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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2007年12月04日(火)
出席者 桜井正光 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事
*景気定点観測アンケート部分のみ
田谷禎三 経済情勢・政策委員会 副委員長

記者の質問に答える形で、(1)道路特定財源、(2)法人2税、(3)地球温暖化防止、(4)独立行政法人改革、(5)改革路線の後退、(6)賃上げ、(7)ベストドレッサー賞受賞、について発言があった後、田谷禎三経済情勢政策委員会副委員長より「2007年12月(第83回)景気定点観測アンケート調査結果」について説明があり、記者からの質問に答えた。最後に、混合診療の問題をめぐり、桜井正光代表幹事より発言があった。

Q: 先ほど予算編成の基本方針が閣議決定され、今後、来年度予算の決定作業が本格化する。また、税制改正の作業も進められるなか、道路特定財源の扱いをめぐり、暫定税率をどうするか、一般財源化の規模をどの程度にするか、またその使途について、与野党で意見が分かれている。この件について、代表幹事の所見を伺いたい。

桜井: まず基本的なことを申し上げたい。経済同友会は、基本的に、特定財源はあるべきではないと考えている。理由は、使途が限定されており、継続するなかで(本来の)使用の目的から外れてしまい、税の硬直化(が起こり得るからで、そのようなこと)はあってはならないと考えるからである。しかし現在は、国の収入が限定されており、成長も構造改革もかなり時間がかかるため、日本が置かれている財政状況から考えると、暫定税率も到し方ないという考えである。ただしその運用については、日本の成長や構造改革等を含めた全体的ななかで決めていくことが必要だろう。私自身も、一般財源化して、本当に必要なところに使うという議論をしていくことが大事であると思う。

Q: 法人2税について、地方の活性化を名目に、時限的に東京都や大阪府等から4,000億円ほど移管されるという報道がある。代表幹事は、地方の活性化が重要であり、全体として均すという考えをすべきではない、というお考えだと思うが、今回の件についてはどのようにお考えか。

桜井: 非常に筋の悪い話だと思う。地域(間)格差という問題があるのは当然わかるが、その是正は、第一義的には地域が活性化されることによる是正、底上げであるべきだ。まずそこに焦点を当てていただきたい。

法人2税について、東京都やその他(大阪等)から、是正のために(税収を)活用することは、税という意味からしても、応益の原則から見ても、(地方を)活性化して格差を縮めていく、あるいは底上げしていくという観点から見ても、違和感がある。(特に)活性化の観点から考えると、各地域は必死になって地域の税収・収入を増やす努力をする。新産業を興すとか、有望な企業なり、地域にとって活性化を促進してくれる企業を誘致するなどが始まる。自分たちがやった努力に対して法人税が得られることが、インセンティブとして大事な要素である。

税の本質論、活性化の本質論からも、(法人)2税を(地域格差を)均すために使うことには違和感がある。代案としては、水平に均すということなので、将来安定的な財源として使えるものを皆さんで議論して決めていただくことが望ましい。

Q: バリ島で国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP13)が始まった。ポスト京都議定書の温暖化防止や環境対策の面から、重要な会議である。代表幹事は以前から、環境問題に強い興味・関心を持っておられるが、この会議に対する期待と今後の見通しについて伺いたい。

桜井: 以前にも申し上げたが、これについては来年、経済同友会としての意見を出す。

期待、見通しについて、(特に)難しいのは「見通し」で、全く見通しがつかない。

バリ島のCOP13では、枠組みの基本的な議論を開始する。最終的なスケジュールとして2009年には枠組みを決めようということなので、このスケジュールについての合意は、(是非)取ってほしい。

2番目に、実際の枠組みの内容についていま言えるのは、ノーベル賞は別にしても、20年間の事実の確認、分析から割り出した科学者としての結論は、世界の120~130カ国の科学者が参加した政府間パネルの成果である。まずこれを真摯に受け止めるべきである。そのうえで、各国・地域がそれぞれ応分の責任をもって対応することを、基本的な考え方とすべきだ。これを外さないで、議論を進め、枠組みを決めて欲しい。

3番目に、日本がリーダーシップを、と言うが、そのリーダーシップとは、どういうことに対して、どのようなリーダーシップを取っていくのか、を(早く)明確にすべきであろう。

以上3点が私の期待である。

Q: 独立行政法人改革が進んでいる。有識者会議での(検討)結果が、福田総理の指示で一部公表しないことになった。このような動きをどう評価されるか。

桜井: 有識者会議は、ゼロベースで分析、検討し、各省との間でも議論を展開したので、大事にすべきである。各法人の固有名詞を出すか出さないかについても、有識者会議が議論した結果なので、大事にしていただきたかった。その結果をベースに、各省との折衝が始まれば、国民にとって今の独法がどうあるべきかわかりやすい。オープンな進め方をしないと、独法改革を前進させるのは難しいので、有識者会議の議論を尊重したやり方が望ましかった。

