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桜井正光経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2008年01月16日(火)13:30~
出席者 桜井 正光 代表幹事
小島 邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で、(1)株価、(2)財政再建、2011年のプライマリーバランス黒字化、(3)道路特定財源の暫定税率、(4)日銀総裁後継人事、(5)円高、(6)民主党との関係、(7)春闘、について、発言があった。

Q: 昨日に引き続き、日経平均株価が大幅に下がっている。ニューヨークの株価も大幅に下がり、世界同時株安の様相を呈しているが、現在の株価の動きについて、日本経済への影響も含めてお考えを伺いたい。

桜井: ここ3日間連続して大きな株安である。全体の状況としては、サブプライムローン問題に端を発した原油高などが、日本の経済、特に輸出企業にどのように影響するか(という予測)を背景に全体的に下がってきており、アジアを除く(世界)全体に弱含みに動いている。ひとつ心配なことは、日本の株価の落ち方が、ヨーロッパや米国など他のマーケットに比較して急速であるし、戻る場面においても戻りが少ないということである。この辺に日本の特殊事情があろうかと思う。ただし、日本経済は、企業業績は堅調だし、個人消費はそれなりに(底)堅いので、基本的な基調として、今の相場の状況で下がったからといってじたばたすることはないと思っている。先ほども申し上げたが、(他のマーケットと)比較して日本の(急速な)株安と戻りが重いのには理由がある。ひとつは、マーケットにしても企業にしても、やはり外需依存型であるということだ。内需依存とまではいかないにしても、やはりいかに内需の力強さを増していくかが大事である。

全体の株安について、ここで一喜一憂する必要はない、(日本の)ファンダメンタルズは強いと思う。これから日本の政治が混迷を脱出して構造改革を促進させ、財政再建および成長戦略を軌道に乗せていくことに、かなり大きなウエイトがかかっていると見ている。

Q: 株価(下落)に関連して、「外部依存から内需の力強さを上げることが大事」とのご発言があったが、具体的にどのようなことをすべきとお考えか。

桜井: まず国の経済の活性化が必要で、基本的には財政再建と成長戦略を推進することだ。確かに今、成長を図っていく上で、特に輸出型企業は大変厳しい状況に置かれている。(しかし)構造改革、そして更なる企業のイノベーションを通して成長が図られるならば、成果の上がった企業は、相応の配分が可能になってくる。その意味で、構造改革、成長がまず大事だと考えている。一方、株価について見ると、日本離れ、すなわち日本の株への投資が敬遠されている背景には、現在の日本の政治、円高による輸出型企業への不安ということがある。早期に政治の混乱状況を脱却し、構造改革のさらなる推進が必要である。

Q: 株価の水準が、今日、小泉政権発足時を割り込んでしまった。改革路線が小泉政権以前に戻ってしまったという市場の評価もあるが、その点についてご意見を伺いたい。

桜井: (小泉政権)以前かどうかは分からないが、停滞というよりも後退感はある。今度の(2008年度)予算編成を見ても、歳出削減という形にはなっているが、その他に展開している個々の事項を見ると、小泉政権の前か途中かというように思える。

Q: 今日、町村官房長官が会見で、「福田政権のどういう点が株価に影響しているか、論理的にご説明いただければ大いに参考にします」と発言されたが、これについてどのようにお考えか。

桜井: ひとつひとつ挙げる必要はないだろう。少なくとも、「国から地方へ」、「官から民へ」を促進することが構造改革のモットーだったが、果たしてそれが進んでいるかというと、例えば公務員制度改革や公的部門改革を見ても、進んでいるとは言えない。「国から地方へ」についても、地方の活性化を狙った「地方へ」が改革の本筋だが、活性化ではない面がかなり出始めている。

Q: それは「ばら撒き的な政策が復活している」ということか。

桜井: そうだ。

小島: 小泉政権以来行ってきた改革が全部後退しているという意味ではないが、なんとなくそのような閉塞感がいまあるのではないか。

Q: 2011年に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するという政府目標があるが、内閣府試算では、成長率予測を引き下げた場合、いずれ(の予測の場合)も赤字になるとの結果がでている。今後、財政再建に向けて増税論も強まってくると思われるが、政府にどのような施策を期待されるか。

