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2007年度(平成19年度)通常総会前記者会見発言要旨

日時 2007年04月24日(火)
出席者 北城恪太郎 代表幹事(退任) 桜井正光 代表幹事(新任)
小島邦夫 副代表幹事・専務理事 氏家純一 副代表幹事 加賀見俊夫 副代表幹事
斎藤博明 副代表幹事 下村満子 副代表幹事 森田富治郎 副代表幹事
岩沙弘道 副代表幹事 細谷英二 副代表幹事 有富慶二 副代表幹事
金丸恭文 副代表幹事 林野宏 副代表幹事 長谷川閑史 副代表幹事
芦田昭充 副代表幹事 大橋洋治 副代表幹事 小枝至 副代表幹事
小林いずみ 副代表幹事 數土文夫 副代表幹事 萩原敏孝 副代表幹事

氏家、加賀見、斎藤、下村、森田各副代表幹事、および北城代表幹事より退任のあいさつ、ついで、桜井代表幹事、芦田、大橋、小枝、小林、數土、萩原各副代表幹事から新任のあいさつがあった。

その後、記者からの質問に答える形で、(1)(北城代表幹事から)桜井代表幹事に引き継いでほしい点、(2)日本の強みと弱み、(3)環境税、(4)三角合併、(5)市場主義の促進、について発言があった。

退任あいさつ

氏家:4年間どうもありがとうございました。北城代表幹事のお役に立てたかどうかは自信がないところですが、この経済同友会が20数年間にわたって唱えてきた「民間の活力を引き出す市場主義」という考え方は、私が前々から考えていたことと大変親和性が高かったので、私としては大変楽しく勉強し、過ごさせて頂きました。マスコミの方々には、提言書をもっと紙面に取り上げて頂きたいと思いましたが、書きたいと思わせるような提言書を作っていかなければならない、と認識しました。きっと、この後の代表幹事、副代表幹事の方々が、どんどん書いて頂けるような提言書を作って頂けるのではないかと思っています。どうもありがとうございました。

加賀見:氏家さんと一緒に4年間副代表幹事を仰せつかった加賀見です。いま氏家さんからお話があったように、同友会、あるいは北城代表幹事にどれだけお役に立てたか、非常に疑問に思うところですが、私個人としては、異業種の方々と非常に活発に議論し、4年間で3つの委員会の委員長を務め、3つの提言を発表させて頂いたことは、ある意味では、世の中に色々な新しい提言ができたのかな、という感じです。特に、私の提言したものについては、比較的長期で対応するものが多かったので、これからその中でどの部分が具体化するのかを非常に楽しみにしています。皆様、本当にありがとうございました。

斎藤:TACの斎藤です。4年間お世話になりました。北城代表幹事の掲げた「新事業創造立国」はとても画期的なことだと思います。ベンチャーの育成という、既存の大企業の方からは出てこなかった視点で、切り拓こうということで、その新事業創造立国に合わせた形で活動ができたことは、大変勉強になりましたし、実際に「行動する経済同友会」ということができたのではないかと思っています。ただ私の場合、どこまでお役に立てたかというと、やはりなかなか、体の面、頭の面で今一歩のところがあり、思うような行動ができず、これは期待に背いたかたちで、とても申し訳なかったと思っています。ただ、すばらしい経営者の方達と色々なお話をさせて頂く、そして、これからの日本について色々な、真剣な話を聞く中で、この国の進むべき道、どうあるべきか、ということについて随分と自分なりに考えることができました。大変大きな刺激といいますか、自分にとっての財産になったなあと思っています。これからこの経験を、財産として活かして生きていきたいと思っています。

下村:下村でございます。4年前に思いもかけず、北城代表幹事から副代表幹事を仰せつかった時は、本当に晴天の霹靂でした。私は、医療事業の経営はしていますが、なにしろまったく大企業ではありませんし、皆様ご存知のように、ジャーナリストの尻尾も付いているような状態でした。非常に躊躇しましたが、今となってみれば、実感としては、まるで大学院に社会人入学をさせて頂いた、そして、4年間勉強させて頂いたという気持ちです。本当に色々なことを学ばせて頂きました。また、同友会は、私の想像以上に、非常に個性豊かな経営者の方々が多く、議論も非常に自由闊達で、オープンで、タブーなし、というのが私の実感でした。本当にこれは素晴らしいことだと思います。他の経済団体のことは存じませんが、経済同友会は最も自由でリベラルな団体だというのが私の実感です。ただ、それを良いことに勝手なことばかり言ってしまい、とくに代表幹事以下、皆様には色々ご迷惑をおかけしたのではないかと、いま反省しています。しかし、小泉政権の、良くも悪くも非常にドラマティックなひとときを、色々な提言をさせて頂いたり、一緒に勉強させて頂いたりしたことを、大変ありがたく思っています。皆様本当にありがとうございました。

