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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2007年06月05日(火)
出席者 桜井正光 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

冒頭、桜井代表幹事より、『2007年6月(第81回)景気定点観測アンケート調査結果(速報)』について説明があり、その後、記者の質問に答える形で(1)景気認識、(2)地球環境問題、(3)年金記録漏れ、(4)「骨太の方針」素案、(5)参議院議員選挙、(6)大林組の談合問題、(7)政治とカネ、について発言があった。

Q:『景気定点観測アンケート調査結果(速報)』を踏まえて、現時点での景気認識について伺いたい。

桜井:このアンケートを踏まえるまでもなく、経営者の実感として、ゆるやかな景気の拡大は、基盤的にも、実感的にも、続いていくと見ている。先ほども申し上げたが、設備投資が少し減速気味になるのでは、という観測もあるようだが、我々の実感としては、(設備投資は)前期より拡大としており、それを修正するつもりもない。海外の景気動向を見ても、全体としては、確かな足取りで拡大していくと思っている。

Q:各地経済同友会代表幹事の現状認識は「後退」が増えているが、地域間格差、地方格差がこのまま広がってしまうなど、景気の面からどのように推移するとお考えか。

桜井:景気面から格差が広がるかについては、専門家ではないので何とも言えない。実感としても答えにくいが、各地を訪れたりすると、やはり「厳しい」という声を聞くことがある。ただし、今後の方向性としては、この格差がそのまま広がっていくとは考えていない。今の景気は、全体的に上がっていくことを基調にしており、さらに、税制等々、色々な制度の改革が続いていくだろうし、また地方自治体の自活もだんだん現れてくると思う。これは期待も含むが、そのような意味でもこれから全体に回復していくだろうと思う。

Q:地球環境問題について伺いたい。明日からのサミットでも地球環境問題が大きなテーマになると言われているが、先日、安倍首相は「全世界の排出ガス量を2050年までに半減する」という目標を掲げた。この方針について、どのようにお考えか。

桜井:安倍総理の総量での目標設定を非常に評価しているし、また、そうあるべきだと思っている。目標を設定することが非常に大事である。今後、具体的なポスト京都議定書の枠組みとしては目標設定の下に(進めるべきだ)。さらに、中国、インド、ブラジル等々の(温室効果ガスの)大量(消費)発生国が参加することが非常に大事で、全員参加、全国参加、全地域参加の枠組みを、ぜひとも実現していただきたい。

個人的には、何度も話している通り、やはり総量で何パーセント下げるのかが、地球環境保全への取り組みとしては非常に大事だと考えている。一方で、総量の目標のもと、各地域・国がどのような目標(設定)で参加していくのか、例えば総量での削減率なのか、原単位での削減率なのか、それもセクター別の効率性による目標(設定)なのか、国や地域単位での効率性の目標設定なのか、色々なやり方がある。今回のサミットでは、全員参加、全地域参加を目指し大いに議論していただき、その方向にまとまるように持っていっていただきたい。

Q:産業界が果たす役割については、いろいろと求められていると思うが、いかがお考えか。

桜井:産業界は、今のところ自主計画で実施している。それぞれの企業が、地球環境のおおもとの目標に対して、そして、自国の、自身の産業のあり方・目標に対して、それぞれ(の企業が)独自に目標をおいて、その達成に努力している。そして、新たな枠組みに対しては、責任をもって挑戦するという姿勢が必要である。具体的に大事なことはいくつかあると思うが、相当ハイレベルな目標になると思うので、技術改革やプロセス改革、すなわち仕事の仕方、事業展開の仕方(など)、さらに、自分の企業の中での地球環境負荷低減と、その商品・サービスを提供されたユーザー・サイドでの地球環境負荷低減(という)、両方を視野に入れた取り組みが必要である。

Q:公的年金の記録漏れについて、現在、政府・与党いろいろな対策をとっているが、これについてはいかがお考えか。

桜井:約5000万件の記録漏れ、それによる支払い漏れが発生するという事実が明らかになったところで、まず、政府が、今後の対策のひとつとして、法改正による時効の撤廃に速やかに動きだしたことは評価したい。しかし、これからまだ3つの分野について積極的な対策が必要だと考えている。

