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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2007年04月03日(火)
出席者 北城恪太郎 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)米韓FTA妥結、(2)日銀短観と景気認識、(3)公務員制度改革(新人材バンク設立)、(4)安部政権発足半年の評価、(5)能登半島沖地震、(6)郵政改革、(7)次期日商会頭内定、(8)作家・城山三郎さん逝去、について発言があった。

Q:昨日、米国と韓国の両政府がFTAの交渉で妥結した。日本企業への影響と、経済界では日米のEPAを求める声があるが、同友会としてどうお考えか。

北城: 韓国と米国のFTAが成立したことは、韓国に農業問題があってもFTAを推進すべきという政策判断が一つの成果に結びついたと思う。安倍政権としては、アジア・ゲートウェイ構想の中に、EPA、FTA推進を掲げているが、日本経済の発展のためにもFTAの推進は非常に重要である。特に、韓国と米国のFTAが成立することで、競争の激しい家電や自動車関連の業界等に関して、日本企業が競争上不利になる可能性がある。是非、日米のFTAも実現することが望ましい。日米に限らず、日本とASEANのFTAも推進していただきたい。FTAの推進によって、日本の農業を含めた構造問題の解決策も提示できると思うので、長期的にはWTOの推進にも役に立つと思う。日本が出遅れることなく、FTAを推進していただきたい。

Q:今晩、日本とタイのFTAについて基本合意が行われるが、これがもたらす効果、メリットについていかがお考えか。

北城: もともと、タイとは良好な経済関係があるし、特に自動車を中心とした製造拠点としても日本にとって非常に重要な国だ。また農業や水産業も含めて日本の輸入額も大きい。タイとのFTAを締結できるということは非常に大きな前進だ。一方で、ASEAN全体とのFTA交渉という枠組みもあるので、個別にタイ、シンガポール、マレーシア、フィリピンとのFTA交渉を進めながら、ASEAN全体とのFTAについても是非、推進していただきたい。特に、中国がASEANとのFTA交渉を進めているだけに、日本としてもアジアでのリーダーシップを発揮するためにも、ASEANとのFTA交渉が重要だ。これによって農業問題の構造改革についても進展が期待できるし、米国やオーストラリアとのFTA交渉にも良い影響を与える。農業や労働の分野も含めて国内の競争力強化の政策、保護政策から競争のある産業を作るという政策に踏み切ることによって日本の競争力が高まると思うので、韓国と米国のFTAが締結されたことで、日本のFTAやEPAの推進の大きなきっかけとなることを期待している。

Q:日米FTAについては政治的決断が必要だ。今おっしゃったような競争力強化はわかるが、おいそれと進まないと思う。政治的な側面をどうお考えか。

北城: 米韓のFTAでも、米を除外してそれ以外の農業自由化を進めていくということだ。日本も米という難しい問題があるが、過去の農産物の市場開放に関しても、色々な問題はあったがそれなりに国内で対応してきた。保護政策から農業の経営規模の拡大や、農業への株式会社参入の拡大等を通した生産性向上や高付加価値の農業への転化、海外への輸出増など、農業の競争力強化政策に国として舵を切ったと思う。それを推進しながら、FTA交渉に臨むといった両建てで進むべきだと思う。あとは、どの段階で最後の決断をするかということだと思うが、日本は世界第二の経済大国であるし、工業製品の競争力もある国なので、FTA、EPA、WTOの進展は日本にとって良いことだということで、より競争力のある政策の舵取りが必要ではないか。

Q:昨日発表になった日銀短観で、大企業の業況判断DIが製造業でマイナス、非製造業で横ばいと、やや企業の景況感に足踏み感が出ているような結果になった。景気の現状認識と先行きの見通しについて、お考えを伺いたい。

北城: 基本的には日本経済そのものは底堅い。設備投資も堅調だし、個人消費も底堅く推移していると思う。一方で、米国経済の先行きと、円高に進むのではないかという懸念から、輸出産業に対する懸念が多少出ているが、それが設備投資等に影響しないかという心配がある。基本的に企業業績は堅調だし、企業業績の好調さが雇用の増加や賃金の上昇を通して個人消費に転化していけば、日本経済そのものは底堅く推移するのではないか。ただし、多少心配なのは、米国と韓国のFTAが先に進んだことで、世界のFTAや貿易自由化交渉に日本が乗り遅れる(懸念がある)。

