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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2007年05月08日(火)
出席者 桜井正光 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形(1)安倍総理の訪問、(2)安倍総理の靖国神社への奉納、(3)東京証券取引所の自主規制法人トップへの元財務次官の登用と天下り、(4)日米EPA、(5)ポスト京都議定書、(6)新代表幹事としての重点課題、について発言があった。

Q:昨日、官邸で安倍総理にご挨拶されたようだが、どのようなお話をされたのか。

桜井:ご挨拶に伺っただけで、特にお話するような内容はない。短時間だったが、初めてお会いしてお話させていただき、気さくで、今後とも必要な都度情報交換をさせていただける方だと感じた。

Q:安倍総理が、靖国神社の春季例大祭に合わせて供え物を奉納されたとの報道があるが、それについて感想をうかがいたい。

桜井:特に感想は持っていない。個人的な、思想的な問題なのでコメントをする必要はないと考えている。

Q:ちょうど1年前に、同友会では(靖国参拝に関する)思想的な内容の提言を出している。今後はこのような提言は行わないということか。

桜井:今後行わないということではない。思想的な問題については、それなりの環境、状況をふまえ、相当の危機的な状況であると判断した場合は、踏み込んで提言することがあるかもしれない。個人的、思想的な問題についてはすべてコメントを拒否するという意味ではなく、現在は、安倍総理が日中、日韓の門戸を開き、良好な関係を築き始めている状況にあるので、そのエンジンをかけていくことが非常に大事である。今回の詳細はよく存じないが、私費で行われたとのことでもあるし、(これが)大きな問題に発展して我々が積極的に発言するような状況ではない。いまはむしろ、扉が開いた関係をさらに強化していくことに専念していただきたい。

Q:東京証券取引所の自主規制法人の理事長に元財務次官の就任が内定したが、天下りに関する議論がなされているなかで、このような人事が行われたことについてはいかがお考えか。

桜井:天下りを排除する方向で、公務員制度改革、新・人材バンク(の整備)などが進んでいるなかでの今回の人事ということで、いろいろな意見はあると思う。おそらく決定にあたっては相当の議論を重ねたうえで適切な人材を配したのだと思うが、このような時代でもあるので、その決定プロセスについては、委員会等設置会社ではないが、企業でいえば指名委員会、報酬委員会など、もっと透明性の高いものにしていく努力は今後必要だろう。

Q:今回の件については十分な説明がされているとお考えか。

桜井:今回の件については過程をよく見ていなかったが、コメントとしては出ていると思う。制度的な面で、今後もうひと段階工夫が必要になってくると思う。

Q:「天下り」そのものについての見解を伺いたい。

桜井:「天下り」という言葉はいろいろなケースで使われているが、利益目的で押し付け的な官から産へという人事は、当然ながら良くない。これをいかに排除し、ゼロ化するかが重要である。一方、健全な官から民への人材の異動もある。政府におみやげを要求するということではなく、能力と情報を評価し、企業競争力をつけるための人材の登用も、実際多くの企業で行われていることも事実だ。

Q:経済財政諮問会議の民間議員から、日米EPAに関する共同研究を始めようという提言がなされるようだ。この問題については、先日の日米首脳会談でも直接の言及は避けられるなど、実現に向けては問題を抱えていると思う。日米EPAについてはどのようなお考えか。

桜井:今後、米国やEUに対して、EPA、あるいはFTA(締結)の方向に向かうのは非常に大事なことだと思う。日本の国益を考えると避けて通れない。難しいのは、今回の対ASEAN(のEPA大幅合意)の段階までは、どちらかというと、日本の競争力の弱いものを避けつつでも、日本の投資、あるいは技術供与の分野で、何とかチャレンジできる、バランスがとれる国々だったと思う。それでも、農産物を含めてもっと門戸を開いてほしいという課題もあると思う。今後の課題は、日本の弱いところ、あるいは安全(保障)上大事なもの等をどの程度まで開放していくかである。特に、これからの米国、EU、あるいは韓国、中国等についてもそうした課題が大きく出てくるだろう。これらについて企業経営者として考えてみると、相当議論を深め、要点をまとめ、産業構造をどうするかなどをしっかりと考えていかないと、単に理想的にオープンに、というだけでは済まない。そういう意味で、共同開発、共同研究がスタートしたことは非常に前向きであり、期待したい。

