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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2007年03月20日(火)
出席者 北城恪太郎 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

冒頭、代表幹事より「2007年3月(第80回)景気定点観測アンケート調査結果」について報告があり、その後、記者の質問に答える形で(1)(大手)春闘の妥結、(2)公務員の天下り(新・人材バンク)、(3)松岡農相の光熱水費問題、(4)株価の乱高下と景気、(5)成果主義と労働コスト、(6)日興コーディアルの上場継続、(7)東証の上場廃止基準、(8)北陸電力の臨界事故隠蔽、について発言があった。

Q:先週、大手で春闘が妥結し、自動車・電機を中心に2年連続の賃上げが実現した。景気の浮揚を狙って賃上げを求める声もあったが、今回の賃上げの日本経済に対する影響について、どのようにお考えか。

北城: 個々の経営者が経営判断をした結果の賃上げだと思う。企業業績が向上し、それが雇用、ないしは給与所得に反映されるのは健全なことだ。これに伴って、個人消費も堅調に推移すれば日本経済にとっても好ましいことである。賃金上昇の額が適正かどうかは個々の企業の判断によると思うが、妥当な結果だと思う。

Q:個人消費にも好影響がある、とお考えか。

北城: そう思う。株価が急落したこと自体は多少消費に影響するところもあると思うし、資産効果がどう出るかということだが、最近、株価も回復基調にあるので、全体としては所得が増えれば個人消費にもよい影響が出るとみている。日本経済の発展という観点では、良い結果ではなかったかと思う。

Q:安倍首相が、公務員の天下りあっせんについて、出身省庁の関与を排して新・人材バンクに一元化するよう指示を出したが、この考えについて代表幹事の評価を伺いたい。

北城: 非常に大きな決断だったと思う。公務員制度改革、特に天下りの問題に対する国民の関心は高い。今回、渡辺(善美・行政改革)大臣の下で、非常に大きな制度改革に取り組まれ、なおかつ安倍総理の方針に従って政府の色々な改革が進みそうだということで、大変高く評価している。最終的に、利益誘導に結びつくような天下りが起きない制度が実現することを期待したい。実現すれば、小泉政権で実現できなかったことを安倍政権が実現したという、非常に大きな政策の進歩だと思う。最終的な結論が、公務員の天下り、特に利益誘導に結びつくような天下りが行われないこと、つまり、省庁の関与に基づく天下りが起きない制度が作られることを期待している。大変心強い、安倍総理がリーダーシップを発揮している政策ということで、そういう意味でも期待している。

Q:新・人材バンクについて、今、提案されている内容で、きちんと機能するような仕組みになるのか。

北城: 最終的には詳細な細部の制度設計をどうするかが非常に重要だ。基本方針としては、公務員制度改革の大きな進歩になると思うが、一方で、細部で骨抜きになることがないように、是非、改革を実現していただきたい。

ただし、公務員制度の問題は、天下りだけに焦点を当てれば全て解決するというわけではない。キャリア制度のあり方、特に一種・二種のキャリアをどう構成していくか、同期で事務次官が選任されると他の方が全て退職するというような退職勧奨のままでいいのか、処遇は年功序列のままでいいのか、成果主義の処遇に結び付けなくていいのか、あるいは人材の流動化、採用数や定員数の見直しなど、全てを含めて解決しないと、単に天下りだけを焦点にしてしまっては、公務員としても今の制度が維持できない。抜本的に公務員制度全体の改革を併せて実行していただきたい。

少なくとも人材あっせんについては利益誘導に結びつかない制度が構築されることを期待しているし、具体的な制度設計がどうなるかについて関心を持って見ている。しかし、実現できれば大変なことだ。将来、行政改革を進めるうえで大きな柱になる。是非、抜本的な改革が実現されることを期待しているし、総理のリーダーシップと渡辺大臣も努力されており、行動力もあるようなので、担当大臣の政策実現に向けての取り組みに期待したい。

Q:新・人材バンクに、省庁の関与が一切ない形が望ましいということか。

北城: 関与というのは、どのように制度設計するかということだと思う。要するに利益誘導型、つまり補助金をもらうことを想定する、許認可を受ける、事業の発注を受けるということを目的とした天下りが行われないように、ということである。官民交流そのものに反対するわけではないし、優秀な官僚が民間企業で活躍できることを反対するわけではない。細部の制度設計で、利益誘導に結びつくような天下りが行われる制度にならない、ということを期待している。高級官僚の退職時に人事を担当する部門(官房)が就職先を紹介する過程で、大きな権限や予算がある省庁の影響力が行使されるのではないか、という懸念を持たれるあっせんはしないほうが良い、ということである。

Q:省庁の官房が中継するような形、人材バンクを通じて省庁官房が人材バンクと繋がっている形ではいけない、ということか。

北城: 人を紹介することは官房がやらざるを得ない。人材バンクに登録する過程では、本人のキャリアやこれまでどのような仕事をしてきたかという経験分野といった情報は、官房から出さざるを得ない。そうした情報を出すことを反対するわけではない。省庁に利権が関係するようなところへの就職あっせんという形で関与することは好ましくない。

Q:人材バンクに各省庁から人が出ることには、反対しないということか。

北城: 最後の制度設計をはっきりしていただきたい。(省庁から)人が出向して、その人たちが今と同じように、その省庁に関係する勤務先企業を紹介するような形になっては、間接的に今の天下りの仕組みが残ってしまうことを懸念する。人が(省庁から)ひとりも出ないことを要求しているわけではないが、実質的に今の天下り制度が残ることが無いような制度設計を期待したい。人材バンクの運営についても、できるだけ民間の経験がある方が経営にあたった方がいいと思う。

