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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2007年06月19日(火)
出席者 桜井正光 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)年金記録漏れの対応、(2)国会会期延長、(3)独占禁止法の見直し、(4)「骨太の方針2007」、(5)コムスンの介護事業譲渡問題、(6)投資ファンドの動きと株主総会、(7)サマータイム導入、(8)円安、について発言があった。

Q:年金の問題について、安倍総理から「社会保障番号」検討の指示があり、動き出しているが、この点についてどのようにお考えか。

桜井:経済同友会でも、番号制が良いと提言している。一体型の社会保障制度改革を進めるうえで、事務的な効率化、各制度間の整合性、今回(ミスがあった)のような基本的な保険料の徴収およびその管理という意味でも、社会保障番号は非常に重要であろう。番号制(の導入)は、年金、介護・医療保険など、社会保障全般について、予防的なこともしっかりと(対応)できる可能性も持っている。番号制(の導入)には大いに賛成であるし、経済同友会でもそのような提言をしており、評価している。

Q:今回の年金の問題の責任について、自民党・中川幹事長が「歴代の厚労相に責任がある」という趣旨の発言をされ、小泉・前総理の名前が挙がるなど物議をかもしているが、これについてはいかがお考えか。

桜井:最初に責任問題が出てくること自体、あまり良くない。前回(の記者会見で)、年金の問題については、三段階でしっかりと対処しなければならないと発言した。第一段階として、(最初に出てきた)約5000万件、記入漏れや記録漏れの1430万件、プラス・アルファに速やかに対処し、国民に安心感を持ってもらうことが非常に重要である。第二段階として、原因系をしっかりと確認して、その再発防止(策を検討する)。これが、新たな社会保険庁の姿であり、新たな一体型の社会保障制度のベースになる。第三段階として、新しい社会保障制度を一体型で展開するという、制度設計を早期に着手する。

責任問題というのは、真の原因究明、再発防止策を構築する過程で出てくることで、今から時の閣僚、大臣、社会保険庁長官がどこまで責任を(とるべきか)ということではないと思う。当然、責任は追及されるべきだと思うが。

Q:もっと原因究明が進んで、もう少し実情が分かってから、ということか。

桜井:そうです。すぐに責任問題にして、それで片付くということではない。トップの交代や過去の責任者を決めつけることで問題が解決するのであれば、非常にやさしい。もっと重要なことは、本当の原因がどこにあるかをしっかりと掴むことである。(責任問題は)その過程で出てくる話になれば良いと思う。

Q:年金問題について、財界でも協力できることはするというスタンスだと思うが、日本経団連では会員企業に協力を呼びかける文書を流した。同友会は個人加盟の団体なのでなかなかそうした対応は難しいかもしれないが、何かできることをお考えか。

桜井:前回(の会見で)も申し上げたが、年金の根本(的な)問題は、5000万件プラス・アルファを早く対処することが第一である。そして、かなり込み入った原因の究明をし、再発を防止するという第二段階については、いまの検証委員会のメンバーだけでは、再発防止にまで行き着かないと思う。システムの問題に対する原因究明をしっかりと展開し再発防止を図るというところに、民間の力が必要な分野があると思う。話が細かく長くなるが、このようなミスや不祥事の問題が起きた時、(民間で)何をするかというと、マニュアル・標準書をきちんと作る、そして従業員・職員に教育を徹底する、3番目に、三ヶ月か六ヶ月に一度の抜き打ち監査をする。それでも問題が起こる。なぜ起こるかというと、日常の管理の問題である。日々、マニュアル通りに仕事が出来ているかどうかをどう管理しているかの問題だ。年金問題が、なぜ25年も前から、あるいは10年前の基礎年金番号への一体化の時にあれだけの問題が起こり、そしてなぜ今ごろ5000万件が出てきたか。もっと早くから加入者起点の顧客起点意識で毎日の管理ができていれば、こんなことにはなっていないはずだ。そういう意味でも、しっかりと原因究明をしていくことが非常に大事である。そうするには、民間の(システム開発と業務改革の)プロフェッショナルが入ることが必要だろう。

