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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2007年11月20日(火)
出席者 桜井正光 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で、(1)日・ASEANのEPA最終合意、(2)党首会談、(3)株価と景気見通し、(4)消費税、(5)環境税、(6)2008 年度予算編成、(7)額賀財務大臣との朝食懇談会、(8)賃金、について発言があった。

Q: 日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)が経済連携協定(EPA)の締結で最終合意に至った。改めて感想を伺いたい。

桜井: 世界をマーケットにして、世界との付き合いによって成長していく日本にとって、経済連携協定や自由貿易協定が非常に大事であることに疑いの余地はない。特に、(日本と)ASEAN(との)関係では、双方の経済、産業等(色々なフェーズで)組み合わせや連携ができてきている。その組み合わせを強化していくという意味で、非常に大事な経済連携協定だと思う。

感想としては、かなり短期間のうちに、大枠から大筋、連携協定の妥結まで来たということだ。

経済環境がどんどん変化しているASEAN にとっても、このような協定は非常に重要であり、お互いにできるところは積極的に組み合わせ、割り切るところは割り切る、という態度が表れた成果だと思う。中国や韓国に先を越されていた経済連携協定のハンディ・キャップがあったところに追いついたにすぎないが、非常に重要な第一歩であると感じている。また、面を広げていくという東アジア(共同体)構想に繋げるためにも(今回のEPA 最終合意は)非常に重要なステップだと考える。

Q: 今月22日に福田総理が小沢代表と会談を持つことになったが、この会談になにを期待されるか。

桜井: 以前も申し上げたが、(会談は)できるだけオープンな形が望ましい。(党首)会談で全てのことを協議し、全ての結論を出していくことはないだろうが、ねじれ国会のなかで、スムーズに法案の審議が進み、日本の今後の成長や国益にとって重要な法案が遅滞なく審議され、必要な法案が成立されるという糸口になるように望みたい。

私は会談重視の立場はとらないが、会談がひとつの協議、そして法案の審議において、スムーズな流れを作るきっかけとしての役割を果たすことになればと思う。

Q: 今日の前場で(日経平均)株価が昨年7月以来の14,700円台をつけたが、株価下落と先行きの景気を含め、所見を伺いたい。

桜井: 株価の問題は、色々な要素が集まった最終的な結果なので、一喜一憂しなくてもよいと思う。(しかし、)企業価値、トータルの時価総額の低下によって、M&A や買収を警戒しなければならないことになると思う。この意味で、株価の問題は非常に気になる。

株価を支える要因はいろいろある。当然のことながら、日本(企業)の株を購入するにあたり、為替レートが円高に推移していることで嫌われているという面がある。もうひとつは、サブプライムローン問題だろう。日本企業の今後の成長は、まだ外需依存が非常に大きい。(従って、)サブプライムローンの問題による米国の実体経済や信用収縮の悪化を警戒するわけである。この辺りが、中長期の予測がなかなかつかないところであり、企業業績にどう影響してくるのかは分からない。

サブプライム(ローン)の問題、円高の問題、原油価格(高騰)の問題等、関連しているいろいろな問題についてなかなか予測がつかず、どのように落ち着くのかの見通しがたたないため、企業経営にとって長期計画を立てるのが難しいところにきている。

Q: 消費税について、福田首相も自民党幹事長も(今回の税制改正では)上げないと発言されている。財政再建には(上げることが)必要と思われるが、この判断についていかがお考えか。

桜井: これだけの日本の財政の悪化、少子高齢化の進行、そしてそれに対する社会保障制度の破綻が見えているなか、長期的に考えると、やはりどうしても消費税の増額は逃げられない道である、と基本的には思う。但し、(消費税引き上げの)時期や(上げ)幅(をどの程度にすべきか)については、2011年のプライマリーバランス黒字化をまず腹を据えて推進していかなければならない。そのための歳出歳入の一体改革、特に、歳出の大幅削減が非常に重要であると考える。まだまだ公的部門や独法等の改革、地域の活性化という面でも、適切な集中と選択による(歳出)削減をどんどん進めることが非常に大事である。その実績や予想のなかで、社会保障は一番大きな歳出項目であるため、それに対応することは財政上非常に苦しい。また、2011年だけがターゲットではなく、それ以降の債務残高の削減も健全な日本の成長を支えるベースになる。そのようなことを考えると、やはり消費税のアップが必要になると思う。