森田:森田でございます。私は昨年4月に副代表幹事に就任したのですが、訳あって任期半ばで離任させて頂くということで、その意味で不完全燃焼の思いが強いのですが、この1年を含め、同友会では大変勉強させて頂いたという実感を持っています。特に昨年度、今年度と2年間にわたり、人口一億人時代の日本委員会の委員長を仰せつかり、少子高齢化・人口減少問題に取り組んできました。その作業と議論を通じて、日本が極めて困難な将来を迎えようとしていることと、それに対処すべき、この国の意思決定システムの弱さと遅さというものを、改めて痛感させられました。今度は別の立場で、もう暫くこれらの問題に関わっていくことになろうかと思います。経済同友会に対する、変わらぬご支援をお願い申し上げますとともに、個人的なお願いで恐縮ではありますが、私の方にもなにぶんのご指導、ご鞭撻を頂ければ、誠に幸いです。大変お世話になりました。ありがとうございました。

北城:今回退任する5名の副代表幹事を含め、経済同友会の経営者の方々と、小泉政権、そして安倍政権に続く構造改革の推進という変化の中で活動ができたと、大変思い出深く思っています。特に、大幅な財政出動なく景気回復を実現すべきという、「官から民へ」、そして「中央から地方へ」と連なる構造改革の推進に、一貫して応援のメッセージを出してきたつもりですし、特に、「官から民へ」の流れの中で、郵政民営化や規制緩和、さらに新しい経済法制としての独占禁止法の改正、あるいは社会保障の改革など、色々な面で、政府に対して、あるいは社会に対して意見を表明できたことは、大変意義深かったと思います。さらに、これからイノベーションを中心として日本経済が発展していく中で、これまで提言してきた内容が日本社会に活かされれば、我々としては意義のあったことではないか思います。志の高い経営者の集まりである同友会が、経営者としての見識を活かし、日本社会に提言をし、またそれが政策の中で活かされ、日本社会の発展に貢献できることがあれば、私としては大変幸せだと思います。

次の代表幹事である桜井さんは、大変優れた力を持っている代表幹事ですので、桜井さんの下で同友会が一層発展していくことを心から祈念しております。それでは、新しい代表幹事のリコーの取締役会長である桜井さんをご紹介いたします。桜井さん、お願いいたします。

新任あいさつ

桜井:ご紹介頂きました桜井です。最初に新任のご挨拶を申し述べ、それから、新しく副代表幹事に就任頂く6名の方をご紹介したいと思います。

とうとうこの日が来てしまったか、という思いがこみ上げています。60年の経済同友会の歴史を振り返って色々と読んでみますと、諸先輩方は、時代の先を読み、それに対してビジョン、所信、あるいは政策提言をしっかりと続けてきたということで、大変な会なのだなあ、と感じています。新代表幹事として責任を全うしていかなければならないことは、大変名誉に感じるというよりもむしろ、大変に身の引き締まる思いです。これからも皆様には提言、あるいは会見等々を通じて、色々と意見交換をさせて頂きたいと思っています。よろしくお願いいたします。

代表幹事になって、特に力を込めて、拘って、そして、会員の皆さん、ここにいらっしゃる副代表幹事の皆さんと一緒に、追求、探求し、そして作品を作り、さらに私達自身でそれを実施していきたいというものが2つあります。

ひとつは、今改めて「市場主義経済社会」というものを見つめ直し、市場主義経済社会の構築を強化、促進していこうということです。我々の国や経済、経営における環境は、大変にグローバル化し、一方で、国内では少子高齢化、環境問題など色々な難題・課題があります。また、これからの新しい課題も覚悟しなければいけないと思っています。チャーチルの「できることなら民主主義はやめたい。しかし、これ以上に良いシステムが無い」という言葉と同じように、バブル崩壊後、グローバル化など色々な問題を乗り越えて、国を活性化し、成長させていくためには、やはり市場主義が必要であることを基本としてしっかりと受け止め、国や企業のあり方を強いものにしていくことが大事だと思っています。従って、これを具体的に展開するうえでは構造改革が非常に大事です。構造改革も原点に帰って、本当の意義は何かということを見つめ直し、構造改革の強化について、率直に提言を出していきたいと思っています。

