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経済3団体長 新年合同記者会見 桜井代表幹事発言要旨(未定稿)

日時 2008年01月07日(月)15:00~
出席者 岡村 正 日本・東京商工会議所 会頭(幹事)
御手洗冨士夫 日本経団連 会長
桜井 正光 経済同友会 代表幹事

記者からの質問に答える形で、(1)景気見通し、(2)春闘・賃上げ、(3)洞爺湖サミット、(4)政局、(5)消費税率引き上げ、について発言があった。(*以下、桜井代表幹事発言部分)

Q: 今年の景気見通しについて伺いたい。昨年は、サブプライムローン問題に端を発し、金融証券市場が非常に不安定な状況が続いた。新年に入っても、株価が急落するなど不安定な状況が続いているが、今年の景気の先行き・見通しと、日経平均株価がどのように推移するか、最高値・最安値や経済成長率について具体的な数値を挙げてお聞かせいただきたい。

桜井: 基本的には、御手洗会長が言われた景気動向予測とほぼ同じ(意見)である。まず、日本の潜在成長力は、1%後半から2%を超えるだけのものを持っていると思っている。私はプロではないので具体的な数値については申し上げにくいが、昨年11月末に行った経済同友会の景況感アンケート調査によると、経済同友会メンバーの回答では、経済成長率は2%弱、正確には中央値が1.9(%)、株価は、2008年3月末時点の予測として(1万)5,000円台前半から(1万)6,000円台前半だった。

今後の見通しは、欧米、特に米国の経済情勢がどう推移するかによるが、サブプライム問題が米国経済に与える影響はなんとも予測がつかない。イメージや色々な動きに対してマーケットが過敏に反応しているので、なかなか(問題の本質を)掴みにくい。しかし、金融関係に対する資金のテコ入れや政府による返済凍結等の動きを見ると、各種手続きはやっていると思う。これら(の対応)がだんだん効いてくると予測したい。後半には、米国の実態経済の回復を期待して良いのではないか。ただし、問題はマーケットの過敏な反応とそれが及ぼす実態経済への影響である。(これらにより)我々事業経営者に逆風が吹くことだけは避けたい。

日本の足下の経済については、先ほど話があったように、唯一、改正建築基準法によって足を引っ張られているが、これも本年半ば頃までには、(法)改正を含め色々な対策が講じられ、徐々に(経済が)上がってくると見たい。その意味で、年末の株価は2万円と(まで)は言わないが、1万8,000円以上と信じたい。最安値の見通しは、アンケートでは1万5,000円台だったが、年明けに1万4,000円台に下がってしまったので、現時点の株価を下限とみたい。実質成長率の見通しは1.9%である。

Q: 間もなく春闘が本格化する。今年は、ここ2-3年と違い、原油高や商品相場の高騰を受けて生活必需品の値上がり傾向が強まっていることがひとつの特徴になっている。こうした傾向と、内需の大きな部分を占めている個人消費を刺激するという観点から、企業に対する賃上げの声も強まっている。このような状況の中で、今年の春闘に臨む経営側の姿勢・スタンスについて伺いたい。

桜井: 基本的には、いま岡村会頭がおっしゃったように、企業が国際競争力をつけ、成長と拡大を遂げていくなかで、所得・給与が決まってくる。ひとつ(言えるのは)何がなんでも(給与・所得)を上げない、コスト・カットだという話ではないことをご理解いただきたい。まず国際競争力を上げ、その応分(な成果)を社員、従業員に配分するために企業がやるべきことは2つある。ひとつは、日本の強さである人材である。(能力ある)人材に、付加価値の高い仕事をしていただき、国際競争力をつけるということだ。もうひとつは、商品やサービスのイノベーションである。低給与で成り立つような企業を作らないことは、国際競争力をつけるという意味で非常に重要な点である。所得を上げる(という)話だけではなく、企業経営者は、高付加価値の企業にし、レベルの高い人材に(育成)していくことを、より積極的に行うことが、競争力をつけるために非常に大事である。それによって所得の適正な配分ができる。これは各経営者が皆、自覚していることである。2008年は、日本の企業競争力を高めることが大変大きな課題であり、我々はそれに邁進したい。

Q: 北海道洞爺湖サミットが今年7月に開催される。サミットでは、温室効果ガス削減など地球環境問題が大きなテーマになると思われる。今年は5年間の京都議定書の削減実行期間に入り、政府の「ポスト京都と位置づけられる中長期的な削減目標も設定したい」とする方針も報道されているが、サミットに期待されること、削減目標、さらに、排出権取引、環境税論議について、産業界としてどのように対処されるか。

桜井: 質問にもあったが、政府が「中長期の削減目標を設定することなどを真剣に考えるべきだ」と言い始めたことについては大歓迎であり、また、これは(ポスト京都議定書の枠組み作りへの)スタートであると思っている。ご承知のように、京都議定書の時(温室効果ガス)削減(が打ち出された当時)は、IPCCレポート(の内容)がまだ疑われていた時代だった。(昨年発表された)IPCCの第4次報告書では、温暖化は確実に人為的なものである(と報告されている)。そして、今後の温暖化を2~3度の上昇内に食い止めなければ、今後の経済の発展とその対応策のバランスが取れなくなり、本当に大事な問題であると思っている。(ポスト京都では、)京都議定書の先進国削減目標5~7%どころの話ではなく、EUの(主張する)2020年までに(1990年比)25~40%という桁違いの削減努力が必要となる。こうなると、やれることだけをやっていれば良いというレベルではなく、きちんとした目標値を設定し、それに向かってイノベーションを起こしていくことが必要になる。その意味で、(削減)目標を設定することは、ポスト京都議定書の枠組のスタートである。