「2008年は増額できない、実施するのであれば2009年以降」というのが福田総理の発言だったと思うが、結果的には、時期はその頃になるのではないかと思う。2007年度に将来の政策や財政を考えた税の抜本改革を作り上げると言っており、(税の抜本改革は)政策展開を含め非常に重要だと思うが、消費税のアップの時期と、抜本的な改革案作成の両方を先延ばししたということになると、(これは)甚だ問題だと思う。中長期の政策対応と税のあり方を早く作り上げることが重要である。

Q: 環境税が話題になり始めているが、これによるCO 2 削減効果についていかがお考えか。

桜井: 現時点では個人的見解だが、環境税は、地球温暖化を防止するためのインセンティブとして機能するものと考えている。一般に、環境税というと増税という感覚に結びつきやすいが、消費者としても、生産者としても、税がかかればモノが売れにくくなるので、商品やサービス、さらに生産プロセスなどを工夫することで、税がかからないよう努めることが必要である。税を払わないで済むような消費や購買の方向を目指すことがインセンティブとなる。これが、私の環境税に対する捉え方である。

Q: 先ほど、消費税の前に歳出削減が大前提であるとして、独立行政法人改革や公的部門改革の必要性について触れられた。これら中長期的な課題の前に、既に近く行われるであろう衆議院総選挙を睨んで、医療や教育分野などへの歳出増の圧力が強まってきている。昨日の財政制度等審議会から出された(08年度予算編成に向けた)建議にも歳出膨張の圧力に対する危機感が滲みでている。
今年の予算編成が間もなく本格化するが、来年度予算について、今の霞が関や政治の状況をどのように見ておられるか。

桜井: 2008年度予算編成においての要求は、本当にこの国の今後を考えてのものなのか、非常に疑問に感じている。安全、安心、地域の活性化という、表向きは非常に結構な言葉が出てきているが、重要なことが二点抜けており、まず日本の今後の財政再建をしっかりと確保することが重要で、そしてその中で、成長、活性化を実現していくべきである。この軸が忘れられているように思えてならない。思いやりと、筋肉質に経済の成長率を高めていくことは、二律背反のものではあるが、これを同時に実現できるようにするのが政治家の仕事ではないか。例えば、企業経営でいえば、マーケットシェア拡大と利益拡大の同時達成という二律背反的な課題を実現するのが経営者である。片方だけを達成すればよいというものではない。従って、例年であれば12月半ば頃に財務省案が出ると思うが、ここはしっかりと財務省に踏ん張っていただけるよう願っている。ここで緩めると、では財源をどうするのかという問題になる。(財源が)国債なのか、補正予算なのかはわからないが、このようなことを断じて許すべきではない。今、タガが外れるとたいへんなことになると思う。

Q: 明後日(22日)、財務省幹部との懇談会が予定されているが、いまは財務大臣のリーダーシップが疑問視されているような微妙な時期でもある。どんなことをお話される予定か。

桜井: 2008年度予算案作成を中心に、いまお話ししたようなことをお話したい。プライマリーバランス黒字化の確保、歳出・歳入一体改革、歳出削減などについて不退転の決意で取り組んでいただきたい、さらにはそれと並行して、消費税を睨んだ税制の抜本改革もしっかりと詰めていただきたい、等々である。また、今の時期にお願いするのは酷かもしれないが、2011年のプライマリーバランス(黒字化)だけではなく、その後も債務残高の削減を進めていかなければならないことも強調しておきたい。これは環境保全と同じで、決して次の世代にツケを残してはいけない。債務残高を圧縮していくための計画工程表を作り上げていくことが必要であろう。

いま大臣のことが話題になっているが、それは一切私の頭の中にはない。

Q: 賃上げについて伺いたい。春闘の時期には早いが、今の日本経済の状況は、サブプライムローン問題や円高などで長期予想を立てにくい状況にある。労働側には、(企業利益を)賃金に還元して消費を増やさないとデフレも解消しない、という主張もある。代表幹事のお考えを伺いたい。

桜井: 企業は、利益が出なければその存続自体が危うくなる。その(利益を確保する)ためには、消費者にとって受け止めやすい価格で商品・サービスを提供すると同時に、現在競争しているグローバルな市場において、プレイヤーとしての競争力を失ってはならない。これが原則である。また、もう一つの市場である労働市場において、優秀な人材を確保することも重要で、低賃金ではそれ(人材確保)も難しい。つまり、労働市場に応じた賃金を実現することが必要である。個々の企業によって戦略、政策は違ってくるであろうが、流動性がどんどん高まってきている日本の労働市場に相応しい、適切な(賃金)水準が形成されてくるものと考えている。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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