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2008年年頭見解 発表記者会見発言要旨

日時 2007年12月26日(水)15:30~
※2008年1月1日解禁
出席者 桜井正光 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

冒頭、桜井代表幹事より2008年年頭見解『魅力ある日本の再構築に向けて』について説明があり、その後、記者の質問に答える形で、(1)最も力を入れたい重要分野、(2)洞爺湖サミットに向けた政府への期待、(3)解散総選挙、(4)国の責務であるナショナル・ミニマムの考え方、(5)法人税、(6)租税特別措置、(7)民主党の評価と今後の期待について、発言があった。

Q:年頭見解で挙げている5項目のなかで、特に力をいれたい重要分野はどこか。

桜井: 冒頭に挙げたが、国全体を考えたときには、「財政再建」をまず軸におくべきであり、そして国の成長である。国の仕組みを変えることによって活力ある国にしていく(ことである)。活力が無ければ成長は遂げられない。その意味での構造改革である。財政再建を軸にして成長を遂げるとなると、やはり公務員制度改革および公的部門改革、これが構造改革の中心的な存在だと思う。ここに焦点を当てなければいけないと思う。

Q:2008年7月の洞爺湖サミットでは環境問題が重要なテーマになるが、年明けのダボス会議から7月の洞爺湖サミットまで、日本はどのようにリーダーシップを発揮していくべきか、また、中長期的な数値目標を含めてどのような成果を期待されているか、そして、それに取り組む政府への期待感を伺いたい。また、現状の政府や首相の取り組みをどのように見ておられるか。

桜井: 洞爺湖サミットでの期待感(というよりも、大前提として)、皆が頭に入れておかなければならないのは、「これは京都議定書程度の話ではない」ということである。削減を迫られる、あるいは削減をしなければならないレベルは、京都議定書のレベルではない。ヨーロッパが提唱する「2020年までに先進国は(1990年比で)25~40%(を削減)」がひとつの目安になり、ここから協議をして、低くせざるを得なくなるのか、あるいはもっと上回るのか、ということになると思う。

ご存知の通り、京都議定書の場合は、先進国(の削減目標)は(1990年比で)5~8%で、(今後の削減レベルとは)大変な違いである。これだけの高いハードルを(クリアするために)、各地域、各国に多様性ある目標設定をするのは、技術的にもかなり難しい。また、目標配分だけではなく、それを実現するために世界がどのように実績評価や進捗管理やその修正をしていくか、あるいは(削減活動を)促進するためにどのような仕掛けが必要か、ということを考えていかなければならない。そういう立場で、(1月の)ダボス会議、(7月の)洞爺湖(サミット)、そして最後の(2009年末に)デンマーク(で開催されるCOP15)まで持っていくということである。繰り返して申し上げたいのは、「(削減目標が)京都議定書レベルではない」(という)ことを、世界各国、各地域の政治のリーダーが考える必要があるということで、最終的には政治的決着になるであろう。

Q: 来年には、衆議院の解散総選挙も視野に入ってくると思われるが、これについて改めて代表幹事のお考えを伺いたい。

桜井: 衆議院の解散について、時期がいつになるかをいま言うのは非常に難しい。これは総理の専権事項だ。とにかく、最低限スピーディに処理しなければいけないのは、先ほど申し上げた構造改革の問題もあるが、やはリ2008年度予算である。予算が審議され、関連法案が審議され、可決されないと、足下で大変なスタート・ミスを起こし、この影響は後々まで響いてくると思う。改選時期と関係あるかどうかは別にして、政治の世界がねじれている中でも、政策を審議し、処理していくための新しい仕組みを、政治家の皆さんに協議していただいて、予算および関連法制を審議して決めていくことに専念していただきたい。

Q: 「国の責務は、最低限のナショナル・ミニマムの保証によるセイフティネットの提供」とあるが、憲法の規定では、「健康で文化的な水準」とが謳われている(ことから、この年頭見解のナショナル・ミニマムという言葉は)最低限の生活水準という風にも読めなくもない。貧困や格差の問題が問われているなかで、この表現に違和感をもつが、この意図について伺いたい。この最低限という意味は、生きるのに最低限のレベルという意味か、それとも健康で文化的な水準レベルのことを意味しているのか。