ふたつ目は、名前は色々と考えましたが、「新・日本流経営」を創造していこうということです。あえて「日本流」とつけたのは、我々経営者は、旧来型、日本型の経営と、グローバル・スタンダード、いってみればアメリカ型経営、との間を右往左往しているところがあると思います。もちろん、個々の企業がその強さ、環境、そして競合等をしっかりと見定めたうえで、各々に個性のある経営が必要になるので、スタンダード化したものを作ろうとは思いません。しかし、日本企業に立脚して特色のある、そして非常に力強い経営スタイルというものを、皆で議論してみたいと思っています。その中では、我々はどうしても弱点を見つめて改良しようとなりますが、やはり「強さ」、「良さ」をしっかりと見極めて磨き上げる「強さからスタートする経営」が非常に重要だと考えています。さらに、競争と平行して、同時に、企業の社会的責任に積極的に取り組むこと。この2つをベースにした日本流経営というものを、皆さんと議論していきたいと思っています。我々自身も行動する同友会、そして政府、社会に対して提言をする同友会を力強くやっていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

では、新しい副代表幹事の皆様からひとことずつご挨拶をお願いします。

芦田:芦田でございます。経済同友会の仕事としては、4年前と3年前に2年間、社会保障改革委員会の副委員長を務め、その後は憲法問題懇談会の座長を1年間務めました。直近ではこの1年間、ロシア・NIS委員会の委員長を務め、先だってはロシアを訪問し、報告書を提出しました。非常に口幅ったい表現かもしれませんが、日本経済は少しダイナミック性に欠ける、小ぢんまりとまとまっていると感じており、ゴルフに例えると、これまでは池ポチャをやったり、サンド・トラップにつかまったりしていましたが、やっとフェアウェイに届くようなドライバーの距離になったと思います。ところが諸外国を見ると、ブンブン(クラブを)振り回して飛距離を伸ばしている。日本経済は少し、小ぢんまりと小さな形にはまっているではないか。もっと飛距離を伸ばし、少しラフに行っても構わないというくらいの気持ちで、思い切ってやっていったほうが良いのではないかと思います。桜井代表幹事がおっしゃっている日本流の、自分流の打ち方をきちんと持ち、距離を出してダイナミックさを取り戻す、そのためにはどうしたら良いかを考えていきたいと思っています。どうぞ宜しくお願いいたします。

大橋:大橋でございます。私は3年くらい前からNPO・社会起業委員会の仕事をさせて頂いています。そこで気づいたことは、経済同友会では、先ほどからお話も出ていますが、ひとつの企業、ひとつの業種を越えた自由闊達な意見が述べられている、異業種でも自由に意見を述べられるという、大変風通しの良い団体だと感じています。NPOの仕事は案外融通無碍なところがあり、性格的には向いていたのですが、これからはそれにも増して、自分を鍛える意味でも勉強させて頂きたいと思います。また、私は地方の出身で都会に住んでいる立場から、地方と東京のバランス、東京一極集中化の問題、そして「官から民へ」と言いながらなかなか進まない事態をどうするかということも、勉強させて頂きたいと思っています。今後とも宜しくお願いいたします。

小枝:小枝でございます。この2年間は欧州委員長を仰せつかり、「活力ある高齢社会」という題で、「若いうちは働くだけで歳をとったら毎日家にいるというのではなく、生涯にわたるワークとライフのバランスをとる」という内容の提言をしました。北城代表幹事から、「ところで小枝さん、夏休みは何日休みましたか?」と言われ、(自分が)ワーク・ライフ・バランスを実践しているのかなという気がしましたが、同友会は経営者個人で参加しているので、大変勉強になります。欧州委員会でも、色々な会社の代表の方が参加されていて大変な勉強になりましたので、今後も続けさせて頂きたいと思っています。先日、九州の同友会に呼ばれて、(私は)九州でワーク・ライフ・バランスは合わないのではないかと思ったのですが、依頼があり、講演しました。皆さん大変熱心に勉強されていました。いま大橋さんからお話があったように、東京と東京以外との経済格差が広がっていると言われていますが、同友会には各地域にかなり強力な組織があるので、そちらとも連携を強め、日本の社会に役立つような提言を少しでもできたらと思っています。これから勉強いたしますので、是非どうぞよろしくお願い申し上げます。