安倍政権としての経済成長戦略でオープンやイノベーションという方向は適切だが、具体的な政策を早くまとめて出していただくことが必要だ。今年6月にまとめる骨太の方針の中で、経済成長戦略の実現に向けて取り組んでいただきたい。幸い、予算も成立し、教育再生などいくつかの政策課題については6月までにある程度目処がつくと思うので、これからは成長戦略について、どのように日本が取り組むのか、ということが重要だ。米国、中国の経済発展に依存するだけではなくて、世界第二の経済大国として、日本自らが成長のエンジンになれるような政策を、是非、打ち出していただきたい。

Q:景気について、株価も心配だが、足元横ばいという認識をお持ちか。

北城: 基本的には足元は横ばいだと思っている。その影響が、例えば為替の問題や米国経済特に住宅価格の軟着陸といった、海外の景気(動向)に依存するような経済運営から、国内の内需主導で日本経済が発展するような政策に切り替えていただきたい。雇用も不足感が増えているし初任給も上がってきているようなので、雇用増加と昇給で個人消費に転化するというシナリオと、内需主導の経済成長を目指す政策が、うまく実現できれば、大きな景気後退はないと見ている。一方で、米国経済の大幅な後退や為替の急激な上昇があれば、日本経済にも影響する。決して、前回の日銀の利上げの問題だとは思っていない。

Q:公務員制度改革について、今日、政府与党が協議会を開いて法案化に向けて最終的な詰めの作業に入る。ここにきて、緑資源機構の官制談合など公益法人による官制談合の疑惑が出てきて、公益法人や独立行政法人を規制の対象に含めるかどうかという争点が浮上してきているが、どうお考えか。

北城: 基本的には、利益誘導に結びつくような天下りはすべきではないし、官民交流は必要だが、公益法人も含めた天下りの規制が必要になる。省庁から公益法人への天下り、公益法人から民間企業への天下りも含めて、基本的には利益誘導に結びつくような天下りはすべきではないし、そういう制度設計をしていただきたい。

新人材バンクの設立に関しては、当面の移行措置として必要となるかもしれないが、本来は、こうしたことも含めて民間で対応すべき分野ではないか。利益誘導型の天下りはすべきではないが、年功序列で、定年前に退職しなければならない制度を残しながら、公務員の天下りだけを規制するのは問題がある。公務員が定年まで働ける、成果に応じて処遇が決まるような、公務員制度改革全体を推進していただきながら、利益誘導に結びつく天下りもなくすべきだ。

政府も改革に取り組み、法案も提出されるということなので、期待している。渡辺行革担当大臣をはじめ政府の取り組みに期待したい。総理も明確な指示を出されていると理解しているので、詳細の制度設計で骨抜きにならないような法案が作られることを期待している。

Q:新・人材バンクの設立は当面の移行措置で、あとは民間で対応すべきとおっしゃったが、どういうことか。

北城: 人材バンクやハローワークもそうだが、本来、人材の紹介業務は民間でも対応できる分野ではないか。ただし、民間ですぐに作れといっても、この制度そのものがうまく機能するかという問題もあるので、移行措置として政府が人材バンクを作る。作るとすれば、内閣府など、特定の省庁に依存しないところに作るべきではないか。うまく機能することがわかれば民間でも対応できる。人材紹介業は、本来民間で対応できる分野なので、いずれ民営化に進んでいただいたほうが良い。ただし、市場性が分からないのに民間が対応できなければ、利益誘導型の天下りを規制することが進まない、というのでは問題なので、とりあえず人材バンクを作るというのは良いと思う。渡辺大臣は大変頑張っているという印象だし、総理も明確な方向を出されているので、是非、(法案が)成立することを期待している。これは天下り(の規制)だけではなく、公務員制度改革全体に取り組むということなので、是非、実現していただきたい。

Q:安倍政権が発足して半年になるが、これまでの全体評価と今後の期待について、伺いたい。

北城: 外交政策については中国、韓国の訪問を通じて首脳外交が実現したし、防衛省の問題も解決した。税収増を財政再建に向けて、歳出の規律を持った予算の成立を実現したし、教育再生にも取り組んでいる。当面、取り組まなければならなかったことには成果が出てきていると思う。教育再生についても、これから中長期の問題に対策を取られると思うし、特に高等教育の競争力は日本の将来のために重要である。更に、オープンやイノベーションの推進については、これから政策の具体化が必要である。イノベーション25についても中間報告は出ているが具体的な政策に結びついていない。6月の骨太の方針に向けて、いかに改革の方向付けを作りこめるか、あるいは経済成長戦略を構築できるかが課題だ。半年の出だしは良かったと思うが、これから骨太の方針、年末の予算編成に向けて改革に一層踏み込むことができるのか、経済成長戦略を実現できるかが課題だ。そういう意味で、公務員制度改革は一つの大きな柱になると思うので、今国会の法案提出を通して、成立を期待したいし、これによって改革への大きな弾みがつくのではないか。

