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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2007年07月24日(火)
出席者 桜井正光 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

冒頭、桜井代表幹事より「2007年度(第22回)夏季セミナー」(7/12-13 軽井沢にて開催)の総括があった後、記者の質問に答える形で(1)参議院議員選挙の所見と影響、(2)夏季セミナーにおける『新・日本流経営』の議論、(3)中越沖地震の影響、(4)村上ファンド・村上世彰氏への判決、について発言があった。

Q:参議院議員選挙が日曜日に予定されているが、報道各社の世論調査で、与党、自民党の劣勢が伝えられている。夏季セミナーにおける議論で、事実上、安倍政権への支援を鮮明にされたと見られているが、現時点での参院選に対する所見を伺いたい。

桜井:各社世論調査では、自民党の支持率が下がり、民主党の支持率が上がり、比例代表区を見てもその差はかなり広がっており、自民・公明の与党の過半数維持がどうなるかという予想であるが、正直に言って、予想以上(に自民党が劣勢)なので驚いている。夏季セミナーでは、経済同友会として、これから国の運営をしていくためには、まず財政再建が非常に重要であり、また行政改革もこの勢いを止めてはならない、という点を主体に議論し、軽井沢アピールとして提言した。このような視点で見ると、いまの調査結果には心配している。選挙の結果が出たわけではないので、残り一週間、ぜひ政党の皆様も国民も、「これからの国のあり方」に視点をおいていただきたい。(各党は)政策として表明していることが、今後の日本のあり方として相応しいのかそうでないのかを国民に伝え、国民の側もそれをもとに一票を投じることが非常に大事であると思っているし、期待もしている。

Q:金融・資本市場、とりわけ株式市場が、昨日18,000円を割り、今日も小幅続落している。マーケットは、参院選後の政局混乱をにらんで、一部に動揺も見られるということだが、今回の参院選が経済、市場に与える影響についても伺いたい。

桜井:まだ結果が出ていないので、経済への影響を述べるのはまだ早いと思う。選挙が終わってからにしていただきたい。

Q:「これからの国のあり方」ということだが、終盤戦はどのような議論を詰めていくべきか。

桜井:社会保障についていえば、(選挙戦が)スタートしたときは、約5,000万件の年金記録漏れが争点だったが、どう対応するかについては、各党とも、今後のあり方や具体性、処理について、(議論が)進められてきている。そしてさらに、今後の社会保障制度の構築という議論になってきていると思う。ただ、選挙だから仕方がないという思いもあるし、残念でもあるが、どうしても受益の面、つまりどれだけの年金が給付できる、という話が先行しており、その制度へ移行するために、財源、制度設計自体の問題も含め、どうあるべきかという議論にはなかなかいかない。今後の国のあり方を考える、論じる場合は、給付や受益の問題だけではなく、負担はどうなるのかということも組みで議論をしないと、制度を設計し、実施していく責任をもつ党のあり方、論戦として、不十分だと思う。

社会保障制度の問題だけではなく、地方分権や公務員制度改革、独立法人改革などの問題に対しても、より明確に、具体的には何をするのか、そのために必要な財源はどこから出すのかも含め、具体性のある、可能性を評価できる議論にもっていかなくてはならない。(選挙戦が)始まったときからそのような議論でなくてはならなかったと思う。

国のあり方として、日本はいま、少子・高齢化で大変な時期にきているし、これからもそれは重圧になる。一方、かなりの借金を抱えており、世界でもまれに見るような大変な局面にある。そこで今後の国のあり方を考えるときに、財政のバランスは早くとらなくてはならないし、借金も少なくしていかなければいけない、そのためにどうするのかを議論しなくてはならない。(ひとつの方法として)経済を活性化し、成長を遂げることを軸に、格差の問題をどう処理するのか、どう改善するのか。もうひとつは、結果平等的に、国民が皆ある程度豊かな生活ができることをベースに、成長と発展をいかに遂げるのか。良い悪いは別として、どちらに軸を置くのか、という選択だと思う。参院選は、政権選択の選挙ではないが、かなり影響力があるので、そのようなことがしっかりと国民に伝わるような選挙であることを期待している。したがって、経済同友会としても、軽井沢アピールでは、その部分に焦点をあてた。

Q:年金の財源となる税制改革について、あまり深められていないということか。

桜井:具体的には深められていない。財源の問題になると、税制の抜本改革の問題になり、そのなかで消費税、増税が必要なのか必要でないのか、ということがある程度議論されないと、給付と受益の部分だけの話になってしまう。

Q:政権選択の選挙ではないという発言があったが、仮に与党が過半数を割ったり議席を大幅に減らしたりした場合、安倍総理の責任として、退陣する必要はないと判断されるか。

桜井:当然、政権選択への影響はあるし、(選挙後の運営にも)影響は出てくるはずである。安倍総理の続投云々についてはわからない。基本的には、安倍総理が今後の運営について考えるべきことだろうし、まだ勝っても負けてもいないので、コメントする必要はないと思う。