ひとつは、この5000万件の中身がどのようなものなのか、どのような事実に基づくものなのか、具体的な情報が無いので想像がつかない。とにかくこの5000万件と自分個人との関係について、国民が非常に不安を持っている。時効の撤廃だけで片付くものではない。昨日、柳沢(厚生労働)大臣が、1年以内に5000万件の「突合せ」「名寄せ」などを実施し納付の所在を明確にすると発表された。第一にやらなければならないのは、国民の不安を解消するために、5000万件について速やかに事実を調べ、国民の立場に立って解決して欲しい。

二つ目は、並行して進めなければいけないことがある。企業であれば、人の命に関わるもの、あるいは人の財産、特にお金に関わるものは大変大事なことなので、まず、速やかに原因調査を行い、その結果に基づき再発防止策を立てるだろう。そうしなければ、今回の5000万件が、今後も更に増えていくことになる。拡大を防ぐために、原因を究明して、再発防止策を早期に的確に打つことが非常に大事である。この二つ目の原因究明と再発防止策があってはじめて、そして三つ目には、今後、年金のみならず社会保障全般について分かりやすい安全で安心な制度への改革が必要だ。この納付記録漏れ5000万件の再発防止策を組み込んだ社会保障制度改革でなければ、国民に理解されないだろう。

国民の不安を、まずどうやって解消するのか。明日から同じ問題が発生しないように仕組みをどう立て直すのか。そして、環境変化の下に長持ちする制度改革をどう進めていくのか。これらの展開をしっかりしないと駄目だ。今後のプログラムを計画し、推進するには、新しい人材、新しい枠組み・体制でやっていく必要があるのではないかと、現時点では直感的に思う。

また、原因系を見ていると、紙ベースからの電子化、厚生年金と国民年金の統合、住所変更など、いろいろな変更についての操作ミス、インプット・ミスなど、なぜいまさらこんな問題が出てくるのか、という気がする。

そのようなことも含め、先ほどの三段階を実践する場合は、相当なプロフェッショナル人材が参画しないと、組み立てはできないのではないかと思う。

Q:現状では、1番目はともかく、2番目、3番目はまだまだ、ということか。

桜井:まだまだだ。構想が全く出てきていない。3番目については、同友会でも、将来の年金改革の構造や一体型(の制度設計)について提言を出している。2番目、すなわち、(現状を)調査し、原因を明確にし、そして再発防止はどうあるべきかを考える、それが非常に大事である。

Q:新しい人材というのは、政府の中に新しいプロジェクト・チームを作るということか。

桜井:そうだろうと思う。

Q:年金制度の再検討を新しい人材で、という話があったが、社会保険庁の長官は辞任すべきという意味か。

桜井:そうは言っていない。我々企業人からすると、原因を究明するための調査方法や対応策、さらには再発防止策については、しっかりと体制を組んで行うことが必要だと思う。そのためには専門家も必要であろうし、さらに原因究明後の対応策、どのような再発防止策を打つべきかについても、業務に精通した人も必要であろうし、場合によっては外部の力や視点を入れることも必要だ。企業であれば、システム・ベンダーやコンサルタントを入れたりするが、そういうことが必要だろうと思う。

具体的に、誰がトップになって、どのような体制にすべきか、ということまではまだ考えていないが、基本的には外部の知識、力を入れないと、原因究明、再発防止は難しいだろうと思う。

Q:新しい人材、新しい体制ということであれば、現在社会保険庁の解体の議論が進んでいるが。

桜井:解体議論とは別問題だ。原因究明と再発防止策の立案と実施は直ちに行われるべきだ。与・野党どちらの案にしても、新しい組織体制の中に、再発防止策がしっかりと組み込まれるようにすればよい。

Q:昨日、骨太の方針の素案が提示された。例えば公共工事の3%削減が明記されていないなど、小泉総理の時代からすると、構造改革路線が後退しているような印象を持つが、どのように評価されているか。

桜井:小泉体制の中で進めようとした財政再建、これに伴う構造改革が継続されるどうかという視点では、私は確実に継続されていると見ている。「歳出を最大限削減する」と書いてあり、おっしゃる通り、2006年には(公共事業関係費削減)1%~3%という(数値の)表記はあったが、今回の最大限の意味はマックスの話だと捉えている。今回の素案では、その他いろいろな構造改革の項目のもとで、一歩踏み込んで目標数値をしっかりと掲げたり、細部について具体的な展開が言及されていないところもある。また、骨太としては多項目にわたって出しすぎという意見があるかもしれないが、少なくとも日本の財政、あるいは、行政の構造を改革しようという重要なテーマをしっかりと抑えている。それらは今後の政府交渉、与党との交渉でより具体化していき、閣議決定に持ち込んでいただきたいと期待している。