桜井: 以前から引き続き、繰り返して話していることだが、政府の財政再建は、2011年のプライマリーバランス黒字化を基本に全ての政策を立案し、審議し、それを遂行することにかかっている。第一にやらなければいけないのは、歳出削減だ。財政再建のためには、当然のことながら歳出・歳入一体改革が(必要で)あるが、歳出削減はまだまだできる。歳出削減をしっかりと実施するような政策を速やかに決定していただくことが非常に大事だ。

一方で、長期的に見たとき、将来安心して暮らせる日本(を作る)ために、まずやらなければならないのは、社会保障(制度改革)である。速やかにスタートさせ、速やかに制度設計にあたる、そのなかに税制の改革、いわゆる税制抜本改革をしっかりと組み込むことが大事だと思う。政策的にいろいろなことに関心を示して、(歳出を)分散していくことは、財政再建という意味で、歳出削減にとっても、成長戦略にとっても、決して良いことではない。

Q: 「歳出削減はまだまだできる」というご発言があった。政府は11.4兆円から14.3兆円の削減を政府は見込んでいるが、それ以上の規模の削減ができるとお考えか。

桜井: 少なくとも14.3兆(円)はできるであろう。公務員制度改革、公的部門改革、地方の活性化(等)、中央がコントロールして行うことを変えて、もっと民営化、すなわち規制改革を進めれば、もっと効率の良い国の運営ができるはずであると信じている。

Q: まだまだ絞れるということか。

桜井: 企業経営でよく「乾いた雑巾を絞る」と言うが、これは乾いた雑巾を無理をして絞っているわけではない。人の能力が上がったり、ITを導入したり、技術開発をしたり、要は絞る力を計画的に強めていっている。技術イノベーション、プロセス・イノベーション、あるいは(人の)能力アップをしないで絞っても、とても絞れるものではない。やはり手段がどんどん高まることによって絞れる。これらの高めた能力を十分に活用して絞っていく。常に、まだまだ絞る余地があるというのが自然の摂理だ。いつも、前と同じやり方、前と同じ能力であれば、当然絞れるわけはない。

Q: 今週末から通常国会が始まる。最大の焦点は、道路特定財源の暫定税率の存廃問題が大方の見方である。福田総理は、昨日の記者会見で暫定税率維持の方針を示されたが、野党は廃止を主張している。この問題に関してのお考え、また見通しについて伺いたい。

桜井: 毎度繰り返しているが、暫定税率の以前に、経済同友会では特定財源を長引かせることは良くないとしている。それは税の硬直化に繋がるからだ。

昨日の福田首相の(国会)閉会にあたっての記者会見を拝見したが、私はまったく同感である。経済同友会の主張も、財政の逼迫したこの状況のなかでは、今が暫定税率を廃止するタイミングではないと思う。これをいかに有効に使うかが、当面非常に大事なことである。もし民主党の言うように、暫定税率を廃止することになると2.6兆(円)の財源不足になる。(この不足を補完できなければ)今のシステムでは地方に対しての道路維持費用および関連の出費を大幅に削減する以外にない。これは、今の状態では難しいため、暫定税率は維持すべきである。一方、まだ当会でよく検討している訳ではないが、(暫定税率を)10年固定しておくのはいかがなものか、という気持ちはある。

Q: 暫定税率の各論に関連して、民主党がガソリン価格を25円下げると主張しているが、どのようにお考えか。

桜井: 暫定税率を下げ、昨今の原油高・オイル高の中でガソリン代を安くするというのは、確かに国民にとっては非常に魅力であり、そういうアイデア、提言は大いに結構だ。しかし大事なことは、その場合の税収減をどうするのかということである。それがセットで語られなければ、政策的議論にはならない。(税率を下げれば)何らかの他の方法で(税収を)カバーせざるを得ず、(もしくは)代わりの歳出削減が必要になる。その歳出削減の可能性と25円安のバランスに立って政策が提示されないと、議論が成り立たない。従来の成長時代のように、国民視点で国民への給付を高めていくことだけを考え、その際のリスクを勘案しないという政策は、もはや繰り返すべきではない。

Q: 日銀総裁の任期が3月で切れるため、来月から後継の総裁選びが活発化する。ねじれ国会を背景に、官出身が良い悪いとか、財務官はよいが事務次官はだめだとか、いろいろ名前が取り沙汰されている。サブプライム問題で世界の金融市場が混乱を起こしているなかで、総裁像として、官民を含めてどのような人物に舵取りを任せるべきとお考えか。