Q:今のところ同友会として、何か具体的に検討されていることはあるか。

桜井:具体的には検討していない。

Q:5000万件プラス・アルファの照合作業、原因究明や再発防止策ということで、今後社保庁内で膨大な作業が発生すると思われる。その新たな追加経費に関して、政府は保険料から充当せずに行政経費の節約で賄うという抽象的なことを言っている。一方、公務員の共済年金からその資金を拠出させるべきでないかという国会議員もいたり、公務員全体から給料を差し引かせるべきではないか、などいろいろな意見が出ているが、何かお考えはあるか。

桜井:アイデアの提供合戦であればいろいろあるとは思うが、ともかくどのくらいかかるのかも全くわからない。

小島:国民感情からすると、その処理で年金を使われてはかなわないという気持ちはあるだろう。年金以外から求められるかについて、いろいろな人が議論をしているのだろう。

桜井:一番良いのは、歳出の削減分から捻出するというのが妥当な考えではないか。

Q:国会の会期延長について、12日間(以上)延びれば参院選の日程が変更になる。趣旨としては、国家公務員法の改正案を審議すると言われているが、これについていかがお考えか。

桜井:国会というのは、時の重要な制度改革、法案についてしっかりと審議し、法を成立させることが非常に大事なことで、今かかっている何本かの法案はかなり重要(なものである)。なかでも、やはり公務員制度改革法案は、非常に重要な行政システム改革の原点にあたるので、これはしっかりと審議をし、議論を尽くして、法制化をすることが大事だ。会期延長の是非は私達が判断することではなく、政治が決める問題だ。重要法案をしっかりと審議し、そして必要な法制化を図ることを期待したい。

Q:今月末、独禁法見直しの報告書が、官房長官から出される予定である。現在の議論の方向性について、どのようにお考えか。

桜井:独禁法については、基本的には、しっかりと罰則規定を設けるべきと考えている。しかもその罰則規定は、今までの(ように)違反・不正行為による利益分を吸い上げるというよりも、課徴金扱いをすべきだと思う。これは同友会としての基本的な考え方であり、法律以前に、不正行為をなくすことが、企業にとって非常に大事なことだ。

Q:課徴金の対象範囲を広げることが検討されているようだが、これについては賛成か。

桜井:今述べた趣旨から言っても賛成である。

Q:前回も伺ったが、本日「骨太の方針2007」が閣議決定されるが、内容に関して、すこし曖昧ではないかという批判がある。全体に対する評価と、自由貿易を推進するうえで国内課題になっている農業問題について、どのように評価されるか。

桜井:全体論としては、確かに多方面に(わたり)、かなり広範囲の項目を扱っている。これを一概に「総花」というのは、ある意味で酷な話である。この「総花」にはひとつの意味があると思っている。安倍政権発足後、政権としての政権公約、マニフェストはまだ作られておらず、これに値するのが、今回の骨太2007であると考えている。安倍政権として最初のマニフェストという位置づけであれば、重要な国の政策課題は、ある程度広がってくるだろう。また、安倍政権としても、その(広範囲の)なかで中心軸に置く課題はきちんと用意しているようである。総体的に評価すると、時の政権がスタートした時期なので、必要な重要政策事項が書き込まれていることについて、評価して良いと思う。

また、質問とは違うが、小泉政権の行財政改革を踏襲しているかという点について、特に、財政再建については、歳入と支出の一体改革を基調においている。今日の閣議決定でどうなるか、今はわからない。願わくは、最大の努力が数値的にどれくらいかが明示されることを期待しているが、今の段階で原案を読んでみると、2006年に小泉前総理が出された歳出歳入の一体改革を基本的に踏襲する、そして歳出については最大限の削減努力をする、そしてまた、具体的な歳出削減の方針項目もしっかり表明しているので、全体的に考えると、やはり最大努力というのは、例えば公共投資については3%の削減が期待できると考えている。

自由貿易を推進する上での農業問題については、これからの成長戦略のなかで、周辺国をはじめ、今後の豪州、欧州、アメリカ等とのEPA締結は非常に大事である。進めるにあたって大きな課題として農業がある。原案を見る限り、今後の方針としては、農業関係、特に遊休耕作地、耕作放棄地について、5年程度を目処に再活用する方向で検討するとのことである。5年という期間について、(それまで)もつかどうか、もっと早く、耕作地の問題のみならず、農業に対して一歩踏み込んだものを期待したい。閣議の決定後にコメントしたい。

