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記者会見発言要旨 桜井代表幹事発言要旨(未定稿)

日時 2008年04月08日(火)13:30~
出席者 桜井 正光 経済同友会 代表幹事
小島 邦夫 経済同友会 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で、(1)日銀総裁・副総裁人事、(2)英投資ファンドによるJパワー株買い増し計画、(3)チベット人権問題、(4)暫定税率の期限切れと道路特定財源、(5)福田内閣支持率低下と解散総選挙、について発言があった。

Q: 日銀総裁人事について、白川副総裁の昇格がほぼ固まったようだが、人物評価を伺いたい。

桜井: 人物評ができるほど知識はない。以前から申し上げている通り、(日銀総裁候補選びは)本質的には(その)人の能力と資質に立脚するものである。国際性、金融における専門性、そして継続的に敏感で迅速な反応が望まれるため心身ともにタフな方であること、などがあるが、(総裁選出が)そのような質や能力によって評価され、選出されることが大事である。(白川氏は)それに適う人物であろうと期待している。

Q: 渡辺前財務官の副総裁就任を巡っては、民主党内で対応が分かれているが、この民主党の対応についていかがお考えか。

桜井: 民主党の方針は、以前からいわゆる財金分離である。(確かに)財金分離は非常に大事なことではあるが、日銀の組織自体が、作為的に天下りを受けるとか、(財務省に)影響されるとかいうものではないし、また、財務省側も財金分離はしっかりしてきている。このような状況下での財金分離を考えていただければ良いのではないか。

渡辺氏の候補としての評価は、確かに民主党内で割れており、評価する点が、財金分離から財務省の天下りに移ってきているように思う。日銀総裁および副総裁は、金融政策の司令塔として、その責任を果たせる人で構成されることが非常に大事なので、ぜひその点を踏まえて国会同意人事の審議を進めていただきたい。

Q: Jパワー(電源開発)とザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)の間の株式取得を巡る動きについて、(代表幹事は)かねてより市場に任せるべきと発言されている。一方、経済産業省の北畑事務次官は、(TCIによる)株式の買い増しを規制するという方向性を示しておられるが、このような状況について改めて見解を伺いたい。

桜井: 以前から申し上げている通り、日本の投資市場を、海外から見てもオープンで魅力あるものにしていかなければならない。これは外資規制(に関して)だけ(の話)ではなく、日本の市場を投資対象として魅力あるものにしていくために、我々も努力すべきことは沢山ある。日本政府もこれを基本方針として持っておられるので、それには大いに期待したい。

以前にもJパワーの問題に触れたが、(今申し上げた)基本方針のなかで、直接的な外資規制ではなく、個別法や業界法、外為法などで一つひとつ議論していけば良い。今回の問題については、外為等審議会にかけることになろうと思うが、(オープンで魅力ある市場づくりという)基本的な姿勢を崩さずに、充分な審議のうえ決めていただければと思う。

結論がどちらになっても、今後日本の市場に対する(海外からの)疑問を抱かせないためにも、投資家や外部に対し、何故その結論に至ったかという背景をきちんと説明する透明性が非常に大事である。議論のなかで基準が明確になってくるであろうという意味でも、外部に開示することが非常に重要である。

Q: 今回の議論については原子力発電所の建設に絡んで、原子力利用の安全保障という意味で注目されている。代表幹事は、原子力について国の規制があって然るべきとお考えか。

桜井: ある部分は、あっても然るべきだと思う。原子力は、単にパワー・エネルギーという話だけでなく、再生可能な燃料であるし、核拡散の問題もある。その要素から、通常の発電所よりも、安全性や国防の面でかなり考慮しなければならない。しかし、それらを考慮したとしても、今回は(株の)20%の話である。結論は別として、20%と安全性がどのように関連するのか(を明確にした上で)結論を出すことが必要であろう。その結論に至る背景・理由をしっかりと開示することが大事である。

Q: 北京オリンピックとの関係で、チベット問題に絡んでイギリスやフランスで(中国政府に対する)反発の声が高まっている。日本にも(今月)26日に聖火リレーが来るが、このような状況についての代表幹事のご所見を伺いたい。また日本がどう対応すべきかについてお考えを伺いたい。

