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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2007年12月18日(火)
出席者 桜井正光 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で、(1)COP13と地球温暖化防止問題、(2)内閣支持率と首相の改革姿勢(年金問題、インド洋給油新法)、(3)混合診療、(4)来年の株式市場の見通し、(5)NHK会長人事、(6)今年の漢字『偽』について、発言があった。

Q: (先週バリ島で行われた)国連機構変動枠組み条約締結国会議(COP13)で、ポスト京都議定書、2013年以降の温室効果ガス削減のロードマップがまとめられた。これは、日・米・中など主要国が参加した内容だが、具体的な数値目標を盛り込めなかったという批判もある。一方、国内でも温室効果ガスの排出量の報告などを義務付ける法改正などの動きが盛んになっている。今回のCOP13の評価と、今後産業界としてどのように取り組んでいくか、代表幹事のお考えを伺いたい。

桜井: 最初にCOP13の感想を述べる。今回は予想以上にこれまでの色々な問題点等を議論し合い、着地(として)は、主要排出国は参加し、途上国もやはり削減の義務を負って参加するということで、全世界の各国・各地域が参加する枠組み交渉がこれからスタートするという点で、私は大変評価したい。まずこれ(全世界が参加すること)が原則論なので、その意味で評価したい。

私は、全員参加と総量削減目標を決めることが大事だと思うが、これ(総量削減目標を決めること)は今後の課題となった。しかし、IPCCの第4次報告で唱っている「世界は今後2050年に向けて(温暖化効果ガスの)総排出量を1990年の半分にする」という趣旨を共有化し、数字は入れなかったものの、(決議)項目の中に「IPCC報告書を真摯に受け止める」という意味の記述が入った。これも評価して良い点だと思う。

一方、今回、予想はされていたが、各国・各地域の利害関係(の対立)が如実に表れた。良い見方をすれば、各国・各地域が中長期をにらみ、国益主体の面はあるもののそれぞれのポジションを主張したことで、お互いに考え方や方向性を明確に知ることができたと思う。その反面、(各国・各地域のポジションに)かなりギャップがあるので、今後2年をかけてCOP15まで、最終的にポスト京都議定書として、地球の温暖化を食い止める実行可能な枠組みがどこまで明確にできるか、かなりハードルが高いことが認識された。

四番目として、姿を見せないようにしたのか、見せられなかったのかは分からないが、日本の姿が見えなかった(と思う)。どのようなポジションでCOP13に挑み、リーダーシップを発揮したかったのか、という意図はわからないが、結果論としてその姿が見えなかった。これはイニシアティブを取れば良い、リーダーシップを取れば良い、という話ではないという意味で捉えていただきたい。今後COP15まで、ポスト京都議定書を作るまでの間に、洞爺湖サミットがある。中間地点として大変重要なサミットで、しかも日本が主催する。ここで良い意味でのリーダーシップを取ることが非常に重要である。(COP13が)そのきっかけになって欲しかったと思う。

今後の課題として、来年早々に開かれるダボス(会議)や、その他の色々な環境関係、温暖化防止関係の会合を通じ、COP15に至る中間地点である洞爺湖サミットに、しっかりとした日本の意志を持って成果を上げることを望みたい。しっかりとした日本の主張や、あるべき姿を描いていくことが大事である。

産業界がどういう立場でどう支援していくかについては、(来年)1月半ば頃、ダボス会議の前には、経済同友会として話をする。それまで待っていただきたい。

Q: COP13に関して、「日本の姿が見えなかった」とのことだが、セクトラル・アプローチが入ったり、削減目標を入れなかったり、全世界の参加国が入る枠組みができたりなど、日本の主張が反映されたように思う。どのような意味で、日本の姿が見えなかったと感じておられるのか。

桜井: 日本のスタンス、すなわち削減目標を入れ込まないであるとか、セクター別のアプローチをしていくといったことについて、果たして日本国民全体に理解されているであろうか。この点をまずスタートにすべきだと思う。今回、日本政府が一番の目標としたのは米国・中国を参加させるということで、これに関しての姿ははっきり見えたと評価している。しかし、日本の主張が(目標設定については)どこにあるのか、やはり明確には見えなかったと言わざるを得ない。全ての国々が(枠組みに)参加すれば済むということではないし、日本もそれを目標に今回(COP13に)出席したわけではないはずである。数量目標の設定というもう一つの本質的課題に対してリーダーシップを発揮していただきたかった。

Q: (温室効果ガス削減の)数値目標について、欧州は2020年までに25~40%削減すべきと主張していたが、日本もそれに近い数値目標を掲げるべきとお考えか。

桜井: 経済同友会としての見解は、年明け1月15日以降に申し上げるが、個人的には数値目標、総量の目標値を決めることは、ポスト京都の枠組みにおいては非常に重要であると考えている。レベルの高低は別として、まず設定することが大事なのではないか。

Q: 国会が越年するなか、内閣支持率は、各社から公表された(調査)結果では軒並み大幅に低下している。特に、年金記録問題で全面解決を断念したことは公約違反、という厳しい批判を受けている。現在の政権をどのように見ておられるか。また、首相の改革姿勢についてどのように感じておられるか。