洞爺湖サミットでは、日本が議長国として大変重要な役割を果たさなければならない。長期的目標、および中期的に各国・各地域において、どのような目標を設定し、それぞれがどう削減努力を積み重ねていくべきか(の大枠)を決めなければいけない。これは難題だが、公平感、納得感があり、且つ、2050年に50%削減というラインに届く目標設定が重要だ。難しいが、こういう目標設定に向けて(日本は)リーダーシップを発揮していくことが大事である。日本だけに限って述べるなら、先ほど(パーティーで)福田総理が話されたように、日本は環境技術立国である。この先端技術をいかに活用して(世界)全体のレベルアップを図っていくか、そして、日本がどのようにリーダーシップを取れるのかが問われることになるであろう。しっかりとしたビジョンと目標、さらに具体的な施策(の策定)へ持っていくことが重要である。

環境税、排出権取引は、あくまでも目標達成のための方法論のひとつである。他にもいろいろな方法論があり、排出権取引と環境税のみを推すというわけではない。排出権取引は、いかに低コストで削減を達成するか(というためのもので)、地球上の全ての可能性を活用する方法だ。つまり、地球上のポテンシャルをみんなで利用し合うということである。排出権取引は、環境価値または環境コストを決めることにもなる。この環境価値が判れば、エンドユーザー市場でも、その価値に相応しい購買活動をしようという動きが起こってくる。また、メーカー側・サービス提供側も、そこに価値があるなら、イノベーションを促進してその価値を増大するという動きになる。従って、排出権取引(自体)が技術革新の妨げになるといった問題になることはないと思う。ひとつ気になることがあるとすれば、今の原油価格の問題のように、投機的な動きが加わった場合、高コストの排出権取引(になること)をどう防ぐかが大きな課題だと思う。環境税は、インセンティブである。つまり、環境税は環境コストと同じで、消費者は環境コストが多くかかる商品は買わない、使わない。企業は、環境負荷の多いものを作らない、提供しない、ということになる。

Q: 昨年の参院選以降、衆参でのねじれ国会が続いているが、現状の評価を伺いたい。さらに、今年は年内に解散総選挙も予想されるが、各政党に望まれることは何か、最大の争点としてどのような点が挙げられるか。

桜井: 現状について一言で言うと、あまりにもねじれ国会を意識しすぎている、という評価である。国民に見えてくるのは、ねじれと国会という大変な状況であることはわかるが、与野党の協調・協議、あるいは大連立と、あまりにもそれ(協調・協議)を中心に置いたやり取りが多すぎる。長期的視点から見ていま最も日本が成すべきことは財政再建で、次世代、次々世代にこのツケを回していくと益々身動きが取れなくなるが、どう解決しようとしているのかが見えてこない。「ねじれ」という状況をむしろチャンスと捉えて、国会の場で、背景、財源、スケジュール等明確にして議論することが大事である。国民にとっても、短期的な足下の問題ではなく、将来の日本がどうなるのか、将来の社会保障制度は、財政はどうなるのか、ということが非常に大事(な関心事)である。先ほど個人消費の刺激という質問があったが、消費行動も、所得の増減だけではなく、日本のこれからの姿、負担がどうなるのかが見えないことにも、ひとつの要因があると思う。

今度の衆院選の争点は、財政再建であり、歳出・歳入の一体改革に尽きる。歳出削減は、いかにスリムな国・行政を作るかであり、公務員制度改革、公的部門改革がある。もうひとつは、パイを大きくする、成長を加速させることである。パイの大きい国を作っていくことが、少子高齢化が進むなかでも非常に重要になってくる。財政再建と成長戦略をいかに一体的に進めていくか、次の衆院選では、是非この辺りの政策論争をしていただきたい。

当面足下のところでは、2008年のスタートとして、少なくとも構造改革、財政再建を軸とした予算編成をしていただきたい。

Q: 消費税率の引き上げについて伺いたい。2009年までに、基礎年金の国庫負担分を1/3から1/2に引き上げる目標があるが、今年、消費税率引き上げについて、どのような対応をすべきか。

桜井: まず、増税、消費税率引き上げの前に歳出削減(を徹底すべきである)。歳出削減をもってプライマリーバランスの黒字化を図り、その後の公的債務削減(につなげていただきたい)。足下の社会保障(制度については)、基礎年金の国庫負担分を1/3から1/2に引き上げるのか、全額税負担にするのか、税制の問題だけではなく、国民皆が頼りにする、長持ちする年金制度の改革を進める必要がある。この際に、どのように消費税を組み込むのか、早々に議論していただくことが大事である。税制の抜本的な一体改革のなかで、意味のある消費税の組み込み方をしていただきたい。むやみな増税、消費税率引き上げには、間違いなく国民は納得しない。将来の日本のあり方に対して、社会保障制度のあり方の明確化が必要であるし、歳出・歳入(改革)などが明確になって初めて、国民が(増税を)納得すると思う。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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