桜井: この件について特に所見はないが、事実として、人権問題に対する批判が今回の問題に発展していると思う。中国政府は、人権問題に対して、透明性のある真摯な対応をとっていくべきであろう。

Q: ガソリンの暫定税率(の期限)切れから1週間経ったが、この状況で混乱が起きているとご覧になっているか、さほど混乱はないとご覧になっているか。道路特定財源について、福田総理の提案を受けて、暫定税率維持での一般財源化、あるいは(暫定税率を)再可決すべきかどうかについてお考えを伺いたい。

桜井: 話が複雑になってきている。まず、暫定税率が期限切れになったことで生じた価格の問題で、混乱はあると思う。もう一つは、地方財政の問題として、予算編成後になんとか処置しなければならないという問題もある。私は、これらについては一時的なものと思っている。これらの(当面の)混乱よりも、むしろ(国会が年度内に)予算関連法の処理をできないこと自体が、後々に及ぼす混乱の方が大きくなる可能性があろう。

福田総理は、3月末に7項目の修正案を提出し、2-3日という短い日程ではあったが、与・野党による修正協議として決着をつけてほしい、という希望を出された。このなかに、いくつか非常に重要な問題がある。ひとつは、一般財源化の問題。暫定税率についても、新たに社会保障などの項目も考え、必要な歳入を明確にしたうえで、税制の抜本改革をやってほしいという提案であった。今回は、その修正案の審議と、60日ルールを用いた特定財源復活の問題とが並行して進むようになった。今後これがどのように処理されていくのかが課題だと見ている。

道路特定財源は55年も、暫定税率は35年も続いた。いずれも法案がスタートした当初と現在では時代が相当異なっている。今日、特に財政が破綻状況にあるなかで、必要最低限の道路とはどのレベルを指すのかについて、真剣に討議し、見直していくべきだ。そのうえで、一般財源化の使途を徹底的に議論していただきたい。

Q: 暫定税率分を一般財源化して環境対策に使うべき、という意見もあるが。

桜井: 私の考える環境税とは全く異なるものであるが、異論はない。

福田総理もおっしゃっているが、地球温暖化の阻止が急務であり、脱石化エネルギーに取り組むべき今日、それと逆行するとも(受け取られかねない)減税は、世界の理解も得られない。その意味でも環境税についてもっと審議していただきたい。

Q: 暫定税率分を現在の水準で維持するのであれば、という前提でのご発言か。

桜井: 第一に、現在どのくらいの歳入が絶対に必要なのか、という話がなされるべきだ。そのために道路や社会保障等のように、基本的に使途が決まるものがある。そうした歳出が果たしてどのくらいになるのかを、まず押さえることが必要だ。そのうえで、特定財源あるいは暫定税率を一般財源化して(歳入と歳出の)対応することになる。

Q:(ガソリン税の)暫定税率を維持し(道路特定財源を)一般財源化する方向で検討すべきとの発言があった。総理の提案では、09年度の一般財源化だが(代表幹事のご意見も)そう理解してよいか。また暫定税率については、月末以降に再可決して元(の税率)に戻し、08年度はそのまま予算を書き換えない、という理解で良いか。

桜井: 09年度(の一般財源化)に同意する。

(取り敢えず戻して予算を組み替えず08年度はそのままかどうかは)修正(協議)の話として扱えばよい。まだ参議院で審議されていないので、これを審議する必要がある。暫定税率を全て復活すべきか否かについては(私は)言える立場にない。特定財源だけで対応できるのか、暫定税率を復活させる必要があるのか、さらにはガソリン税率の25円分を元に戻すのか否か等も含め、十分審議する必要がある。

Q: 道路特定財源に絡む問題で、国土交通省・関東地方整備局の職員が、11カ月で490万円をタクシー代として特定財源から払ったとの報道がある。その使途について、どういう印象をもったか。