Q:夏季セミナーの『新・日本流経営』のセッションで、橘・フクシマ・咲江さんから“integrity”という言葉が出てきた。「誠実、高潔」という意味だと思うが、あの場ではどのような意味で使われていたのか。適当な日本語訳はあるか。

桜井:その言葉が出てきたときの詳細について、記憶があいまいなので一般的な話になるが、『新・日本流経営』の基本のひとつは、競争力の強化である。その強化のなかでぜひ見出したいと考えているのが、日本が持っている強さである。あの場でフクシマさんが発言されたのは、国籍・日本の企業の強さというよりも、日本流という日本文化に根付いた手法、考え方、日本発の哲学・文化・手法を見出そう、ということであった。もうひとつは、社会的責任をしっかりと押さえていかなくてはならない。社会的責任と競争力強化を同時に実現していくのが非常に大事なことである。ここからは(背景の記憶があいまいなので)想像になるが、この同時実現のためには、当然“integrity”が必要で、これを見極めようという話だったと思う。

Q:中越沖地震の経済的影響は、1兆5,000億円とも言われているが、どのようにお考えか。

桜井:数字の詳細は分からないが、被害は甚大だと思うので、国レベルで支え、復興支援をしていかなければならない。ただ、今回の地震で勉強すべきことは非常にあったと思う。(天災なので)再発(防止)ということも難しいかもしれないが、今後考えていかなければならないことが多いと思う。

Q:学ぶべきところとは具体的になにか。

桜井:やはり原子力発電である。まず言いたいのは、我々モノづくり企業からみると、マグニチュード6.8、そして加速度の680ガル、これは瞬間的起こっていることと波になって起こっていることとで扱い方が違うので非常に難しい数字だが(設計時に想定した最大値の)2.5~2.7倍と言われており、そういう非常に大変な規模の地震に対して、中核の原子炉にはダメージがなかった。今後の調査でどのくらい(ダメージが)出てくるかはまだはっきりしていないが、(現時点でダメージがなかったことは)事実として良かったし、評価したい。

ただ、問題はその周辺施設である。すべてにおいて100%の安全係数でやるのはなかなか難しいこともあると思うが、周辺の、たとえば変圧器や一般事務棟などに対する配慮が、これからの課題だろう。なぜなら、原子炉や原子炉以外のところで放射能漏れとどうつながるかをしっかりと捉えたうえで、周辺施設の耐震性を考えていかなければならないので、今後も詰めていかなければいけないと思う。また、報道にもあるが、初動活動の面でも、安全・安心においては課題を残したと言わざるを得ない。

原子力発電は、気候変動、温暖化防止、長期的には脱炭素社会を作っていくうえで、中核のテクノロジー、方法論でもあるので、原子力発電に対する安全性確保を、関係者も、そして国民も、協力していく必要があると思う。単に、電気事業者だけの問題ではなく、政府、事業者、部品や装置等を製造する企業や人々、地域の方々、そして国民レベルで、今後、安全・安心のために、今回の震災をきっかけとして、さらなる注意と改善を進めていく課題だと思う。

Q:ひとつの自動車の部品工場が被災しただけで、日本の主要な自動車生産がストップしたが、これについてはいかがお考えか。

桜井:モノづくり、メーカーの側からいうと、多くのメーカーは、一極集中購買と分散購買を、戦略的に適切に配置している。どちらかというと、キーパーツになればなるほど、比重としては集中購買的な、一極一社購買的なものに寄りがちである。理由は、技術力が非常に高く、高付加価値の部品、材料を調達するのは、技術的な要因からそうは分散できない。とはいえ、例えば事故などでそこからの供給が遮断されたときでも対応できるよう、いろいろな手立てをとっている。ひとつは適切な在庫の確保である。今回の、特にトヨタさんを含めた自動車メーカーの対応も、特に自動車メーカーはかなり在庫を減らそうという方針ではあるが、事が起こったときにはすぐにその修復にあたって、セット・メーカーも入って急遽立ち上げるなど、日頃から対策を用意している。これは(緊急事態の際には)どうするかについてプランニングをしているからできることである。日本の多くのメーカーは、リスク・マネジメントという点ではかなりしっかりやっていると思う。

Q:過日、村上ファンド問題で第一審の判決が下った。見方はいろいろあるが、インサイダー取引という定義を幅広く認めた判決ではないかと思う。これについて所見を伺いたい。

桜井:控訴中であるが、判決の内容が事実であるという前提で話をすると、基本的には、私はあの判断は非常に正しいと思っている。インサイダーの範囲を、公式な決定事項、あるいは実現をめざした決定事項ではなくても、可能性があれば、という判断は正しいと思う。あまり広く考えることは非常に危険だと思うが、一般の株主ではない大株主だからできる、いわゆるアクティビスト的な活動と、ファンド・マネジャーとして自由に株の売買ができる、そういう立場で、その人たちだけにしかできないことだろうと思う。それが、インサイダーの解釈拡大につながったと思う。そういう人が、ある意味で戦略的に行ったとすれば、インサイダー(取引)として排除されないということになると、今後の市場の健全性という意味で甚だ問題だと思うので、私は今回の判決の判断は正しいと受け止めている。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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