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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2007年10月02日(火)
出席者 桜井正光 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)福田首相の所信表明演説、(2)歳出削減、(3)政治とカネ、(4)景気、(5)証券優遇税制、(6)政府系金融機関のトップ人事と財務省の巻き返し、(7)バラマキ的動き、について発言があった。

Q: 昨日の福田首相の所信表明演説で示された政策メニューについて、評価・要望などを伺いたい。

桜井: 福田総理も、新しい時代に対して大変難しい国会運営を迫られているとおっしゃっており、相当な意欲としっかりとした軸を持って、具体的にどのような政策をどう展開するかについて、そろそろ(明確な話が)出てきてもよいのではないか、と期待していた。確かに物理的に考えると首相就任から間もないこともあり、具体性(に欠けていた点)については、ある程度やむを得ないとも思う。内容を拝見すると、新内閣への希望として(同友会が)意見をまとめた、改革の継続と、より強力な推進という軸は、福田総理の意思のなかに強く感じることができ、歓迎したい。

もうひとつ、福田総理は、「ねじれ国会」で建設的に国のための政策を議論していくためには、与野党「協議」を基本的な運営方針とすると強調されている。所信において、参院で過半数を取っている民主党に、国に対して責任ある視点・思考で協議に参加してほしいとおっしゃっているが、これは現実的に大事な点だろうと思う。ただし、この「協議」の具体像がよくわからない。

「ねじれ国会」は、自民党・与党にとって、この国のあり方に対して、年金、社会保障、税制、公務員制度、テロ特措法など、いろいろな国の重要な施策についての考えを明確にし、政策の位置づけと具体的展開について意思表示をするチャンスでもある。野党にとっても(同様で)、参院選でマニフェストに謳ったことを、国のあり方、政策として、(展開するための)財源やスケジュールを示す、与野党ともに、しっかりとした論調で政策論議をし、国民により具体的に(政策の必然性を)理解してもらう良いチャンスであると強く思う。政策論議、論争を国会で展開することと協議とがどう関連しているのか、別のものなのか、その辺りを明確にしていただきたい。

「ねじれ国会」で大事なことは、政策論議をきちんとし、政策の良し悪しを論議すべきである。協議とは、国会での政策論議を補完する意味での事前協議や、中途で起こる論議のねじれや課題の協議であり、あくまで補完としての協議であることが大事だと思う。協議の主要テーマとしては、テロ特措法、年金を含めた社会保障改革と税の一体改革、地方分権などであろう。国会論争の補完という意味で、協議をしていただきたい。

Q: 軸になっている政策は基本的に共有できているという話だが、税制・財政一体改革について、これから年末にかけて、公共事業費をどうするかという議論が始まる。安倍政権での概算要求段階では、(公共事業費)3%カットという路線が継続されていた。参院選の影響なども出てくるかと思うが、公共事業費はどうあるべきとお考えか。

桜井: 2011年のプライマリーバランス(黒字化)が最終目標であり、欲を言えばその後の債務残高の削減ということもある。「骨太の方針2006」で決めた歳出歳入一体改革における歳出削減の目標、最大限の3%(カット)は堅持すべきである。2011年(プライマリーバランスの黒字化)と(公共事業費)3%の歳出削減は軸とすべきで、ここを揺るがすと(構造改革)議論を混乱させることになる。

Q: 「政治とカネ」の関連で、本国会で政治資金規制法の改正案が提出されている。与党内には、領収書を全面公開する公明党案と、専門家による第三者機関を通せば良いという自民党案とに分かれているように見えるが、どちらの方が国民の信頼を得るとお考えか。

桜井: 信頼を得るのは、やはり(全面)公開である。経済同友会では2004年に、政治資金収支報告書の透明化については、企業並みにすべきであると提言した。対象政治団体、政治活動と事務所の計上経費についての透明性を高め、また第三者の監査を受ける必要がある、と述べている。第三者の監査とは、企業会計で言えば監査法人による監査にあたるもので、さらに、国民に最も近いインターネットでの公開が望ましい、ここまでを視野に入れた収支報告をすべきである、と謳っている。いまそれがますます必要になってきている。

Q: 株価が2ヶ月振りに17,000円を超え、サブプライム問題が一段落して山場を越えたのでは、という見方があるが、代表幹事としての景気見通しを伺いたい。

桜井: 株価上昇は、昨日の日銀短観など経済指標が出て、さまざまな課題・問題はあるものの、現時点では(米国のサブプライム問題は)日本の実体経済にそれほど影響が見られない、ということだろう。しかし、今後、サブプライム問題が、アメリカの住宅ローン、住宅市場にさらにどのような影響を及ぼすかは依然不明であるし、また金融市場においても、シティバンクの欠損問題などもあり、まだ全容が掴みきれていない状況である。これからも影響が出てくる可能性が十分考えられるだけに、サブプライム問題はこれで終わりと考えるのは時期尚早だろう。日本経済については、国内消費に未だ勢いがないうえ、短観にも見られるような中小企業の問題、すなわち中小企業における足下の状況と見込の部分が脆弱である。総合すると、日本経済は底固いとは思うが、サブプライム問題、原油問題、中小企業問題等について、注視しより強固に(対応)する施策を打っていく必要があるだろう。