桜井: 任期切れの前に、滞りなく総裁を選出していただきたい。金融政策上危うい状況を生んではならないし、日銀の果たしている役割の大きさからも、その任に相応しい方へのスムーズなバトンタッチを望みたい。与野党共に、現在の日本の経済状況を踏まえて総裁人事を考えるべきである。総裁の役割、影響力の大きさは、日本国民の生活におよぶだけではない。海外(諸国)にも、日本の改革路線や経済運営に対して疑問を抱かせてはならない。

総裁の人材については、官僚出身か否かよりも、金融政策について世界の金融市場、金融ネットワークの中でしっかりと日本のポジションを得、国際協調を図っていける感覚を持ち、かつ総裁としての判断力を備えている方が望ましいであろう。専門知識の高さは言うまでもない。さらにもう一つ、これは企業のトップを経験して痛感したことだが、心身共にタフであることも大切だと思う。いずれにしても、まず重要なのは、遅滞なく交替が行われることである。

Q: 日銀総裁の後継人事について、民主党は官僚の天下りを認めないというスタンスだが、この点についてどのようにお考えか。

桜井: 個人的な意見だが、天下りというのは、利益目的をもって企業や機関へいくことだと思う。日銀総裁は、当然のことながら政治の利益目的ではないし、先述の通り、日本経済を左右する金融政策をしっかりできる人(という能力・資質)が非常に重要だと思う。そう考えると、官僚出身の方であったとしても、能力と資質が備わっていればよいのではないか。特別に官僚出身の方を薦めているわけではないが、日銀総裁としての能力・資質を国会でよく精査し、評価して承認するということだ。

Q: 円高も進んでおり、これが株安にも影響していると思われるが、日本の企業としてどのレベルまで許容できるのか、ご見解を伺いたい。

桜井: 許容の線引きは非常に難しい。100円までなら耐えられる、反対にそれを切ったらギブ・アップというようなことは、一般論としても申し上げにくい。むしろ、日本が今後どうなるかのほうが重要である。現在の円高が続いた場合、日本経済・日本企業が耐えられるかどうか、耐えられるようにしていかねばならない。(今はまだ)108円、あるいは107円が耐えられない状況ではない。今後の企業の競争力強化の進展が大きな要因になるであろうし、そのための(政府による)環境づくり、企業自身による競争力強化がますます重要になってくる。企業としてまだまだ自助努力すべき面もある。とは言え、円高が進むにつれて、企業の余裕、余力が低下していくとしたら(対応出来なかったら)心配だ。

Q: 民主党は今年、経済団体との関係強化に努めたいとの意向のようだが、経済同友会としてのお考えはいかがか。

桜井: 一つ一つの政策について意見交換をする。また、経済同友会の構造改革等の提言に関して、話し合いの機会を持てるのであれば、ぜひそのように願いたい。

Q: 具体的に民主党から(経済同友会への)働きかけが増えているか。

小島: ここに来て増えたという話はないが、経済同友会として(民主党であれ自民党であれ)政策議論はしていきたいと考えているし、今年度はまだ1回しか開催できていないが、同友会政策フォーラム等も、積極的に実施していきたい。国会の状況が今後落ち着けば、議論の機会は多くなっていくだろう。

Q: 先ほど、日本経済を外需依存から内需拡大へ、という発言があったが、春闘に関連して、連合などは「賃上げが内需拡大にも必要」と主張している。競争力強化という論点もあると思うが、内需拡大のためには賃上げが必要であるとお考えか。

桜井: 程度の問題もあるだろうが、賃上げがあれば内需を拡大する方向に少しはいくと思う。経済同友会は経営者個人の集まりなので、全企業一斉に賃上げするかについては言う立場にないが、日本経団連さんがおっしゃっている、それなりの業績と余裕のある会社、余裕がある会社とはおそらく生産性向上が進み利益が出ている会社ということだろうが、その生産性の枠のなかでは(賃上げを)やれる企業はやった方がよい、ということは私としても抵抗感はない。

内需では、内需依存型企業、特に中小(企業)、そして約7割を占めるサービス業で働く方々の購買力にかかっており、この部分には難しい問題がかなりあると思う。サービス業の生産性の国際比較で(日本が)非常に悪い、中小(企業)に原材料(価格)アップと売価の圧力がかかっている、など、なかなか解決が難しいところだと思う。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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