Q:松岡(利勝)農相の事務所の光熱水費については、(安倍総理の)農相を庇うような発言が続いており、国民の要求とは異なると思うが、政治とカネの問題がいろいろと出ている中で、どうすべきとお考えか。

北城: 今までの松岡大臣のご説明では、なかなか国民の納得が得られない。政治資金を集める方策についても透明性が必要だが、支出についても透明性を高めることは、国民の信頼を得る意味でも重要なので、国会、政府、いずれにおいても政治資金の透明化に努めていただきたい。

Q:株価の乱高下が続いているが、景気の潮目が変わりつつあるとお考えか。

北城: 日本経済そのものについては、大きな懸念があるということではない。一方で、米国の景気がどう推移するのか、あるいは中国をはじめとするアジアの国々を含めた発展途上国の経済がどう推移するのか、この二つはいずれもリスク要因だと思う。(米国の)住宅価格は低下し、中国やインドを含めた国々の株価はかなり高く上がってきている。株価が既に経済の実体以上に上昇しているリスクもある。こういった発展途上国での株価、経済の今後の推移はリスク要因だと思う。そうしたことを反映して、日本の株価だけではなく、世界の株価が乱高下しているということだと思う。基本的には日本経済そのものは堅調だし、企業業績の予測に基づく株価はいずれ形成される。短期的には乱高下があると思うが、日本企業の業績が堅調に推移すれば、自ずと株価はそれを反映したものになると思うので、中長期的にはあまり心配していない。短期に多少の上げ下げがあっても、それが実体経済に大きな影響を与えるほどの問題にはならないだろうと見ている。逆に言うと、経済の実体以上に株価が上がるということもリスク要因なので、そういう意味では適度な調整だったのではないかと、今のところは見ている。

Q:本日発表した「景気定点観測アンケート調査結果」について、9ページの労働コストの設問で、労働コストが上昇しない理由として「成果報酬制度の徹底」がある。「成果報酬制度」は労働コストを抑えるための制度ではないと思うが、いかがお考えか。

北城: 括弧で書いているが、成果主義の徹底とは年功賃金の廃止ということで、1年経てば必ず昇給する、労働コストが上がるという制度の廃止である。成果に応じて処遇するということは、成果が変わらなければ処遇も変わらない、ということで、企業業績への貢献があってもなくても昇給する、という年功序列の賃金にはならない、という意味である。

Q:この設問のなかにあると、労働コストの抑制策のひとつとして「成果主義の導入」を考えているように見える。成果主義であれば、企業業績が上がれば賃金すなわち労働コストの増加要因になると思うが、いかがか。

北城: それはそうだ。企業業績に併せて昇給するのは良いと思う。企業業績が上がらないにも関わらず賃金が上昇するわけではない、ということだ。

小島: 両面ある。同ページの「労働コストが上昇すると見込まれる理由」にも「優秀な人材の確保」として成果報酬を含む個々の賃金アップが挙がっている。

北城: 雇用環境によって、労働市場がタイトで優秀な人の採用が難しいとなれば、成果主義で成果を上げられる人を採用するためには昇給する。成果主義の導入そのもので労働コストを抑制しようということではなく、成果が上がらないのに昇給することはない、という見方で見ていただきたい。

Q:日興コーディアル・グループの上場が維持されたが、ご感想を伺いたい。

北城: 東証の判断だと思う。判断にいたる過程で、東証としていろいろな意見を集めた結果、今回上場を廃止する必要はないという判断をされたと思う。東証が決めた以上の情報を持っているわけではないので、私は適正な判断であったと思う。ただ今回、東証の決断の前に、報道でいかにも上場廃止が進むような記事が出たのは行き過ぎではないか。それに基づいて、株の売買をした方がいる。投資家に対して誤った情報を出したことは、もちろん取材の過程でいろいろな情報があったかもしれないが、最終的な結論がでる前に憶測で記事を書くことについては、非常に慎重であらねばならないということを示している。調査報道は重要だが、憶測で速く書くことが本来マスコミの使命ではない。特に、最終的な判断がどう出るかについて、十分な情報なしに報道することは、かえって混乱を起こすのではないか。結果としては、市場は、上場が維持されたことに伴って否定的な動きをしたわけではないし、受け入れていると思う。

小島: マーケットは、短期的にはよかったと思っているのではないか。

Q:東証は、今回のようなことに対する制裁の見直しを行っているが、これについてはいかがお考えか。

北城: 上場廃止と注意の間の処分の落差が大きすぎるという点もある。段階的な処分があっていいと思うので、適切な見直しだと思う。

Q:原発の問題について、北陸電力の志賀原子力発電所1号機で、制御棒が落ちて臨界状態が発生し、さらにそれを隠蔽したという、二重の問題が起きた。東北電力や中部電力でも事故にはいたってないが同じような現象が起きている。この件について、いかがお考えか。

北城: どこまでの報告義務があったのか、中部電力や東北電力の制御棒の問題は、事故として報告する基準になっていたのかについて、私はよく存じ上げない。ただ、大きな事故にいたる過程には、30件くらいの小さな問題があって、その下には10倍くらいのヒヤッとする問題がある、とよく言われている。問題を明らかにすることによって、同じような事故を起こさないための対策が取れるという観点から言えば、原子力や飛行機の運航など安全性が特に重要視されるものについては、事故にいたらない軽微の問題でもそれを報告し、再発防止に結び付ける。当該会社だけではなく、広く産業界としてそれを一つの経験として生かすためには、情報公開して頂いた方がいい。今後情報開示については、前向きに取り組むのではないかと期待している。一方で、情報開示をしたことによって、単に批判だけすると否定的な動きが出かねないので、できるだけ情報をオープンにして、再発防止のための対策を採るという前向きな姿勢が必要ではないか。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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