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桜井正光経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2008年02月05日(火) 13:30~
出席者 桜井 正光 代表幹事
小島 邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で、(1)G7、(2)中国製冷凍餃子と消費者庁構想、(3)つなぎ法案、(4)日銀総裁後継人事、(5)外資規制、(6)ホテルの日教組会合拒否、(7)ダボス会議での福田総理の評価、(8)日本企業の買収防衛策と株安との関係、について、発言があった。

Q: 今週末、G7が8年ぶりに東京で開催される。サブプライムローン問題が主要課題になると思うが、議題の見通しと要望があれば伺いたい。

桜井: 先のダボス会議においても、世界経済のいまの課題と今後の先行きが、ひとつのメインテーマとしてかなり議論され、端的に言うと2つ(の議論が)あった。アメリカの金融政策、財政の政策を含め、今回のサブプライムローン問題がここまで拡大したのは、ひとつには初期対応の迅速性に問題があったという点、ふたつ目は世界の金融商品の技術開発が進み、世界中のリンクが密になるなど市場が様変わりしているなかで、政策面がこの変化に対応できる状況になっていないのではないか、新たな国連機関なのか、IMFなのか、国際銀行なのか、現在の経済状況をしっかりとコントロールできるような(国際的な)枠組みが必要ではないか、という点であった。今週末のG7でも、金融関連の収縮に至らないようにするために、世界的に協調してどのようなことができるか、ということが非常に大きなテーマだと思う。

また、個人的には詳しくないが、日本のバブル崩壊後の金融収縮への対応、(例えば)金融機関に対する資本の投入がかなりスピーディーに行われたなどの対応がひとつの先行事例として参考になると思うので、このような点で日本が経験談(を述べ)、ベンチマーキング先として、G7にある程度の貢献ができるのではないかと期待している。

Q: 中国製冷凍餃子の事件について、発生から自主回収まで約1ヶ月もかかったり、行政の対応が後手後手に回ったりしている印象がある。真相についてはこれから解明されることになると思うが、現段階での印象を伺いたい。

桜井: 事件の初期発見から公表まで1ヶ月もかかっていることが非常に遅いと思うのは確かである。経緯がどうなっているのか、誰が何をして原因究明に対応しているのか、などについて、報道の情報でしかよくわからないので、申し上げにくいが、どちらかというと、両国政府・行政の課題として取り扱われているように感じてならない。一番大事なのは、やはり生産者、輸入者、販売者という当事者が、基本的に直接的な責任を持って、原因究明と再発防止を実施しなくてはいけない課題だと思う。(当事者は)対応されているとは思うが、この(当事者の)動きがあまりよく見えないので、政府・行政に原因究明や検査体制の強化、再発防止を投げる(任せる)のではなく、当事者である企業側が、日本のみならず中国も同様に、しっかりと責任ある態度をとって、国民に余分な不安を与えないようにすることが非常に大事である。

さらに、(対応を)もたもたしているととんでもないことになる。サブプライムローン問題に似ていると思うが、不安が不安を呼び、「冷凍食品は一切食べないようにする」、「中国製品は一切輸入しない方がよい」など、万一極端なところまでいってしまっては本当の解決にはならない。日中間の問題を醸し出すだけでなく、本質的な問題を見失う可能性があるので、このような(遅い)対応にならないよう、第一義的に当事者がしっかりと原因究明、再発防止を、そして両政府が周辺の環境整備をし、不安解消のために努力していただくことが一番大事だと思う。

Q: 中国製冷凍餃子の問題が起こる前から、福田総理は、消費者行政一元化のための消費者庁構想を推進していた。その矢先に中国製餃子の問題が起き、タイミングが悪い。この消費者庁構想について、各省庁には省庁間の障壁を巡る反対論もあり、また経済界にも、消費者行政が強まり自由が制約されるのではないかという反対論もある。この点についてお考えを伺いたい。

桜井: 消費者庁がどのような役割を果たし、民間と消費者庁との間でどのような役割分担を意図しているのか、今のところ私にはよく見えていない。ただ、先述の通り2つ(のポイントが)あるだろう。

お客様に対して商品・サービスを提供する企業とお客様との関係において、基本的には、企業がお客様視点でしっかりと対応していくことがある。これは、企業がしっかりとやらなければいけない(ことだ)。(また)企業の種類によっては、先ほどの餃子の問題のように、企業間取引もある。国境を超えて部材を調達して加工する、あるいは、部材(への)加工を済ませ完成(した)商品を輸入して取り扱うBtoBの関係がある。これも透明性のある取引や品質を確保するためのチェック等は、企業が当事者としてしっかりとやらなければいけない。企業が、顧客視点でBtoCや、品質管理を徹底したBtoBの取引を行うにしても、その環境作り(において)は行政の役割としてやらなければいけないことが沢山ある。そのような意味で、消費者庁の役割が出てくると思う。