Q: 福田総理の指示というか、改革路線の後退ということが最近かなり言われているが、このような動きについていかがお考えか。

桜井: それは感じている。予算編成、独法、社会保障、所得税率の問題等、もっと総理ご自身の考えを明確にし、それを全面に押し出していくことが必要である。そうでなければ、現在のこの閉塞した日本の政治状況を突破することは難しいだろう。今後とも、現政権に対して期待をもって注視し続けていきたい。

Q: 今日、連合が中央委員会を開いており、2008年の春闘の方針について検討している。(そのなかで)「経営側は、国際競争力という問題を打ち出して、非正規雇用を増やしながら定期雇用の賃金抑制も続けている。消費の伸び悩みを踏まえて(社員の)待遇を変えてほしい」という考えを示している。これに対して代表幹事のお考えを伺いたい。

桜井: 連合の考えは別として、国際的なものを含め競争力強化を図っていくことは、企業の成長と発展に不可欠であるのみならず、非正規雇用者も含めた従業員の処遇・待遇の改善に繋がるものである。従って、企業にとって競争力強化は第一義にあるべきものと考えている。これが資本主義市場での原則だ。そのうえで、正規・非正規の従業員にどう転化していくかということになるだろう。それ(転化)を必要以上に抑制しようなどという考え方は、経営側としては持っていない。各企業それぞれに産業、あるいはポジションによって個々に意思決定をしていくことになる。こうした考え方に基づいて、それぞれの企業が処遇・待遇を定めていくなかで、企業間競争に打ち勝つところもあれば、そうでない企業も出てくるだろう。競争に敗れて労働条件が悪くなれば、働き手はより良い処遇の企業を選択し、移っていくことになる。そうした循環のなかで、処遇・待遇は決まっていく。経営側は決して、報酬を下げてやっていこうとは考えていない。

Q: ベストドレッサー賞受賞の感想と日頃のファッションへの気配り、心構えについて伺いたい。

桜井: 今回、政治・経済部門で選ばれたわけだが、受賞理由を尋ねたところ、私がリコーの社長時代に、収益や株価が倍加し、地球環境保全のトップランナーにもなった、ということだった。それがベストドレッサー賞とどう関係があるのか、実はよくわからない。しかし、基本的にはその分野において活躍したという評価だと受け止めている。日常の身だしなみに関しては、人に不愉快な感情を抱かせないようには心掛けてきたつもりである。これまで、ベストドレッサー賞を目指したことはないが、そうした心掛けの一端が評価されたのだとしたら、嬉しいことである。

2007年12月(第83回)景気定点観測アンケート調査結果について

(*質疑のみ)

Q: 田谷副委員長ご自身は、次の利上げはいつ行われるとお考えか。

田谷: (日銀利上げ観測時期の予測において)私は少数派に属しており、今年中に利上げが行われるのではないかと思っていたが、その可能性はほとんどなくなった。来年2月辺りに(利上げの)チャンスが一度あり、そのタイミングを逃せばしばらくできないかもしれない。2月にチャンスがあるという根拠は、主要な欧米金融機関のサブプライム関連資産を中心とした10-12月期の実現損やその後も残る評価損がより明らかになるのは来年1月末から2月初め辺りであり、その時期にマネーマーケットを含め市場に安定感が生まれると予想されるからである。加えて、(消費者)物価は、10月からプラスに転じており、今後もプラス幅が高まってくると思われるからだ。以上は個人的な考えであり、代表幹事のお考えは別にあるだろう。

桜井: ますます見通しがつかない。気になるのは、国内の政局や来年度の予算(編成)の行方であり、これらが(利上げにも間接的に)関係するようになってきているのではないか。(日銀の)福井総裁に、景気動向や物価の上昇、国際的な経済情勢を見ながら(利上げの時期を)適切に判断していただくしかない。

Q: 代表幹事は今回の(景気定点観測アンケート)調査結果全体をご覧になってどのようにお感じか。(景気の)後退局面に入ってきているということか。

桜井: 経済同友会の景気定点観測アンケート調査は、(日銀短観の)先行指標として有効であると感じる。ただ、(日銀短観と比べると)経済同友会の景気判断の方が、振れ幅が大きい。(景気定点観測アンケート調査は)経営者の実感がベースにあるからであり、実際の景気の動きよりもかなりオーバーな結果が示される面もあるだろう。従って、今後の経済見通しや業績見込みが相当厳しくなったとは感じなくてもよいと思う。(景気の現状や先行きの)方向性は重視していただき、それほど悲観論になる必要はないとご理解いただきたい。

Q: 経済同友会の(景気定点観測アンケート)調査では景気判断DIが下がるが、売上高や経常利益の予想はそれほど下がっていない。企業心理がこれだけ落ち込む理由は何か。

桜井: この調査結果には、地方の経済同友会の代表幹事の回答も含まれている。各地経済同友会の結果を見ると(東京の経済同友会よりも)悲観論が強い。

小島: 景気判断DIは、(企業経営者の)気分に支配されているが、実際の自社の企業業績見込みはそこまで悪くないという姿ではないかと思う。

田谷: 経済同友会の(景気判断)指数が景気に対する指数であるのに対し、日銀短観は業況判断の指数である。景気判断は、新聞報道など最新の動向を踏まえてなされるが、自社の業績見通しの判断は、実際の計画に基づいてなされるものであり、同じものを比較しているわけではない。