Q:先日、カナダが京都議定書の目標達成を断念したと表明した。一方、アメリカは、温暖化防止について前向きな態度に変わってきているが、これについてはどのようにお考えか。

桜井:カナダの件は、非常に残念だ。2012年までの目標について、残された努力を放棄するということは、京都議定書の趣旨からすると、大変遺憾なことだ。

アメリカに関しては、ポスト京都議定書に入るというはっきりとした表明ではないと思うが、協調、共同開発を趣旨として、ポスト京都議定書の方向に向かうことについては評価したい。

Q:このような事態は、産業界としては、プラスなのか、マイナスなのか。それとも、産業界自身が独自で取り組むという姿勢なのか。

桜井:これまでの、温暖化によって海面が何メートル上昇する、異常気象によって亜熱帯性の病原菌が北半球に侵入する、などのレポートには、信憑性を疑うようなものもあったが、今回のIPCCの報告書は、現実に起こりつつあることをベースに考えると、非常に信憑性が高いとみた方が良いレポートである。環境問題は、削減量やスケジュールの面から考えると、すでに企業の自主的な努力だけで解決できる段階を超えている。数字で表すことは非常に難しいが、2030年までに、1990年比で温度上昇が3℃以内であれば、経済成長率(GDP比)のダウンは3%程度で抑えられる。それにかかる費用は、(温室効果ガス削減)1t当たり20~100ドルと幅が広いが、70~80ドル程度と考えても、3%ダウンに対するコストとしてはバランスが取れる。これに対し、6℃以上の気温上昇を許してしまった場合、経済成長率のダウンは6%以上、地球環境の包容力(温室効果ガスを自然に酸素に変える光合成などの自然の力)を超えてしまい、ますます温暖化が進み、経済成長率のマイナスも増大して、取り返しがつかないことになる。気温上昇を3℃で止めるためには、我々がいま発生させている温室効果ガスについて、半減に近い数字を実現しなければならない。これが、企業の自主努力だけで実現できるかと考えると、とてもではないが無理だと思う。そういう意味で、ポスト京都議定書にはある程度しっかりとした枠組みを作るべきだと思う。

さらにいえば、地球環境問題では、(温室効果ガス排出量について)原単位ではなく総量で考えるべきである。ただし、ポスト京都議定書については、現在参加していない(温室効果ガス)大量発生国である米国や中国を加入させることがひとつの大きな目標であり、それを実現するために、原単位、総量のどちらで規制するかについては、政治的・戦略的な判断が必要であろう。最終的に国際会議として、2020年までにどの程度削減させるかについては、きちんと総量で締めてもらわなくてはならない。あくまで原点は、最終的には総量であり、政治的戦略として原単位が活用できる、ということだ。

小島:日本にとっては、総量の議論だけが先に進むと、再び今回の京都議定書と同じことになってしまうので、ある程度原単位を前提にして、総量をどう考えるか、という議論にしなくてはならない。

桜井:その際にも、最終的なグローバル規模では総量、各国別の枠組みにするときには原単位もあり得る。日本の場合は、これまで相当の努力をしてきている。これを、いかにポスト京都議定書に組み入れるかが重要である。

Q:改めて、新体制のもとで重点的に取り組んでいきたいテーマはあるか。

桜井:ひとつは、新たに委員会を設けることはないが、健全な市場主義をベースにした企業、行政、政治、社会のあり方を考えていきたい。特に経営サイドからそれに取り組んでいきたい。もうひとつは、就任挨拶で「新・日本流経営」を述べたが、従来からある企業経営委員会において、今後経営がどうあるべきかについて検討したい。

また、同友会の提言が実際に政策として展開されることが大事だ。そのために、同友会政策フォーラムを新設し、政策担当の責任者や学識経験者、時にはNPO等も含め、政策についてのコミュニケーションを図り、同友会提言の実現に向けて活動していきたい。

小島:同友会政策フォーラムについては、マスコミの皆様にもご案内しますので、ご参加ください。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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