Q:コムスンの(介護事業の)譲渡問題について、譲渡先がいろいろと検討されている。採算のとれない過疎地域などでは、どの社に譲渡されても事業所の統廃合などでサービスを受けられなくなるのでは、という懸念や不安があり、そもそも社会保障の分野で民間に依存するというビジネスモデルそのものに無理があったのではないか、と指摘する声もある。確かに、グッドウィルグループ自体は企業買収などでどんどん大きくなってきたが、コムスンは赤字である。このような状況の中で、介護を必要とする国民の不安を解消するためには、例えば制度改革など、何が必要とお考えか。

桜井:現在、訪問サービスについて、過疎地域や人口が少ない地域が問題になっていると思うが、決して民間にできないという話ではない。例えばコムスンのように、大規模に(展開することで)、集中地区と過疎地、トータルで事業バランスをとるという方法もある。ただ、実際に譲渡(される)側に、あれだけ(大)規模に(展開できる)会社が、なかなか見当たらない点もあるとは思うが、基本的には、民間企業、民間の運営で、官以上の効率的な高品質なサービスが提供できる事業だ。

過疎地域までカバーする介護サービスついて構造的な制度改正が必要かについては、民間にサービスを任せるということが、やはり原点にあるべきで、現制度の改正が必要だとは思わない。 民間企業は、儲かるところだけやるというのではなく、むしろ儲からないところについて、あるいは効率が非常に上げにくいところについて、いかに効率をあげ、適切なサービスを提供するかということを考える。是非民間の力に期待していただきたいし。

Q:外資系の投資ファンドが日本企業に対して活発な働きかけをしているが、これをどのようにご覧になっているか。また、今年も株主総会の集中日が近付いてきている。個人株主も企業経営に関心を高めてきていると思うが、これからの企業としてあるべき株主総会のあり方、また経営者も株主への説明責任がより必要になってくると思うが、これについてはどのようにお考えか。

桜井:資本主義、株式会社である以上、いろいろなかたちで企業に対する資本投入やTOBが出てくると思う。それに対して、企業の側から、これは正当である、これは不正である、ということは非常に分けにくい。理想論かもしれないが、われわれ経営者が常々ビジョンや経営方針などをステークホルダーに伝え、着実に実現していくことを通して、投資家にとっても、株主にとっても、そして社員にとっても、さらに顧客、エンドユーザにとっても、「我々の経営が一番良いのだ」ということを、示していくことが非常に大事だと思う。これによって、企業は非常に強くなるし、社会に対しても投資家に対しても、お役に立てるようになる。「企業価値の向上」とよくいうが、これは非常に難しい言葉である。同友会のメンバーが皆同じ考えとは言わないが、「企業価値」というのは、顧客価値、株主価値、社員価値の三つの構成だと思う。言葉を替えて言うと、買うなら当社の製品、投資するなら当社へ、働くなら当社で、こういう経営を常に実現し、そしてそれをアピールすることが大事だ。

Q:骨太に、サマータイムの早期実施を検討するという項目が盛り込まれている。御手洗・日本経団連会長もかなりの推進論者であるが、代表幹事はどうお考えか。

桜井:サマータイムについては、できるなら実施すれば良いと思う。実際に温暖化対策にどのくらい効くのかはわからないが、実施にはシステムをかなり変えなければならないと聞いている。まだ情報不足で、積極的に賛成か反対かはお答えできないが、イギリスでサマータイムを経験したが、温暖化に対しても、生活についても、経済の活性化についても、たいへん有効だったと思うし、検討した方が良いと思う。

Q:為替について伺いたい。円安が続いており、輸出企業にとっては業績も上向きになって良いと思うが、一方でビッグスリーから懸念が示されている。このような動きについて、特に日本企業にとってという観点からお聞かせいただきたい。

桜井:輸出型の企業にとっては追い風のようなもので心地良いと思うが、これだけ円安基調が進むと、企業としても、それにゆっくりと浸かっている状態が長く続けば続くほど基礎体力が鈍ってくるし、また強化を忘れてしまう。これは大変に危険なことだと思う。世界との為替のバランスで考えると、円安の方向がこのまま続くとは思えないので、これが逆転して弾けることも考えておかなければならない。経済全体としても、マイナス面が段々大きくなってくるので要注意である。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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