ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
ローカルナビ(l)へ
サイトのご利用案内(i)へ

ここからグローバルナビです。

グローバルメニューここまでです。

ここから本文です。

記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2008年05月20日(火)
出席者 桜井 正光 代表幹事
小島 邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で、(1)社会保障国民会議が示した基礎年金全額税方式化の試算、(2)地球温暖化対策「福田ビジョン」、(3)福田内閣支持率、(4)ねじれ国会における審議の進め方、について発言があった。

Q: 社会保障国民会議が基礎年金の全額税方式に関する試算をまとめ、消費税に換算して3.5%~12%の財源が必要との案を発表した。経済同友会でも過去に、年金目的税として9%の消費税率アップを提言された。今回のこの試算について、(国民会議の)委員からも影響が大きすぎるという反対の声があるようだが、代表幹事の見解を伺いたい。

桜井: 人口動態の変化などから考えると、現行の年金制度をこのまま維持・継続するのは極めて困難であることは顕著だ。政府も国民会議で取り扱って議論をしていた。その議論の大本となる、税方式を導入した際の税負担がどの程度になるか、つまり給付をある設定にすると税ではどの程度の増額になるのか、という点が重要だったわけだが、今回政府がその試算を初めて示したことは、今後の抜本改革への議論のベース作りという点で大きな意味がある。しかし今後、税方式にするのか、現行の保険方式を改良していくのか等を議論していくうえで、消費税の増額というだけの話になってしまうのは、選択肢(の設定)として問題であろう。税方式を採用した場合には基礎年金部分の保険料負担がなくなるだけでなく、その徴収の手間や費用もなくなる等、いろいろな要素を考えなければいけない。いずれにせよ、今回政府が(税方式を導入した場合の)試算を示したことは、今後の抜本改革の必要性やその選択という面で歓迎したい。

さらに言えば、年金改革の他にも、医療、介護においても同様、人口動態や財政などに起因する問題が多々あるなか、現時点で年金制度の改革だけで済むのかについては、疑問を抱かざるを得ない。国民の負担という角度から考えると、やはり社会保障全体の一体改革という視点で取り組む必要がある。この問題を突き詰めていくと、税制の抜本改革を考えなければいけないということになる。社会保障制度改革と税制の抜本改革を(一体で)考えていくよう(政府には)希望する。

Q: 基礎年金に関する社会保障国民会議の試算について、経済同友会では(基礎年金の)税方式化に加えて報酬比例部分の民営化を提言されているが、今回の(試算の)4つのパターンのうちどの案が最も妥当とお考えか。

桜井: 経済同友会案は、基礎年金部分と、その上に積み上げる私的年金部分との二つの構成になっている。基礎年金に加えて、今までの報酬比例にあたるところを私的年金にする点が違う。基礎年金部分だけをみると、ケースA(全員に満額給付)の6万6000円を一律給付する試算に近い。異なるのは、同友会案は基礎年金の標準(給付額)が7万円であるという点だ。かつ、同友会案は、納付した保険料を今後の支給の中に組み込むのではなく、それから基礎年金分相当額を控除した分を返還しようというものである。

よって、(どれに近いかといえば)基礎年金については(ケースAの)一律(給付)の6万6000円方式に近いが、不足部分は二階部分であり、(これについては)清算するという点が異なる。

Q: 同友会の案では、(税方式に移行することによってなくなる)企業負担分は従業員に還元するとあるが、どのような形で還元されるのか。

桜井: 従業員に還元するあるいは、将来的にも二階部分(私的年金)については、従来通り企業の半額負担を続けるというものである。同友会方式では、将来企業負担がなくなるので良い、などという話を聞くことがあるが、そうではない。

Q: 私的年金部分に基礎年金で企業負担が浮いた部分を投入するというやり方なのか。

桜井: 企業が負担するということである。それぞれの従業員の私的年金の口座に拠出する。

Q: 社会保障国民会議の試算で具体的な数字が出されたことで、(国民の)反応として、税方式だと消費税の負担が相当増えるという印象を持った人が多いという(マスコミの)紙面の書き方が多いように思う。過去、同友会で検討されてきた流れを踏まえ、今回の試算の数字をどうご覧になったか。

桜井: 基礎年金部分(の試算)は、同友会の数字とほぼ同じである。正確に言うと、(今回の試算は基礎年金額を)6万6000円のベースで積んでいる(のに対し)、同友会案では7万円である。そこでパーセンテージの数字は少々変わってくる。消費税の増額分(増税部分)と、前述の通り、税方式では徴収コストや基礎年金部分に相当する保険料が不要になるといった部分もきちんと示さなくては、(税方式は)純増だけという誤解を与える。

小島: もう一つ、今朝の新聞では、これから厚生年金の保険料は18%まで上がるが、これについては全く無視されていた。厚生年金保険料がこれから毎年上がっていくことについて、それが良いのかという話もある。

桜井: 年金の上がり方や世代間の不公平感が(保険料の)未払いに繋がり、未払いによる無年金者もこれから出てくる。これを解消することが税方式論の根源で、このような課題(への策)を改良し、国民にとって安心できるシステムをいかに作るかということが基本である。この背景となるものを忘れてしまい、単に年金、保険料、増税といった金額の計算だけでは、見間違えてしまう。(これは)後期高齢者医療制度(の問題)と同じで、新制度が寄ってたつところの背景や理由をしっかりと捉えたうえでの試算である。税制の抜本改革でどのようにするか(という議論)に任せたいが、「消費税のアップを嫌う」という(だけの)論理では、これだけ人口動態が変化するなかで新しい制度の導入や制度設計は殆ど不可能になるだろう。