桜井: とんでもないと思う。各行政において、無駄にお金が使われるということは、あってはならない。金額的に、道路特定財源分の約6兆円とは桁は全く違うが、税を(利用した)施策を執行する人たちが、税として集めたお金を、個人的な使途やその省だけのために充てるというのは、国民に対して全く説明がつかない。これはもっと厳しく、きれいに、清くしていかなければならない。これがなければ、国民は納得しない。

Q: 与・野党が超党派で取り組むべき課題と選挙で問うべき課題とを分けるべき、という発言があったが、道路特定財源の問題は、その観点からはどのように取扱われるべきか。

桜井: 超党派で取り組むべき問題は、大体明らかで、社会保障制度、地方分権、経済外交、例えば近隣諸国とのEPA・FTA、WTO等、そして地球環境の問題などである。

道路特定財源は、総合的な税の問題として考えなければならないので、超党派で(取り組む)というのはかなり難しいかもしれない。ただ、希望的に言えば、大本の軸となっている道路整備計画は、国土の問題なので、少なくとも与・野党が真剣に協議すべき課題であろう。超党派、協議、政策の違いを示した政権争い、という3つに分けると、協議を行う課題だろう。協議すべき課題として取り組まないと、道路問題はなかなか解決しないだろう。

Q: 暫定税率について、4月に入ってガソリン・スタンドでの店頭価格が下がっていることを、消費者・国民は実感している。再可決をして暫定税率を戻すことになると、消費者はそれをどう受け止めるか。経済的な影響について伺いたい。

桜井: 消費者から見たら嫌な話だろう。ただ、戻すか戻さないかは、それを国民が許すことができるかどうかにかかっている。判断できるような、明確な使途を示すことができるかどうかだろう。

Q: 今、政治はそれを行っていると思うか。

桜井: 戻すのであれば、やらなければならないだろう。

Q: 表面的に(価格が)上がった、下がったという点に、関心が集中しているようだが。

桜井: 25円だけの話にするからそうなってしまう。「下げるとなると、どういうことが問題になる」ということまで含めて説明しなければならなかった。結局、何の審議もせずに25円を下げてしまった。それは国民にとっては大喜びの話である。大喜びをさせておいて、今度は後付けで、「実はこういう事情で、歳入・歳出のバランスにおいて大変な問題だ」ということが、国民に受け入れられるかどうか、それは政治が判断すれば良い。ただし、そういうツケを国民に回すことは良くない。

Q: 報道機関各社の世論調査によると、福田首相の支持率が20%くらいにまで低下している。一方、与党の実力者の間でも解散を予想するような声が広がっている。いまの政治状況と解散総選挙のあり方について、どのようにお考えか。

桜井: いまの政治でもっとも大きな問題だと考えているのは、完全に(与・野党間の)対立局面ばかりが目立ち、重要法案の審議が進まなくなっていることだ。これを脱却するには、与・野党がこの国のかたちをどうしていきたいのか(を明らかにし)、国の将来に対して責任を持って、対立軸から抜け出し、超党派で取り組む課題と、協議すべき課題、さらには政権をかけて戦うべき課題とを分類して取り組まなければならない。まずそれ(分類)をきちんとやることが政治の知恵だと思う。私も以前から言っているが、佐々木毅学習院大学教授と同意見(事務局注:与野党で共通の課題として議論すべき問題、選挙で争うべき問題を整理すべきとの意見)だ。

これにつまずいて(対立軸から脱却できず)最悪の状況が続くようであれば、解散権を持つ総理が何らかの決断を下すべきであろう。

全てを対立軸においてしまうのは、国民にとっても、企業経営にとっても良くない。海外から見ても、日本の問題処理能力の低下、麻痺という状況は、日本への投資等の面でも非常に悪影響を及ぼす。

与・野党の対立軸によって、経済問題、経済活性化に関する議論や審議がなくなりつつあるのも、非常に気がかりである。「国から地方へ」の地方分権、自由な市場で競争する社会をつくる規制改革、そして、新たな社会システムを創り出すうえで必要な政策の策定、立案、展開の中心課題である公務員(制度)改革の問題。これらをもっと促進させて活気のある経済社会を生み出していくという議論が最近消えつつあることを、大変心配している。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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