現状、私にはそれ(消費者庁の役割)がよく見えないが、ひとつはエンドユーザとして個々の企業に物申すことが、理由があってできないような場合、お客様はクレームや不具合をどこかに発信しなければいけない。それを公共あるいは政府の機関でしっかりと受け止めて欲しいということもあり得るだろう。また、BtoBで個々の問題が発生したときに、同様の問題が(再度)発生しないよう、国としての基準を作り、品質や取引の仕方についての法制的に整備をするということもあるだろう。

消費者庁は何をすべきところなのか。企業と行政の役割分担の意味でも、省庁間の問題のなかでも、役割を決めておけば整理されてくると思う。

Q: 道路特定財源の暫定税率の「つなぎ法案」について、与党が国会提出を見送った。これから(租特の)国会審議に入るが、一連の与党と野党の対応について、ご感想を伺いたい。

桜井: つなぎ法案は、与党から、(暫定税率の期限切れによって)国民生活に影響を与えてはいけないということで出てきたものだと思うが、本来は国会でよりしっかりとした議論を尽くして、租特について国民に解りやすい議論をし、両党が本当にいまの日本の状況や今後のことを考えたうえでの結論を出すことが、一番望まれると思う。議長の斡旋の意図は、恐らく「もっと真剣に議論をしてください。そして納得する決着をつけてください」ということだろうし、これは誠に正解だと思う。両党とも、政局だけの展開に走らず、(租特の)必要性等について真剣な議論をしていただくことが非常に重要だと思う。

Q: 日銀総裁人事について、今日、民主党で手続きが始まった。例えば、複数候補を立てるなど、どのようなプロセスで、どのような人物を選ぶのが適切か、改めてお考えを伺いたい。

桜井: ひとつひとつのプロセスについて、個人的に確固たるアイデアは持っていないが、いまの日本の経済状況や財政・金融の重要性(を鑑み)、さらに海外から日本の経済の安定性や発展性が期待されているなかで、与・野党双方が、しっかりとした透明性あるプロセスで、また希望的に言えばしっかりとしたルールのなかで、議論されて決めていくことが必要だ。(人物の)要件については、前回の会見でもお話したので割愛する。

Q: 外資規制について伺いたい。空港設備会社やJパワー社など外資の導入を一定程度規制すべきという議論が強まっている。一方で、外資を呼び込んで資本市場を活性化すべきという議論もあり、政府のなかでも意見が分かれているが、これについてお考えを伺いたい。

桜井: 基本は、市場をオープンにし、規制を緩和することが重要である。一方では、日本の安全を担保するためのある程度の条件設定や除外する対象もありうる。

空港運営の外資導入に関して述べるなら、空港は事業自体がオープンなものであり、従って運営も同様にオープンにすべきと考えている。さまざまな知恵や資金を(海外からも)導入することにより、効率の良い空港になっていくであろうし、利用者にとっても開かれた空港になるものと期待している。そういう点からも、規制を重点に考える必要はないと考えている。今の法案について言えば反対である。

(その他の対象において)日本の安全を担保するときには規制する必要がある。これは日本だけではなく欧米など他の国でもやっている。(例えば、ある)先進的技術が日本の国力、成長と発展において重要である場合には、買収から守る必要があり、規制の対象になる。ただ、空港(施設への外資参入)については、(その様な)安全を担保する必要はないのではないか。

小島: 外資が入っても空港そのものがどこかへ行ってしまうわけではない。どのように空港を運営するかについては、株の保有の問題ではなく、規制は可能であり、別途どこの国でも規制している。電力会社のJパワーについても、外資が入ったらおかしくなるという話ではないと思う。外資規制を進めていけば、海外からは日本の市場は閉鎖的だと捉えられるだろう。

Q: 日教組が予定していた教育研究全国集会について、都内のホテルに申し込んでいたが、ホテル側がキャンセルをした。裁判所の命令があったにも拘わらず(ホテル側が)これに応じなかった。このようなことをしていると、日本企業の法令順守がなかなか進まないと思うが、これについていかがお考えか。

