある。

一番目の長期目標については、(議長総括には)「設定が重要であり、その設定に合意することに努力する」とあるが、どういう意味なのかがよく分からない。少なくとも環境大臣クラスでは、(温暖化効果ガス排出量2050年までに)50%削減に対して合意を形成することが大事だったのではないか。

(二番目の)途上国の参画、ここでは多分に「主要排出国である新興国」の参加についてあまり具体性のあるものにはならなかった。

排出権取引については、私は常に、促進策のひとつであるという考え方である。キャップ・アンド・トレードのキャップは先述の通り、排出権取引とは関係なく存在すべきである。まず地球温暖化を防止するために、各国が共通で差異ある責任で参加しなければいけない。そのために各国は、差異ある目標値を設定するということである。これ(ら)は排出権取引には関係ない(排出権取引のためのものではない)。一般に言う排出権取引=トレードは、目標を達成するためのひとつの促進策で、トレードが有効であるかどうか(について)議論をすれば良い。G8(環境大臣会合)でもっと審議を深めることがあって良かった。以上が私の評価である。

大臣会合の前に行われた「各界代表との対話(ダイアローグ・ウィズ・ステークホルダーズ)」に参画した。(そこでは)皆が意見を述べるというよりも、参加者が色々な立場からプレゼンテーションをする場で、意見交換にならなかった。

(私がその場で申し上げたことは、まず)非常に重要なこととして、洞爺湖サミットで先進国は、率先して中期目標を設定すべきで、このための議論を(今回の環境)大臣会議でやったほうが良いということ。そして、途上国の参画について、途上国も主要排出国として確実に責任があるため、(その)責任を明確にし、それなりの参加の仕方を議論すべきであると提案した。これらの2つは、洞爺湖サミットで重要な論点になるだろう。

Q: 経団連の御手洗会長が2期目に入られた。御手洗経団連のこれまでの実績をどう評価されているか。また奥田(前会長)時代からどう変わってきたか。また、ねじれ国会のなかで、経済界と政治とのあり方が岐路に立たされていると思うが、今後(経済界と)政治との関係はどうあるべきとお考えか。

桜井: 各々の経済団体の存在意義、構成メンバーなど組織的なことも絡んでくるので、他団体を評価することは難しい。それぞれの特色を活かして、日本のあり方やそのあり方を具体化するための制度設計、政策展開に対して、各々が提言をし、フォローアップをしていくことを目指している。その拠って立つところの違いを抜きにして評価するべき問題でもない。

政界との関係についても拠って立つところの違いがある。経済同友会では、党を支援するのではなく、政策を評価し、政策に対してコミュニケーションを取り、政策展開を促進させるという方針で、政治との距離をわきまえたうえで活動していく。

Q: 社会保障費の伸びを毎年2200億円抑える政府の目標について、財政改革を進めるというひとつのメッセージになる反面、社会保障費のカットが国民の不安を増幅するという面もあるが、現時点での見解を伺いたい。

桜井: 2006年の(骨太の)方針は絶対に変えるべきでなく、2200億円の抑制は維持すべきだ。維持するのに工夫が必要なだけの話である。その財源をどう求めるかということで、無駄な歳出のカットなのか、少子高齢化の時代で膨大に膨れ上がる社会保障費に新たな税源を求めるか、その組み合わせである。歳出・歳入の問題を真剣に議論するべきで、構造改革による歳出・歳入一体改革、そして税制抜本改革をもっと進めるべきである。

経営でも同じだが、一回タガを外すとどこまでいくか分からない。(「骨太の方針2006」は)プライマリーバランス黒字化とその後の債務削減を設計しているので、これは絶対に守るべきだ。ただし、帳尻合わせはやめてほしい。

Q: ねじれ国会のために重要な政策審議が進まないという捉え方をされているようだが、ねじれ国会によって社会保険庁や国土交通省でのさまざまな無駄が出てきた面もあり、ねじれの効果もあるのではないか。

桜井: そう思う。ねじれは国民が選択した結果であり、ねじれ国会が悪いとは言っていない。ねじれていて政策審議が進まないことが問題だといっている。意見書にも書いたが、ねじれたがために、道路特定財源の一般財源化や社会保障制度の抜本的な改革が日の目を見るようになり、進むようになってきたことは効果の面だ。今後、税制の抜本的な改革も進んでほしいが、ねじれの良さを発揮して改革の方向に進むよう、新しい政策決定ルール、審議ルールを構築していただきたい。いま、ねじれ国会を非難しても、それを理由に言い訳しても済まない。良い方向、良い結果が出ているので、そういうものをもっと出していくためには、(1)一緒に設計する問題、(2)協議して修正する問題、(3)頑として党の立場を主張する問題、という(対応)方法もあると思う。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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