繰り返しになるが、小泉改革を後戻りさせるような骨太ではない、行財政改革の継続をうたった骨太の方針であると思っている。

Q:参院選を前にして苦い薬は避けているような印象を持つ。選挙前だからこそ、数字などを明示して、選挙で問うということが本筋ではないかと思うが、いかがか。

桜井:それはまさにそうだとも思う。そういう意味で、一歩踏み込んでやっていただければもっと明快だ。

Q:参院選について、自民党は当初、憲法改正を争点にしたかったようだが、(現在は)年金になりそうである。年金が争点になることについては、どのようにお考えか。

桜井:年金が争点というのは当然で、これも重要だ。少子高齢化という社会環境の中で、年金問題、社会保障問題はやはり非常に重要な課題である。先述の通り、これだけおかしい問題点が出てきているのだから、それがひとつの大きなテーマということは当然だ。こちらが比重として大きく膨れ上がってしまったので、議論のうえでこれ以外のもののウエイトが少なくなってきた。年金がウエイトを持ったのはいたしかたなく、当然ひとつの争点にする必要がある。

Q:参院選の話題として伺いたい。前回の参院選では、経済界から加納時男氏が立候補した。この夏はいまのところ予定はないが、経済界から議員を出すことについて、ご意見を伺いたい。

桜井:それに対する意見は特に持っていない。前回の事情も把握していないし、今後どう考えるかについてもわからないので、今のところ、経済界から候補を出した方がよいとも思っていない。

Q:大阪の官政談合事件の関係で、大林組の経営陣が辞任したことへの感想を伺いたい。また、大林組の会長は同友会メンバーでもあったと思うが、同友会としてどのように責任を取るのか。

桜井:今回の件は、非常に残念なことと考えている。2005年12月に脱・談合宣言をしたのに連続して起こってしまった。この間に、再発防止策に向けた内部統制・内部管理をしっかり展開させることが必要だったのではないか。その意味で、非常に残念なことだし、遺憾なことだ。今後の談合に対する姿勢を明確にされることを期待したい。同友会としては、私が代表幹事に就任した2007年度の活動については、委員長などの役職、要職からは外れていただいている。幹事については、相当の事態に至らない限りこちらから話はしないが、ご自身の意思でお申し出があれば検討するつもりである。昨年度は米州委員会の委員長を務めていただいたが、現在は、同友会では一切の要職から離れている。

Q:先日、東京地裁で裁判員制度の導入に向けて、企業からの参加も得て模擬裁判が実施された。参加者の中には遺体検分での精神的な面や、裁判長期化による業務への支障など、さまざまな意見が出された。2年後、裁判員制度が導入されるが、これについて同友会、もしくは代表幹事として何か要望はあるか。

桜井:裁判員制度については、かつて同友会としては、(2001年6月に)司法改革委員会として提言している。市場で企業が公正な競争を展開するうえでも、司法は重要である。かつ、国民の視点、立場に立った司法も必要であろう。そのひとつとして、裁判員制度は肯定的に捉えている。

今回模擬裁判を実施したことで、新たな課題が出てきたが、これに対してはまだ同友会で議論は行っていない。個人的には、例えば仕事上重要なキーマンであり、しかもその仕事がピークを迎えている、などという場合は大変だろうと思うし、心のケアの問題もある。今後、企業サイドで対応すべきこともあるし、国が対応すべきこともあるだろう。一般国民が参加しやすい環境を整える工夫が必要である。もし私個人が参加することになった場合には、きちんとその責務を果たしたい。

Q:松岡・前農水省の自殺など、政治とカネを巡るさまざまな事件が続発している。これについて、安倍政権の対応をどう捉えているか。

桜井:局所的に、事務所経費の領収書問題などに焦点が当たっているが、これは領収書の内容を明示して透明性を高めるという方向性が必要だと思う。1万円か5万円か、というについては、個人的には、なぜ100%ではないのかという気持ちもある。判断の根拠としては、現行の政治資金規正法の収支報告の公開基準が5万円というものがあるので、まずは5万円という基準で、適正な処理を行うべきだ。政治とカネの問題は、情報をきちんと公開するということに尽きると思う。したがって、同友会が過去に提言したように、すべてネットワーク上で収支報告がなされるようにし、その場合の公開基準、領収書の基準を再度改め、見直すことが必要だろう。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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