桜井: 首相の改革姿勢については以前も答えたが、改革姿勢をしっかりと意思表示するひとつとして、今度の予算編成がある。現段階では、本質的な構造改革を今後も進めていく原動力になる予算や税制(改革)がまだ不充分である。予算編成だけについてコメントすると、今度の予算は、社会保障関係の問題や公的部門の問題等で、前年度以上の一般会計歳出になっている。12月5日に発表された予算編成基本方針を守り、歳出削減をきっちりと行うことを徹底していただきたい。

Q: 年金問題(の5000万件)について、一人残らず(照合する)という政府の公約違反という批判がでており、内閣支持率も急落している。年金問題についてどのようなお考えか。また一連の政府の対応、とくに福田首相の発言についてどのようにお考えか。

桜井: 内閣支持率の調査のみを取り上げて話をするのは早計かもしれないが、国民の期待に(政府が)応えていないという評価だと言うほかないだろう。国民の視点に立ってしっかり執り行われなければならない。特に、年金問題は、国民にとって自分の財産の扱いという極めてナイーブな事項だけに、一層慎重を期していただきたいと思う。

Q: 内閣支持率の世論調査に関連して、インド洋の給油新法に対する国民の反応が、最近は賛成よりも反対が増えている。反対というよりもあまり関心を持っていないというのが現状ではないかと思うが、いまの政権がこの点を政策の最優先事項に置いていることの是非をどうお考えか。

桜井: 日本の給油活動についての(国民の)賛否自体が変わったということではなく、防衛省の問題等が影響していると感じる。(国民の)基本的な考え方としては、給油活動はすべきであり、その理由は、アフガン、中東地域を含めた平和は(世界的に)非常に大事で、日本のエネルギー政策等においてもこの地域の安全は重要である。また、世界からの期待感もある。国民の約半数は、(給油活動は)日本の国益にとっても大変大事なことだという意識を持っていると思う。ただし、今回の調査をした時点では、先述の5000万件の年金問題(が内閣支持率の低下に影響した)同様、防衛省の問題に影響を受けたと思う。

Q: 経済同友会でもかねて全面解禁すべきと提言されている混合診療について、年内にまとめられる規制改革会議の臨時答申には全面解禁は盛り込まないという方向になった。これについてどのようにお考えか。

桜井: 誠に残念である。

Q: 年末にあたり、今年の株式市場を振り返って、来年の見通しについて伺いたい。

桜井: 前回公表した経済同友会の(景気定点観測)アンケート調査によれば、(株価見通しは)中央値が16,500円から17,500円だった。その理由として、日本の株価を押し上げるためのエンジンが乏しいということが挙げられる。サブプライムローン問題をはじめとする損失を日本の株で回収するという流れは当面続くであろうし、海外投資家による"売り"を支える日本の個人株主の勢いというものも感じられない。一方、企業の業績も、今後とも増収増益、業績向上が続くとは予測していない。これら多くのことを踏まえると、株式市場については慎重にならざるを得ないと考えている。

Q: NHKの会長人事について、古森経営委員長は「財界人が望ましい」とおっしゃっており、経済同友会の会員の名前も浮上したり消えたりしているようだが、NHK会長にはどのような人材が望ましいとお考えか。また、経済同友会として(人材について)協力しているか。

桜井: 私のところには特に情報がきておらず、経済同友会としての対応も特にない。いまNHKに求められているのは、NHKという放送がどういう役割を演じるべきかを明確にできる人、そしてその役割に対していかに効率的な経営体質を構築できる人、大事なのは、その構想に従って(自ら)率先垂範できる行動力のある人であろう。そう考えると、自然に企業経営経験者、改革実績者がよいと思う。

Q: 世相を表す今年の漢字に『偽』が選ばれた。これは企業に対する不信が大きいと思うが、感想を伺いたい。

桜井: 『偽』という漢字に焦点が当たったのは非常に的を射ていると思う。経営者としては、本当に大問題であるし、『偽』と疑われる企業経営をしていては、経営にとって非常に大事なお客さまからの信頼がどんどん離れていくということで、致命的なことになる。経営者、幹部、社員一同がしっかりと腹に心に据えて、『偽り』のない経営をしていくことが大事である。

質問の意図は、「どのような対策をすればよいか」ということだと思う。一般論でいうと、倫理の話になってしまう。「倫理感のしっかりした経営、経営者であるべきだ」ということになるが、倫理感だけでは100%は防げないし、倫理感と言っているうちは問題解決にならない。お客さまも含めてパートナーとして動いている人たち、例えば仕入先や販売店、そして一緒に会社を運営している社員や株主など、ステークホルダーからのチェックが効く経営環境を自ら作ることが、(これが)倫理を徹底するということだと思う。自分ひとりの倫理感だけでコントロールできる話ではなく、自分たち経営陣のミスを、ステークホルダーがしっかりと監視し、ステークホルダーから是正が入るという経営環境を作っていくことである。コーポレート・ガバナンスというと、株式市場や投資家、外部の経営者という感覚があるが、お客さま、そして社員も加え、より広域のガバナンスをもって是正していくという環境づくりを徹底することである。新聞に出ない企業でこのようなことを実践しているところはたくさんある(ことを知って欲しい)。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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