Q: 景気のリスク要因(8ページ)で、「エネルギー、資源価格の上昇」が増えているとのことだった。今日、福田総理も、(原油価格の上昇に対し)国民生活や中小企業などへの影響を考慮して対応策をまとめるよう指示を出したが、経営者の立場では、実際に資源価格の上昇の影響をどのようにお考えか。

田谷: 前回のアンケートでも、ベスト3は「米国経済」、「エネルギー、資源価格の上昇」、「円高」であり、2位と3位が入れ替わった状況である。これらは外的要因であり、政府に対応を求めることは特にない。4番目の「個人消費の低迷」については、都市と地方、大企業と中小企業の格差のベースにもあると思うので、原因である所得の低迷には、いろいろな要因がありそれなりの対応策があると思う。

桜井: 資源、エネルギー(価格上昇)の経営に対する影響度合いという面から見ると、産業によってかなり違うので一概には言えないが、経済同友会のアンケート調査を分析してみると、地域や中小企業の方々が業績、利益面で影響を受けているようである。それに対し、福田総理が原油価格の増大に対して、中小企業や、ガソリン価格の上昇など直接打撃を受ける消費者等への支援をおっしゃっているのは、正に妥当な話であり、対応が必要であろう。モノづくり関係の大企業や自社(リコー)でみると、原油高、素材高による影響は、それほど大きくない。これは、産業構造的に、素材関係、部品関係、最終アッセンブリーというステップのなかで、前工程(の方)がダメージを受ける構造になっているからだと思う。

Q: リスク要因(8ページ)を見ると、「労働コストの上昇」がほとんどない(0.5%)。来春にかなりの賃上げをする余力があるのではないかと思うが、いかがか。

桜井: (賃上げは)経済同友会で一斉にやろうという話ではない。労働・雇用は、企業経営におけるひとつの大きな資産であり重要な話なので、先ほどもお話したように、個々の企業が、それぞれのポジショニングにおいて戦略的に考えることが大事である。業界をあげて一斉にやるという話にはならない。

Q: 経営者が安く(人材を)使おうとは思っていないとは思うが、マクロ的にみると一向に分配率が回復しない。

桜井: 今回のアンケート調査結果は別として、労働コストの問題には、労働市場、労働者の構造的な変革、例えば正社員/非正社員の問題や団塊の世代の現役からの離脱など、いろいろな要因が含まれているので、分配率(が上がらない)だけで、経営者が賃金を上げていない、ということには直結しない。

小島: 今回のアンケートの質問を見ていただくと、「景気拡大局面が終息する主なリスク要因を2つまで」となっている。ここで「労働コストの上昇」と答えるということは、「労働コストが高くて経営が苦しい」ということで、そういう答えは出てこなかったということだろう。現実に労働コストは上がっているかもしれないが、それが景気終息要因になるかどうかというと、そうではない、ということだろう。

混合診療について

桜井: 先ごろ、「混合診療を禁止する法的根拠はない」という判決が出たが、経済同友会は、以前から、「給付の適正化を図るためにも、患者の立場に立って(患者の)選択肢を広げ、患者が適切な医療が受けられるようにするためにも、また、先進医療における医療技術や設備の向上・活性化という意味でも、混合診療について真剣に考え、これを実施できるようにすべきだ」と主張してきた。今回の判決を受け、改めて混合診療の展開を推進すべきであり、またそれをアピールしていきたいと考えている。

歴史的に見ると、2004年に小泉政権の下で、厚生労働大臣と(規制改革)担当(内閣特命)大臣が、「混合診療を進めるべきであり、その対象となる保険外の先進医療も拡大していくべきだ」という合意をされた。これは、供給側の論理ではなく、患者たる国民の選択肢を広げ、国民がより多くのメリットを享受できるようにする観点からの合意であったはずである。

(混合診療は)「富裕層優遇」の制度という意見もあるようだ。仮にそのような要素が感じられるとしても、本質は、保険診療では行えない先進医療を受けた場合にも、保険医療に該当する部分は保険で、保険外は自費で、という組み合わせが可能になる仕組みなので、患者にとっては、低いコストで幅広い医療を受けられることになり、メリットが大きいことになると思う。よって、「富裕層優遇の(ための)混合診療」とは言い難く、むしろそれ以外の、現在保険診療を受けている多くの人々にとって、メリットがある仕組みだと思う。

伝聞だが、2004年の大臣合意の後、厚生労働省の通達によって、「先進医療部分に対しても薬事法の範囲内とする」、つまり、「薬事法で認められた医薬品、医療機器を使用するものを混合診療の範囲とする」ことを運用上で決められたという。結果、大臣による合意事項をまげ、先進医療の範囲を狭めるようなことが行われた。このような動きが今後、規制改革等において出てくることがあってはまずい。

混合診療については、ぜひ国民の立場から考えて有効なものとして展開して欲しい。そのためにも、厚生労働大臣は今回の判決に対し、控訴しないことが必要だろう、と申し上げたい。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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