小林:小林でございます。先ほどの下村さんのコメントではないですが、私にとっても今回の役割はまさに晴天の霹靂です。ここ何年か、同友会では教育問題の関係でいくつか委員会等に参加させて頂いています。晴天の霹靂と言いながらも、皆さんご自分の立場を超えて自由闊達に意見をおっしゃっていることに驚くと同時に、ここであれば自分も勉強ができるだろうと思い、今回の役割を受けさせて頂くことにしました。私としては、日本の社会、国がこれからどのようになっていくのかは国民みんなが知りたいことであり、どのようなビジョンを持つかが広く共有されなければいけないと思います。桜井代表幹事のおっしゃる日本流の経営というものを、きちんとグローバルの社会で理解して頂けるように、我々として何をしなければいけないのか、その発信の仕方、そしてきちんとリーダーシップをとっていくために我々がやらなければいけないことは色々あると思います。その辺りを中心に、皆さんと一緒に勉強しながら、お役に立ちたいと思っております。今後とも宜しくお願いします。

數土:數土でございます。今回副代表幹事を拝命することになりました。経済同友会と言えば、やはり経営者個人が活動単位だということと、経済を基盤にした、日本の将来に対する見識と志というものが活動の原点ではなかろうかと思っています。一方、現在、我が国は国運を左右するような多種多様な課題を持っているわけですが、これに対して、先ほど桜井代表幹事がおっしゃったように、日本流のものについて、会員の中で自由闊達に意見交流・交換することにより、将来の日本に対して少しでも良いものを生み出せたらと、桜井代表幹事の下でそのような影響力を出せたら良いなと思っています。頑張ろうと思っています。宜しくお願いいたします。

萩原:萩原です。経済同友会では政治委員会、政治の将来ビジョンを考える委員会の副委員長を務め、その後、日本の対外援助委員会の委員長を、昨年の暮れからはアジア委員会の委員長を務めさせて頂いています。過日ASEANの駐日大使を7-8人お招きして、アジアの経済統合、あるいはアジアの共同体に向け、日本がどのような役割を果たしていくべきか、ということについて忌憚のない意見を交換しようという懇談会がありました。アジア委員会では、昨年、槍田委員長の時期に「アジアの共同体に向けて」という提言を出していますが、各国大使はこれについても大変よくご存じでした。そして、日本政府はアジア重視で、安倍内閣はゲートウェイ戦略を掲げており、盛んにアジアに向けて色々なことを発信しているが、一方では、長い間懸案になっている農産物の門戸開放をはじめ、昨今ヨーロッパの先進国ではODAの予算をどんどん増やしている状況のなか日本では削減している状況ではないか、中国はアジアに対しても積極的な働きかけをしているではないか、韓国も国内事情はありながらもAFTAの締結に向けて進んでいるではないか、日本は言っていることは言っているが、なかなか目に見えた形で、本音でアジア共同体の方向で考えているのかがなかなか分からない状況ではないか、など、大変手厳しいといいますか、シリアスなご意見を頂きました。そのような意見があることを考えてみても、私ども同友会もさまざまな提言をしていますが、提言で終わることなく、その後をフォローして、必要であれば色々な角度から提言の中味を実現できるような形でアクションをとっていく、あるいは発言を繰り返してやっていく、という必要性があるのではないのかと感じ、そのような方向で頑張ってみたいと思っています。ひとつは、私はモノ作りの、製造業に身を置くものとして、日本のモノ作りの競争力の維持、あるいは強化策について、これは大変大きなテーマでさまざまな角度からとらえていかなければなりませんが、そのような領域について、個別の会社の地位を離れ、多様な切り口から皆さんと一緒に議論をしながら貢献ができれば良いなと考えております。宜しくお願いいたします。

質疑応答

Q: まず、北城さんに伺いたい。桜井さんのどのようなところが一番良いと思われて指名されたのか。そして、今後の活動でどのようなことを引き継いでほしいとお考えか。

北城:桜井さんは、国際的な視野を持って経営をされ、なおかつ業績の向上だけではなく、企業の社会的責任、特に環境問題への取り組みや社員の働く意欲を高めるような経営の方針を採られるなど、本当に社会的な責任を実現しつつ、業績を上げられている。そして、ご自身はファイヤーとおっしゃっているが、大変情熱のある経営者で、なおかつ高い見識を持っていらっしゃるということで、私が代表幹事を退任するときは、桜井さんに後を継いで頂きたいと思っていた。役員選考委員会でも同じような考えで賛同頂き、桜井さんにバトンタッチができるということで、私としては大変うれしいことであり、これまでの経験を活かして、特に日本の競争力の原点であるモノ作りの強さを活かしつつ、新たなイノベーションを作り出す、日本社会の発展に貢献できるような同友会にしていって頂ければと思っている。具体的にこれを是非、ということは、イノベーションの推進だけをお願いしたが、基本的には、私は同友会というのはやはり経営者個人の立場で参加し、志高い意見交換をしながら、我々の考えを政策として社会に提言していくのが存在意義だと思うので、この伝統を引き継いで頂きつつ、新たなイノベーションに挑戦するような色々な提言を出して頂ければと思っている。