桜井: 企業がお客様の選別をするということにもなりかねず、基本的な考え方としては、あまり好ましい方向ではない。

Q: 温暖化について、ダボス会議で福田首相が中期目標について打ち出された。これについての(代表幹事の)評価を伺いたい。また、各国からの評価・反応について伺いたい。

桜井: 福田首相は(ダボスで)、経済、温暖化、アフリカ地区への支援、それから国内の話として技術開発への積極的な投資等ついて話された。温暖化について、目標値に触れられたことは、非常に重要な発言であり、意思表示であった。これは大いに評価したい。当会の委員会では、その点(目標値設定)はある意味モヤっとした形になった。(福田首相が)各国の総量での目標値設定が必要だという点に踏み込んだことが、非常に重要である。福田首相が表明した意見の原文を確認していただくと、長期目標とは書いた部分はあるが、中期目標とは書いていない。これは、文脈を見ればお分かりの通り、断定してもよいが、中期目標である。炭酸ガスの発生量のピークアウトを15年後、20年後に持ってくるために、総量による各国の目標値が必要である、と言っている。そのアプローチとして日本が提案しているセクター別の原単位の数字をしっかりと掴み、それを計算して積み上げていく、と言っている。従って、ここでの目標値は中期目標である。単に表現として「中期」を使っていないだけで、文脈では中期のことを言っており、ここが非常に重要である。中期目標が必要な理由は、以前から申し上げているが、2050年に50%削減という世界の大きな目標(の達成)に向かっていくためには、IPCCでも言っている通り、これからの10年、15年が大変重要な期間である。やはり中期目標を立てることが大事である。その意味で(福田総理の発言は)私は大変歓迎したいと思っている。

各国の状況は、中期目標を総量で立てることはある意味で常識になっている。中国はかなり抵抗感があるだろうが、米国ではブッシュ政権でさえ、カナダまで含めた北米11州で、中期目標設定でいこうとしている。これは目標値の高さを競っているわけではなく、中期目標(を立てること)が大事だということで、各州が条例として定めていこうという動きになっている。世界の動きは(中期目標設定に)向かっている。ようやく日本がそのレベルに達したので、洞爺湖サミットでは、具体的に、どのように公平性を担保した各国・各地域への分担ができるか、それをいかに日本がリードすることができるかだと思う。これは私の想像だが、セクター別アプローチをベースに公平を担保することが、日本がリードするひとつの方法ではないか。

各国の反応は、中期目標および各国・各地域に公平(性)を担保した目標値の設定は非常に難しいが、日本はどうするのか(というもの)であり、福田首相にも(その趣旨の)質問があった。福田首相は、その点は大変重要なことなので、これから日本としての回答を出していきたい、と話されていた。

福田首相は、排出権取引や環境税については一切触れていなかったが、排出権取引の問題に対する意見は二分されていると思う。複数のセッションに分割されていたため、(全体として)どの程度がイエスなのか、ノーなのか(を判定するのは)難しいが、私の出席したセッションでは、排出権取引は市場のメカニズムを利用した大変コスト・パフォーマンスの良い(CO2)削減達成の方法である、という意見が主流だったと思う。ただ当会の提言でも申し上げているが、排出権取引には価格の乱高下や、低い削減量が設定された国や地域にどんどん金が回っていく炭素リークなど、さまざまな問題を指摘する声もあった。

Q: 日本企業による買収防衛策と一連の株安との関連についてどう見ておられるか。

桜井: 日本の市場に魅力がないと受け取られていることは確かだ。しかし、具体的にどの(買収防衛)事例が閉鎖的であるかを明確にし、それに対して日本はどうすべきかを議論すべきである。一例として海外の人からよく聞くのは、スティール・パートナーズのブルドックソース社へのTOBに対する日本の裁判判決である。M&AやTOBの問題に関しては株主の判断に任せるという判決で、株主総会までのプロセスにおいて裁判所が株主の判断を曲げるものでもなく、(株主の判断に基づく買収拒否は)正当なものである、と(のことだった) M&AやTOBについて、株主の判断を尊重するという立場であれば、私は国際的にもオープンなものだと思う。また、株の持合比率に関しても、今のところそれほど大きな持合比率ではなく、統計的に見ても企業間の持合比率は減少傾向にあるのではないか。従って、さほど閉鎖的と見られることはないと思う。

小島: ブルドックソース社の件は、最高裁の判決では株主の判断としか言っていないが、途中の高裁判決などでいろいろなことが言われ、それが面白可笑しく海外に伝わってしまったという面があると思う。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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