Q:小泉政権に比べて経済財政諮問会議の役割が低下したという意見があるが。

北城: これからだと思う。小泉政権を振り返っても、5年強の政権の中で大きな改革が進んだのであり、決して最初の6ヶ月で全てが進んだわけではない。その間に準備をしつつ、道路公団や郵政の民営化、三位一体の改革、公共事業の削減を実現してきた。大きな「官から民へ」、「中央から地方へ」というフレームワークで進んだが、全て最初の6ヶ月で実現したわけではない。そういう意味では滑り出しは良かったが、これから骨太の方針に向けていかに構造改革路線を進展できるかが課題だ。色々な抵抗があると思うが、是非、総理のリーダーシップで改革を継続していただきたい。特に、これから少子高齢化の社会に入っていくだけに、改革を緩めることはできない。経済は少し順調に推移しているとはいっても、この先安心できるわけではない。社会保障も非常に大きな問題だし、経済成長できずに財政再建もできない。これから持続可能な経済成長戦略をどう構築するが安倍政権の課題だ。これまでイノベーション25や教育再生の中間報告など、当面の課題については対策が取られているので、中長期の課題について6月の骨太の方針までに具体策をまとめていただきたい。

Q:能登半島沖で地震が発生した。来週金沢で同友会の全国セミナーもあるが、感想を伺いたい。

北城: 地震対策の初動については政府として体制を整備されたと思う。一方で、災害に遭われた方々、亡くなられた方には大きな被害だったと思うので、心からお悔やみを申し上げたい。被災者に対する仮設住宅の問題や災害復旧については政府が対処するということなので、迅速な対策が進むことを期待している。新潟地震の経験があったこともあり、対策としては動き出したと思うが、早く仮設住宅も含めて避難民の方々の生活基盤が安定することを期待したい。

Q:現時点では日本経済への影響は出ていないということか。

北城: 日本経済に対しては、神戸の震災のような大きな影響はないと思うが、個別の被害者にとっては、個々に大変な負担なので、是非、生活基盤が回復できるように政策を実行していただきたい。

Q:郵政公社の総裁が生田さんから西川さんに代わったが、特定局に対する考え方でかなり違いが見られる。一部では郵政改革自体がやや後退しつつあるという見方も出ているが、どうお考えか。

北城: 郵政改革では、郵貯銀行や保険を民営化することと、郵便事業が採算にのる形でサービスを提供し続けることが大事だ。そういう意味で、事業の採算性向上に色々と取り組むことは必要だ。ただし、移行過程で民業圧迫になるかどうかという判断が難しい。西川総裁は民間経営者として十分な実績を上げているので、事業採算の向上に取り組みつつ、民業圧迫にならない形で、是非、民営化を進めていただきたい。100%民営化企業になったところでは競争が起きる。移行過程でどこまで事業拡大するのか、一方で、リスク管理等の体制が整わないなかでの事業拡大は郵政事業にとってもリスクなので、その辺りのバランスを見ていただきたい。それだけの経営ができる方ではないかと、期待している。

Q:日商の次期会頭の有力候補に東芝の岡村会長に内定したことで、財界三団体のトップが決まったが、岡村さんと経済三団体の布陣について、どうお考えか。

北城: 岡村さんは大変立派な経営者だと思う。特に、国際感覚に優れており、国際競争のなかで事業展開をされ、集中と選択ということでも経営手腕を発揮されたし、そういう意味で大変期待している。また、中小企業対策、労働問題も含めて見識の高い方なので、大変良い方が日商の(次期)会頭に内定されたと思っている。御手洗さん、桜井さん、岡村さんと、大変、良い方がそれぞれの経済団体のトップになられたので、経済界の意見で国の政策が健全な方向に進むことを期待したい。先ほどの経済成長戦略、行政改革を含めた官の効率化、構造改革の推進などには、常に反対があるが、新しい三団体の長の政策提言を通して日本の構造改革が進展することを期待している。三人とも、そういうことを実現できる立派な経営者だと思う。東芝によるウェスティングハウス買収の決断にしても、原子力は一つの最先端産業であり米国がそれを認めたのもすごいことだ。そういう方が日商のトップになるということは、日本企業の国際化という視点でも大変良いことだと思う。

Q:経済小説の大家、城山三郎さんが先般亡くなられた。色々な経営者観を示されていたが、城山さんの経済思想について、どうお考えか。

北城: 興味深く読ませていただいたが、特別な感想はない。

Q:お会いになったことはあるか。

北城: そういうことはない。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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