桜井: 憲法で保障するナショナル・ミニマムは、いかに努力をしても社会での競争に参加できない個人に対するものである。格差の問題とナショナル・ミニマムの問題を混同すべきではない。格差に対しては、何らかの条件によって成功できなかった、勝つことができなかったとしても、それが固定化されないようにすべきで、再チャレンジの機会が得られ、それによって成功への望みを持ち続けられるようにすることが必要である。そうした再チャレンジができる環境や制度を通して活力を創り出すべきで、成功できなかった人々全てをナショナル・ミニマム(で保障する)と言っているのではない。競争の中で成功を手にすることができなかった人々を固定化することなく、再活力を見出せる環境、制度を構築していくという趣旨である。

小島: 単純に、「差があるからそれを埋めるためにばら撒きをすればいい」というのは好ましくない、ということだ。

Q: 税制改正のところで法人税について言及されており、「基本税率を国際的な水準まで引き下げる」とあるが、具体的にはどのような水準を指しておられるのか。かつて(日本経団連の)御手洗会長は30%と言っておられたが。

桜井: 経済同友会では以前、35%と言っていた。しかし、EUでは30%を切るところにきているなど、税を取り巻く環境は流動化している。今現在、何%と明確な数字を示せる状況ではない。

小島: 米国でも税率を下げるという議論が出始めている。

Q: 租税特別措置の見直しを求めており、要するに廃止の方向だと思うが、「廃止」と書かなかった理由を伺いたい。また、民主党の税制改革大綱では、(租税特別措置の)全廃を求めているが、これについてはいかがお考えか。

桜井: 民主党の大綱の趣旨説明にもあったように、租税特別措置(租特)自体がある程度固定化している、という感覚もあると思う。また、租特が、本当に企業の競争力や改革などの面で役に立っているかについて、基本的には見直す必要がある。いま、新しい条件のもとで租特が本当に有効なのかを、しっかりと見直した方が良い。

小島: この点は、経済同友会ではかねてから言い続けてきた。全て廃止すべきと言っているわけではなく、本当の意味で効果等を見極めるべきである。

Q: 「新しい政策形成の仕組み」ということだが、このねじれ国会において民主党の出方がポイントになると思う。税制改革大綱などを見て、現在の民主党のスタンスについてどうお考えか。

桜井: 民主党は、少なくとも参院選で民意を得たということで、政策についてはある程度の評価を得たと思う。しかし、国会で重要な政策を審議し、税制、予算に本当の責任を持って対応していくためには、今後の日本という国のあり方をどうするかというしっかりとしたビジョンを描いていただき、そのビジョンに対して、個々の政策が、どういう財源でどのようなステップで、どう進んでいくのかを、しっかりと具体的に示していただきたい。次に、それ(ビジョン)を持てば、我々が望んでいるように、「なぜ与党・野党が違うのか」を国民が理解するうえで、国会の“ねじれ”はむしろ、絶好のチャンスではないかと思う。両者が各々、国民に対してマニフェストを作れば、それを守るという選挙が非常に有効なものになる。民主党には、責任政党としてしっかりとしたビジョンと具体的な(政)策、特にこの国の形を実現するための財源をはっきり示し、具体的なステップを提示して、ぜひ“ねじれ国会”のなかでの新しい政策形成の枠組みを作っていただきたい。自民党も、財源や具体的なステップ等においてはまだまだと言わざるを得ないが、自民党も民主党も、責任政党として議論すべきである。

Q: 民主党の税制改革大綱に道路特定財源の暫定税率の大幅見直しが盛り込まれるなど、来年の国会では、自民党と全面対決するのではないかと思われる。その辺りについていかがお考えか。

桜井: 全面対決すると思う。民主党の大綱を見ていて感じることは、道路特定財源の暫定税率を廃止すると、揮発油税部分だけで1兆4,000億円、地方と国を全て入れると2兆数千億になるが、このような財源をどうするのか、ということである。財源根拠をしっかりしないと、議論にはならず、アイディアだけの論争になってしまう。国民に本当のことを分かってもらうためには、やはり財源を明確にした各党の工夫を提示して議論しなくてはならない。

小島: 民主党は、税制改革大綱を出した以上は、予算についてもきちんと発言すべきだろう。それなしでは、何を言ったのかがわからない。

桜井: 「格差」を理由にして、アイディア合戦が始まることが本当に怖い。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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