Q: 民主党が、証券優遇税制の見直し・撤廃を主張している。経済同友会は、以前は継続を求めていたと思うが、代表幹事はいかがお考えか。

桜井: 基調としては続行すべきと考えている。ようやく日本の証券市場が活性化してきたところである。サブプライム問題等を含め、個人投資家や機関投資家の参加、さらには海外からの投資についても、日本市場の有望性に照らし合わせるとまだまだ関心が高い状況には至っていない。今後ますます証券市場の活性化が不可欠であり、その意味からも、財政上の問題はあるが、今の優遇税制を続けていくことは必要だと思う。

小島: やはり4月以降の流れ、つまり外国人が(日本の株を)売ってしまったら買い手が現れない、というマーケットの現状を見ていると、貯蓄から投資への流れが未だ十分進んでいないと言わざるを得ない。その意味で、それを試行していた軽減税率はまだやめていい時期ではないだろう。欧米でも、株式に低い税率を適応しているケースは多く、日本だけが特別なわけではない。ここでやめろと言うのは短絡的だと思う。

Q: 先週、政府系金融機関のトップ人事が決まった。今回民営化される政投銀は民間人がトップになったが、残り二行のトップ周辺は財務省OBが就任、あるいは昇格というかたちになった。バランスをとったという見方もあるが、福田内閣になってから財務省の巻き返しが強まったという印象もある。福田内閣の改革姿勢が後退しているということはないか。

桜井: 基本的には民間人の起用が望ましかった。政府系金融機関の民営化は、改革の促進に重要である。日本政策投資銀行と日本政策金融公庫のトップには民間人が、そのサブ(副総裁)として事務次官級の方々が就いたが、(副総裁も)民間人に変えた方が相応しかったと思う。ただし、人事については、果たして相応しい人材がどのくらいいるか、検討期間が十分か、などさまざまな事情が絡んでくるものである。基本的には、改革、民営化促進という観点から、民間人の力を利用すべきだろう。

ただし、(トップに)民間人を送り込めば民間的な経営改革ができるかと言うと、そう単純なものでもない。もちろんトップに民間人を置くことは重要であるが、同時に民間人グループによるプロジェクト・チームのような組織が必要である。トップ人事とプロジェクトを併せて考えていくべきだろう。その意味でも、副総裁も民間人でないと難しいのではないか。

Q: 日本政策投資銀行と中小企業金融公庫の2機関のトップに民間人が起用されたが、いずれも76歳、72歳と年齢が高い。当初は60歳代から選ぶという話もあったようだが、70歳代から起用されたことについてはどうお考えか。

桜井: 年齢も重要な要素のひとつではあるかもしれないが、年齢以前に、民間人としての文化、考え方、経営経験、市場との対話、市場立脚型、という要素が重要である。

小島: 年齢だけにこだわっていると何もできなくなるという問題があるのではないか。

Q: 政府系金融機関の人事をみても財務省OBがトップや副総裁に起用され、自民党においても政調会長は元財務大臣であるが、財務省の巻き返しの動きについてどうお考えか。

小島: 政党の話は政治家である。

桜井: 財務省との関わり方にはいろいろあると思うが、財政健全化は今後福田内閣が進めていく大きな軸のひとつであり、そこには財務省関係者が加わることも必要になるだろう。政府系金融機関の民営化は(改革の)旗印でもあり、その阻害要因として(財務省関係者が)加わることは望ましくない。

小島: 弁護するつもりはないけれども、今回の人事では財務省OBが問題になっているが、商工中金など他の官庁OBが残っている組織もある。例外的に財務省ということではないと思うし、ある程度公平に見なくてはいけないという気はする。

Q: 高齢者医療負担増の凍結や道路特定財源の一般財源化を見直すなど、自民党内で「バラマキ」的な動きが出ているが、これについてはどうお考えか。

桜井: 参院選の延長線上で、自民党・与党が「バラマキ」的な制度化・予算化をしていくことはよくない。国の責任をもって今後の財政再建と構造改革の促進、そして格差に対する是正をしていくとしても、あくまでも改革を継続し、財政再建を維持するなかで行うべきである。格差是正についての手当てについても、単に困っていることに直接お金を入れるという支援ではなく、改革の手が行きとどかなかった分野に対して、活性化を図る目的をもった投入、是正の仕方を考えなくてはならない。所信表明演説では、単なる「バラマキ」はやらない、あくまでもその地域や人々、中小企業などに活力を注入するためのやり方をするという趣旨でおっしゃっているので、ぜひそれを守っていただきたい。

小島: 具体的にどうなるかは分からないが、先日発表した意見書「福田新内閣の発足にあたって-構造改革の継続・加速に向け、揺るがぬ意志を示せ」では来年度予算に注目したが、このような話を聞くと、今年度の補正予算についてもしっかりウォッチしなくてはならないと思う。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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