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第21回参議院選挙の結果について
記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2007年07月30日(月)
出席者 桜井正光 代表幹事

Q: 自民党の歴史的大敗という結果に終わったが、率直な感想を伺いたい。

桜井: 足元の状況から考えて、(結果が出る前から)自民党に非常に厳しい方向だろうとは感じていたが、ここまで自民党が大敗し、民主党が大いに票を伸ばすとは思っていなかった、というのが正直な感想である。

安倍政権として初の国政選挙において、政策運営に対する厳しい評価が出たので、安倍総理としても自民党としても、票の重みを感じて、新規まき直しを図り、具体的に国民の意図をきちんと掴んだうえで、これから政策運営にあたるべきだと思う。非常に厳しい評価を受けたのは、特に、年金、政治とカネ、閣僚の失言などに対してであって、安倍政権の政策運営についてや、構造改革そのものについての評価ではないのではないか、という印象を持っている。私も、夏季セミナーにおいての同友会も、この国の今後のあり方や、そのために必要な構造改革の展開を、今回の選挙戦で大いに議論していただきたい、と言ってきただけに、ある意味では非常に残念だとも思う。

Q: 総理はこの10カ月の実績を問う形で選挙に臨み、結果は大敗だったが、続投を表明した。けじめとして責任をとって辞任すべきだという意見もあるが、どのようにお考えか。

桜井: 総理自身の決断および党の意見を尊重すべきだと思う。昨日の夜9時半という早い時点で意思決定されたようであるが、特にこれに反対するつもりはない。一番大事なのは日本のこれからの成長と発展であり、そのために必要な政策の継続的な展開が大事であって、決して後戻りしてはならない。ここで後戻りすることになると、市場から見ても、海外から見ても、日本の今後の成長を疑われるなどいろいろな面で影響が出てくることを非常に懸念している。だからこそ改革の継続と断行を強く求めてきた。安倍総理にとって、これからの政権運営は非常に厳しくなると思うが、しっかりと立て直して、責任をもってリーダーシップを発揮していただきたい。

Q: 先ほど、「(今回の大敗は)より成長をさせる構造改革に対する国民の評価ではない」という発言があった。ただ、これまで自民党の牙城であった地方の一人区が惨敗しており、これに対しては「小泉政権以降の構造改革路線にNOを突きつけたのではないか」という見方もあるが、どのようにお考えか。

桜井: 小泉構造改革の継承と安倍政権の新たな政策に対する批判ではない、と断定的には申し上げないが、構造改革路線に対してはそれほど影響がなかったように感じる。小泉政権が展開した改革のマイナス面のひとつが格差として表れており、その格差に対する国民の批判はあると思う。構造改革を進めてほしいということと、マイナス面をいかに是正するかということだろう。基軸は、成長と発展のための構造改革の継続であり、いろいろなマイナス、歪みの面については、それを是正していくことが求められている。

Q: 今後、安倍政権の求心力がかなり失われてくると思う。秋から税制改正や予算編成などがあるなかで、経済同友会として、政策的にこういうことに力を入れてほしいという要望はあるか。

桜井: まずは財政再建が一番基本にあると思う。これだけの破たん状態にある国というのは珍しい。企業経営の場合でも、損益計算、バランスシートをしっかりすることが第一である。これが、長期的に骨太の政策展開を実施するうえで必要になる。そのために、まずは2008年度の予算編成が大きな課題で、これをしっかりやることが重要である。

また、構造改革の中心的な課題として、公務員(制度)改革、公的部門の改革がある。国の今後の発展のために機能するような公的部門、公務員になっていく必要があるし、スリム化が大事である。「小さな政府」を担うにはこの改革が非常に重要である。

そして、今回の(参院選で)足元の5,000万件(の記録漏れ)、「親方日の丸的な運営」に端を発して大問題になった年金について、(今後は)社会保障制度、長持ちする年金制度をしっかりと組み直すことが大事だと思っている。

もう一点、我々経済人としては、民の活力を担う企業の国際競争力と成長、これを基にしての社員や国民への還元をさらに促進させるという意味でも、EPA、FTAなど海外との経済協力関係の強化は、グローバル化した経済のなかで大事な課題である。

Q: EPA、FTAについて、特に日豪間のEPAについては農業団体が強く反対している。今回の選挙結果がかなり影響を受けるのではないか。

桜井: 心配している。農業を強くしなければならないが、強くする方法において、今回の選挙結果がどこまで影響してくるのかについては、心配せざるを得ない。企業経営でも同じであるが、二律背反的な課題も、同時に実現していくことが非常に大事である。農業や水産業において、生産性の向上と生産品の高付加価値化をいかに両立させていくかが非常に大事で、もっと真剣に農業再生に取り組んでいくべきである。

Q: 秋以降の税制改正で消費税の議論が出てくる可能性があるが、今回の選挙戦においては一切争点にならなかったが、この点についてどうお考えか。

桜井: 例えば、社会保障制度の抜本的な改革を考えた場合、現在破たん状況にあるし、今後の出生率や人口減少の問題をみると、当然のことながら、今後「受益を増やして負担を減らす」などということはできるわけがない。2004年の年金改革も、今後の状況を考えると見直す必要がある。今後は当然、消費税が課題になってくるであろう。

ただ、単純に消費税だけで対応するのではなく、考えなくてはならないのは国民負担率である。税と社会保険料、債務の返済などを考えた国民負担率の問題として議論をすべきである。日本の債務残高削減も視野にいれた、税制の抜本改革が必要だ。国会運営は難しくなってきたが、本当に国民が願っている将来を考えた時に何をすべきかを、場合によっては超党派で真剣に議論していただきたい。

Q: 2005年の郵政解散の結果と今回の結果は180度違うような状況で、大きなねじれ状態になった。安倍総理は、早期の解散総選挙を否定したが、議院制のなかでこれだけ民意がねじ曲がっているのは異常な状態だと思う。解散総選挙によって民意を問うことについて、どうお考えか。

桜井: ねじれ現象は、国の政策を議論し、決定し、実施していく、という意味では、やはり問題だと思う。いますぐに解散総選挙が妥当なのかは、タイミングとしては疑問だと思う。衆と参のねじれを超えて、良識の府として参議院が機能していく為には、参議院第一党としての民主党の責務も重い。

Q: 内閣改造についてはどうお考えか。

桜井: 今回の参院選が、自民党にとって大変厳しい評価だったこと、今後の政局を考えれば、当然ながら人心一新することが大事だと思う。なぜならば、自民党の敗因のひとつは内閣の問題だからである。国民にも分かりやすく、また新たに政権の基盤を整え直すことを示すためにも、やるべきである。

Q: 企業に例えると、顧客満足度(CS)の観点から非常に悪い結果が出ている。副社長や専務がみな辞めると言っているなかで、社長が辞めないといっている。企業経営としては異常な状況のように思うが、(トップが)辞める必要は本当にないのか。

桜井: 企業経営の場合、(トップが)辞めるのもひとつの方法であるが、(トップが)残って、改革のやる気のある人材を新たに募り、新体制を組んで改革促進を図る方法も選択肢のひとつだ。企業経営でも非常に難しいところだが、ただ辞めれば済むということでもない。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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