Q: 先ほど医療・介護について言及されたが、同友会としては過去に医療・介護について提言されているか。また、昨日の(社会保障国民会議の)議論をみると(基礎年金を)全額税方式にした場合、年金だけに消費税が充当されて、今後膨大になる医療・介護の政策費には回らないとの懸念もあるが、いかがお考えか。

桜井: 医療制度についての経済同友会の提言は、(後期)高齢者医療制度について税での負担を増そうというもので、税負担7割、個人の保険料で1割、窓口負担2割という案である。試算について今は述べないが、税負担重視の医療保険制度にしようというのが基本姿勢である。ここでも税負担が出てくる。社会保障の問題に限っては、税負担で安定したやり方を模索する必要があるだろうという立場である。介護については、要介護1~5などの介護度に応じて、保険料ではなく、自己負担を変えていくべきであるという提案をしている。基本的には、医療と年金について税シフトを考えている。税の抜本改革では、社会保障と一体的な見方をして、税負担を検討する必要があり、社会保障と税という国民負担率全体をベースに考えなければいけない。

Q: 福田首相を中心に温暖化問題にむけた「福田ビジョン」の策定が進められている。長期、中期の目標の策定を示唆したり、排出権取引の具体的な姿勢を示すなど、桜井代表幹事の(これまでの)発言と共通する部分が多いと思われるが、これについて感想を伺いたい。

桜井: 地球環境問題は、全人類的な課題である。それも、「できることをやる」のではなく「なすべきことをやる」課題だ。基本的な話をすると、地球温暖化を早く阻止し、経済の発展と温暖化防止のためにかかる費用のバランスを実現するためにも、中期的にはピークアウトの時期とそれに伴う中期目標、削減目標を定め、長期的には2050年時点で、全世界で(温室効果ガス発生量の)半減、先進国はその責任において半減以上を見込んだ目標を決める。地球温暖化防止(への取り組み)を先延しすることなく、明確なビジョンと目標を持って全世界が取り組むという「あるべきシナリオと目標(の重要性)」を長年にわたって言い続けてきたが、国レベルでもそうしたシナリオと目標を「福田ビジョン」に盛り込もうという動きが起きていることは、大いに歓迎したい。ダボス会議での「福田スピーチ」でも同様の意思表示がされていたので、来る洞爺湖サミットに向けて、議長国としてそして議長として、「(ダボスの)福田スピーチ」をもう一歩進めたかたちで明確にし、サミットをリードしていただきたい。

Q: 福田内閣の支持率が、報道各社の世論調査で2割を切るような状況が続いているが、この状況についていかがお考えか。

桜井: 内閣支持率2割という結果についてとやかく言うことではない。支持率が下がり、与党支持率と足しても50%を割っているという状況は良いことではないが、基本的には(こうした支持率調査の結果に)一喜一憂する話ではないと思う。今後の政策展開や国会審議などを通して、政府や政党として、政策の内容やその背景を国民に明確に示すと共に成果を上げていくことが望まれている。

Q: 国会がねじれたままで内閣の支持率も下がっており、総選挙の時期についても語られ始めている。(基礎年金の財源としての消費税)数字が出たものの、(このような状況下で)議論が深まっていくとお考えか。

桜井: 深まっていかないだろう。以前の会見でも触れたが、問題は、「ねじれ」が良くないという話ではなく、ねじれのなかでいかに政策論議をしていくかというやり方が未だ見出せていないところにある。国会や政府が、日本の将来を描きつつ制度設計を議論しているにもかかわらず、それが動かないという状態の中で、どのようにして前に進めていくべきかが問われている。(学習院大学教授の)佐々木先生とも意見は同じだが、例えば、社会保障制度改革や(構造)改革のベースとなる公務員制度改革といった日本の将来に関わる重要な政策案件に対しては、与・野党を超えた超党派で、例えば合議体を設けたり共同で将来の制度設計をするというようなことが必要だ。これが一番目。二番目としては、野党含めて基本的な考え方や方向性がある程度一致しそうであれば、国会審議で十分議論し、必要であれば法案の修正等を実施し案件を成立させるという努力をすべきだ。そして三番目は、現在の状態と同様だが、案件を政局としても審議を通して争う。差別化の問題なので、しっかりとその党の主張、ポジショニングを明確にする意味で、国民に問う(べきである)。
このような整理の仕方を政治家の皆様方が政治の中で見出し、進めていくことが必要ではないか。社会保障改革については、内容ではなくやり方についてだが、スウェーデンがとった方法は超党派の合議体である。政権が変わったとしても、そう簡単に変わらない制度設計とその変更・ルールを(実現できる)。海外ではこのようなことをやっている例もある。ぜひ3つの分類を頭に描いてやっていただきたい。できるはずだ。

(文責:経済同友会事務局)

以上


ローカルナビここまでです。

ここからサイトのご利用案内です。

スマートフォン版サイトに戻る

サイトのご利用案内ここまでです。