Q: 次に桜井さんに伺いたい。先ほど、日本の弱さでなくて強さを活かしたいとおっしゃったが、強さというのは具体的にどういったものだと感じていらっしゃるのか。

桜井:まず、北城さんから「どうですか。代表幹事をやってくれませんか」というお話を頂いたとき、イノベーションと新事業創造が頭に浮かんだ。いつも思っていたことは、いま、世の中や社会、企業の中、あるいは企業間でも、新陳代謝が絶対に必要である、ということだ。新陳代謝をするときには、切るものは切る、あるいは(ある分野は)もう止めて成長分野に資源を再配置することが大事で、そのためには成長分野に果敢に取り組み、チャレンジし、そして、そういうことができる社会が非常に重要である。私は、代表幹事になったら、弱さからの出発よりも強さからの出発をしたほうが良いと考えた。我々企業経営者、あるいは企業の中で、事業計画や戦略などを作ったり議論したりするとき、いつも出てくるのは、自分の会社はこんな問題点があるというテーマで、それを聞いているうちにそんなにひどい会社かと段々暗くなってしまう。それも当然必要ではあるが、それよりも、私達にはこんな強さがある、こんな良いところがある、そうした点をもっともっと磨き伸ばしていくことが不足しているのではないか。同友会のなかでは是非こういう議論を強めていきたいと思う。

強さとはどんなものか、という質問に戻ると、私は他の業界や産業を知らないが、モノ作りで言えば、例えば、日本の現場力は大変強い。チームワーク、技術力、かなりレベルの高い人材、技術が豊富にある。そして日本には、非常に品質、性能、信頼性などに厳しいお客様、市場がある。三次産業を含めた各産業に強さがたくさんあるはずなので、それを掘り起こし、伸ばすということが、これからの日本の社会にも、経営にも非常に重要だろうと思っている。

Q: 桜井さんは、リコーで早くから環境経営を打ち出され、大変特色のある経営をされてきた。同友会でもそのような方向でさまざまな発言をされていくと思うが、そこについての考え方と、特に秋以降、環境税の議論が出てくると思うが、それも含めてお考えを伺いたい。

桜井:環境保全については同友会のなかで大いに議論していきたい。私の考えはいつも述べているが、環境については「待ったなし」がどんどん激しくなり、追い詰められている状況にある。ポスト京都議定書の枠組みもあるし、温室効果ガスだけではなく、資源(枯渇)、あるいは(環境)汚染など、問題はまだまだたくさんあり、多方面から厳しく対応しなければいけない時代になってくると思う。その意味で、同友会および企業として、環境保全に対してどう積極的に取り組んでいくかは重要なテーマだと思うので、議論を深めたい。環境税については、委員会などで議論したうえで、考え方や中間報告を出していきたい。

Q: 企業にとって非常に影響が大きいと思われる三角合併が5月1日に解禁するが、この影響をどのように見ているか。

桜井:三角合併の影響がどれくらい出るのかは分からないが、業界によってかなり温度差があると思う。問題は、敵対的買収の入口になるかどうかである。三角合併は入口にならないとは言わないが、基本的に、合併、M&A、買収、あるいは統合などというのは、これからの企業経営において、経営戦略的に非常に大事だと思うし、私の考え方のベースはそこにある。三角合併がすなわち敵対的買収には繋がらないと思っているし、むしろ日本という市場をオープンにして、外資をもっと呼び込む、日本を活性化するということも非常に大事なので、それは前向きに受け止めるべきである、と個人的には思っている。

Q: 先ほど市場主義を見つめ直すという話があった。逆にいえば、これはこれまで同友会が提唱してきた市場主義というものがなかなか日本社会に定着しづらい、いろいろ障害や抵抗があるということだと思うが、どういうところに理由があり、またそれを直していくにはどうすれば良いとお考か。

桜井:市場主義を促進するためには色々な要素があると思う。市場をお客様と呼び替えても良いと思うが、まず企業は市場の参加者として、お客様ベース(起点)の経営をする、それからお客様の方も、足元、短期的な話ではなく、より長期的な視野で市場に参加する、というように、いろいろな角度で各要素、各構成員がもっと進化していかなければいけないと思う。我々のこれからの提言活動も多面的にやっていく必要があると思います。

北城:時間なのでここで終わらせて頂くが、私としては本当に、志の高い桜井さんにバトンタッチできたことで大変嬉しく思っている。どうもありがとうございました。4年間お世話になりました。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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